スカーレット56話あらすじ感想(12/3)【モウアカン】って何がやねん

信作は、喜美子の家に寄っとった、丸熊の絵付けにいんかったと言います。

喜美子は待っていたと低い声で言う。店主夫妻はお出かけ中だとか。

「もう帰ってくるやろ。なんか用?」

「二人でご飯食べたりする時、うちも誘ってや!」

喜美子、単刀直入にも程があるやろ。
「あかまつ」でジェスチャーゲームをするなんて!

そうジェスチャーをしつつ語り出す喜美子。

「問題です! ゴリラが踊りながら信楽焼の……」

答えながら言ってるやん。それ、ジェスチャーゲームちゃうやろ。
信作が突っ込む。

この台本、戸田恵梨香さんと林遣都さんは、どんな顔で受け取って読んだんや……関連番組で聞いて欲しいところです。

喜美子は食事に誘っても来ないという信作に、三回に一回、三回に二回、三回に三回でも行くと粘ります。

それは毎回というツッコミは置いときまして、おじさんが許さんと渋る信作。
大人の男と女やから気軽に誘えんてよ。信作にはそういう責任感があるんやな。

男も女も関係ない。
こことここ。
そうジェスチャーを入れつつ喜美子は主張する。

腐っとる!
二人の間は腐れ縁や!

ほやけど、周囲はそういう関係かと誤解するかもしれない。

「もっと自覚せえ、お前妙齢やで」

喜美子はそれに対して、へそで茶を沸かしてかけたるわと返すわけですが……。

そこへ袋麺はあるかとおっちゃんの客が来ます。
寒くなりましたと声を掛けつつ、置いていないと断る信作。

「ほうけ。ほな駅まで行ってみるしよ」

この何気ないおっちゃんも、信楽の言葉を話していて味があります。
やわらかい関西弁ですね。

信作は本題に戻る。
そろそろ身を固める歳やど。照子はもうすぐお母さんになるし、落ち着いて欲しいと、おじさんも思っていると。

そこでのお見合い大作戦です。
ジョーは大喜びでニコニコだった。詳しいことは言うといたと語ります。

悪意はないけれども、喜美子にすれば最悪のことをやらかしましたね。

「ハチも出るし、喜美子も頼むや!」

信作が頼み込みます。
喜美子が出ると申し込み殺到するってよ。マスコットガールミッコー言うてな。

喜美子はそう聞かされつつ自転車に乗り、こう溢します。

「一生言われんの……」

アイドル扱いはほんまクソや。そういう生々しい本音来たで!
それに気づかないでミッコーと声をかける信作もいらつくわな~。

うーん、これな。

溝端淳平さんのような男性は、一生ジュノンボーイでのうて脱皮したいと言える。
だからこそ柳生一族入りを目指してもすんなり受け入れられるわけですが。佐野岳さんとお二人で柳生を経て、ポストソニー千葉&デューク真田目指して海外雄飛しちゃってください。

女性はな……俳優でも、アスリートでも、目立つとアイドル属性勝手に付与された挙句、脱皮をはかると可愛くないだのなんだの言われますやん。

朝ドラ主演からキャリアアップした女優さんなんて、何かあるごとに言われるからな。
あの頃は可愛かっただのなんだの、うっさいわ!

具体例あげていいですか?
『あまちゃん』の、のんさんな。いつまでアキちゃん扱いしとんねん! いつまで『あまちゃん』でウダウダ言うとんのや!

独り立ちさせたれや。
喜美子が嘆いていた「都合のいいときだけ子ども扱い」の典型例やないの!

ブレイクのきっかけはいろいろある。
けれども、朝ドラ主演は特殊かつ重たい。

近年の朝ドラ主演オーディション抜擢をやめた理由をいろいろと推測されております。

自説はこれやで。

【オーディションの功罪はようわかった。そこを変えていかな(アカン)】

NHKも変わりたいんやろなぁ。

 

モウアカン……えらいこっちゃ!

はい、喜美子の試練は続いとるで。

喜美子は、遅いと断りつつ帰宅します。最後の敵はジョーカスや。

しかし、いざ帰ると川原家がどこかおかしい。
百合子とマツが呆然とした顔でこう言います。

「お帰りなさい」

「ああ、おかえり」

仕事で遅うなったと断りつつ、目敏い喜美子は夕飯もまだだと気づきます。

ジョーが圧倒的に不機嫌です。
そこで喜美子は先手を打ちました。

信作に頼まれたし、お見合い大作戦には出る。
結婚する気はさらさらないが、出るだけなら出る。

そう言うのですが、空気は一向に明るくならない。お通夜のようだと喜美子が突っ込むほどあかん。

覚えときましょう。これが、あかん雰囲気いうやつや。
ジョーはイライラしつつ、言質を取った、出ろと言います。

あーっ、これ!
「男に二言はない」だっけか?

ジョーも、喜美子も、相手が言ったことを覚えていて突きつけることをしますね。こういうところが親娘です。
それで失敗したから、ジョーは荒木荘の時に一筆書かせることを重視していた。

でもこれ、男だろうが女だろうが使いますからね。
そこは重要やで。男独特のもんではないと。

喜美子はもうめんどくさいので、参加するするするすると連呼して、ともかく重たい空気を押し退けようとしてはいる。

しかし、どうにも暗い。
百合子は、信にいの帰った後、東京から電報が届いたと深刻な口調で言うのです。

どうやら、ジョーはマツを止めたいらしい。しかし、マツは東京に行くしかないと思いつめている。

東京から!
直子に何かあったのか?

喜美子は驚いて電報を見せろと言うわけです。
それがあった場所はジョーの尻の下。臭そう。毎日ジョーが臭そうです。

「なんで尻の下に敷(ひ)いてんねや!」

「尻であっためたら文面変えたりちゃうかて……」

しょーもないボケを入れつつ、尻の下から電報を出すジョーです。さあ文面は?

モウイヤ

モウダメ

モウアカン

BGMがスチャラカと盛り上げる中、謎の深刻感が出てきます。

直子が電報と同じ文面を叫ぶ無駄なイメージ映像まで入る。

何があかんねん……。

 

【モウアカン】て……

信作が男女のけじめをきっちり考えているとか。
八郎が鈍感すっとぼけ大事故やらかしそうとか。
喜美子の嫉妬とか。

そういう諸々を吹っ飛ばす、直子の電報でした。

直子=アカン方の妹

百合子=エエ方の妹

と呼んできましたが、その通りになりそうで爆笑しています。

関西のノリが理解できないとつっこまれる本作。
逆に考えましょう。

関西に引っ越したけれども、ついていけない方。

周囲の関西人がよく理解できない方。

これから関西に向かう方。

そういう方に役立つドラマ。それを作ってこそNHK大阪の使命やろ。
むしろガンガン関西の特徴を前面に出してますよね。

「NHK大阪の違いみせな(アカン)」ということなんです。

今日は、関西弁でも難易度が高い【あかん】用法でした。

関西弁は難しい。
例えば、よく言われるのが【アホ】と【バカ】ですね

【アホ=バカ】というのは間違いでして。
関西人にアホと言ったら笑っているのに、「バカだなぁ〜!」と同じ調子で言うとこうなりかねない。

「なんやと、もう一ぺん言うてみぃ。誰に向かって言うとんや!」

どういうニュアンスの差なのか。
こういうことを踏まえないといけない。

あと、範囲が狭い。

「それはあれやな」

あれって何?
関西人以外なら、どういうことかわからなくなる。暗黙の了解がなんか無駄に広くて混乱する。

今日のラストは、その暗黙の了解問題でしょう。

モウイヤ

モウダメ

モウアカン

この違いは?
アカンがどうしてそこまで絶望的なのか?

私もはっきりとはわからんのよ。

「そらお前……あかんいうたらあかん」

そういうぶん投げ方を火曜日にする。喜美子と八郎に、直子がアカンで割り込む。

『なつぞら』でも使われた道産子の【なんも】とは違うんだな。
【なんも】には包容力と寛大さがあるけれども、【アカン】はそうではないのです。

本作は関西独自性で難易度があがっていて、あらすじをまとめる方の苦労も滲んでいる。

そういう混沌をまたやりおった。投げおった。何がしたいんや……とりあえず明日まで待ちましょう。

その上で直子の【モウアカン】の中身がくだらなくても、そういうもんだと受け流すこと!

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

【参考】
スカーレット/公式サイト

 

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