スカーレット63話あらすじ感想(12/11)めおと貯金と明朗会計

八郎の一言に、喜美子はキュンっとしてしまいます。

「なんや、かわいいこと言うな、思て……」

喜美子ぉぉぉおおおおお!!

もうええやんか、おかしいか。八郎はそう言ってしまう。
貯金箱にお金チャリンチャリン、お年玉をもらって数える。そういう子どもっぽさも確かにあるかも。

そういう大人の夫としてのよさと、無邪気な子どもっぽさが同時にあるのが八郎ですね。幼少期からコツコツと貯金してきたタイプなのでしょう。

「わかった。ほんなら、早速【めおと貯金】さんにお金入れてくー」

バカにしとると貯まらんで――そう照れ臭そうな八郎に【めおと貯金】どの〜と言いながら喜美子はお金を入れます。
電気窯を買えるくらいに貯めとく〜ってさ。

八郎もポケットから二十円を入れます。授業料ちゃうの?と突っ込む喜美子ですが、この姿勢からしてもう夫婦ってことですね。ええなぁ。

喜美子が、洗濯する前にポケットからちゃんと中身出しているのか?
そう心配するところも、夫婦らしさですわ。

本作の会話。からかいつつ、きっちりとぬくもりのあることを話すところ。これが人間の関係性描写として抜群にうまいですね。

昨年の放送事故は、なんかのテンプレみたいな会話はするけれども、ぬくもりがなくて夫婦愛が全然感じられんかったな。

感性と愛を育むデートに行こか

電気窯もええけど、それより前に許しをもらえたら映画を見に行こうと八郎は言い出します。
美術館もいこな。京都のデパートでも作品展があるって。

ハッチー最高や!
圭介なんて最初からいらんかったんや!

そうガッツポーズしそうになる。
というのも、荒木荘の諸々を思い出しちゃって。圭介は溝端淳平さんですから、そりゃもうチャーミングでしたけれども……圭介が悪いんじゃないけれども。

妹のように喜美子の愛らしさを認め、おはぎも味わっていた。
しかし喜美子の世界観や感性を伸ばすのは、むしろさだやちや子でした。

そういう意味で、あの初恋が生きてくる。
圭介と八郎は、対比としてうまく考えてあると思うんですよ。

「いま彫刻展やってるわ。なんとかいう、海外の彫刻家やで」

ここで、二人を見守っていた照子が入ってきます。
なんでも、母親から体重増えすぎて動けと言われて、そのへん散歩しているとか。

うーん、これもなぁ。本作の水橋氏半端ないわ。

昔は妊婦は太ることが当然とされておりまして。
彼女のように増えすぎて歩くということもあったと。

それが近年、妊娠中でも太らないようにキープしすぎて、胎児に悪影響を及ぼしかねない状況にまでなってきている。

これは女だけの問題やないよ。
デブはダメだの、女は体重50キロ以上あるわけないだの、そういうことを言う側の問題もある。

最近、幼児体型が当然である女児にすら、ダイエットしろと言い張り食事を減らす。
そういう虐待報道を見て、胸を痛めているところですわ。

そしてこうだ。
今度からは二人で行けるってよ!
これまでは、一人で回っていたそうです。若社長が完成を磨くように行かせていたんですね。

八郎ぉおおおお!

こいつは、一人で行動することがそこまで嫌いじゃない。
ぼっちが嫌だから、彼女作ったろという発想ではないのです。

ここで、感性を磨く重要性を、喜美子相手に説く照子。敏春に聞かされてきたんでしょうね。

敏春も、照子を見ているとええ旦那だと想像がつきます。
妻を見下すわけでもなく、感性について教えている。照子は彫刻家の名前は覚えられなくても、京都で開催中であることくらいは把握できる。

経営者としても有能です。
取り入れるところは柔軟で、かつ投資をしていて育てる気満々です。

ワンマン社長の意見を先回りして忖度しろ!
公私混同の身内贔屓こそ愛!
そういう昨年の放送事故はあかんかったからな……。

美術展、そして絵画展。
そういう経験はジョージ富士川サイン会だけだったもんね。

あ、ジョージ富士川!
彼から絵画を習うことを喜美子は目指しておりましたが、彼はオブジェも作っているわけでして。あれも伏線だったのかな? 再登場が楽しみですね。

やっぱり陣痛やん!

照子は赤ちゃんが生まれたら構ってられへんから、見にきたそうです。
結婚の先輩として、助言もするつもりですよ。

すると、なんだか腹が痛くなる。時折、ここから先、陣痛らしきものが入るのです。

その合間に喋る。
喜美子は子どもの頃から川原家を背負ってきた。そう照子がいうと、それは照子もそうだと喜美子は返します。

「金持ちの家と一緒にせんといて!」

照子、直球すぎん?
確かにそうで、いろいろと両者の良いところ、悪いところがありました。

でも、ええ人だからね。結婚でしょってるもんも軽くなる。軽くして、自由にしてな。喜美子のこと、よろしく頼みます――そう語りかけるのです。
喜美子が気持ち悪いと突っ込むと、自分も言ってて気持ち悪いと返す照子でした。

「あっいたたたたた! これあれや、陣痛ちゃうか!」

「ほんま?」

「十代田さんがのろけきかせるから〜」

「すみません!」

照子の無茶振りや。八郎、そこ、謝らんでええのに。

「はあはあ、おさまった」

「ふざけてんの?」

「いやちゃうよ。ほんまひいた」

「もうびっくりさせんといて」

「ええ男や。あんなええのん離したらあかんで。いたっ!」

「やっぱり陣痛やんか!」

「どうしたええ、どうしたらええ? 痛いねん!」

はい、陣痛確定のようです。
あかん! 八郎はダッシュしてどこかへ助けを呼びに向かいます。

大黒柱ちゃう、ジョーはあかん神輿や

そのころ、川原家では……。
夜十時にもなって帰らない喜美子に、ジョーが文句たらたらです。

「遅いな喜美子もう。今日まだ挨拶も来てへんやろ。ええ? あんだけ毎日来とったのに。なあ?」

カスで始まり、カスで締める。
なんやこいつ。理詰めで勝てんから追っ払っといて、いざ来ないとなると文句あるんか。

マツにうながされ、台所仕事をしている百合子は先に寝るようです。

ちゃぶ台の茶を飲んでめんどくさそうにしております。

「なんかあったんちゃうか? なあ?」

あかんやろ。心配なら見に行け。電話一本入れろ!
『なつぞら』の柴田家がなつを探しにいかなかったのとはちゃうで。

あれは悪天候ゆえに救助に向かっても無駄、かつ危険だと踏まえた上での待機。
それに比べてこっちはただのカス!

昭和の大黒柱が名誉的なもんで、ただの役立たず神輿である、と。山守組長(『仁義なき戦い』シリーズ)とは違い、悪事をしないから許される程度のもんだと示す本作。

今朝もおっさんの脳天に千本ノックを打ち込みつつ、明日へ向かいます。

お金で解決、いかんのか?

八郎は、繰り返しますがめんどくさいのです。
しかも、ややこしいめんどくささである。

ジョーと対極で、圭介ともある意味そう。

前者はアカン、後者はエエ。そういう特徴がわかりやすくて、ある意味、普通なんですね。

八郎は普通じゃない。変わっていることは念頭に入れておくと良いと思います。

初対面では皆割と苦戦するんですね。
喜美子もミッコー記事で突っ掛かられたし、信作も無言で困っておりました。

でも、そこを乗り越えるとどうなる?
照子が言ってくれております。

「ええ男や。あんなええのん離したらあかんで!」

乗り越えられるか?
あんたも今まであったんちゃう?
乗り越えんで「キモっ!」とスルーしとっただけちゃう?

NHKには、そういう乗り越え対策見せな(アカン)流れがある気がするんだな。

『半分、青い。』の感想で、こういうのがあった。

「萩尾律って、佐藤健さんという美形が演じているのにキモ〜い。そう職場で話し合って盛り上がった」

それは、いじめそのものちゃいますか?
理解できん相手を「キモ〜い」と言い合って盛り上がるって、いじめと悪口そのもの。

その中に一人「律、ええんちゃう!」と思っている人がいたとしても、言えるやろか?
言えんでしょ……。
あのドラマのアンチはともかくファンを潰す攻撃が凄かった。

まぁ、本人らはドラマの感想を語り合っているつもりで、その実な〜んも考えとらんのやろな。

読解力も問題としてある。
あの作品での律は、意図的にそういう造形はされているんですよね。家でマーブルマシンぐるぐるしていて、空気読めないと担任や鈴愛からも言われていて、親も友達が少ないと心配しているのです。

そこを読み取れないで、キモ〜いトークで盛り上がり、それをSNSに投稿しとってそれでええんか? という危惧感があったんです。

それでもNHKはくじけなかったのか。
放送事故はさておき、意図的に空気が読めないキャラクターが朝ドラに出てきました。

今日の【めおと貯金】も、八郎は空気を読んでいない。
喜美子が嫌そうな反応だと踏まえても自分ははしゃいじゃっている。あき子が泣いた時点でオロオロする圭介なら、空気読みかねないでしょ?

八郎は頑固だから。そこは意図を説明して説得するんだな。

意図を説明するところで、素晴らしいところに着地しておりましたが……。

もしも、喜美子が貯金の時点で引いちゃうとか、猛反対するとか。
喜美子があき子のように泣き出してしまって、八郎が諦めたら?
そもそもその前に、あっさり掃除をしてもらっていたら?

何気ないようで、いくつもセオリーや読むべき空気を乗り越えると、めっちゃええ展開になると本作は教えているんです。

お金と仲間意識と負担といえば『なつぞら』でもありました。
なつとイッキュウさんは、茜に子どもを預けるわけです。

あれも、茜はきっと今ならばSNSでなつの悪口を言いまくっているとか、茜はなつが嫌いに決まっているという、そんな投稿が渦巻いておりました。

しかし大事なところを見ないようにしていた。あのときは両者間に給金と契約がありました。
なつとイッキュウさんは、相場を踏まえた上できっちりお金を払っていた。

イッキュウさんは、
「茜さんはお友達だし、赤ん坊は可愛らしいし、育児なんてまともな仕事じゃないし、女なら本能でできる。だから軽い気持ちで預けてもいいじゃないか」
とナアナアになりませんでした。

こういうめんどくさい枠は、使うところはポーンと使ってくれる。
『半分、青い。』の律だって、手応えがあれば鈴愛が不安になるほど退職金を使うタイプでしたからね。

八郎にせよ、イッキュウさんにせよ。お金や契約でスッキリと決めてこそ合理的だと考えるタイプなのです。
ウダウダと揉めるくらいなら、まずお金を払ってしまう。そのほうがスッキリ! それが冷たい、薄情だとは思わないんですね。

ここも、重要ではないでしょうか。

ええよぉ! 八郎は貯金で妻の意思も認める

そしてこの先にも、よいことがあった。
今日のハッチーホームランや。

貯金を通して、彼の結婚への姿勢が見えてきた。

八郎は、結婚したら陶芸を辞めろとは思っていません。
結婚後は、何もかも諦めて自分の世話だけすればええとは言わないのです。

【妻への小遣い=化粧料】という意識もない。
化粧料? 江戸時代か! そういうことでなくてですね。

「なんやお前、結婚したときはかわいかったのに、今は太って、メイクせんわ、髪の毛ボサボサやん。劣化、恥ずかしいなぁもう。お小遣い渡すから、美容院行ってこいや」

これやぞ。
出産、育児に家事で、身なり気遣えないほどボロボロの妻。
その横で、そういうことを手伝わんで、ストロングゼロ飲みつつ、スマホゲーやらSNSやらしている夫ぉ!

妻にはトロフィーワイフであって欲しいからな。
身なり整える金くらいはやるわ。

金の無駄や、節約や!
なんやこの薄い本、銀のテープ?
全部いらんわ、俺だけを愛していたらええ、捨てたろ!

こういうことを八郎はしないから。陶芸の道具にお金使えると言い切るから。
めっちゃええ奴。ほんまええ奴。

夫婦のお金の問題は重要です。
趣味も、仕事も、そこには意思と尊重もあるから。

ジョーは、本来、妻子が使うはずの金を自分の酒代にしていた。
正真正銘のカスですね。

大野夫妻は基本的に不満はない。夫のわかる範囲で妻が貯金をしていた。
それなのに、マツの貯金を妻独自のものだと誤解して「人妻のよろめき事件」へつながったわけです。

愛があればお金なんて!
そうは言うけれども、むしろ愛があればこそお金はきっちり夫婦で明朗会計にすべきでしょう。

そういう両親を見てきた喜美子は、もうこんなんやられたら理想的すぎてあかんわ。メロメロや。そうなってしまうわけです。

【めおと貯金】ひとつで、ここまで出してきたNHK大阪。
東西でめんどくさい枠を極める、そういう意識を感じます。

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

【参考】
スカーレット/公式サイト

 

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