スカーレット70話あらすじ感想(12/19)深く赤いスカーレットな大鉢

「ええ〜、好きか嫌いかで言われたら、7:3、8:2、9:1で嫌いや」

おいっ、アホちゃうか!
他に言い方もっとあるやろ。林遣都さんをどうしたいの?

よし子さんからコップの中身をかけられる信作。残念ながら当然という流れですね。

信作からもカスっぽさが出てきた?
本作は、どんだけ関西出身俳優からカスパフォーマンスを引き出すつもりなのか。

そこへ喜美子がやってきます。

「なにしてんねん。なんでこんなとこで落ち込んでんねん」

「なんで落ち込んでるってわかる?」

はしゃいでいるようには見えないってよ。信作は、照子と出品作品を見るためにここにいるそうです。

喜美子は、お見合い大作戦の相手に去られたことを指摘します。

「なんでわかる!」

焦る信作。
しかも高校の時から数えて13人目とまでバラす喜美子。
指折り数えて正しいと確認する信作。

動揺する信作に「いくらフラれても、うちと照子だけは愛してんで〜」と喜美子は抱きつきます。

「いらんいらんいらん!」

拒む信作。
信作と喜美子は、近いからこそ遠いのです。

本作って細かいところに健全性がある。

若い、美形。スペック高いなら「ムフフ❤︎(死語)」になる。くっついてセクハラする。
妻だろうが母だろうが、恩義があろうが。ババアならば邪険にする。そういう放送事故と対極だとは思う。

そこへ照子も登場します。
赤ん坊を抱いているように見えますね。喜美子もここでかわいいと太鼓判を押します。

「信作も抱っこする? うちも抱っこさせてもらってん」

「ほれ!」

照子、赤ん坊を投げおったー!
首も座らん赤ん坊を!

焦る信作。
ここで喜美子がこうです。

「アホか。どう見ても毛布やん」

照子も爆笑。
そうそう、赤ん坊でなくて毛布でした。

おしくらまんじゅうはしなくとも、幼なじみはこのノリなのでした。

信作はこのあと八郎にくっついて、「よしよしよし!」と赤ん坊のように慰められるのでした。

熊谷夫妻に亀裂が入った?

このあと、商品開発室で喜美子と照子は話しています。
ミカンを食べつつ話す大島優子さんが、どんどん関西のお母ちゃんとしてレベルが上がっていてすごいなっ!

なんか、吸い込んだらそうなる何かが撮影現場に漂っているのかな?

どうやら雪子の面倒を見ているお母ちゃんの機嫌は悪いそうです。お正月、首も座らないような赤ん坊を連れて行かれて不機嫌になったようです。

敏春の母がもう先が長くないから顔を見せた。
そこは仕方ないにせよ、ややこしそうな話ではある。

初孫との初めての年末年始。相手は婿。
それなのに、なんやねん……そうなったんですかね。

照子は苦い口調で語ります。

「子ども生まれるとな、また変わるで。夫婦の関係」

ここでノックして、その夫である敏春が入ってきます。

「お休みのところすみません!」

「できあがったて? 見せてもらおか」

「よろしくお願いします!」

「お邪魔してます」

敏春は部屋の中を見て、八郎だけでなく信作にも気づきました。
そして妻の照子の顔にも。

「なんや……」

「なんやて、なんや」

「来てたんか」

「目に入らんか? こんなかわいい奥さん」

照子にそう言い返され、敏春は雪子が泣いていると言います。
お母ちゃんに見せていると返されると、任せっぱなしだと批判するわけですが。

おっ?
なんやこの、カスの大安売り状態は。

ええ夫だと思っていた敏春から滲むカスっぷり……これもリアリティを感じますわ。

殴るとか、大酒を飲むわけではない。
子どもをダシにして、冷たいだの無責任だの、罪悪感につけ込んで妻の行動を縛る。そういう夫のカスあるあるですわ。おっとろしい作品や……。

『なつぞら』の時、イッキュウさんの優しい夫ぶりが称賛されるばかりでもなかったんですよ。

「うちの夫はこんなんやないで!」

「なつは恵まれた人生や!(※なつは戦災孤児なんですけどね)」

これに対してなのかわかりませんが、NHK大阪はこういう感じに思える。

「さいでっか。ほな、NHK東京にはなかったリアルなカス夫を見せますわ」

見せられたら、それはそれであかん。
これはじわじわ来る。

彼女の笑顔を、緋色の釉薬にして

ここで八郎は大鉢を運んできます。

見た瞬間、私も驚かされました。

真っ赤な、漆塗りのような深い色。ひと目見て、綺麗ですごいとわかる色!

「はあ、これはなかなかやわあ」

「ほんまや。こんな赤い色、珍しいんちゃう。ええ色や」

「うん、ええなあ」

「ええ色やなあ」

「ありがとうございます!」

「たいしたもんや」

その場にいた全員が、驚く程深い赤。
この色はどんな色?

それは喜美子の笑顔によって引き出された色でした――。

八郎の目にうつる笑顔はこんな深い赤。
その色を出そうと思い、陶芸の神様に祈ってできた色でした。

稼ぐ喜び

さて本日は、引っ張ってきたキスシーンがクローズアップされそうですが、どう思いますか?

そこまで甘いロマンチックさを感じないというか。
キスシーンなら『マッサン』の主人公夫妻の方が甘く見せていたと思う。随分前なので、記憶は薄れておりますが。

それより私が気になるところは、キスの途中で喜美子がアイデアを閃くところ。
そしてお金を稼いではしゃぐところ。

喜美子も、八郎も、愛情だけに生きるわけじゃない。

自分の創造性を生かす喜び。
評価されること。
そしてそれが金になること!

これやで!

創造性と誠意を発揮して、お金にする。そこを喜ぶ。

誠意があるからタダ働きを美談にするとか、中身は改善できないのに病院食にするとか、広告で売り捌くことばかり考える昨年の放送事故とか。

朝ドラと、夢のお金の関係性ってここ数年で変わってきたと思います。

以前はヒロイン無償労働すら美談扱いしていたのですが、『半分、青い。』は鈴愛のような低学歴シングルマザーが直面する搾取構造を踏み込んできた。鈴愛は律の退職金を使うことに焦りを滲ませていた。

『なつぞら』も、なつはじめ女性の労働環境を描いてきた。
マコプロは福利厚生も考えていたし、十勝農協も労働者が団結した。

商人の町でそろばん弾いとったNHK大阪が、NHK東京にここで負けるのは屈辱言うことですよ。

金銭と労務交渉の違いを見せな(アカン)。
そこを考えていると思った。

【悲報】ジョー、やはりあかんと解説されてしまう

ジョーの計画はあかんと思うんですけれども、こういうサプライズは危険だと解説されておりました。

◆‪「サプライズ好き男」はブラック彼氏の典型だ ひょっとして「隠れモラハラ」かもしれない

サプライズとは、相手の都合を無視した独りよがりなもの。「これをしたら喜ぶだろう」という価値観の押し付けとも言える行為です。相手を喜ばせたい一心でするサプライズもありますが、記念日ごとにサプライズをしたがる男性には、むしろ、「喜ばせているオレが好き」という気持ちが根底にあります。

ジョーやん!

サプライズ好きな男と恋に落ちる女性の多くは、実は彼女のように、自己主張することの少ないおとなしいタイプ。彼のすることを愛情ととらえて素直に受け入れるので、モラハラ系とは相性がいいのです。サプライズ好きな彼は、相手の立場に立ってものを考えないので、当然「彼女は喜んでいる」と思い込みます。

マツやん!

<対処法>
・サプライズに冷めた態度をしてみて、彼がどういう反応をするか見てみましょう。
・欲しいものを積極的に伝えて何が喜ぶことか教えてあげましょう。

きみちゃんやん!

「サプライズはあかん!」
そう証明するためにも、ここはなるべく派手に失敗するしかない。

期待しとるで、ジョーカス。
クリスマス前に大失敗や!

甘いだけでなく、赤く、深い色

いきなり昨年放送事故のダメ出し、してあれやけども。

喜美子の笑顔があの緋色になる。
そういうタイトルと引っ掛けたこの流れ、どうでしょうか。

主人公の名前を組み合わせた、瞬時にわかるタイトルと比較してどうですか。

そうか、そういうことかと驚かされる。
深いタイトルだと思うわけです。

あと、芸術と愛情の関係。

「芸術家には愛(性愛)が必要なんや!」ということを言い訳にして、モデルがエロマンボダンスを踊る。そのことで、画伯の色覚異常が治る。

ああいうのは、クリエイターによるセクハラ言い訳の擁護論であって、到底許されないことだと私は指摘したわけです。
医学的にもありえない。

愛や湧き上がる思いを作品にするのは素晴らしいこと。
八郎の緋色と比べれば、いかにあのエロマンボダンスがばかばかしいかわかるかと思います。

ああいう、ドラマという創作を悪用したセクハラ擁護は、到底許されない。

今年は反省していると感じます。
いやむしろ、昨年が異常でこちらが正常でしょう。

評価も、視聴率も、高く安定してきた本作。

当然といえば当然です。
王道とは本来、こういう作品のことではないでしょうか。

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

【参考】
スカーレット/公式サイト

 

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