スカーレット77話あらすじ感想(12/27)解釈は見る者の数だけある

「あっ、さとちゃん! ふんっ!」

なんでや、なんでお友達までハンドバッグ攻撃すんなん。あれか、甲賀だけに忍者の鎖鎌以来の伝統か?

「二発目いる、今の?」

思わず突っ込む信作。
なんか殴りたくなる顔なんやろなぁ。

◆連結式忍者鎖鎌 3,800円(税込)

一般的な農具の鎖鎌です。忍者が百姓に変装したのか、百姓が忍者だったのか?
鎌を振り回したりし、日常の農具を武器として使用しました。

※これは伊賀やな

はい、百合子は諭します。

「一ミリもドキドキしぃひん人と付き合うべきじゃない。来るものを拒まずやから」

シレッと最低さを説明される信作。こうしてみんなでジョーのカスを継承していかなあかん。
おっとろしいことに、この世界では大野家の男は相対的にマシに見える。オゥちゃんはともかく信作すらマシやで。

そんな信作は本音を語ります。

「男の方が好きなんちゃうかというくらい女の子苦手で……」

おぅ、せやな!
『おっさんずラブ』が当たり役だった林遣都さんに、このセリフを言わすてお前……NHK大阪、策士すぎるわ! 司馬仲達か!

一昨年と昨年は、民放やCMを意識した作りでしたけれども。

今年はちゃうで。
あのドラマ続編を降板した、そういう民放を挑発するようなえげつなさやで。怖いわ。

※林遣都さんはもらったで宣言か?

はい、百合子は突っ込みます。
女の子どころか人類全般が苦手だろうと。

信作は百合子を抱き寄せたとき、二ミリくらいドキドキしたというわけですが。百合子はこうです。

「ともちゃんと映画行くね!」

「そこ流すなっ!」

そっけないのでした。

この二人は見ていてええね。
相性がいいとは思う。信作を理解して、わけわからんところを受け流せる。過剰にドキドキしない。
林遣都さんほどのイケメンだからと、見た目でボーッとならずに、冷静にダメ出しする。

喜美子と八郎にせよ。マツとジョーにせよ。それに直子と鮫島もか。
ああいう燃え上がるようなところから結ばれるよりも、低空飛行で気がつけばくっついていた。そういうのもええかな。そこへ着地しそうで、これは見守りたくなりますわ。

そっか。
信作は、私が思っていた以上に重要な役だったんだな。あいつはボーッとしているようで鋭くて、観察眼もありそうだし。

職業適性は公務員より喫茶店オーナーやろなぁ。
コーヒー豆を分類しながらいれるとか。信楽焼コレクションを生かすとか。そういうセンスも発揮できるんやないの。

信作が無駄なところまでこだわって焙煎したコーヒー。
それを悟り切った顔で受け流す百合子。ええと思う!

御本尊・ジョージ富士川様!

さて、喜美子は結局、出掛けませんでした。

マツが、おちついてきた、遅くなってもジョージ富士川のところへ行けばよいと伝えるわけですが。

「仕事やったら我慢させるけど、実演会はちゃう」

喜美子はそう言ってしまう。
感性磨くことも陶芸家に必要やとマツは言いますが、喜美子はこう返します。

「うちは陶芸家やないから」

この燃え尽きた笑顔が悲しい。
ジョージ富士川の学校進学できなかったときは、ちや子に泣くだけのエネルギーがあったのに……。

その翌朝。
喜美子が家事をしていると、八郎が語りかけてきます。

ジョージ富士川のこと。立体作品、不思議な物体を作ったそうです。
舞台上であっちゅう間。社長もびっくりしてはった。

照子も来てたってよ。

それなのに、喜美子は行けなかった……。

巧みであるのが、ジョージ富士川の設定にもあるのです。
彼の学校に喜美子が志願していて、サイン会まで行き、それをジョーのせいで阻まれたこと。つまり、喜美子の方がジョージ富士川に近いともいえる。

これを八郎は知っているのかどうか。

ちや子がその学校を紹介した点も、気になってきますよね。

八郎は、喜美子にも会わせたかったと言います。
それで声をかけたところ、意外と気さくなお方で、話を聞いてくれたそうです。

かくして連れ出された喜美子は、戸惑ったように工房へ向かいます。

工房では、喜美子の宝物である陶器のかけらをジョージ富士川が見ておりました。

アカン方のジョージが導いて見つけたかけらを、エエ方のジョージが見ている。

照子も待ってました。

「おっ! 言うてみるもんやなあ、頼んだら引き受けてくれたで。ええから中入り。入れ入れ!」

喜美子が工房に入ると、もう仏様が降臨するような演出でジョージ富士川がおる。

サイン会で階段を降りてきたときも、オーラがあったけれども。

もう、自宅に仏様がいるような。
そういう仏教説話レベルのすごいもんが出てきた!

この場面がほんまおもろくて。

覗き込む照子は「南無阿弥陀仏……」と言いたそうに合掌しているし。

八郎は無反応、んっ? 喜美子も、目をも開いて後退り、戸に背中ぶつけますからね。

なんやこれ……昔見た、仏教アニメを思い出すわ。
いや、でも、悪くないよぉ。なんかすごいもんを感じる。

※滋賀県枠の聖人や!

嘘やん! そう突っ込みたくなるファッションセンス

なんやねん……鮫島のファッションセンスは。改めてひどいわ。

オレンジ色のセーターに、赤いズボン(※パンツでなくてここはズボンで)て。そんなん、嘘だと思いたい。

でも、衣装担当者が疲れて間違えたとか、そういうことでなくて、満を持してあれを着せたと思う。

「『なつぞら』の亜矢美。あの配色はええと思います。それはそれとして、NHK大阪の本気と違いを見せな(アカン)」

そうなんだよな。
亜矢美も派手だったけど、それとは別の何かを感じるんだよな。

大阪以外では「いや、話、作ってるでしょ?」と半笑いで流されるかもしれない。

せやけど!
実在する。全身ヒョウ柄のおばちゃんも有名になりましたけど、いるんですよね。

今では全国的に広まったというか、若干薄くなっているそうですが。
2010年代もあと少し、衝撃的なニュースはヒョウ柄購入者数で大阪府が一位転落ということですわ。

◆‪大阪の「ヒョウ柄おばちゃん」 絶滅の危機?

これも捉えようによっては、

「大阪のヒョウ柄好きが全国的になった結果、相対的に目立たなくなった」という解釈もできるらしい。

そんな怖い現象ええから。
むしろどて焼きを全国区にしよう!

※大阪だけでない。兵庫県・尼崎も「ジャージしか着ない」と言われとったな……

朝ドラの子どもは発熱しないのか?

今朝、喜美子は照子の外出に驚いていました。
四人目を産んだばかりではないか?と。

熊谷家ではお手伝いを雇ったそうです。子どもはお手伝いとお母さんに任せたそうです。そう説明されるわけですが、ここで喜美子にもこういう価値観がセットされたとわかります。

【子どもがいたら母の行動は制限されるもの】

ここで考えてみましょう。

『なつぞら』のなつや夕見子は、こういう考え方に素直に「そだね!」と言ったかどうか? 劇中でそうであったか?

このへんの比較が、視聴者の反応を含めて面白い。

『なつぞら』のとき、主人公夫妻の子・優は「熱を出さない、生身の人間ではないような設定!」と突っ込まれました。
いや、劇中で発熱していたんですけれども。

むしろミュータント疑惑が湧いてくるのは昨年の放送事故・武士の娘やろ。
有毒ガマガエルエキス爆発後始末を無傷でこなし、開復手術後に帯をきつくしめとったで。『甲賀忍法帖』の薬師寺天膳(※不死身設定)並の回復力やな。生前葬もそらできるわ。

話を『なつぞら』に戻しますと。

優が熱を出さなかったはずはない。そういうことは考えればわかる。じゃあどうして目立たなかったのか?

坂場家では、発熱に備えてケアをする仕組みを整えていたのでしょう。
ですから、劇中で子どもの発熱による挫折描写が描かれなかったともみなせるわけです。

今回の武志の発熱は、ジョージ富士川実演会と重なったからこそ、大変なこととして描かれるわけでして。
時系列が別であれば、さほど目立ちません。不幸な偶然、積み重ねゆえに描かれたと。

英語圏のジョークで、こういうのがある。

「なあ鶏よ、なんで道路渡ったんやワレ?」

※そんなんお前……

ここで、どんなアホな答えを出すかがポイントなのです。
それを笑って終わりにするだけではなくて、考え方としてもおもしろいんですよ。

鶏が道路を渡る――そのことは一種類だけれども、反応は多種多様になる。

鶏と道路は深刻ではないから、ジョークで笑っておしまいだけれども、今日の描写でも、いろいろ考えられるわけです。
前後を抜き取ってみましょか。

「信作が、女の子より男がええんちゃうかと言う。これにはどんな意図があるのか?」

→信作はそこまで人付き合いが不器用なのだ。百合子はそこを理解している。

→彼は同性愛者である。百合子がそれを踏まえて話を聞き、秘密を共有してゆく。

→彼は同性愛者医者であり、百合子もそうだ。その証拠に、百合子はともちゃんという女性と映画に行く。この会話は、二人が世間体のために偽装結婚すると示唆している。

なんやねんそれ!
深読みすぎるやろ!
そう突っ込みたくなりますわな。

でも、これはふまえておきたい。

解釈は見る者の数だけある。
描写や行動、ポーズや服装ひとつとっても、どういう意図でしているのか、考えることは大事。そして作る側も考えている。

焼いたカップに、コーヒーを入れるか、お茶を入れるか、それともペン立てにするか?
そこを作り手は指定できない。手を離れるのだから。

そういうところを考えると面倒だし、朝からしんどいけど、おもろいことは確かです。

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

【参考】
スカーレット/公式サイト

 

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