半分、青い。32話あらすじ感想(5/8)思い出すのはいつもあの味

ときは平成2年(1990年)。

岐阜県東美濃市の高校3年生・楡野鈴愛は、いよいよ卒業のときを迎えていました。

鈴愛は漫画家を目指して上京。
幼なじみの萩尾律は、東京都内の名門私立大・西北大学へと進学します。

はからずも東京を目指すことになった二人は、今後どうなるのでしょうか。

 

ツケをしっかり払い、鉄板に涙をこぼし

卒業式を抜け出し、誰もいない校舎を走り回る「梟会」の4人。
落書きを残して、写真を撮って。まさしくこれぞ青春の一ページですね。

壁に油性マジックでド派手な落書きをして、こっぴどく叱られたりした方もおられたかもしれません。

4人は「ともしび」へ向かい、最後となるダベり、そして卒業祝いをします。
ツケをしっかり払うと、今日は卒業祝いだからおごってあげるよ、とまさこさんの寛大な提案。

こういうレトロな喫茶店、きっと上京したら懐かしくなりますよ。
都会の喫茶店にはお好み焼きなんてメニュー、大抵はないのですから。

「もんじゃ焼きってあるよな。知ってる?」
そう話始めるブッチャー。
西のお好み焼き、東のもんじゃ焼きですね。関ヶ原もある岐阜県は、そのちょうど真ん中です。

ナオちゃんは、自分だけがこの町に残るのが寂しい、と泣き出します。

すると、鉄板に涙が落ちてジュッと音を立てます。

「涙が焼けるの初めて見た!」
「アホな鈴愛がおらんくなったらつまらない!」
鈴愛のアホなツッコミすら惜しくてたまらない、そんなマナちゃんです。

ブッチャーも梟会がよかったのに、と号泣。

卒業おめでとうは、嬉しいけれど、寂しい言葉です。

鈴愛ももらい泣きする中、律だけが泣きません。
心の真ん中は遠いんだろうなあ、と感じてしまう鈴愛でした。

たしかに昨日のラストで映された、川縁でのシーンとは違うんですよね。
あの時の律は、無防備な感じがありました。

 

やっぱり草太は優しいなぁ

荷造りが終わり、ガランとした部屋で鈴愛が寝転がっていると、草太がやってきます。

「忘れ物あれば、送るよ」
「優しいやん」
「いつもだろ」

その通りです。
草太はぐるぐる定規を姉に買ってあげた頃から、優しい弟でした。

「最後にいいこと言おうと思ったけど、思いつかん。優しいからってなんでもかんでも譲るなよ」
「最後なんて何言ってんだよ。たまには電話よこせよ」
「おっ、シスコン?」
「そうじゃなくて、お母ちゃんに」
「うん、お母ちゃんをよろしくな」
「合点だ」

やっぱりいい弟だなあ。
家族らしい親密さがある会話です。

 

宇太郎自作の本棚にいつか鈴愛のコミックが

宇太郎も本棚を組み立てておりまして。
ベッドは送料がかかるから送らないという鈴愛も、本棚は持っていくそうです。

一部だけ青いペンキで塗ってあるのが、この作品らしい味を出しています。

「ここには鈴愛のコミックスを出たら置く。食堂にも置くからな」
「気が早いよ」
と、娘に期待をかけながらも、あかんと思ったらいつだって帰っていいよ、と語る宇太郎。
『ふるさと』をアレンジしたBGMがさりげなく流れています。

童謡のアレンジが静かに流れる演出は、『あまちゃん』でもありました。

あちらは岩手出身の宮沢賢治が作詞した『星めぐりの歌』のピアノアレンジバージョンが使われていて、印象深かったことを思い出します。
BGMっていうのは、ハッと気づいた時、登場人物の信条に寄り添うように、過剰にならずに響いている、そういうのがよいのでありまして。

「はい! ここはよい場面です、感動しましょう!!」
と言わんばかりに、大音量でドラマチックな音楽がドーンと鳴り出すのは、かえって興醒めなんですよ。レビューなので何度も比較してしまいますが、前作『わろてんか』はそういう演出ばかりでした。

 

見送りの晩餐はすき焼きでした

その晩は、飛騨牛のすき焼きです。
奮発したすき焼きで、どこの国産牛を使うのか。

これは地域差ですよね。
その地域で最も近い高級牛ブランドになるはずです。

関西ならば神戸牛、但馬牛。
東北なら米沢牛あたりかな。

そして岐阜県ならば、なんといってもこの飛騨牛でしょう(飛騨牛サイト)。

草太は器用に卵の黄身と白身を分け、白身をメレンゲ状に泡だてます。

鈴愛がボーッとしているかわりに、草太が気を利かせるようになった、そんな姉弟なのかな。
自然と気遣いできる草太は、こりゃ女の子にモテますわな。

仙吉は卵を今日の主役である鈴愛に譲ります。

家族全員が鈴愛に気を使っていて、キュン……。

「おいしい! おいしい!」
そう言いながら無邪気に飛騨牛を頬張る鈴愛もかわいらしい。
家族の思い出が積み重ねられてゆきます。

 

「明日からはしばらく納豆かなあ」

萩尾家では、律が「梟会」の写真を見つめています。

萩尾家には、晴が来ていました。
商店街を散歩するうちに、落ち着かなくなって、和子に会いに来たそうです。

「律くんが東京にいれば安心。律くん、うちの鈴愛をどうかお願いします」
「俺にできることならば、何でもします」
そう誓う律でした。

寝室の楡野夫妻は、明日からいなくなる娘のことを心配しています。

「犬でも飼うか」
そう提案する宇太郎。
娘のいない寂しさをペットで補いたいと。それからしみじみと言います。

「すき焼きうまかったなあ、明日からはしばらく納豆かなあ」
奮発したんですねえ、飛騨牛ですもんねえ。

一方、鈴愛は、天井の龍に見えるシミを見ています。

そして、
「怖い夢をみた」
と晴の寝室に行くのでした。

本当に夢を見たのか、ただの言い訳か、わかりません。
こうして楡野家が全員揃う最後の夜が更けてゆきます。

 

今日のマトメ「故郷を離れても 仲間や家族と別れても」

律との絆に続き、今日は家族との絆です。

昨日ラストシーンで律の心の真ん中はぐっと近づきましたが、今日はまた距離が空いています。
鈴愛だけに見せているということに、いつ気付くのか。
ドキドキしますね。

五平餅、お好み焼き、そして飛騨牛のすき焼き。
美味しくて印象的な食事場面が多いということに私は気付かされました。

食べる場面が美味しそうに見えるというのは、結構難しいと思うんですよ。

リアクション、演出、そういった様々なシチュエーションが噛み合わないと、ただ単にゴハン食べましたねぇ、で終わってしまう。
思い出の食卓にはならないのです。
その点、本作はバッチリ。

味も香りも伝わらないテレビですから、あとは見せ方です。
食べ物を美味しく撮影する技術もありますし、準備するスタッフさんも頑張っているでしょう。

それでもやはり、一番美味しく見せてくれるのは、脚本と演技のはずです。

「ともしび」のお好み焼きと飛騨牛のすき焼きは、どちらも美味しそうです。

この先、故郷を離れても。
仲間や家族と別れても。

思い出すのはいつもあの味……って、なんでしょう、考えただけで胸が詰まりそうです。

著:武者震之助
絵:小久ヒロ

【参考】
NHK公式サイト

 

3 Comments

roko

今回はどれも文字の重複だったかな

>「最後にいいこと言おうとお思ったけど、思いつかん。優しいからってなんでもかんでも譲るなよ」

>ベッドは送料がかかるから送らないという鈴愛も、本棚は持っていくうそうです。

>「はい! ここはよい場面です、感動しましょう!!」
と言わんばかりに、大音量でドラマチックな音楽がドーンと鳴り出すのは、かかえって興醒めなんですよ。

管理人

>匿名様
差し出がましいだなんて、とんでもないです、ご指摘ありがとうございます!
修正させていただきました。
今後もご愛顧よろしくお願いしますm(_ _)m

匿名

差し出がましいようですが

>卒業式を抜け出し、誰もいない”後者”を走り回る「梟会」の4人。
後者→校舎
の変換間違いですよね?

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