半分、青い。83話 感想あらすじ視聴率(7/6)ドロップアウトした人たち

1999年(平成11年)。
経済の疲弊とともに日本が衰退している、底の見えない氷河期。

28にして漫画家としての道を捨てた楡野鈴愛は、100均「大納言」でアルバイト生活に突入しました。
時給750円で、フルタイム勤務でも12万円しか稼げない、貧困まっしぐらです。

この生活を抜け出すためには結婚か、ロマンスか。
親友ユーコの紹介してくれるイケメンセレブとのお見合いに意欲を見せる鈴愛です。

しかし、誰かと出会い恋して結婚する道も忘れられません。
そんな彼女の前に、クズ臭が漂うイケメン・森山涼次が登場して……。

【83話の視聴率は20.8%でした】

 

スポンサーリンク

ロケット? ラケット?

「ソケットありますか?」
涼次からそう尋ねられても、ロケットか、ラケットか、ピンとこない鈴愛です。
接客業としてイマイチな態度ですが、まぁ、マニュアルの厳しそうなチェーン店でもないですし、そもそも社会人経験が少ないですから……。

と、書いていて、ふと引っかかったんですけど【社会人】って言葉は何なんですかね。
会社で働いてお金を稼いだ人だけが社会を構成しているわけでもない――とか言うと青臭いと思われますかね。

ソケットとは電球を取り付ける部分だね、という話になるのですが、肝心の田辺も把握しきれておりません。

そこで突然、年配女性の常連客が登場です。東雲さんといいます。
ここは私の庭、デイサービスとペラペラ喋り出すマイペースな方。しかも田辺を「店番しているモアイ像」と呼んでいます。

更には涼次の顔を見て、歌舞伎役者のようないい男と褒め始めます。
この年代だとそういう言い方する方おりますよね。顔が濃いって言われます、と謙遜する涼次。本作って結構役者さんの容姿いじりを大胆にしますね。

 

スポンサーリンク

年収3千万円の外資系金融マンとデート

一方、岐阜では。
秋風ハウスに送った娘宛の手紙が、転居先不明で転送されてきてしまったと晴が訝しんでいます。

不安そうな晴と宇太郎に、一人だけ事情を知る仙吉は、もう28だし携帯も通じるんだし、いいじゃないかと諭します。それでかえって晴に「何か知って隠しているのでは」と怪しまれるのですが。

さて鈴愛は、年収3千万円の外資系金融マンとのデートに挑むことに。

それにしても本作、衣装センスがいつ見てもすごい。はっきりいってダサいし、この時代に黒髪ストレートで28才、ナチュラルメークという時点でなんか不思議ちゃんなのです。

永野芽郁さんは可愛いです。鈴愛だって、かわいい。
ただ、規格外の美形なんですよね。

時代の流行とか、型にはまった綺麗な女性ではまったくありません。
このあたり、田舎っぽいけど洗練されていったナオちゃん、それと序盤のボディコンお姉さんあたりと比較するとよりわかるかと思います。

いくら魅力的でも、世間の考える型から外れたら、その魅力をまったく評価してもらえなくなる。
鈴愛って、そういう型から外れた人間の悲哀があります。

 

スポンサーリンク

チャラくてダメだ 店員をキミ呼ばわりも気に入らん

翌日、暗い顔をした鈴愛。
デート相手がとっぽい、チャラいため、嫌悪感が募ったそうです。
デートで店員を「キミ」呼ばわりする。ローマの話をしてアマトチャリーナについて語るのも嫌!

確かに釣り合わない。
ダメじゃんユーコ、人柄選んで紹介しないと!

「シャギーでエアリーな……」
「エアリー?」
「それだとリアリーの発音です。語尾、下がります」

田辺とそんなふうに話す鈴愛。確かに回想シーンで出てくるだけでうざかったすわ~。
なんでもそいつはカリスマ美容師に、二ヶ月待ってカットしてもらったそうです。

当時はカリスマ美容師、カリスマ販売員、カリスマ植木屋、カリスマ蕎麦職人まで、猫も杓子もカリスマだったとか。
うーん、この二極化格差社会。
バブルの残り香にひたる連中と、鈴愛のようなワーキングプアと、二極化ですね。

ありえない、嫌悪感しかないのに、もらってもらえるなら誰でもいい、と弱気な鈴愛。普通に暗かったと謝ります。
結構ネガティブな部分もありますよね、鈴愛は。このへんの鈴愛のどん詰まりっぷりが痛々しい。

女性の給料がなぜ男性より低いか?
というと、いずれ結婚して養われるから、っていう理屈が出てきますよね。男性だと、家事能力。

結婚相談所のバナーでも、
「そろそろ誰かが俺のメシを作って欲しいな、って」
みたいな宣伝あるわけです。

しかし、どう思いますか。こんなふうに経済的に追い詰められて、助かりたいためだけに結婚する。あるいは飯炊き要員目当てで結婚する。それって、ほんとうに幸せなのでしょうか?

こんないびつな構造をなくして、本当に一緒にいたい人と結婚できる社会の方が、幸せではありませんか?

 

「なんでこんな使えなさそうなのいれるの?」

鈴愛は、大量入荷したものをみてピクニック用品かと思います。
レジャーシートとか、バランですね。このあたりも鈴愛だからこそで、子持ちのユーコならば、ピンときたかも。

運動会用品なんですね。
田辺とバラン論議(鈴愛はパランと言いましたが、バランです)をしたりしています。鉢巻なんかもあるそうです。

品揃えにも時代を感じますね。鈴愛世代なら、鉢巻なんて学校へしていかなかったんじゃないかな。

見える場所に運動会用品を置くように指示する田辺。
そこへひとりの女性が入ってきます。

「いらっしゃいませ」
「オーナーよ」

彼女は藤原麦。赤いそうめんを独占していたあの人、三姉妹の真ん中です。

鈴愛に不満を抱いている麦に、みっちゃん(三姉妹長女)にいわれて入れたバイトだと説明する田辺。

「なんでこんな使えなさそうなのいれるの?」

田辺は、この店が閑散としているのは大型店のダイキャン(ダイソー+キャンドゥですな)ができたせいもあるかもしれないけれど、自分の顔が怖いからかもと言います。それを緩和するために鈴愛が雇われたのだ、と。
ここで「(店が)流行らない」というのを、「人影がまばら」と言い直すあたりおもしろいですね。

「確かにシマエナガに似ているかも」
帽子にも野鳥オブジェをたくさんつけた麦は、鈴愛を見てそう言います。

彼女はバードウォッチャーでした。本作って我が道をゆく濃い女性の宝庫ですね。ピンクハウスのひしもっちゃんとか。

 

我が道を進み、後悔なんてしていない女性たち

あまりに出来のよい野鳥オブジェを見て、「鳴いたりするんですか?」と間抜けな質問をする鈴愛。
麦は呆れながらも、これは姉がお誕生日にくれたもの、いくつのお誕生日か聞かないでね、と答えます。

麦もそうかー。
ひしもっちゃんもそうなんですけど、本作のこの手の独自のセンスを持ち、折れない女性って、年齢不詳なんですよね。
ハッキリしていたのは、還暦を祝うキミカ先生くらいか。

ここも本作のユニークさですけれども、キミカ先生を筆頭に、結婚して子供を産んで生きている女性以外がわりと多いんですよね。

そういうタイプの女性は、他の作品でも出てこなかっただけではありません。
ただ、ここまで平然として【我が道を進み、後悔なんかしていない】とキッパリしているのはなかなかおもしろいと思うんですよ。鈴愛も将来そうなる?

ちなみに麦の姉である光江は、どんどん生徒数が減少する帽子教室を運営しているのだとか。

ここで鈴愛、私の名前はスズメですとアピール。
麦は、スズメはほっぺが黒い、1960年代から激減しているとか、あまりありがたくないトリビアを披露します。

そして、とってつけたように命は皆尊いと言われてもなー。鈴愛もこんなんがオーナーだったら困るわ。

そこから麦は、カイツブリを見に行くと立ち去ることにし、運動会グッズを目玉として売るように展示してと指示。野鳥コーナーは聖域だから荒らすなと言い残し、立ち去るのでした。

 

モアイ像って、きみもそれ言うか!

鈴愛がわびしい自宅で風呂からあがると、田辺から携帯に着信があります。

「モアイ像か」
そうつぶやく鈴愛。モアイ像って、きみもそれ言うか!

さて、鈴愛は貧乏です。
わかっていない人が言いたがる言葉として、
「貧乏なら携帯を持つな!」
「着の身着のままの難民のくせにスマホを持っている!」
という理屈があるんですけど、それはおかしい。

貧しかろうが人と繋がるためにこうしたものは必須です。
世代が上ですと、若い頃にはなかった携帯やスマホが贅沢品に思えるのでしょうが、これらは贅沢品ではなくむしろ生活必需品です。

その証拠に最近は固定電話のない家庭も珍しくないのでは?
単にツールの移り変わりということですね。

 

電気代を浮かすため店の事務所で酒を飲む

さて、田辺の要件は。
【明日から助っ人でバイトが入る】というものでした。

ここで上機嫌の田辺、みっちゃんこと光江らオーナー三姉妹について説明します。親から相続でもしたのでしょうか。みっちゃんとは同じ小学校だったそうです。おさげがかわいらしかったとか。

「酔ってますか? しかもお店でしょ、電気代浮かせるために」
わー。わー。コミカルだけどきっつー。
きっと飲んでいるのはワンカップとか、紙パックの焼酎でしょ。今ならストロングゼロあたりだろうけど……と思ったら、実際ワンカップが置かれてましたね。

時給750円の鈴愛に対して、田辺だってお金があるとは到底思えない。
しかもこの年齢で、小学校同級生に温情で拾ってもらっている。

金があるわけないし、独身か離婚済みでしょう。
もしかして役者を目指してて諦めた過去があるとか?
あるいは大手企業を退職してラーメン店を起業して失敗したとか?

いずれにせよ、家には誰も待っていない生活でしょう。
そんな、シレッと毒&リアリティを含んだ、平成の貧困を盛り込む。
やっぱ、すっげえやこの朝ドラ!

田辺からの電話を切り、翌朝、出勤した鈴愛。そこにいたのは、濃いイケメンの涼次です。

「ソケットの人……」
これは恋の予感?

 

今日のマトメ「そいつと恋に落ちたらダメだからな!」

わーだめだっ、鈴愛、そいつと恋に落ちたらダメだってぇええええ!

間宮祥太朗さんですし、とてもチャーミングな男性だろうとは思います。
穏やかな雰囲気、カルボナーラを作れる素養からして性格も悪くないでしょう。

でもこの人はね、絶対に生活力も金もないし、結婚不向きだし、おまけにめんどくさい芸術家肌の監督に可愛がられています。
ぐちゃぐちゃにもめて、でも監督を裏切れない!とか言い出す男で、そのうち視聴者の怒りと憎しみを買っちゃうタイプですよ。悪人ではないけれど。

それにしても、鈴愛の周辺に落ちてくる恋愛チャンスのグレードがどんどんじりじりと落ちてゆく――実に苦い、そして意地悪、なんとも言葉が出てきません。

生まれた日に出会った萩尾律は永遠のトップだとして。
朝井正人も、若干問題ありとはいえ、たぶん涼次よりはマシってことになりそうです。
金融マンは問題外(※編集さんによると、年収3,000万でも外資ではフロントのトッププレイヤーではない、でも現実はモテモテ、切ない><;とのことです)。

女性が婚期を逃すと、高望みしただの選り好みしただの言われますけれど、そういうことじゃなくて鈴愛のようにタイミングが悪いだけの人もいますよね。

100均編になってから、鈴愛をはじめとして、
「悪人ではないが、人生のきっかけで失敗して、ドロップアウトした人々」
にスポットが当たりそう。

意地が悪いようで、でも心根はあたたかくて、革命的な朝ドラ。
それが折り返し地点を過ぎた本作になると信じています。

◆著者の連載が一冊の電子書籍となりました!ご覧いただければ幸いです!

この歴史映画が熱い!正統派からトンデモ作品まで歴史マニアの徹底レビュー

著:武者震之助
絵:小久ヒロ

スポンサーリンク

【参考】
NHK公式サイト

 

7 Comments

匿名

涼次はまだクズ男というよりはダメ男で、今のところ一番描写として正しいのはアホの子?
クズっていうと、ひしもっちゃんを弄んで保身のために捨てた、不倫上司辺りが的確かと。
アホを経て正式にダメ男を襲名するかもしれませんが、クズにはならないでほしい!

世代。

鈴愛が「もらってくれるなら誰でもいい」と言ってたシーンで、100均内でかかってる有線がモーニング娘。のLOVEマシーンって…!よく聞き取れなかったけど「あんたにゃ♪もったいない♪」の部分じゃないですか?!どっちなんだ本心?!?!笑

校正委員

家電は 家庭電化製品。 家電(いえでん)は最近の言葉でしょうか?

固定電話なら誤解がないと思います。

なつ

アマトチャリーナ→アマトリチャーナ
他の作品でも出てこなかっただけではありません→出てこなかったわけではありません

…かな?

ばかちんのはは

毎度、失礼します。moon 様に引き続き、気になった個所を。

>品揃えにも時代を感じますね。鈴愛世代なら、鉢巻なんて学校していしかなかったんじゃないかな。

「指定」の漢字でしょうか?それとも…?

どれも、武者様の思う通りに修正されるのが一番ですね。

いつもこのサイトで助かってます。ありがとうございます。

moon

間違いを見つけました。
「鈴愛がわびしい自宅で風呂からあがると」
鈴愛のアパートはお風呂は無いので、「銭湯から帰ると」が正しいのでは?と思います。

あと「家電」は「かでん」と読んでしまいます。「いえ電(イエ電?)」かな?
日本語は難しいですね…。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA