半分、青い。113話 感想あらすじ視聴率(8/10)天下とったる

残念イケメンの監督志願者・涼次との結婚生活が破綻し、故郷の岐阜県に子持ちで戻ったヒロイン鈴愛。

草太のカツ丼が大ヒットだから、実家の食堂を手伝えばいっか♪
なんて油断していた鈴愛ですが、既に食堂の人手は充実しておりました。

そんな鈴愛に、再会の喜びが訪れます。
秋風塾でしのぎを削ったユーコと、ボクテがやって来たのです。

しかし泥酔したボクテは、夏虫駅でのプロポーズ秘話をブチまけ……。

【113話の視聴率は21.5%でした】

 

スポンサーリンク

嘘と本当 どう言えばいんだろう?

朝、爽やかな星野源さんの声を聞いていると、時折、身震いすら感じます。

おかしい……のです。
朝ドラのテーマは、無条件に明るい気持ちで食欲を増進するはず。

ところが本作は、シビアな謀略が飛び交う大河ドラマのオープニングを見ている時と同じような気持ちにすら、なってしまう。

今朝もつらい。ボクテの暴露により、家族目前で公開処刑される鈴愛からスタート。

「えっと、本当か嘘か言われたら、嘘と本当。どう言えばいんだろう?」

思った事をそのまま口に出してしまう鈴愛。
そう、彼女は公開処刑によって、律に夏虫駅の真相を告げる寸前にまで追い詰められておりました。

ほんと今年は、朝ドラと大河主人公の辛さが逆転しているってば!

しかも、律。
「ごめん、既婚者だから鈴愛の気持ちに応えられない」
とまで言ってのけます。

しかし、ここでの家族の反応が爆笑ものなのでいいんですよね~。

 

スポンサーリンク

すでに律は夏虫の話を知っていた!?

仙吉は、当事者の2人だけにしようと言うのに、草太は聞きたいと前のめり。
カンちゃんの寝姿も、鈴愛は「狸寝入り疑惑」を投げかけます。

カンちゃんって、朝ドラでは久々の、本物の子供だと思います。

これまでの子供って、どちらかというと「愛から生まれて来た天使みたいな存在」で、それが思春期になると「働く母親を罵倒するデビル」に進化します。
ところが本作では、嘘だの狸寝入りだの母親に言わせ、とても朝ドラ定番の子供像とは言えない。そこで許せない人と、面白いキャラだなぁと笑って見る人に分かれるのかもしれません。

夏虫駅の真相、鈴愛が口走った「無理」という言葉の真意について、律は既にナオちゃんから聞いていたそうです。

鈴愛の口の軽さならありえると周囲も納得。
開始数分で、ヒロインの心情を暴れ馬が踏んづける展開にしびれます。美味しい!

鈴愛はここで、夏虫のことを断り、漫画家を辞めて、100均でバイトして(時給750円)、涼次と結婚し、花野も授かったと言い、そこに宇太郎も、芸能人の司会者っぽく合いの手のツッコミを入れます。

このあたりのステップも、朝ドラヒロインにあるまじき話なんですよね。

典型的朝ドラヒロインは、開始数週後に出会った相手と結婚して、夫の事業を手伝い、子育てをして、週ごとに着実に階段を上る。
ところが、クズ涼次との結婚&出産は、階段のステップを踏むどころか奈落の底へと突き落とされ、平成を生きる女の迷走となってしまう。

 

スポンサーリンク

これは家族の前で起こる公開処刑では

ここで律が、夏虫のことを聞いたのは結婚後だ、だからハッキリ言っておきたい、と切りだします。

「ともしび」で、見つめる鈴愛から「律を支えたい」と言われ、実はドキリとしていた律。
けれど、自分はあくまで結婚をしていると。

田辺店長もしびれていた失楽園ブームには乗らない男、それが萩尾律です。

そこで鈴愛、それは妻や恋人としてではなく、親友としてご近所さんとして支えたいのだと言います。
まぁ、そうだよなとは思っていたけれども、律もドキリとしてはいたんですね。そういうのとは違うから謝らなくていい、とは確認したかったわけ。

しかし鈴愛、ここで気づきます。

これは家族の前で起こる公開処刑ではないか?と。

恨むなら暴露を始めたボクテですが、どうせ酔っ払って忘れたはずと呆れております。
いやあ、酔って爆睡のボクテ、グッジョブだぞ!

 

何かがあったから岐阜に来たのでは?

ユーコは眠れないのか、夜の食堂で佇んでいました。
そこに現れた鈴愛が、ビールを取り出し、ちょっと飲もうと誘います。

朝ドラヒロインって、自発的にそんなに飲酒しませんよね。
しかも家族に内緒ではしない。

でもいいんです、これは平成を生きる女の物語。酒ぐらい飲むっちゅーねん。

ユーコは、鈴愛と律の今も続くナチュラルにじんと来た、とフォローします。

と、そんな彼女を見て、実は何かがあったからこそ岐阜まで来たのでは?と鈴愛は見抜きます。
それでこそ親友ですね。

そう、ユーコは自信を喪失したのです。

看護学校に通っていたユーコ。
若い同級生ばかりだろうが、意志が強くて賢い彼女は、簡単なことでは挫けなかったのでしょう。

しかし、現場に出て、実際に世話してへこたれたのです。

自分は所詮、お嬢様だったし、秋風先生にも守られていたのだと。

「白衣の天使は、夢だけじゃ駄目。心折れそうになった」

 

理不尽な現実に出くわし、心が折れそうなんだろう

このやりとりで、ユーコの出くわした苦難の中身が想像できます。

女性看護士へのセクハラ。
ユーコのようなハッキリと意見を言う女性に対する、世間からの「生意気」という反発。
周囲の人たちが、どれだけきつくユーコに当たるのか、なんとなく想像がつきます。

お嬢様と自虐する彼女の家庭や教育環境では、意見を言えば褒められたかもしれません。そういえば女子校出身でしたね。

女子校では、意見をはっきり言おうと、先生も同級生も、
「女のくせに生意気!」
なんてことは言いませんからね。

専門知識があろうが、自分の意見があろうが、看護士のようなケアワーカーの女性は、
「俺の世話をする女」
になってしまう。
自分の嫁に対するような気持ちになる患者だって、そりゃいますよ。

そしてユーコにとってそんな扱いは、理不尽そのものなのでしょう。
世話をする女には感謝どころか、侮蔑してもよいものと感じている人は、悲しいけれどいるのが現実です。

あぁ、やっぱり本作って、平成女性の直面する痛みから逃げませんよね。

 

一緒にネームを作った鈴愛だからこそ会いたくなる

鈴愛たち1971年生まれって、
「これからは男女ともに夢を持ち、働け」
という教育……というか社会の風潮を受けて育っているはずです。

でも、平成という時代は、女という首輪を外すことはありません。

どうせ結婚してあがりだろ?
出産育児で仕事を辞めるくせに、女ごときが出しゃばるなと言いにくる。

そういう二重の価値観の中に、ユーコは飛び込んでしまったのでしょう。
ユーコは、朝ドラの人物ながら、朝ドラの人物ではないかも。まぁ、それは鈴愛もだけど。

成功した女性の一代記を扱う、フツーの朝ドラでは、登場人物がセクハラされたり、生意気だと却下されなんてことはない。
女将になったヒロインがキリリとした顔で何かを言えば、周囲は笑顔で受け止めます。そういうもんや、と言い始めるものです。

それってファンタジーですよね。
朝食を食べながら見るぶんにはちょうど良いかもしれませんが、決して心を抉りませんし、揺さぶりもしない。
鈴愛やユーコの直面する現実は、そういう補正がないから辛いのです。

苦しんでいたユーコは、かつて【一緒にネームを作った】鈴愛に会いたくなったのです。
鈴愛に会えば、何度でも生まれる、そう言い切れる強さに触れられる――そう思ったのでした。

確かにそういうパワー、ありますよね。
律の夢であるロボットだって、七夕の短冊から導かれてますもんね。

今度も鈴愛はユーコを励まし、本物の看護士になったら仙台まで会いに行くぞ、と宣言します。

鈴愛の笑顔が見たかった、とユーコ。
わかります。鈴愛の笑顔にはパワーがある。

 

「決めたことがある。人には使われん。社長になる」

翌日、鈴愛は、五平餅を作らないのか、と仙吉に問いかけます。
草太のカツ丼が売り物だからもういいや、という返事。

ここで、ブッチャーの登場です。

オレは地元の名士や、お前に仕事を探してやった。自慢顔で、このプチ天下人感よ。いきおい鈴愛は、ビールをお酌する流れに。

律もやって来てビールを頼むと、社員10名を抱えているというブッチャーは、その中に「鈴愛を加えてもよい、うちで雇ってもいい」と語り出します。
完全に殿様ですわ。調子のっとる。
しかし……。

「それには及ばん。ブッチャーに使われるくらいなら、物乞いでもする」
と即答し、晴にも呆れられます。

でも、このちょっと時代劇っぽい台詞がいいよね!
物乞いでもするとまで言い切るって、やっぱり、そういうところが好きなんです。

まぁ、SNSではどうせ、
「朝ドラヒロインのくせに言葉遣いがひどい」とかあーだこーだ意見も出るんでしょうけど、そんなもんこの際、放置でオーケー。これが楡野鈴愛話法なんだ!

そして突然、宣言をします。

「決めたことがある。人には使われん。社長になる」

来ました来ました、続けざまの鈴愛話法で、ドカンと宣言!
どん底から天下を目指すような、野心満々っぷりです。

大河ドラマなら「ブオオオーッ」と出陣前の角笛が鳴る場面でしょう。

 

今日のマトメ「天下とったる」

本作のビジュアルを見ていて気づいたことがあります。

鈴愛、そんなに笑っていない。
しかも笑顔の場面でも、片手を伸ばしていたり、立ったままこちらを不敵に見ていたり、「周囲に好かれたい系のもの」ではないのです。

一般的な朝ドラヒロインは、とかくスマイルフルです。
私は明るくて優しい女。
そんなアピールが漂うのですが、例えば大阪制作の立志伝系ヒロインの伝記をめくると、実在のモデルはそこまでニコニコしていないイメージなのです。

むしろ、
・商売で天下とったる!
・ナメたらぶっとばす!
そんな目つきでこちらを見ていることすらあります。

つまり、笑顔で誰からも好かれたいアピールって、朝ドラヒロインルールなんです。
出勤前、朝食を食べる皆様へのアピールかもしれませんね。

そういうのを、鈴愛はしない。
あくまで自分の人生を生きています。

今日は前半→公開処刑、後半→野心満々でしたが、どちらの展開でも鈴愛の役割はありました。
これが実に、私の考える岐阜県民らしさもあります。

岐阜というのは、天下争いの場所です。
戦国マニアなら、岐阜の地名を見ているだけでニヤついてしまうほど。

豊臣秀吉の大坂、徳川家康の江戸は、天下を獲ったあとの話でした。
しかし織田信長の岐阜は、今まさに天下取りに名乗りを挙げる――そんなイメージです。

岐阜在住の方は、どうせ電車一本で名古屋なんだから、そんな控え目なところがありながら、反面、自分が何かを世に出すときは「天下をとどろかせる革新的なものを作りたい」という野心もある。

鈴愛も、律も、そういう性格を感じるのです。

そんな鈴愛の、岐阜県民っぽさは今日の回でも発揮。
岐阜城(金華山)のある国で育った鈴愛は、朝ドラヒロインらしからぬほど天下取りに手を伸ばす女なのだとハッキリわかりました。

恋愛や不倫に伸びていきそうな話を止めようとする律。
でも、鈴愛のビジョンはもっと広い。

男女だからズレもあるかもしれないけど、律もユーコと同じで、こいつの笑顔は私に戦う勇気をくれると割り切るのもアリだと思いました。

律にとっても、ユーコにとっても、鈴愛の存在は、このどうにもならない天下と戦うとき、勇気づけてくれる。
そんな武将みたいな存在なのかもしれません。

そしてその鈴愛本人が、実は天下を獲りに行くのだというのですから痛快じゃないですか。

いい!
これぞ本来の朝ドラヒロインのはず。事業でトップクラスになる女が、「皆さんに好かれることが目標です!」なんて話はどこか嘘くささがあるでしょ。

その点鈴愛は、自分が女戦士であることを(本人の意識とは関係なく)隠しません。
台詞も強いし、羽織や仙吉、ユーコやボクテも、彼女を戦士として扱い、そこに敬意を払っています。

女だから笑顔あってこそ、とか。
ヒロインが笑顔で提案すれば、あっさり通る、とか。
野心よりも家族や社員を愛していた感情が強い、とか。

朝ドラという「朝食のお伴フォーマット」のドラマは、かようにヒロインを理想化し、女が戦うこともありだということを置いてきぼりにしてきた。

しかし、現実では、女だろうと野心を抱いて戦う。
それこそ、平成の今では求められていることでもあると思うのです。

結婚して母になれば一丁上がりという時代に終わりを告げる。
本作のヒロインたちを応援したくなるのは、平成を戦う、その姿の強さゆえではないでしょうか。

◆著者の連載が一冊の電子書籍となりました。
ご覧いただければ幸いです。

この歴史映画が熱い!正統派からトンデモ作品まで歴史マニアの徹底レビュー

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

スポンサーリンク

【参考】
NHK公式サイト

 

4 Comments

songubook

読ませていただきました。ありがとうございます。作品への味わいが深まった思いです。ただ一つだけ。
鈴愛の故郷東濃は、織田と武田が最もし烈に争ったところ。戦がいつまでも続き、地域はめまぐるしく織田の土地になったり武田の土地になったり。裏切りと殺戮の中で人々は振り回されっぱなしだったと言います。岩村の、悲劇の女城主の話も有名です。城主でありながら、決して幸せではない、怒涛の人生だったと。
これ、まさに鈴愛なのではないかと思えてしまうのです。また、その恋愛スタイルは、帰蝶さま(濃姫)と光秀のようでさえあります。

さっちゃん

今日もありがとうございます!!

結婚して母になれば一丁あがり!の人生は確かに実際のところ少なくなってきていると思います。
私自身も今、その先の人生に手を伸ばしたい、また新しく「生まれたい」と思ってもがいているところです。
だから、応援したい。
そして、ブッチャーに雇われるとなると、これまでのような関係ではいられなくなりますしね~。
律やユーコとの今後も楽しみで仕方ないです

鈴愛と律の関係、うっかり不倫に傾いたり、そう誤解されかねない関係ではありますが、こうして公開処刑されたことで、改めてオープンで家族公認の幼なじみになったような気もしています。

ほんと、どうなっていくのか、楽しみで仕方ないです(笑)

いししのしし

「朝食のお伴フォーマット」は良かったです。今再放送中の「マッサン」は、あーまたグダグダやってるなーと、音だけ聞いているのですが、「半分、青い。」が始まると、TVの前に静座して観てしまうのですね。鈴愛や律の表情を見逃してなるものか、という風に。全く稀有な「朝ドラ」です。
社長になる、良く言った、鈴愛よ、娘のように見守っとるよ。のし上がれ!武将や出身地に絡めた今日のレビューも秀逸でした。完全復活ですね。

小原正靖

昨夜のハゲタカ 岐阜出身綾野剛主演 ファンドの日本法人社長クビになるが新会社設立 今日の感想のように天下取り えさを与えられるイヌニハナラズ自分でえさをとるハゲタカです と決め台詞
鈴愛は藤野英人氏いうところのトラリーマンになるか ユーコがなぜ看護士目指すのか訳が知りたい

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA