半分、青い。128話 感想あらすじ視聴率(8/28)より子に憐憫の情もある

離婚後、岐阜の実家に出戻り、「センキチカフェ」で五平餅を焼く楡野鈴愛、37歳。
音声で会話をするマスコット犬「岐阜犬」も好評でした。

そんな鈴愛の娘・花野が夢を抱きます。
浅田真央選手に憧れ、フィギュアスケートを習いたいと言うのです。

とはいえ、岐阜の田舎町から名古屋・大須のリンクまではあまりに遠い。どうにかならないか?
と、そこで現れたのが、広告業界人の津曲(つまがり)でした。

【128話の視聴率は22.8%でした】

 

全然手短じゃない津曲の自慢トーク

再登場の津曲に、鈴愛が「あれ、どこかでお会いしたことが」と言葉にします。

「鈴愛、ナンパ? 逆ナン?」
と、全くかみ合わないツッコミを入れるブッチャー。このギクシャクな茶々が面白いんですよね~。

津曲は、「手短に済ませましょう。一旦会ったことありますよ、企画会社の者です」と自己紹介。
聞けば“ひめっち”というゲームも開発したんだとか。ポケットサイズの携帯端末でお姫様を育成する――という、どっかで見たような育成ゲームにギャルゲーを組み合わせたようなものです。

「卵を姫にしただけのパクリ?」
ナオちゃんがすかさずぶった斬ります。

そうそう、こういうのって、実在したものをパクったドラマ設定か、それとも純粋なパクリか判断しづらいのです。
そこをズバッとパクリだと指摘、ありがたい!

ここで津曲、自身の会社【ヒットエンドラン】の説明をウダウダと始め、電博報堂にいたと自慢。エリート広告業界人だけど、会社の歯車にはまったままでは嫌だから起業したぜ的なことを言い出します。

あの……手短に済ませるって言ったのって、あなたですよね?
と突っ込みたくなる、自分語りの長いウザ業界人ですわー。

 

カツ丼は……味が薄かったなぁ、と

もうウザくてたまらないのでしょう。
用事があるからと立ち去ろうとする律を引き留める鈴愛。そんな二人を見て、「ご夫婦ですか?」と津曲が尋ねます。

辛抱たまらず、律は、単刀直入にズバッと用件を聞きます。

ここで津曲、岐阜に来たのは二度目とペラペラ。
一度は、「カツ丼フェス」の下見だったそうです。ネットで評判高い草太のカツ丼を偵察に来たわけです。しかし、少し味が薄かったそうで。

「東北の人ですか?」
「いえ、熊本です」

鈴愛は、その薄味という評判が気になったようです。
わかる気がします。
草太のカツ丼、結構健康に気遣いありそうで、ダイエット中でも食べられると思われていそう。

鈴愛は、草太に言ってきますと答え、さらにそのあと津曲が五平餅を食べたと知ると、「味付けが薄かったですか?」とチェック。
プロだな。五平餅マスターへの道を常に探っているぞ!

しまいには
「五平餅フェアのお誘い?」
とまで言い出します。

こういう上昇志向というか、野心が前に出てチャンスを逃さない鈴愛、好きです。
常に控えめである美徳はもういい。人には、前に出なければならないときもあるのだ。

しかし、津曲が目を付けていたのは「岐阜犬」でした。巨大なぬいぐるみを抱っこしながら、こう言うのです。

「私に任せていただけませんでしょうか?」

なんでもトイギャラクシーという大手玩具メーカーに持ち込み、大々的に売り出したいのだそうです。

 

正面からライセンス契約をしたい

トイギャラクシーという大手の名前登場に、梟会の面々もざわつきます。

しかし鈴愛には懸念があります。

「岐阜犬はもうしゃべらない……」

暗い表情で語る鈴愛に、律は「気を遣うなよ」と一言。そんなやりとりをしている脇で、ブッチャーは「人工知能? AI?」とはしゃいでいます。
AmazonアレクサなんかのAI搭載スピーカーが人気を集める今ならばともかく、2008年当時は、まだそんなもの普及しておりません。ここ十年の、技術進歩を感じますな。

そんなハイテクじゃなくてマイクを通して喋らせていました、とナゼか謝罪モードになる鈴愛。
ここで津曲が、俺もバカじゃねえからマイク通して喋っていることくらいわかるし、と慌てているのがウケます。

彼は、ギリギリのところで誠実なようで、岐阜犬のアイデアだけパクるのではなく、正面からライセンス契約をして「いただきたい」と続けるのです。

岐阜犬はルック(見た目)がいいんだそうで。
プレゼンを張り切る相手に対し、プレゼン段階なら企画自体が通らないかもとブッチャーが突っ込みます。

しかし津曲は、なんだか自信満々です。

 

親ならば子供の進路を支えたい、が

宇太郎が花野を風呂に入れようと誘いに来ると、花野は浅田真央選手のイラストを描いておりました

 

ラベンダーカラーの、ショート衣装ですね。

しかし宇太郎の、複雑な表情よ。

親や祖父母としては、子供の進路を支えたいという気持ちはあるものです。
そういう美談はあふれています。

一方で、どうしてもそうは出来なくなる事情もあるはず。
本作はどちらに進むかわかりませんが、それでも、この時点の鈴愛と花野親子の同じ方向を見た顔は、消えるわけではありません。

鈴愛と晴は、岐阜犬の津曲プレゼンについて語っています。
鈴愛は、
「どうせダメやろ」
と手厳しい。

彼女が津曲を胡散臭い目で見ていることは、初登場時から示されておりました。

津曲のアイデアは、母と子が岐阜犬を通して会話することなんだそうで。

ああっ、これは和子と律の会話!
そう視聴者が理解するのに、鈴愛と晴はわからないところが、うまいと思います。

岐阜犬は「あまり見たない」と鈴愛。悲しくなってしまうのです。どうしても、和子を思い出してしまうのだと。

 

「日にち薬だよ、だんだん楽になります」

萩尾家では、弥一が和子の写真を目のつくところに飾れないでおりました。
このあたり、廉子さんと仙吉さんの遺影が並んでいる楡野家とは違います。

和子さんの死と喪失を、萩尾家の人々は受け止め切れていないのです。

それでも弥一は、毎日仕事や家事をこなし、日々を歩んでいきます。人生はクリアするものになってしまったのです。
ここで廉子さん、語ります。

「日にち薬だよ、だんだん楽になります」

仙吉たちを置いて旅立った彼女らしいといいますか。やっぱり本作のナレーションは面白いなあ。

律が帰宅すると、弥一は終わったレコードを掛けっぱなしです。
やはり、まだボーーーッとなってしまうということでしょうか。律はたまには外に飲みに行こうと弥一を誘います。

そして二人は、「ともしび」へ。

「あーら、イケメン父子だ」
まさこさんも喜びます。

 

家族三人で過ごしたかった

実は律には、弥一に相談がありました。

勤務先とスタンフォード大学で共同研究プロジェクトがあり、海外赴任を打診されたそうです。
弥一はよい話だと乗り気です。お母さんも喜ぶはずだ、と。

しかし、律は迷っているのです。

打診だけということもありますが、渡米すると少なくとも三年間は戻れないのです。
より子と翼は、翼が受験を乗り越えて私立学校に入ったからには、連れて行けないのだと。だから大阪に戻るのだと律は言うのです。

弥一は、和子のことで家族を引き離してすまなかった、と律に謝ります。律はこれに、家族三人で過ごしたかったから、そうできてよかった、と言います。

家族三人……か。
そこにはより子たちは加わらないんですね。

このあたりも、本作の絶妙なところ。夫は妻子をセットに行動するという暗黙の了解があります。

より子はお葬式のときに周囲から白眼視されましたが、そこにも嫁のくせに生意気な、という反発があったはずです。
普通ならば、律は嫁を連れてきたはずで、夫だけが母のために家に戻ることはない、となるのでしょう。

しかし、そうした常識や暗黙の了解は、男性は律のような「独身時代の家族」形態に戻ることができないという話でもあります。

連れ歩かれること前提の妻子も、行動を制限されるわけでして。
こういう、世の中の暗黙の了解となった家族像が本当によいものか? 個々人にとって最適なのか? と、本作は問いかけている気がします。

弥一は、翼にもパパが必要だと言います。すると律も、俺にもパパが必要だ、と。

そうそう、男性だって親が必要で甘えたくなります。
親の面倒は嫁が見ていればいいという意識は、そういう心理を否定してしまうことになるのです。

翌朝、ベッドで律はあの笛の音を聞きます。

「さてどっちだ、鈴愛か、カンちゃんか」
そう寝返りを打ちつつ窓から下を見ると、そこにはカンちゃんがいました。

 

今日のマトメ「より子に憐憫の情もある」

地方創生だのなんだの言いますけれども、格差はある。
岐阜県の梟町という、理想的な田舎町に足りないものが見えて来ました。

それは花野にとってのスケートリンクであり、律とより子の子・翼が通うような私立学校です。

どうしたって、都会と田舎の間には教育格差ができてしまう。
この教育格差が、物語にも影響を与えております。

今日は、出番がまるでないより子に同情してしまいました。

萩尾家が息苦しいと言っていたより子。
そこに漂う空気感って、律と鈴愛が結婚していたらという期待感であったりしたのではないか?と。

翼の学校のこともありますが、そういう空気感が耐えがたいところもあるのでしょう。
より子は、ただの嫌な女ではなく、哀れな女性です。

律の家庭って、運命の二人が結ばれなかった後という気がします。

朝ドラは、運命のカップルが生まれがちですよね。そのカップルが生まれなかったらどうなるか、そういうことはやらない。
鈴愛がたくましく生き延びているのに対して、世間から見たら成功している律が、何かに囚われ、はまっているみたい。

この男女で精神的にタフなのは、女である鈴愛なのかなと思ってしまいます。

今日は、この二人に夢を叶える足音が近づいて来ました。

塩対応されている津曲ですが、こいつのアイデアが鈴愛をさらなる高みに跳ばすことになるのでしょう。

律だって、究極のロボットを作る夢は、海外にこそあるはずです。
ここで律が家族を理由に断ろうとする点も、本作ならではだと思いました。

家族を理由に夢を諦めるのって、大抵が女性側ではないですか?
わがままを言ってついてこない妻子をしばきあげてこそ男、なんなら、それぐらいの価値観もあるでしょう。

その一方で鈴愛は、花野ちゃんのフィギュアスケート挑戦の夢をジャンプボードに跳ぶような予感があります。

家族があるこそ、人は強くなるという理想は、よいものですよね。
ただし、そこも疑ってみてもよいかも。

男の場合はそう言われると、仕事で活躍して成功して、バリバリ稼いで妻子を養うという方向になるし。
女の場合は、典型的朝ドラヒロインのように、アルカイックスマイルを浮かべて夫に尽くして、良妻賢母こそ、という方向に行くわけ。

女が稼いで堂々としていたはずの人物がモデルの朝ドラすら、こういう刷り込みから自由ではありませんでした。

生涯未婚で仕事で成功をおさめたヒロインだった『とと姉ちゃん』すら、本来彼女は良妻賢母タイプということが強調されておりました。あのヒロインは、男性に尽くして頭を下げてそれで引き立ててもらって成功するという誘導を感じたものです。

鈴愛と律は、こういう男女観や先入観から抜け出して、夢を追いかける青メダルを掛けた者同士として走っているのではないかと思います。

今は律がちょっとつまずいているように思えますが、鈴愛の七夕短冊を見返して、また走り出すかも。
ガンバレ、二人とも!!

◆著者の連載が一冊の電子書籍となっています。

この歴史映画が熱い!正統派からトンデモ作品まで歴史マニアの徹底レビュー

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

【参考】
NHK公式サイト

 

6 Comments

ビーチボーイ

武者さんの「より子の立場にも立って考えよう」つまり「スズメだけイケイケ~!」じゃなく複眼的に見ないと、との指摘は私も決して否定しません。ただ、次の2点のハードルが私には高い。
①より子が律をなじった時の言葉「貴方もこんな所(=梟町の萩尾家)にいたら、後輩にポジション取られるわよ」あれはひど過ぎる。重病の床にある義母和子に対する気づかいのカケラもない鬼嫁発言だと非難されても弁明の余地ないでしょ。
②梟町のオッサンおばちゃん達がより子を白眼視するのは、「我々のコミュニティに全く入って来ようとせん。うわべの愛想さえないわ。お高くとまったあの態度は何なん?」と、口には出さないけど内心反発してるからですよね。とにかく田舎なんですもん、致し方ありません。今のままでは、より子はよほどの世間知らずか、さもなければ夫の故郷を本気で侮蔑するような腹黒人間かと誤解されても仕方ないでしょう。
単細胞な私は「やっぱりボクテ&ユーコの推測が合ってるじゃん」の安易な方向に流されかけてます。でもそれじゃダメですから、もっとよく見て考えて、この件をきっかけに人生勉強してみたいです。

匿名

津曲さんのぬいぐるみを挟んで親子が会話するというのは、なかなか幼子ウケしそうですし、親戚の子をそうやってあやした際の反応を思うと、案外大ヒットしておかしくないかも?

このアイデアにも、かって家庭を持っていたという津曲さんの経験が影響しているのかと想像すると、なかなか切ないし憎めない

けど同時に何かやらかしそうでもあって、目が離せないキャラですw

ナオ

より子さん、

同じ子供を育てている身としては、かなり大変な毎日を頑張って過ごしているのではと思います。

家事、育児を全部何から何まで一人でこなすのは、想像以上に大変です。ほとんどいない夫でも、ゴミ出し一つしてくるれるだけでも、助かります。
子供のご飯も手抜きするタイプに見えないし、会社の婦人会にも参加したりしている。
もう少し、より子さんサイドの話もでてくると、人間味が感じられて応援する人もでてくると思うのですがねー。

律だって、そんな大事な話を父親に相談するんじゃなくて、まずは真っ先により子さんに相談しないと。
より子さんにしたら、海外行って出世街道に乗って欲しいんじゃないでしょうか?

前に廉子さんがナレーションで言っていましたが、律は求められれば求められるほど、何をどうしたらいいかわからないんでしょうね。だから、大事な決断を自分だけでしようとしている、、

momo

より子が特別嫌な女だとは思いません。
ただ、律と合う女性ではなかった、というだけじゃないでしょうか。
ユーコ、ボクテが律の「いつの間にか婚」を疑ってましたが、それが真実ならより子はかなり計算高く強かなタイプ。
子供に小学校受験をさせ、塾の順位を叱り、会社の婦人会に参加して旦那の地位にも神経を張り巡らせるところを見ると、2人の推理も強ち間違いではない、と示されてそうです(この婦人会も、元菱松電機の受付嬢だったより子が入ってるところを見ると、OL同窓会的なものかもと思うと恐ろしい…)
だとすると、より子は律の顔の良さ、将来性を「狙って」結婚したわけで、律そのものを愛したわけじゃない、ということになりかねません。結婚写真の満面の笑顔は「将来有望のイケメンゲットvv」という勝利の笑みだったのかも。
ただ、本作はこうした姿勢を否定してるわけでも、非難してるわけでもありません。同じやり方で幸せを手にしたユーコという事例があります。また鈴愛は同じ事をやろうとして、相手との相性の悪さを許容出来ずにドロップアウトしてます。
そして、より子が本当にそういう魂胆で律と結婚したのかも、より子視点の話がない限り視聴者には推測するしかできない。
なんでも白黒はっきりさせたがる風潮には合わないかもしれませんが、本作のこうした何通りも見方が可能な演出は、私にはピッタリはまりました。テキストは自由に議論できる余地があってこそ、味わいが深まります。

小原正靖ゆそひひ

津曲さん 一旦ではなく一回会ってます ですね 津川雅彦のパロデイのような名前うまくいかなそうで幸薄い鈴愛と律 涼ちゃん秋風先生たちのサポートや意外な足長おじさん
出てこないとカンちゃん花野も夢は待つも夢にまた夢秀吉か

ぱせり

より子さんが冷たい人なので、律くんは鈴愛さんと居た方が幸せ
という意見を見るたび、悲しい気分になっていました。

武者さんが、より子さんの孤独と悲しみに心を寄せてくださったこと
なんだか自分のことのように嬉しいです。

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