まんぷく 2話 感想あらすじ視聴率(10/2)ラーメンの歴史を笑うなかれ

◆この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ!!

「本作には厳しいですね」
という意見を頂戴しました。

ただ、朝ドラに関しては過去に『わろてんか』でも期待→絶望からのぶった斬りレビューになっており、今回は、最初から歴史修正主義が感じられて、やはり「0点」なのです。
どれほどマシな要素があろうと、ドラマとして面白かろうと、0には何を掛けてもゼロ。

立花萬平(まんぷくモデル安藤百福)のモデルは安藤百福なのに、公式サイトから【台湾要素】が何も記載されてない――。
この時点で、差別性を感じてしまうのはおかしいことでしょうか?

どう見ても不自然です。
イチローが日系アメリカンにされたら、野球関係者だけでなく日本中が悲嘆の思いを味わうはずです。

・発明の工夫において必要以上に「日本人妻」を強調
・ラーメンの歴史が不正確極まりない
・当時、外国ルーツの労働者が食べていた歴史はスルー

では今後、台湾要素が出てきたら撤回するか?

もちろんそこは真摯に対応させていただきますが、あまりに妻の手柄にされるようでしたら、やっぱりおかしいと思うのです。
せめて妻が福島県設定であることを活かして、喜多方ラーメンから思いつくのであればマシですが、大阪出身だからなあ……。

公式サイトには、以下のように記載されております。

実在の人物をモデルとしますが、激動の時代を共に戦い抜いた夫婦の愛の物語として大胆に再構成し、登場人物や団体名は改称した上、フィクションとしてお届けします。

この「大胆に再構成」っていうのがミソという名の逃げ道。
同じようなこと『西郷どん』でも散々言われています。

歴史ドラマにおける歴史への考証は、いわば「型」です。

「史実を無視して大胆に再構成!」
と言い出したら「型」はないということ。

それは「型破り」じゃない。
ただの「かた無し」です。

では、本編へ!

【第2話の視聴率は21.2%でした】

 

登場人物の知能が暴落しそうな危険な描き方

今朝は、鈴(松坂慶子さん)の腹痛からスタートです。

この鈴、嫌な既視感がある演技なのですが、その理由に気づいた私はこのあと愕然とします。
ヒント:せわぁない

医師が検査しても、悪いところはないそうです。
セカンドオピニオンという手はないんですかね。この時代だって別の医者に行ってもいい。

要するに、仮病であることは簡単に想像がついてしまいます。

案の定、仮病かも、と娘からも推測されてしまい……。
少し想像力を働かせればわかることをプロットに組み込むと、登場人物の知能が暴落してしまいます。なぜ、そんなことをしてしまうのか><;

この前の『西郷どん』でも同様のシーンがありました。
弟の信吾(西郷従道)が戦場でケガを負い、どうせすぐに回復することがわかりきっているのに話を引っ張る――。

鈴は、祖母も亡くなった盲腸かもしれないと言います。うーん、本気でそう思うなら、やっぱり別の医者にも診てもらうよなぁ、と。

しつこいようですが「武家の娘」がぬるいのです。
私の知る範囲にも、武家の娘に育てられた方がおります。その手の体験談を読んだこともあります。

その家だと痛みや恐怖を訴えるだけで、
「この程度のことで怯えて、それでも武家の子か! あの戦ではお前より小さな子でも、懐剣を握って自害したのだぞ!」
とガチで怒られたそうです。

まぁ、幕末で佐幕藩の武家の場合ですけどね。
あの戦争っていうのは、江戸が幕府に変わる時のことですな。史実は『西郷どん』みたいに甘くねえんだ。

 

変な顔をしてフロントそばにいたらヤバイでしょ

シーンは変わり。

克子(松下奈緒さん)が忠彦(要潤さん)に手が綺麗と言われて、
「炊事で荒れて」
と返すところで、ズッコケそうになりました。

いやいや。どう見ても美しくて、ハンドクリームの宣伝できそうなほどピカピカやないか。
演出、大丈夫か……?

交換手である福子(まんぷく立花福子モデル安藤仁子)の仕事ぶりが入ります。

変な顔をしてフロント係の保科(橋本マナミさん)を見ているのはありなんですかね?
『純と愛』のホテル描写も、ヒロインが自由気まますぎて違和感ありました。

本作は「普通」のヒロインだと言う意見もあります。けど、本当にそう? 現代モノでやったら「常識がない!」とか言われません?

その福子は、ホテルの裏に戻り、廊下で、野呂(藤山扇治郎さん)とすれ違います。

「えーっとぉ、ノロさぁーん! 仕事には慣れてませえーーーーん!」
うーん、やっぱりオーバーリアクションで、変な喋り方に見えるわ~。

いったい普通のヒロインとは何なのか……………………。

 

野呂の思いに気づかぬはドジっ子だけか

野呂は、調理場からくすねてきたアメリカ産のツナ缶を渡してきます。

「なんで私にぃ?」
みたいなリアクションの福子。

わかった、わかった。
このあとの結婚話で、野呂が絡むんだな。

それに気づかないほと鈍いヒロインなんだな。見ている側にはわかるけれども。

18歳を演じるためと言われましても、成人したヒロインが女学生スタートで、演者よりはるかに年下設定。
戦前舞台だったNHK大阪『カーネーション』のヒロインがこんな行動していました?

今より成熟度が早い戦前で、こんな18歳いるのかな?
結婚していて子持ちでもおかしくない。
朝ドラヒロインは高等女学校卒業がデフォルトで、恵まれておりますけど、小学校だけ出て、早々に嫁がされている女性も多い時代です。

仮に平成にしたって、こんな18歳、キャラ作りすぎでしょ!

確かに朝ドラには、戦前でも強烈ヒロインはいます。
『ごちそうさん』とか。ただ、あのドラマは、ヒロインの個性的な理由をちゃんと描きこんでおりました。

出てきて二日目で、背景説明もなく、いちいちハイテンションな18歳は大丈夫なの?と思ってしまいます。

普通、これが普通なのか………………。

要するに、ものすんごく作り物っぽいです。

 

ときは昭和13年 ほかに描く背景はないの?

仮病であることは見ている私には明白でありながら、鈴の元には咲(内田有紀さん)の婚約者である真一(大谷亮平さん)もやって来ております。
盲腸なら病院に行った方が、という指摘もされます。

それに対して鈴は、回復まで咲との結婚を先延ばしにして欲しい、と訴えるのでした。

このへんもわざとらしいなぁ。
先祖の死因に母親がかかっているかもしれないわりには、娘たちに余裕がありすぎるんですよね。

どうせ仮病落ちだからだよね!
なんて先が読める展開よりも、他に描くことがあるんではないでしょうか。

ときは昭和13年です。
社会・外交情勢の背景とか、ラーメンの歴史とか。
日中戦争まで来ているのに、これから進んで行く暗い歴史の片鱗すら感じさせません。

せっかくの歴史モノなのに、当時の価値観や生活ぶりの描写が薄く、ただ適当に要素がサラッと入ってくるだけです。
こういう手抜きを見ると、現代モノを回避して、時代考証が無茶苦茶な時代物を作るのは、ただの逃げに思えて来ます。

NHK大阪は現代モノの意欲作『純と愛』の失敗以来、過度な逃げの姿勢に入っているのではないでしょうか。

※『純と愛』は露悪的ですし、悪意すら感じたのですが、今から振り返るとやりたいことは評価したい作品でした……

本作はまだ二話。
それでもここまで言い切れるのは、近作と同じ傾向が見てとれるからです。

いや、近作でも出来の悪い『べっぴんさん』、『わろてんか』レベルの予感。
これだけならまだしも、あの作品と共通要素が多すぎてちょっと困惑しています。
ヒント:おにぎり大河

 

映画は垂涎のエンタメだったはず

そんなこちらの祈願はアッサリ無視され、仮病母の看病が続きます。

ツナ缶を食べるか?と勧める福子ちゃん。
病人に、母親に、中身も確認していない缶詰はチョット……。

缶詰って、特にこの時代は結構危ないものです。破損が原因で思わぬ病気につながったりすることがある。
戦国武将じゃないんだから毒とかありえんと突っ込まれそうですけど、本性のはっきりしない男からもらったものをホイホイ食うのはなぁ。

いや、男から貰ったなら疑いなく食べてこそ可愛い――そんな意図があったら、バカバカしすぎ。

なんて色々考えていると、
「お腹が痛いのに、食べられるわけないでしょう!!」
と鈴本人が言います。ですよね。そこはお粥とかありますよね。

彼女が武家の娘をプッシュするなら、もっとガチで怒っていい。男から貰ったと聞いたら、さらなる鉄槌展開もありでしょう。
結局、ファッションというかコスプレ武家の娘に感じてしまうんすわ。

このあと、チャップリンの映画『モダンタイムス』を友人と鑑賞していた福子は、考え事をしていてよく見ていなかったと言います。

このあたりも雑だなぁ……。
当時の人は、今よりも娯楽に飢えておりました。
映画を見る特別感を、私は聞いたし、書物でその手の記述も目にしました。

それが「考え事していてよくわからなかった」ですから……。

福子ちゃんはそういう性格なんだね、と流しきれない。
ドジっ子ぶりが、やっぱり作り物っぽいんです。

3 Comments

匿名

もう、武士の娘ですから!という似合わないセリフが…そんな事言う人が仮病使うなんて…本当に、製作者サイドは武士に対して悪意を持っているとしか思えません…本当に…とにかく、ぐちゃぐちゃで…番組を見るのはやめて、こちらの総評のみ読むこととしました。見ていて気持ちの悪いものすごい違和感しかありませんもの…

Susuka

台湾系であることを隠す動機付けって、どこにあるんでしょうね。
台湾は安藤の出生時から日本領でしたし(だから、日中戦争下でも「敵国」ではなかった)、戦後も一貫して、日本と友好的な勢力でした。
だから、秀吉の朝鮮出兵や西郷の征韓論のような「ややこしさ」は相当薄いはずです。
もし制作サイドが軋轢を恐れて回避しているのならば、大阪制作は相当守りに入っていることになりますね。「純と愛」のバッシングのトラウマでしょうか?でも、「あさが来た」はそのあとの作品だしなあ…
あるいは、「考証が面倒くさいから」「キャスティングやロケにお金がかかるから」とかいう、内向きな理由でしょうか?「西郷どん」も「働き方改革」の一環で放送回数を3回減少、「特別番組」を挿入しています。経費削減の方向が間違ってるのではないか?と言いたいですね。「半分、青い。」は、脚本家のアイデアで傑作になりました。もしかして、考証ぶん投げの衣装使いまわしも、経費削減の一環だったりして…

さつき。

立花さん、元?外国籍の青年である可能性もでてきましたね。
ただ、公式には帰化云々の解説は一切なく。
たんに関西圏育ちでない、という可能性も…
てるてる家族にも安藤さんをモデルとした男性が出てきましたが、こちらでもそうした話はありませんでした。ただ、こちらの場合はストーリーに直接は関係ないので略された、でなんとなく納得はできますね。

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