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わろてんか第29話あらすじ感想レビュー(11/3)家族像の描写に修正を

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明治43年(1910年)。
日本一の「ゲラ(笑い上戸)」娘ことヒロインのてんは家を捨て、船場の米屋・北村屋の長男藤吉のもとへと嫁ごうするものの、藤吉の実家で姑の啄子から女中扱いされてしまいます。

北村屋の経営状態がますます悪化する中、焦る藤吉は芸人仲間のキースが持ち込んだ「パーマ機輸入」という儲け話に乗っかって大失敗。店と土地を担保に借金していたため、窮地自ら突っ込んでしまったのでした。

とうとう借金取りが家にやってくる中、この店は私の命と言い張る啄子。そして藤吉は、手斧を振りかざして啄子を襲いかねない様子でした。

 

この家も母親も大嫌いだった、と藤吉

藤吉の剣幕に恐れをなした善人の借金取りが逃げ出すところから、今日は始まります。

手斧を振りかざすのはお芝居。
啄子は、本当はうちが憎いのだろう、あの手斧を振り下ろしたかったのではないか、と言い出します。

むしろ、啄子さんが藤吉の脳天をかち割りたいのではないでしょうか?
実際、そうしたところで視聴者の大半は納得しそうな気がします。死なない程度に、こう、ガツンと。

藤吉は、この家も母親も大嫌いだったと言い出します。
冷たい家庭。
姉にいけずをされる。
母親は家が一番。
自分のことをかまってくれない。
父親のことで暗い顔をしている母親を笑わせようと、鳥の鳴きマネをした。それなのに笑うどころか叱られた……と。

しんみりしたBGMで雰囲気を演出しておりますが、なんだかおかしいような。
それは……。

先週(第4週)の藤吉は、母親に「なぜ恋愛結婚は駄目なのか」と詰めより、そこで啄子から「父に女がいた」ことを聞かされて驚いていました。
今週のはじめ、父親が女に貢いで借金していたことにも驚いていました。

借金の場合は、あまりの額面の大きさに驚いたというフォローもできるのでしょう。
しかし、そもそも先週の父親に他の女がいたと驚いたリアクションは何だったのか、と思ってしまいます。

昨日の放送で「父親を探してその途中、母子で寄席に行った」という啄子の回想もありました。
先週は父親が女を作って、そのことで母親が苦しんでいたなんて知らなかった。
今週は母親が父親のせいで苦しんでいたとわかっていた。

要は先週と今週で両親の関係についての整合性がアヤフヤになっちゃってる気がするんですよね。

 

なんだか詐欺の失敗を母親のせいにしてる気が

話を元に戻します。
藤吉はしんみりとしたBGMを背景に、要約するとこんなことを言い出します。

「母親は俺のギャグで笑うどころか、俺に商人になれとしつこくてうんざりした。でも母親を見返したくて無茶な詐欺に家と土地を突っ込みました。結果的に大失敗ですが、母親に認められたくてのことです」

ここまで長々と弁解をして、遠回しにネチネチと「そもそも母親のあんたが息子にちゃんと向き合わないせいちゃうん?」と相手の弱みをつついておいて、やっと頭を下げて謝ります……。
なんだか詐欺の失敗を母親のせいにしているような気がします。

そんな性格ですと、てんに向かっては
「おてんちゃんをどうしても嫁に欲しいから、借金帳消しにして認めて貰いたかったから。すべてはおてんちゃんが好きやから」
って言いそうで怖いです。

嗚呼、どうして藤吉はそんな性格になってしまったのでしょう。
そもそもてんのことがなければ家にも寄りつかなかったのに、今さら「母親を思うからこそ、無謀なことをしました」と言われてもムチャクチャです。

 

てんの商人スキルが一向に上がらない

翌朝、藤吉は最後の一粒まで米を売ろうとします。
てんは、ここまで行商にはつきあわなかったものの、やっとここで手伝います。

マズイ米、外米も売り切ったてんのチートスキルが炸裂するのかと思ったら、ニコニコ笑顔で車を推しているだけ。
一体あの外米までカレーにして売り切った機転は何だったのでしょうか。
一向に商人スキルが上がった気配が感じられず不安です。

本作は、見ていてどうにもアルミホイルを噛んでしまったような不快感があります。
謝罪の前に弁解を始めるのもそうですが、
「主人公側の言動がおかしくて、相手が正論を言っているのに、相手が悪い、意地悪であるかのように演出する」
というものです。

藤吉が失踪したところで従業員が辞職するのも、借金取りが取り立てに来るのもそうです。
この行商の場面でも「行商のくせに高飛車。売りたいのに値引きもしないのか」という客を意地悪なように見せていて違和感があります。
結局、客が折れる形でおさめていますが、見ている私だって藤吉の言い草は高飛車に思ってしまいました。

藤吉の「米に感謝したい」というのも、売り手の都合(しかもスピリチュアル……)でしかありません。
買い手にとって感謝なんかどうでもいいのです。
相手にとってよいことですよ、と売りつけるのは商売の基本で、売り手の都合は極力隠すのが普通ではないですか。

 

「おてんちゃんは実家に戻りな」

米を売り切った藤吉とてんは、芸人の長屋で食事を取ります。横でキースと落語家が何か打ち合わせしています。
もしキースが林正之助の役目を果たすなら辛い、と前回のレビューで記したのですが、どうやら彼のモデルはエンタツのようです。
キースがエンタツ、漫才界のレジェンドですか……。

藤吉とてんは芸を見て大笑い。
万丈目の芸が受けているのは初めてだと歌子は大笑い。

私もどこが面白いのかわからなかったです><;
しんみりとしたBGMを流し「ねっ、辛い時に笑いって薬になるでしょう!」という演出なのでしょう……。

藤吉は米を売り切ったと啄子に報告します。
そのあと、洗濯するてんの元に向かい、こう言います。
「今日はありがとう。おてんちゃんは実家に戻りな。俺は家なし職なしで、何の取り柄もないから、嫁さんをもらうわけにはいかん。戻ってもっと別の人を見つけなよ」

藤吉が正論、そして真実を言ったのはこれが初めての気がする……いや、ちょっと待て。
風太に「おてんちゃんを絶対に幸せにする! できんかったら地獄に墜ちる!」って啖呵切ってましたよね。自分と駆け落ちする過程で、てんが勘当されて帰る家を失うのを見ていましたよね。

誰か風太を呼んで来てくれ。で、手斧を手に持たせてやってくれ!と言いたくなりました。
藤吉は手紙で嘘をついていたあたりから、しれっと嘘とその場しのぎのことを言い続けます。本人が気付いてるかどうかわかりませんが、なかなか恐ろしい性格です。

しかしてんは「情けない!」と反論。
商才はないけど誰にも負けないものがあると言います。

「人を笑顔にしたいいう気持ちです! うちはこの先が泥水だろうが、地獄だろうが、一生藤吉さんについて行けます! うち、決めました。うちがあんさんと結婚してあげます。そのかわり、今度こそ一生笑わせてください。芸がそないに好きだったら、いっそそれを商売にしたらどうですか」

ここまで言うと、てんは藤吉が好きというよりも「藤吉と添い遂げる自分の覚悟が好き!」っていうふうに思えなくもなかったり。
白い喪服とあわせるとそんなことを考えてしまいます。

これが、のちに日本中に笑顔を届けることになる二人の笑いの旅路の始まりでした、とナレーションが語ります。
今届けて欲しいです。寒いギャグと唖然とする展開はお腹いっぱい……。

 

今回のマトメ

今日は朝ドラ名物
「私がこんなになっちゃったのは、お母ちゃんが仕事にかかけて私のことを見てくれないからだもん!」
が出ましたね。

この役目を果たすのは、『マッサン』のエマ、『あさが来た』の千代、『べっぴんさん』のさくら等、ヒロインの娘であることが多いのですが、なんと本作では藤吉が、しかも洒落にならない行動をしたあとで言い出しました。

エマでも千代でもさくらでも、ティーンエイジャーの少女がふくれ面をしながら言うのならばまだしも、いい歳こいた大人の男がそんなことを弁解にするとは。
しかも当時の感覚からすれば、金持ちの長男である藤吉は恵まれていて、甘やかされているほう。

風太の境遇でチラリと言及されましたが、次男以下ならば穀潰し扱いされて幼い頃に家から出されるなんて当たり前なのです。
視聴者の同情を買いたいのかもしれませんが、甘ったれるなよ、と思ってしまいます。

本作に限らず、朝ドラのこの「母となるか、仕事を取るか?」という二択はおかしいと思います。

日本の長い歴史を見てきて、女性が家庭内にだけいるのが当たり前なのも、母親だけが育児をするのも、実は高度経済成長期だけの家庭像です。
朝ドラはこの時期に出来たから、そこを引きずっているのかもしれませんが、そろそろ変えていきましょう。

高度経済成長期の理想の家族像に引き寄せて、昔の家族像を否定的に描くことは大河ドラマでもありました。
側室の存在を愛人か何かのように描き、大名家の正室が乳母を雇うことを嫌がるような描写がありました。
しかし、現在はかなり改善されてきています。

朝ドラもそろそろ明治大正昭和の家族像、家庭観をふまえて描写に工夫をしていただけたら、と思います。

吉本せいも、小林一三も、現代人からすれば実に厳しい家庭環境の出身ですが、それが当時は当たり前であったのです。

※主人公のモデル・吉本せいさんについては、以下の記事をご参照ください。

わろてんかモデル・吉本せいの生涯60年をスッキリ解説!ここに吉本興業の歴史始まる

著:武者震之助

 

【参考】
連続テレビ小説 わろてんか Part1 (NHKドラマ・ガイド)

NHK公式サイト

 

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