わろてんか28話あらすじ感想(11/2)高橋一生さんの無駄遣い

明治43年(1910年)。
日本一の「ゲラ(笑い上戸)」娘ことヒロインのてんは家を捨て、船場の米屋・北村屋の長男藤吉のもとへと嫁ごうとします。

しかし、姑の啄子は認めません。

北村屋の経営状態がますます悪化する中、焦る藤吉は芸人仲間のキースが持ち込んだ「パーマ機輸入」という儲け話に乗っかって大失敗。
店と土地を担保に借金していたため、窮地自ら突っ込んでしまったのでした。

 

不謹慎を笑いに変える手順、合ってます?

藤吉は芸人仲間リリコの家に潜伏し、キースを捕まえようとしていました。
てん、藤吉、キース、リリコ、横から万丈目が見守る中、激怒した啄子が模造刀を手に息子に斬りかかろうとする、というのが今日の始まりです。

俄口調になったキースや万丈目が茶化すようなかけ声を掛け、さらに集まって来た住民が「アハハハ」と笑うアバンです。

寒い……><;
この寒さは、11月の朝のせいではなく、同シーンがスベッているからと感じるのは私だけ?

いや、心の底から笑った方には申し訳ありません。
しかし、この状態で笑うのは不謹慎というか無神経ではないでしょうか。

近所の人が中をのぞいてワハハと大笑いすることで、苦難も笑い飛ばしましょう、という演出をしたのはわかるのです。
しかし適切なのかというと苦しいなぁ。

 

なぜ読めもしない契約書にサインしてしまうのか

啄子は、藤吉にパーマ機を返却できないのかと問います。

まぁ、当たり前でしょう。
そこで藤吉が差しだしたのは、英文の契約書。読めやしないものを、書面で契約してしまったのか!と呆れる啄子。

息子の馬鹿さ加減に絶望した啄子は寝込んでしまいます。

啄子はてんに向かって「いい加減に京都に帰れ」と言います。

この状況でてんがいたら邪魔なのはわかります。
結婚どころか家の存続にかかわる一大事。
実際、ここまで来たら、そうすべきでしょう。

しかしてんは残ると言い張ります。

看病するてんに向かい、啄子は、過去を振り返ります。
浮気相手の元にいる夫を探す途中で、藤吉を寄席に連れて行ったのがアカンかった……と。

多分ここの場面は、辛い時でも笑いが癒しになった、と誘導したいような気がしなくもありません。

 

伊能栞、突然の恋心告白に違和感ばかりが先に立ち

てんは英文契約書を持って、伊能栞の元へと向かいます。
栞は契約書に目を通し「書いてあることに不備はないから今更取り消せない。そもそも粗悪品だと確認しないで契約する方がおかしい」と正論を言います。

本国でも作られたばかりのもの、しかも日本人にはまだ早いパーマ機とは、目の付け所は悪くないが、と話を続ける栞。

「わかりました!」
話している栞を遮って、完全に食い気味に礼を言うてん。
おそらくや、無償で栞に翻訳を頼んでおいて、それはよろしくないでしょ(´・ω・`)

そもそも藤岡屋を勘当されて縁談の話も切れてしまっているのに、ヌケヌケとお願いするってのも……まぁ、それぐらいは仕方ないですかね。

栞はここで、更に正論を続けます。
が、そのセリフに違和感アリ!

「そんな男と一緒にいるつもりか。僕は間違えたのかもしれないな。君はそいつといる方が幸せだと思ったからあの時僕は……」

むむむっ!
栞がなんとなくてんに好意があるのはわかっていました。
しかし、それは少しからかうような、距離を置いたような接し方であり、そこまで深い思いを抱いている描写は感じられませんでした。

藤吉よりはるかにマシな人格者でありますが、今回のセリフで「ちょっと何言ってるのか分からない」(byサンドウィッチマン)、少し変な人という印象が私の中に根付いてしまいました。うーーーん!

 

手斧で家を壊そうとする藤吉

藤吉が残ったパーマ機を前に呆然としている中、啄子は残った米一粒でも売ろうとして大八車を曳こうとします。

そこを藤吉が止めて米の押し売りを始めます。
てんもついて行こうとしますが、藤吉に止められます。藤吉のがんばりを強調しているようですが、啄子が売りに行こうとしなければボケーッとしていたような気もします。

しかし、米を売り払っても雀の涙、焼け石に水程度にしか金は稼げません。

そしてその夜、借金取りのおじいさんがやって来ます。
何がなんでも金を払って貰うと取り立てようとする借金取りに、この店は私の命だから殺せと凄む啄子。

なかなか人のよい借金取りですよね。
悪徳金貸しなら若いもんにドスを持たせて、啄子を蹴り飛ばしてでも金目の物を持ち去りそうなところではないでしょうか。
それを、穏やかに話してくれるわけです。って、これは朝ドラだから仕方ないのですかね。

ここで藤吉、手斧を持ち出して戻って来ます。
いっそのこと、家を壊してしまおう! とか言い出すって、ちょっと!ちょっとちょっと~!

そこは「俺がタコ部屋で借金返せるまで働きまくります!」と言えばいいのではないでしょうか。
実際にどうなるかは別にして、心意気というのは大事かと。

 

今回のマトメpart.1

よくよく考えてみますと、本作は
「何故そうしないのか? そうではないとドラマが進まないから」
という行動原理ばかりなのですね。

藤吉にせよ、てんにせよ、ドラマを成立させるためだけにあまりに不自然な行動を取っています。

根底にあるのは二人の強い愛だということなのでしょうが、その恋愛感情の描き方が雑すぎて
「なんでお互いそんなに好きなの? 洗脳でもされている?」
と突っ込みたくなってしまう。

リリコから藤吉への恋心のほうが、まだなんとなく理解できます。

てんの周囲にイケメンを配置したのも仇となっていて「なんで風太や栞ではなく藤吉?」と思ってしまいます。
藤吉の場合は「てんを逃したら他に女が見つからないんだろうな」で済まされるのですが。

序盤はこのあたりはマシでした。
儀兵衛がリスクを取って洋薬だけにしぼって、その結果、藤岡屋は倒産寸前まで追い込まれました(第2週)。

しかし、そこに至るまでの過程や、新一の思いを描いていたからこそ、無謀な行動も理由は理解できるものでした。

しかし第5週の展開は、店を潰すことありきで馬鹿げた行動をさせているとしか思えません。
二度目になってしまうとはいえ、店が火事にでもなったほうがよかったのでは……。

 

今回のマトメpart.2

ここでもっとわからない人がもう一人。
高橋一生さん演じる栞です。

栞がそこまでてんに恋する理由がよくわかりません。
暴漢にからまれているのを助けて(第2週)、お見合い相手であると確認しただけでしたよね。
確かに「普通とは違うお嬢さんだ」という目で見ていた雰囲気は出されていました。
しかし、募る思いというには程遠く、ましてや恋愛感情は伝わってきておりません。

しかるにこれ、高橋一生さんの無駄遣いでは……という。

『おんな城主直虎』の小野政次は、死んでしまってもう戻らないんだ……という感慨がありました。
叶わぬ恋を隠しながらもヒロインを助けるという役どころ。
その二番煎じのような伊能栞ですが、『直虎』ではじっくりと子役時代から描かれて来た恋心が、本作ではどうにも足りないのです。

このままではスカした変な人になってしまいそう><;

さらに……もう一つ言わせていただきますと……。
昨日は「母が子を成敗しようと刀を振り上げる」で終わり、今日もまた「子が母親に向かって斧を振り上げる」で終わるって、どういうことなんでしょう。

実は、第2週で「首つりジョーク」をやっていたあたりから不安を抱いてましたが、「刃傷沙汰」だの「一巻の終わり」だのが集中しちゃうと、やっぱり違和感がありまして。
このシーンは、多くの視聴者さんにとってジョークになっているんですかね。
それならば私の意見もお門違いでお恥ずかしいのですが……。

昨日も「笑いは難しい」と書かせていただきました。

ましてや人の生き死にまで笑う不謹慎ジョークは、その中でも最も難易度が高いもの。
イキナリの大技に挑んでいるようで、私はハラハラし通しなのであります。

著:武者震之助
絵:小久ヒロ

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吉本せい 吉本興業の歴史

【参考】
NHK公式サイト

 

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