ゴールデンカムイアニメ 感想あらすじ 第二期16話「旭川第七師団潜入大作戦」

2018年にアニメ化されたその意義とは

今最も熱い歴史作品『ゴールデンカムイ』。
漫画の人気に火が着き、2018年にアニメ化されたというのは、まさに最高のタイミングだったと思います。

なぜなら、本年は明治維新から150周年。
明治維新を祝おうという記念行事が多い中、負けた側は静かに気炎を燃やしております。

例えば、漫画の舞台となった北海道に目を向けると、いかがでしょうか?

同じく150周年という節目を迎え、祝福の時と呼ぶに相応しいかもしれません。
が、ただ単に明るい見方をするだけでよいものでしょうか?

明治政府のもと、アイヌの人々は苦しい日々を迎えました。

それまでの風習を禁じられ、人種差別的な偏見に基づく差別により一層晒されることとなり、戦場につれてゆかれ、土地を奪われ、未知の疫病が広がってゆく。
そんな苦難の日々が始まったわけです(以下に関連記事)。

和人はアイヌをどう差別した?大和朝廷の「蝦夷」から振り返る1000年以上の歴史

開拓者側も、ワクワクしながら入植したわけではありません。

戊辰戦争で敗れた側が、流刑と開拓一石二鳥だと、北海道へ送り込まれた、そんな苦難もあるわけです(以下に関連記事)。

明治時代の北海道開拓はとにかく過酷~戦争敗者、屯田兵、元新選組、囚人、そしてヒグマ

北海道が舞台ですからって、雄大な自然だ!美味しいジンギスカンだ!バフンウニだ!と、楽しくパーッとやればいい、というのじゃツマラナイ。

それが『ゴールデンカムイ』では、明治維新から現在までの150年間の間にあった、明るくない部分にも迫るのですから、これを力作と言わずして何なのでしょうってなもんで。

2018年にアニメになった。
これだけで、もう歴史的偉業の一つだと思うのです。

偉業への覚悟、重圧に堪えた制作チーム

むろん、タイミングがよいだけでは傑作と呼ばれるほどの作品になりません。
150周年という数字に囚われているだけじゃあ無残な失敗にもなりえます。

しかも『ゴールデンカムイ』は、とてもデリケートな問題を扱っています。

特に、マジョリティである和人が、マイノリティであるアイヌを描くということ。

ハリウッド映画における無神経なネイティブアメリカン描写は、しばしば俎上にあげられて来ました。
一歩間違えれば、マイノリティを都合の良い存在に貶めてしまう。
そういうことは、もう時代遅れで無神経な差別に他ならないのです。

21世紀となった今、かつての作品のようにそのあたりを大ざっぱに作ってはなならい、そんなプレッシャーがあるわけですね。

例えば、ディズニー映画の『モアナと伝説の海』は、ポリネシアン文化を調べ上げるために、チームまで結成されたわけです(関連サイト)。

 

そこまで丁寧に、文化を重視してこそが現代作品の宿命であり腕の見せどころ。
楽しければよい、ってもんじゃない時代です。

原作の野田先生、担当編集者の大隈八甲先生、そして本作のチームが向き合うプレッシャーは、とてつもなく重たいことでしょう。

野田先生はたくさんの参考文献を参照。
取材もし、極めて誠実に漫画にしてきたことは、今更指摘するまでもありません。

これをフルカラーのアニメにするとなれば、これまた生半可な覚悟ではできません。

アイヌの住居、服装、模様、色彩設計。
ヒグマはじめ動植物の造形。
明治特有の西洋建築を再現した描写。
頭痛がしそうなくらい、面倒臭くてややこしい軍服。

以前、ゲームのアイヌ設定のキャラクターを描くイラストレーター氏が、特別手当が欲しいとボヤいておりました。
それだけ、アイヌの模様は細かいのです。

「面倒くさいから省いちゃえ!」
ということだけは、やってはいけません!

アイヌの模様は、武士にとっての家紋や兜の前立てのようなもの。
間違いがあれば、意味合いが違って来てしまいます。

ミスがあれば、アイヌ文化への敬意を欠くことになってしまう。
作画崩壊では済まされない、深刻な問題となります。

絶対に、このアニメのチームには、ビンビンとプレッシャーが掛かっているはずです。

そのことに堪えて、アニメを作られていることに、敬意を表したいと思います。
前置きが長くなりましたが、スタート!!

白石、第七師団に捕まったってよ

今回は、脱獄王白石が第七師団に捕まるところからスタート。
あの土方歳三だって、銃で武装した大勢の兵士には勝てるわけもなく、ため息をつくばかりです。

土方組は、白石を助けられなかった、しかし旭川まで連行されたら困ると話し合います。

だーかーらー、家永カノさぁん、なんでそんなに嬉しそうに白石の皮剥ぎを想像するのぉ?
ま、殺人鬼だから仕方ないね!

土方は、永倉と家永を待機組にして、キロランケと救出に向かうと提案します。

この土方の声は、中田譲治さんなんですけどね。
なんで彼が土方かという理由は、もう伝わって来ますよ!

30代の新選組時代、そして現在、どちらも美声かつ凄味があって、年齢差を演じ分けられる!
となれば、彼が適任であることはその通りなのです。流石です!!

岩見沢での谷垣とインカラマッ、そしてチカパシ

岩見沢では、インカラマッが占いをしていて大盛況です。
このインカラマッのアニメ版デザインも、きちんと唇の刺青を再現したところが最高ですね!

アイヌの刺青は、明治政府によって禁じられまして。
アシリパがしないと言い張っても止められない部分があります。
明治政府は、西洋諸国から見たら野蛮とみなされかねない、和人のお歯黒や眉剃りとともに、アイヌの唇の刺青や男性の耳輪を禁じたのです。

インカラマッとキロランケは世代的にまだしておりますが、下の世代はだんだんと遠ざかってゆくわけです。

こういう失われたアイヌの文化を映像化しているという一点だけでも、本作には重大な存在意義があります。

アイヌモチーフの人気キャラクターは、本作が初めてではありません。
『サムライスピリッツ』のナコルルやリムルルも大人気でしたね。

ただ、ああしたキャラクターは、和人から見て違和感がないよう、デフォルメされておりました。本作は、それとはまた違う。21世紀的な意義があるわけです。

ここで谷垣が、ヒモ扱いされて困っております。
谷垣も、声がいいんですよね。ゴツいマタギそのものの外見です。しかも、よく脱ぐセクシー枠です。
そんなマタギを演じる細谷佳正さんの繊細さを感じさせる発声で、セクシーだけじゃない個性も出ているんですよね。

谷垣は、杉元一行の目撃情報を聞きつけ、十勝へ向かうのかもしれないと推察します。
チカパシが十勝を「トカプ(おっぱい)」だと思い、嬉しそうに歩いて行きます。少年あるあるですな。

アムール川で戦った爆弾戦士

永倉と合流した杉元一行は、白石不在を聞きます。

さて、土方とキロランケは馬で白石奪還へ。
アニメでの馬の動きは結構大変じゃないかな、お疲れ様です。

土方、キロランケにアムール川でも爆弾を使っていたのかと聞きます。これは重要な伏線ですね。

この北海道とロシアの距離感の近さが、本作の重要な要素です。

さて、白石。
豆菓子売りを見つけます。

この豆菓子売りの歌が軽やかで、これぞプロの仕事だなあと頷きます。

正体は、土方ですね。
史実での彼も若い頃は物腰の柔らかい薬売りですから、特技を生かしていると言えるのかも。

土方歳三35年の生涯をスッキリ解説! 多摩のバラガキが鬼の副長となり五稜郭に散るまで

豆菓子の包み紙から、カムイコタンで待つと指定された白石です。

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