まんぷく 49話 感想あらすじ視聴率(11/26)毒性のあるガマガエル食用問題

ダメな【朝ドラあるある】女性の理想像

先週の鈴家事問題はスルーされ、今週は育児スルーをやるつもりのようです。
家事問題は、すでに爆発炎上して、ニュースにもなっていますね。

ダメな【朝ドラあるある】に見られがちなのが、女性の労働や家庭の理想像を恣意的に取り出すところ。
昭和の一時期、しかも日本史上ではごく短期間の像をモデルにします。

端的に示すとこうですね。

・専業主婦
・子供は2人程度(『わろてんか』ではおてんちゃんの夭折した子供の大半がカット)
・核家族で一家4人程度なので、主婦一人で家事が回せる

そのため、母親が外で働くと子供がグレるわけです。

そんなものは「鍵っ子」なんていう言葉があったごく短期間の話で、母親が働いたことでグレたなんて話は、モデルとなった女性においてまったくありません。
名作『あさが来た』ですらそうです。当時、あさのような上流階級は、育児は乳母に任せきりというのはおかしいことではありません。

本作の、
「家事なんて親族家族の女が回せるでしょw」
は論外です。

家事が電化された前提で脚本を書いていませんか?
洗濯のシーンはなんだか妙でした。

電化前、しかもこれだけの大人数となれば、人を雇うのはむしろ当然です。

家事=シャドウワークは無料どころか、きっちりと賃金が発生する労働。
鈴の怒りこそ正しいと視聴者が判断するのは当然です。

その程度のチェックすら働かないことに驚きを覚えます。

そしてこの炎上は、私の予測通りでした。
一話放映のレビューで、本作は朝ドラ視聴者層を読み間違えて失敗すると書いております。

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思い出すのは牛乳石鹸CM

本作の炎上構造は、あの牛乳石鹸CMと同じなんですね。

主要なカスタマーは女性なのに、ナゼか
「家事をぶん投げていた父親世代はいいよなぁ」
と嘆く男性の視点でCMを作り、燃え上がった件。覚えておられますでしょうか?

良い「炎上CM」と悪い「炎上CM」を分けるものとは何か?【連載】幻想と創造の大国、アメリカ(6)|FINDERS 

「さ、洗い流そ。」牛乳石鹸のPR動画に困惑が止まらない…”珍説”も登場

◆牛乳石鹸、サントリー、宮城県…なぜ炎上CMはやまないのか (1/2) 〈AERA〉

こんな調子で、残り100回もの放送が続くと思うと、もうドラマ以外の興味が湧き出て止まらなくなりそうです。

今日も酷いもんでした。
「女って浅はかで可愛いよなあ。男には仕事あるのに、子供の顔を見ろ、面倒見ろってさあ〜〜」
そんな傲慢さがビンビン伝わってくる、萬平の子供スルー描写。

福子は愛情の足りなさが不満なんだよ、と誘導したいようですが、仕事を言い訳にして育児をぶん投げているクソメンにしか見えません。

立花萬平って、言われるほど仕事熱心に見えませんよね。

先週はほとんど仕事していませんし、それなのに子供ができた途端に、
「あー忙しい、忙しい、子供の顔どころじゃない!」
とアピールし始めたもんだから、もうなんだこいつ感満々です。

腹が減っては、戦ができぬ

体調管理もできず、食事すらろくに取らないあたりもダメですね。
このあたり、自分だけでなくアシスタントにもちゃんと食べ物を提供していた『半分、青い。』の秋風先生が懐かしい。

あのですね、今更いうまでもありませんけど、
「腹が減っては戦ができぬ」
って言うでしょ?

これは真理です。
例えばスポーツ競技なんか、栄養をどうやって摂取するのか、これが勝負のカギです。マラソンや自転車レースをみていると、カロリー補給に選手がいかに気を使っているのかわかるもの。
走り続けるためには、適切な栄養補給と休憩は大事なんですってば!

日本初の五輪選手となった2019大河いだてんモデル金栗四三もその辺に苦慮しておりました。

【関連記事】大河『いだてん』キャスト

それを妻任せきりで食事すら取らない描写って、何なのでしょう。
頑張ってるアピール?
いえいえ、自己管理もできないアホにしか見えません。

補給食準備を忘れて、ツールドフランスでリタイアする選手がいたら、何やってんだコイツ、ってなりますよね。
そういうことでっせ!

ついでに言いますと、これも中国語文化圏ならありえない。
彼らは食事の摂取に、大変気を使います。マフィア映画でも、調理や食事シーンががっつり出てきますよ。

とにかく経営者としての素養がない。
従業員が不満タラタラなのに、まったく気づかずに骨を煮込んで選ばれたメンバーたちは笑顔で浮き浮き。
立花萬平って、そんな奴だったんですね。

本作を見ていると解ける謎がある

そんな本作ですが、実は反面教師の役割もある。

前作に浴びせられた、執拗な批判の底にある理由とも関連しておりまして。

今日腑に落ちたこと、それは、
「前作の離婚関連描写がナゼあそこまで叩かれたのか?」
ということです。

立花萬平は、前作で離婚された律、そして涼次すらまともに見えるほどのクズです。

律は確かに、愛情がより子に向いていない、本音を吐露しないという問題点はありました。
しかし必ずしも悪い夫ではない。

・一流企業に就職した高給取り
・人としての優しさもある
・不倫、暴力といった人として決定的なダメ要素は皆無
・子供のことをちゃんと考えている

より子との不仲の原因もきっちり分析して反省するあたり、よい夫ではないでしょうか。
離婚後だって養育費も払っておりましたし、より子の再婚を祝っていたくらいです。

涼次も、あの最後の態度はクズとしか言いようがありませんが、見た目だけじゃない優しさもあった。
そよ風の扇風機の成功を助けるため、作業代は無償で映像作品を撮影しています。

それなのに(いや、だからこそ)鈴愛に対しては
「離婚があっさりしすぎている!」
「最低の女だ!」
という批判が浴びせられておりました。

一番の問題は、そう思う背景なんですね。

「律が不倫する、律がより子を殴る、そういう離婚に至る納得できる理由がないとわからない! この程度のことで離婚するとはけしからん!」
「鈴愛め、女のくせに夫の理不尽さに耐えきれず離婚だと? わがままで我慢がたりない! 」

とまぁ、かつてなら「この程度で離婚なんかしなかったのに甘えるな!」という感情から、執拗なまでに批判されたのではないでしょうか。

本作は萬平はじめ男性のゲス行為が、イケメンでセクシーだから許せというナアナア気分が漂っています。
そのへんに前作とは真逆の甘えを感じまう。

まぁ、『まんぷく』の問題もようやく表面化しつつあって、前作嫌いだった層が初めのうちこそ賑わっていたものの、最近はむしろ逆効果のようにも感じます。

「『半分、青い。』の発明考証ってしっかりしていたんだな」
「発明描写で比較すると、前作との落差が辛い!」
と、考証における真摯さの違いが、如実に出てきました。

色々考えると『まんぷく』はもう、前作の良さを再確認するためにあり、そして来たる100作目を前に犠牲になったのだと思うしかありません。

ただし……本作がダメすぎて、再来年の大河への期待すらも日に日に落ちてゆきます。
長谷川博己さん主演つながり……大丈夫かな?

※スマホで『半分、青い。』や『八重の桜』
U-NEXTならスグ見れる!

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

※レビューの過去記事は『まんぷく感想』からお選びください

まんぷくモデルである安藤百福の記事、ならびにラーメンの歴史もリンク先からどうぞ!

 

7 Comments

かなた

いっそのこと萬平さんが次の逮捕で急死してしまい、
福ちゃんが真一さんか世良さん、森本元くんあたりと再婚したのち、
ラーメン大好き鈴さんとともに一念発起して即席麺を開発する、
というプロットはどうでしょう(笑)

匿名

何度かこちらにも、このドラマの引っかかる点をコメントしているのですが、
今更はずかしながら言うと、2週目までは鈴の言動以外は楽しく視聴していたんです。
特に要潤演じる忠彦が好きでした。
黙々と絵に向かい、ジッと寡黙。咲ねえちゃんの臨終の際にも、動揺する家族たちの中、黙ってその瞳を見つめている。とてもミステリアスな演技でした。

ところがここ数週間の忠彦はどうでしょうか。ミステリアスさなど見る影もありません。
戦争から帰ってきて、色弱になったショックで豹変、取り憑かれたように絵を描く!
……ここまではまだマシだった。(あくまでも人物についてです。お遊戯みたいな照明弾や顔の汚しはサムすぎて笑えもしませんでした)
でも、真一の説教を受けて以降、ベラベラとよく喋るキャラになってしまい…。
気色の悪いおべっかを鈴相手につかったり、
「(老女の戯言は)そうですか、そうですか、と聞いてあげないと」なんて
その辺のウラブレたオジサンと同じようなことを要潤の顔で言うのです。
タカの一挙一動にオロオロして、本当に頼りのない親父。
寡黙さも、真摯さも、威厳も全くのゼロ。
最初の人物設定はどこにいったのでしょうか。こんな酷いキャラブレ見たことありません。

あっ、立花夫婦が支離滅裂でブレブレなのは言うまでもないことです。
まだ三分の一も終わってないのにこの有様は逆にすごいです。

やまもと

台湾ルーツを残していたら、昨日の記事で教えていただいたように「ウシガエルは中華料理では田鶏といって…」って説明がついたし、モデルの方と同様に事業家として既に名をなしていたら海辺で食べ物が少ないと言う謎の事態に陥ることなく魚を捕る船も買えたし(しかも干物にして配ったとか)、お手伝いさんも雇えたのに…
設定での配慮かオリジナリティを出そうとかしたかの工夫はしたものの、盛り込みたい実際のエピソードをそのまま使うとドラマ自体が辻褄合わなくなってしまってしまってるんでしょうね。
ヒロインの人物造形も等閑だし、いっそ日清の宣伝だと言われようとも、イケてる大河ドラマばりに完全に史実準拠にしてしまった方が、偉大なる創業者かつ経済界への多大な貢献をした方を貶めるようなドラマを造るよりも良かったのではないかな、と最近思ってしまっているところです。
秋の行楽日和の3連休だからとはいえ、視聴率にも影響が出てきているようですし、だいぶ先まで撮っちゃってるこのドラマ、どうにか軌道修正出来るものなのか、もう諦めるべきなのか悩ましいところです。
あとはほんとタカちゃん!克彦さんがたとえ前時代的な家父長制の権化と謗られても、今のような扱い観てるの辛いから脱出させてあげてほしいです。叶わないでしょうけど。

三太夫

上郡に疎開していた事、泉大津で鉄板を使って塩を作った事、
栄養食品の開発過程でカエルを試した事、等など。
ドラマの筋書きが可怪しい、展開が不自然だと感想を述べると
誰かが「でもそれは史実ですよ」と反論してくれる。
史実だろうが虚構だろうがそんなことはどっちでも良い。
テレビドラマとして納得の行く筋立てであることを望んでいるだけ。
それとも安藤百福の伝記を片手にドラマを見なくちゃならないのか?
史実、史実と言うなら、そもそも根っこの台湾ルーツはどうした???

匿名

ガマガエルのことですが、wikiなどによると、昔はガマガエルとヒキガエルは別物とされていたという記載があります。(大和本草に蝦蟇、蟾蜍との記載があることから)
そして日本書紀には吉野の国栖で「蝦蟇(ガマ)を煮たものを「もみ」と呼び食していた」との記載があることから「ガマガエルは食べられる」と本作で表現したのではないかと推測します。
しかし、その吉野で食べられていた「もみ」とはなにか、検索するとアカガエルのことであると出てきますから、食べられていた蝦蟇とはアカガエルのことであったと推測されます。
萬平達がつかんでいたものはもちろんアカガエルではありません。
NHKに「ガマガエル(ヒキガエル)は毒があり食べられませんよね?」と問い合わせしたら「昔はガマガエルとヒキガエルは別物とされていて日本書紀にはガマを煮て食べたとの記載があり・・」と言い訳が返ってくるような予感がします。
でも以上の私の検索結果を踏まえると、それは単なる言い逃れでしかないと思います。
やはり誤解を与えかねない表現は慎むべきではと感じます。
まず、なにも無理してカエル爆発なんて入れることもないですよね。
だって台湾ルーツ削除しちゃってるんですし。カエルが栄養満点だからっていうそこに繋がる要素はないんですから。

Zai-Chen

今までの朝ドラはこういう間違いには敏感で、再放送などではすぐに映像や音声差し替えたものです。過去にも、「ゲゲゲの女房」で境港市が島根県になっていたのを鳥取県に修正、「カーネーション」では画面に映りこんでいた現代のペットボトルを消去、などあったのですが、今回は全くその動きがないですね。恐らく、局にはご指摘の電話が多数かかっていると思うのですが。
考えられるのは、脚本家やスタッフが、そもそもガマガエルに毒があることをしらないからでしょうが、指摘を受けても動かないのは、大したことじゃないと思っているのか、指摘を修正するだけの手間も人もないということなのでしょうか?
「だって、どうせ食べられなかったんだからいいんじゃね?大体、カエル食うなんてあり得ないっしょ、ネタですよネタ。ポワ~ンと笑ってくれりゃそれでいいんです」という作り手側の心の声が聞こえてきそうです。

匿名

公共放送のNHKが、毒性のある蛙をまるで食用であるかのように放送し、「食べられるらしいよ、まんぷくでやってたよ」なんて実際に食べてみる人がでたらどう責任とるつもりなんでしょう。
あれはドラマの話です、じゃ通用しませんよね。
20%の視聴率っていうことは、5人に1人は見ているわけで、真似する人が1人や2人じゃなく出てきそう。

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