あさは新次郎のため返事を書き始めます。
と、これがとんでもない悪筆。顔に墨をくっつけるレベルです。
漫画チックですね。
実際には、いくらなんでもこんな奴はそうそういませんからね。
指に墨がつき、それが顔にもって場合はありますな。
あさの性格を抑えられるのはうめだけ
今井家の両親は、姉妹の嫁入りで一悶着。
はつの将来の姑・菊のいけずぶりを心配した梨江は、当初の予定通りのふゆではなく、しっかり者の女中うめを付けようと提案します。
しかし忠興は、あさの無茶苦茶な性格を抑えられるのはうめだけと猛反対。
夫婦は言い争いになり、梨江がついに怒って退座してしまいます。
男尊女卑の時代とはいえ、商家の妻はピシリと夫に意見を言えるわけですね。
そして先週にも描かれた、家の都合で娘の結婚を決める時代でも、【親が子を思う気持ちはちゃんとあった】ということがまた繰り返されます。
優しい両親です。
これを外で立ち聞きしたうめは、自分の体を「柿や桃のようにパカッと半分に割れたらどんなにええか」裂けたらいいのにと嘆息します。
悩んでいるのになかなかユーモラスな言い回しです。
友近さんに合ってますよね。
家族や従業員のためを思えばこそ
忠興は妻の剣幕に「あれほど怒るとは」と呆気にとられます。
あさもそうですが、今井家の人々が本気で激怒するのは、家族や従業員のためを思ってのことが多い。
結束の強さを感じます。
両親の心配も知らずあさは、汚れた顔のまま新次郎への恋文を父親に差し出し、その悪筆ぶりをあきれさせます。
無茶苦茶な筆跡の手紙の内容は、新次郎の様子を尋ねるだけではなく、姉・はつの嫁ぎ先である山王寺屋の様子や、惣兵衛の人柄をも探るもの。
やはりあさは姉思いです。
いったんはあさの手紙を破こうとした忠興ですが、自分のものとまとめて飛脚に託し、大阪へと送り出します。
この飛脚の走り方にご注目。なんとナンバ走りです。
どうしてこういう所作指導を『西郷どん』の殺陣でできないのか。
さらにナレーションでは「京都大阪間の手紙のやり取りが最短でも一日かかる」と説明します。
こういう説明こそ大河でするべきでしょ!
長州と群馬、薩摩と江戸、こういう距離感を瞬間移動させないでくれ。
兄あってこそアホボンでいられる
手紙がつくと同時に加野屋へ場面転換。
新次郎は花を一輪手にしております。
こんな中、随分ノンキだなぁと番頭の雁助もあきれ顔ですが、新次郎だって何も考えていないわけではありません。
病床に花を生け、兄を看病します。
正太郎の容態は一層悪化しており、本人も自らの死後を意識していて、なんとも痛々しいものがあります。
弱気な兄に対し、新次郎は兄あってこそアホボンでいられると語りかけます。
兄の死は新次郎にとってショックであるだけではなく、人生そのものを変えるものです。一見暢気な新次郎ですが、内心の動揺がちらちらと表情によぎります。
あさが新次郎に手紙を出して二ヶ月経過。
その返事も、新次郎の訪問も途絶えてしまい、あさは新次郎の気を悪くしてしまったのか?とガッカリ。
季節は春、雛祭りの頃になっておりました。
確実に嫁入りが近づいています。
差出人は……五代才助って!!
今井家の姉妹は、母とともに雛人形を飾ります。
いいですねぇ~、大店の雛人形。
雛人形を大切にしてきたはつはともかく、人形にチャンバラや相撲をさせてぞんざいにあつかったあさは幸せな嫁入りができないぞと、忠政が孫娘をからかっております。
その団らんに、親戚の商家での半年間にわたる修行を終えた久太郎が戻って来ました。
久太郎、なんとあさ宛ての手紙を持っています。
やっと新次郎からお返事が来たのかと喜ぶあさですが、紙は封筒入りで英語が書いてあります。
差出人は五代才助。
えっ……って、五代さん、何やってるんですか!
なんで異国から届くのかと疑問を呈されますが、本当に心の底から聞きたいですよ、ソレ。
あさが例の台詞「びっくりポンや!」をここで言いますが、びっくりポンとかいうレベルじゃねーぞ。
中身を開いてみると、いきなり「でぃああさ」と天然にもほどがある書き出しです。
しかも五代、洋装の写真まで同封。本当に何やってるんですか。
英国留学中の五代は、ロンドンライフを満喫中の模様です。
自転車に乗る婦人を街の中で見かけたんだけど、なぜかあなたを思い出しちゃったよ、あなたなら自転車も乗りこなせるよ、とか書いています。
意外と自転車の絵がうまいんですね。またいつかどこかで!とか締める五代って、おいおい、本当になんなんだよお!
ま、そうは言ってもこの五代レターは完全にネタ扱いで本筋にも関係ありません。
あさの心は新次郎のもの。
小さなそろばんを作り、お雛様に持たせる表情からは、幸せな結婚生活への期待感があふれているのでした。
ツッコミどころ満載の五代レターは
さて、ここでネタとぶったぎった五代レター。
五代が薩摩スチューデントとして渡英中なのは史実ですが、史実と言えるのはここまで。変名で密航中なのに、本名を書いて脳天気な手紙を書いて少女に送る、ということはまずありえないでしょう。
よく「おまえのような歴史オタクは、史実と違ったドラマは許せないだろう」と突っ込まれるのですが、このツッコミどころ満載の五代レターは別段気になりませんでした。
面白ければ、不快感がなければ、創作として意味があれば、史実からかけ離れていても許容できなければ、歴史系創作なんて楽しめません。
それに、大河と違って朝ドラは、元となった固有名詞を変えて、フィクションを多めにしますと断りを入れています。
その点、大河より縛りは緩いのです。
緩いといっても、モデルの台湾ルーツを消すレベルの『まんぷく』などは絶対に許せないわけで。
設定や史実をイジるにしても、センスが求められるワケです。
にしても、なにゆえ無理に五代の手紙をここで出したのか?
新次郎の手紙と思わせて別人の手紙という構成上のネタ。
五代を積極的に出していく意図。
そして五代のキャラ付けのため――と理由は色々とあると思います。
五代はピストルを落とし、金もないのに居酒屋に行き、そしてこの変な手紙とネタ的な行動ばかりしています。
ちょっと変なネタキャラに設定するとは、なんともまあ豪華仕様です。
ただのネタではなく、史実とあさの日常を繋ぐ役割も果たしておりますので、これからもちょくちょく出てくることでしょう。
楽しみです。
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文:武者震之助
絵:小久ヒロ
※レビューの過去記事は『あさが来た感想』からお選びください
※あさが来たモデルの広岡浅子と、五代友厚についてもリンク先に伝記がございます
【参考】
連続テレビ小説 あさが来た 完全版 ブルーレイBOX1 [Blu-ray]
>moonさん
また、やってまった><;
番組表を確認したのに、日付間違ってたんスね。
ご指摘ありがとうございます!
管理人さん
26日は国会中継が有ったので、7,8話は27日、9,10話は28日に放送予定ですよ(^_^)