先週は嫁ぐ前の心情。
今週はいよいよ嫁いでから新婚の心情を描く展開になりそうです。
あさの場合、のっけから新郎が式を忘れて紅葉狩りに行くというアクシデントに見舞われ、「何アイツサイテー!」パターンになりそうな……。
それにしても、このカップルはなかなかお似合いといいますか。
普通ならばこの時点で「こんなアホボンに嫁がせるわけにはいかん!」と花嫁側がブチ切れてもいいわけですよね。
ところがあさの場合、あさもとんでもないから我慢するしかないわけです。こういう凸凹コンビが案外うまくいくものなんですよね。
玉木宏さんによれば、本作における見所は各人のリアクション対比だそうです。
◆【あさが来た】玉木宏が語る、前半の見どころは「いろいろな“対比”」 | ORICON STYLE
早速これが生きてまして、息子のやらかした事態に父・正吉はいたたまれない様子で焦るのですが、母・よのはひたすらマイペースで花嫁衣装をさわって「ええ生地使ってますな〜」なんて言うのですね。
白岡家の息子たちは、長男三男は父親似、次男は母親似なのではないでしょうか。
今日はえらいまた別嬪さんやこと
あさはむくれてうめに不満を愚痴ると、うめが頭に角が生えてるんとちゃいますかなんてからかいます。
そうこうするうちに新次郎登場。場の空気にうろたえます。
そのくせ笑顔であさに「ようわてのとこ、お嫁に来てくれはりましたな。今日はえらいまた別嬪さんやこと」と言うわけです。
きゅん……っ!
と、これ漫画なら絶対効果音入りますな。
あさのトキメキはうめに伝わって「角消えたんちゃいますか」とまた言われてしまいます。
やっと着替えて席に着いた新次郎は、悪びれる様子もなく笑顔であさに話しかけます。
あさと新次郎、婚礼の場で既に夫婦漫才状態。
忠興はハラハラしますが、勘の鋭い梨江は気があっていると見抜きます。
梨江は本当に洞察力が優れているんですよね。
極力商売に関わらない宣言
それにしても大遅刻をチャラにする玉木宏さんのチャーミングさがすごい。
な、なんというリア充ぶり、そして萌えをぶちこんだのや……と驚愕せざるを得ません。
こういう、どうしようもないけど魅力と愛嬌で許される関西のアホボンを演じるのは相当の才能ですね。
イケメンというだけでは若手の後輩に追いつかれる35歳という年齢で、玉木さんはよくこの役を演じていると思います。
玉木さんのキャリアを見ていくうえで、この新次郎役は演技の幅を広げたものとして、きっと重要なポイントになるのでは?
さて夫婦漫才をしているところで、正吉が新次郎の弟・榮三郎を皆にお披露目します。
長男・正太郎亡き今、榮三郎が跡継ぎになるわけです。
新次郎はあくまで分家に出た身なので、跡継ぎにはならないわけですね。
しかし兄の死は新次郎の立場を変えました。
まだ幼い弟が跡を継ぐのは心許ないわけで、正吉や周囲は新次郎を榮三郎の後見人にしたいわけです。
ところが新次郎は、アホボンやから極力商売に関わらない宣言。
爆弾発言ですが、式の途中ということで正吉はこの場はお茶を濁してしまいました。
よのさんのオカンアートが面白い
式が終わるといよいよ初夜です。
衣装も既婚女性らしく、振り袖はやめ落ち着いた色合いに、髪も簪ではなく櫛を飾るだけのシンプルなりました。
この既婚になると装いが変わるというのは結構大事ですね。
実際はさらに眉を剃り、お歯黒を塗るのではっきりと見た目が変わります。
なぜこんなことを敢えて書くかというと、今期大河のヒロインが未婚既婚見分けがつかない格好でがっかりしたからです。
はい、話を戻して。
着替えたあさの元に、いそいそと姑のよのがお付きのかのを従え入ってきます。
ニコニコと笑顔のよのの手には、犬張り子。
ただのファンシーグッズではなく、安産祈願の願いがこめられた縁起物です。
あさが猫と間違えると、猫を飾ってどうするんやと言うのはそのため。そしてここで新事実が判明します。
加野屋の店先にあったちょっと気持ち悪くてゆるかわいい招き猫は、よの手作りグッズでした。
はっ、よのさん……これ、おかんアートや!
お母さんが趣味で作り始めて気がつけば部屋中それだらけになっている、キルトとか毛糸人形とか造花だらけになっているあれだ!
ハマりすぎてついに自治体の文化祭とかに出品しちゃうやつだ!
うーむ。やっぱり新次郎は、こういう趣味に没入するところが母親似なんではないだろうかとますます確信を強くしました。
よのさん、おもしろいですよね。現代にもいそうな感じがあります。
そして美術さんグッジョブ!
あのゆるキモ招き猫、気になっていたんですよ。
『あまちゃん』の潮騒のメモリーズ看板もそうですが、このかわいらしいけどどこか垢抜けない、素人くささを残した小物好きなんですよね。
「流れに身を任せるだけです」と雑なマトメ
本編に話を戻すと、犬張り子をバッチリ作るくらいのよのさん。
孫の顔を早く見たくてたまらないのか、セクハラの五歩手前くらいのところで踏みとどまりつつ、「あんじょうやりなはれ」に深〜い意味を込めて言い残し去って行きます。
そしてうめも、そういえば床入りについて指導せねばと思うわけです。
NHK大阪が今、(放送当時は)三連休の朝に、思い切り攻めの姿勢を見せているッ!
今何かと話題の春画なんかも、ただのポルノではなくてこういうためにあったなんて言われておりますが、流石にそんなものを映すわけにもいかず、うめは「流れに身を任せるだけです」と雑にまとめます。
遊び慣れた新次郎さんのリードに任せればよいと思う判断はさほどおかしくないでしょう。
ただ、うめの目をもってしても、それを上回るあさのボケっぷりは見抜けなかっただけで。
そしていよいよその時が!
リア充新次郎、あさを褒めつつぎゅっと抱きしめ、帯に手をかけます。この慣れた感じが朝にこれでいいのかと生唾を飲み込むレベルの色気。
NHK大阪ァーッ、やってくれおったわーッ!
【悲報】ヒロイン、初夜の床で夫を上手投げ
それにしてもこのゴリゴリ迫る新次郎。
まさに少女漫画的です。
壁ドンが流行っているとかなんとか言われていて、それを真に受け雑な河原ドンをやらかして失笑を買った大河ドラマが今年ありましたが(第二回)、壁ドンはともかくドンするものではないんですね。
既にヒロインが気になっている素敵な異性が、やや強引に迫ってくる。
その状況が「ドン」なわけであり、ただやみくもに壁に手をつけばいいってもんじゃないでしょう。
で、新次郎はまさにこの正しい「ドン」で迫ります。
が、しかし!
朝ドラの極限まで迫り、切なげなピアノが流れていたと思ったらなぜかここで拍子木を打つSEが。
「そいっ!」
【悲報】ヒロイン、初夜の床で夫を上手投げ
というまさかの超展開。
新次郎は小指をくじき、亀助やうめまで慌てて駆けつけ、要するに床入りは大失敗しました。
NHK大阪……ギリギリまで迫りこの展開。やりおるわ。
そしてここで一週目からくすぶっていた新次郎ロリコン疑惑はきっぱりと否定されます。見た目は大人でも、中身は子どもとわかった新次郎は花嫁に急激に興味を失ってしまったのでした。
さて、あさと新次郎がすったもんだの夫婦漫才を地でいく展開をしているころ、山王寺屋に嫁いだはつは……。
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文:武者震之助
絵:小久ヒロ
※レビューの過去記事は『あさが来た感想』からお選びください
※あさが来たモデルの広岡浅子と、五代友厚についてもリンク先に伝記がございます
【参考】
連続テレビ小説 あさが来た 完全版 ブルーレイBOX1 [Blu-ray]
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