ゴールデンカムイ アニメ感想あらすじ 第二期20話「青い眼」

本作って恐ろしいなあと思う点があります。

【キャッチーでそちらに注目が集まる場面と、重大な伏線をセットにすること】

これは前回と今回で感じます。
振り返ってみると、本作は丁寧に伏線を構成しておりまして、なるほどと唸らされることが大変多いのです。

あとから見ると、はっきりと先の展開がわかったのだなと感じてしまう。
しかし、鑑賞直後には気づかないことが多い。

なぜなら重要な伏線とキャッチーな場面がセットになっているからなのです。

前回ですと、尾形の衝撃的な回想シーンの箸休めのような、おおはしゃぎする鯉登。
前回書きましたけれども、コミカルな鯉登の場面にも、あとにつながってくる重要な要素があったと感じています。

バッタだーッ!『三国志』でもキツイよね

さて、今回前後でカットされていると思われる描写は、稲妻強盗とお銀関連ですね。

刺青人皮入手枚数は、杉元、土方、鶴見と各陣営で大幅に減っております。
こうなってくると、メインプロットの金塊争奪という目的すら、本当にそれが達成出来るのか、重要であるのか、疑念すら湧いてくるわけです。

今回は、アシリパのマンボウクッキングからスタート。

マンボウって実は好きなんですよね。
水族館の水槽前でボケーッと見ていたいほど。あ、でも確かにこうして上に乗ることができればおいしそうだし、楽に食べられるなぁ。

一方で、セクシー谷垣はインカラマッにボタンつけをしてもらっております。

そこへ、アイヌの老人がラッコの肉を持参して来ました。
ラッコの毛皮は、アイヌにとって重要な交易品です。この肉は夫婦で食べるんだぞ、とのこと。

インカラマッはハマナスの実を取りに、ちょっと恥ずかしそうな顔で立ち去ってゆきます。

そうしてのんびりとしておりますと、空を覆い尽くす黒い雲が!
飛蝗ですね。

『三国志』でも、「ギャー! イナゴだぁーッ!」という場面がありますよね。
コーエーのゲームでも辛かった。
イギリスを舞台としたジェレミー・ドロンフィールド『飛蝗の農場』というミステリも面白かったなあ。

こうなってしまうと、農作物も家屋も甚大な被害を受けてしまいます。

杉元、谷垣、白石、尾形は近くの小屋に避難。
インカラマッは、アシリパの小舟に乗って難を逃れます。

セクシーなラッコ鍋だーッ

このあと、本作でも屈指のセクシーシーン「ラッコ鍋」が入ります。

姉畑支遁はカットですが、こちらは生きてくるとは……理由を推察しますと。

・ラッコ鍋はともかく、同時進行のアシリパとインカラマッの場面が必須だから
・セクシーさに着目させ、伏線をぼかす

あたりが理由かな?

ラッコ鍋を食べた四人、そしてここに来たキロランケは、互いのセクシーさにメロメロになってしまいます。
何度も言いますが、マタギのセクシーさは職業的な祝福なので!!

マタギが凄ぇ理由がわかった!ゴールデンカムイでも存在感を放つ山を知り抜く猟師たち

ここもただのセクシーさで面白いなあ、と言ってしまうのは簡単ですが、性別逆転すると不自然なセクシーさってあると思いますね。
女子更衣室で、下着姿のままキャッキャするとか。

それをあえて男同士でやるところ、それが本作の個性なのでしょう。

「第七師団でラッコ鍋を食べたらどうなるかなあ」
そんなことを考えてしまう人に、ちょっと史実的根拠でも。

薩摩趣味(薩摩の男色)を大河ドラマ『西郷どん』で描くことはできるのか?

明治維新後、薩摩閥の影響で男色はむしろちょっとしたブームになります。

そりゃあ薩摩隼人の鯉登、鶴見のブロマイドを見て顔を赤らめるわ……。

ただし、本作の少し前の明治30年代になりますと、世間を騒然とさせるような事件が発生し、男色は下火となっております。

ウィルクの記憶、樺太の歴史

アシリパは、インカラマッから父・ウィルクの話を聞きます。
しかし、どうしても彼女を信じることが出来ない。インカラマッは「網走監獄の“のっぺら坊”がアシリパの父ではない」という根拠を語ります。

ウィルクは、帝政ロシアによって投獄されたポーランド人と、樺太アイヌの母を持つ人物でした。
アシリパの青い眼は、この父と同じものです。

ポーランドは、その位置と規模ゆえに波乱の歴史を歩んで来た国です。
東西の狭間にあるこの国は、常に巨大なロシアの圧迫に苦しんできました。

ショパンやズブロッカを産んだ国・ポーランド 日本人には馴染みの薄い混乱の歴史

このあたりも凄いです。

樺太が今後の歴史で重要視される。
日本史において、確かに存在した樺太——その存在感はあるとは言いがたいものです。

「へー、樺太って日本の領土だったんですね!」
という素っ頓狂な驚きすら、聞いたことがあります。

その樺太を取り上げるということ。これは本作の意欲が見えてきますね。

なぜなら日ロ関係史も扱わねばなりません。
これはもう相当に大変なことです。

大河ドラマすら明治政府が直面した領土問題は取り上げません。
西郷隆盛は樺太についてかなり関わっておりますが、『西郷どん』では全く出てきませんでした。

そんな関係史を記事にまとめております。

江戸~明治の日露関係史はアイヌを見落としがち!ゴールデンカムイを機に振り返る

樺太(からふと)の歴史は“無関心”の歴史 ゴールデンカムイの舞台に今こそ刮目せよ

 

 

南樺太の歴史~戦前の日本経済に貢献した過去をゴールデンカムイから知ろうではないか

 

少女の悲恋

現在のアシリパと同年代だったインカラマッは、ウィルクに淡い恋心を抱いていたのでしょう。

そんな彼女の話に、アシリパは怪しいと反発します。

このアシリパの心理が、切ないのです。
父であるウィルクは、自分の母から北海道アイヌの知識を得たはず。ところがインカラマッの話が真実ならば、母の前に彼女が父の前にいたこととなってしまいます。
いわば両親の愛や思い出に傷がつけられるようなもの。

そしてもうひとつ。
インカラマッは、ウィルクにとって子供に過ぎなかったから、忘れ去られたのだと。

成人男性にいくら恋心を抱いたとしても、彼にとって所詮は子供で、いつか忘れられてしまうかもしれない。
インカラマッの涙は、少女の悲しい恋をあらわしているかのようです。

そしてこれはアシリパもそう。
杉元に、ただの友情以外の何かを感じつつある。
けれども成人男性の杉元は、彼女を子供扱いしてしまう……少女の恋は悲しいものです。

そしてここが本作の良心的なところです。

「少女でもいいんだよぉ〜〜ん!」
と、ウィルクでも杉元でも、スケベ心丸出しでいたら、それはそれで大問題ですから!

この後、インカラマッは衝撃的なことを言います。
ウィルクは、かつての仲間であるキロランケに殺されたのだと(次ページへ)。

※うわぁあああああああ、金カム、見逃してしもたっ><;
って、方はPC・スマホでゴールデンカムイ見放題のFODがありますよ


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1 Comment

まめしば

単行本で読んでいた筈なんですが、もうこの時すでにこいつらーーーと、愕然としました。

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