あさが来た 90話 事件と千代で多くの歪みが生じている

今朝はアバンで、炭坑で働くあさの様子がちらっと入ります。

あさの顔アップと鉱山のイメージだけで「予算がもう尽きたので、お察しください」状態。
大阪までやってくる宮部以外、鉱山のキャストは再登場なしとのことです。

アバンの中で、商人の一人がさらりと国会開設について触れます。
それも開拓使払い下げ事件が関与していた政争の結果ですが、突如ポコッとできたように言うのもなぁ……。

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「九転び十起き」というよりラッキーガール

あさの新しく買った鉱山はいきなり石炭が大量に出たそうです。
雁助は「ほんまに運がええ奥さんやなあ」とつぶやきます。

あさの「九転び十起き」ぶりは最近あまり見えなくなってきました。
むしろ希代のラッキーガール、五代の後ろ盾もあって大阪商人すら恫喝できる存在になってしまいましたね。それでいいのかな、とは思うんですけれども。

あさがそもそもこんなに大胆なことができるのも、明治の上昇気流に乗れたという部分も大きいですね。

アバンのあと、美和のレストランで、五代は新次郎と話しています。
新次郎は誰に言われても働こうという気は起きなかったのに、千代になぜ働かないのかと聞かれ、胸にぐさりと来たとこぼします。

微笑ましいといえばそうですが、何を理路整然と主張してもスルーされる大人の雁助と、甘やかされまくって思いつきで何か言っただけで周囲が動かせる千代を比べて、なんだかなー……と思ってしまいます。
まぁ雁助に感情移入しすぎと我ながら思いますが。

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五代の検証は不十分なまま終わりなの?

子どもは可愛い。
それはもう、そうに決まっています。

しかし千代は、幼少期のあさのように教育をされている雰囲気がなく、いつ見てもたしなめられずダダ甘やかされていて、何かすっきりしないまま見てしまいます。
もうひとつ千代が不自然なのは、口を開けば、親を困らせるようなことばかり言うことです。

そんなワンパターンの千代との対話の合間に、五代の事業はナレーションでぽっと挟まれるだけという……。
五代のちゃんとした出番は新ちゃんとビール飲んでだべっているだけになってきています。

五代の検証もシッカリやってくれるドラマかと思ったんですが、このまま退場だと事業の取り組みは不十分なまま、あさを褒めるおもしろキャラだけになってしまうような……。

そこは各自調べろ、ということですかね。

五代友厚(才助)49年の生涯をスッキリ解説!西郷や大久保に並ぶ薩摩藩士の実力

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千代のことで悩む姿ばかりじゃないか

あさも最近、商売の場面が数カットだけ。
会話で説明、ナレーション処理になってしまっているんですよね。

千代のことで悩む姿ばかり。

短冊を見て千代に申し訳ないと泣くあさも、BGMで盛り上げて感動させたいんですけど、なんかそういうキャラだっけ?という違和感の方が先に来てしまいます。
西日の射す照明効果も、波瑠さんの演技も頑張っているのに、肝心の脚本がお粗末で追いついていないのでは?

昨年の七夕の短冊が燃やされるとか、川に流されずに残っているのもおかしいのですが、問題はもっと深い気がします。

あさからプライドが感じられない

あさは自分が好きな仕事を、胸を張ってこなすという設定でした。
史実も原案もそうです。

ところがここに来て、そのプライドが千代のせいでずたずたにされている気がします。

子どもができての変化ということにしたいのでしょうが、同じように誇りある働く女性であった糸子(『カーネーション』)、夏ばっぱ(『あまちゃん』)を思い出して下さい。
子どもの人生は子どもの人生、それはそれで自分は自分の仕事に、自信を持って取り組んでいたはずではないですか。

千代はなぜそこまで母親と遊びたがる?

新次郎、よの、かよ、さち、使用人の子どもたちまでべったりと遊びにつきあっているのに、それでも足りないわけですか?

この前まで
「母でなくても父が愛情を注げばよい」
と描写しておいて
「やっぱり母親でないと駄目」
とはどういうことですか。

そもそも子どもって、ある程度大きくなれば同年代の子どもと遊ぶのが一番楽しいものではありませんか?

もう小学生くらいに見える千代が、いつまでも母親と遊びたいと思うのは不自然ではありませんか?

母が在宅=子どもと遊べるという発想の貧困

あさの子ども時代を思い出してみてください。
母・梨江が我が子と遊ぶ場面があったでしょうか?

むしろ遊び相手は隠居して暇をもてあましている祖父・忠政でした。

梨江には梨江の仕事、女子衆をとりまとめる、家事を取り仕切るという役目があり、べったりと子どもと遊んでいるわけではなかったのです。

あさは子どもと遊べない自分は酷い母親だと思って泣いているのでしょうが、梨江もはつも子どもと能天気に遊んでいる余裕なんてないでしょう。
「子どもと遊ばない母親は駄目なんだ」というあさの思い込みはどこから?

放置された千代の教育

あさの同年代と比較して、千代は教育面でおざなりだと言わざるを得ません。
親は往来を塞いで遊ぼうが、失礼なことを言おうが放置していますし、そろそろ字も読める年頃なのに何を教えようともしていません。

あれだけ女子にも教育が必要と繰り返しておきながら、あさが千代に関しては「遊べないこと」を気に病むのはおかしいのではありませんか?

これから教育者になるのだから、余計おかしいと感じます。
あさのようにお琴を習うことはなくても、そろばんや英語教育あたりを勧めてもおかしくない気がします。

あさが「私は駄目な母親だ」と悩むのであれば、教育放置についてではないでしょうか。
自分が面倒を見られなくても、甘やかしスポイルしそうな父や祖母から離して、教育係をつけるくらいしてもよさそうな気がします。

千代役の子はかわいらしいし、何も悪くはありませんが、脚本がおかしくなってきている。
結果的に千代が「ドラマクラッシャー」になっている気がします。

成長にしたがって、千代は視聴者から嫌われるキャラになりそうな予感がひしひしと……あさの事業展開を放置して、千代のコイバナでまるまる一週間とかかましたら、確実にそうなるのでは……。

『マッサン』のエマも同じような鬱陶しさがありました。

こうなるとNHK大阪は、親子の繋がりについて
「ワガママを言う子どもに振り回されては悩む」
そんな描写ばかりなのかと思ってしまうんです。

ここは『カーネーション』あたりまで戻って欲しい。

一方、五代は、美和のレストランで体調が悪化。
いよいよ最期の時が迫ります。

来週は今週落ちたクオリティが元に戻って欲しいものです。

総評

うーん、なんだか作中のあさに、
「これだけおもしろがって褒めていたのに掌返しか、あほんだらだす! 武者は、そないな風見鶏なしになってしもたんだすか!」
って、罵倒されそうなレビューですよね。

本当に申し訳ない。
しかしやっぱり今週は
「もうええですわ! 勝手に破綻したらよろし!」
と言い返したくなるような要素が多かったのです。

・『花燃ゆ』でやらかしていた瞬間移動のような旅の描写
・ドラマクラッシャー千代爆誕の予感
・千代のせいであさのキャラまで崩壊
・別離の伏線となりうる雁助の扱いがぞんざい問題
・そして開拓使官有物払下げ事件はこれまた『花燃ゆ』ルート

そんな魔の一週間でした。
特に開拓使がらみで、その場にいたキャラ全員がおかしくなってしまったのは、もう唖然としましたよ。

熱演とBGM、演出で感動させるようにはしています。
作劇的にはうまいんです。

だからこそ悪質でした。

この開拓使官有物払下げ事件は、調べようと思えばできます。
私なりに、噛み砕きに噛み砕いて譬えたいと思います。

今回の劇中での事件を説明するうえで、今で譬えるならば何か考えていたんですが、東京五輪エンブレム問題ではどうか?と思いつきました。

・審査の過程が不透明
→たとえ黒でなくても、濃いグレーであっても糾弾や批判の対象になりえます

・不正な受益者がいると周囲に思えている

・社会に蔓延している疑う空気
→エンブレムは東京五輪への不信感、この場合は薩摩への不信感

・人柄を知っているなら悪人でないとわかるはず、あなたに何がわかるんだという、騒動渦中周辺からの逆効果にしかならない反論
→そういう問題じゃないんだよ

・マスコミの伝え方が悪いと炎上側は感じている
→マスコミにも問題はあるだろうが、マスコミだけが炎上を発生されているわけではない

・当事者の過去の実績よりも、今回の事件の方がクローズアップされてしまう
→五代友厚という人物の不幸は、活躍がローカル単位であるの対し、汚点が全国単位、しかも「明治十四年の政変」という重大事に直結する事件だったということでしょう。汚点が功績を覆い隠している部分があるわけです。しかしだからといって「開拓使官有物払下げ事件」が無効化できるわけではありません

こんなところでしょうか。

果敢な挑戦なれど描き方がおかしい

マトメてみますと、事件そのものを扱ったことは果敢な挑戦ですが、やはり描き方はおかしい――それに尽きると思います。

仮の話ですが……。
百年後にエンブレム騒動がドラマになって、登場人物の一人が
「パクリだなんだと騒ぐ世間の連中がいなければ、素晴らしいエンブレムで皆儲けられていたのになあ」
なんて言っていたらどうでしょうか?

パクリはなかったにせよ、経緯が不透明だったことは確かなんだ、と言いたくなりませんかね。

もうひとつ五輪がらみで譬えます。

「建設に1400億円かかった新国立競技場だが、五輪のあとは赤字だらけに。15年後、政治家Xと懇意の実業家Yに、経緯不透明のまま39億円という破格で譲渡されることが決まった」

これならどうです?
いくら赤字が出ているとはいえ、税金を使って建てたものがそんなコネまみれの相手に格安で売られたら、やっぱりおかしいと思いませんか?

そりゃあマスコミだって、報道しますよ。

この経緯が百年後のドラマに出て、
「Yさんはいい人なのに、マスコミがおもしろがって叩いているだけです」
「Yさんへの御恩を忘れて叩くとは、どういうことだ! あほんだら!」
とかそんな風にされていたら、どうでしょうか。

五代友厚の功績は、汚点があっても消えるものではありません。だからといって、功績があるから汚点をチャラにできるわけでもありません。
そこはちゃんと冷静に見ないと。

今週は魔の週だった【朝ドラで政治がらみを扱う】のは無理と流して、来週からは楽しみたいですね。

新キャストも発表されました。

◆「あさが来た」新キャスト発表!高橋英樹&松坂慶子が大隈重信夫妻 ― スポニチ Sponichi Annex 芸能

どこかで見た顔が多いような……お詫び出演かな。と、そんなことはさておき、大隈重信ですか! うーん、今週出してもよかったんじゃないかな。

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文:武者震之助
絵:小久ヒロ

※レビューの過去記事は『あさが来た感想』からお選びください

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あさが来たモデル広岡浅子と、五代友厚についてもリンク先に伝記がございます

【参考】
連続テレビ小説 あさが来た 完全版 ブルーレイBOX1 [Blu-ray]→amazon link

 

1 Comment

まゆ

どのドラマも子どもとの関係になるとぐちゃぐちゃ!

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