あさが来た 30話 感想あらすじ こんな絆もあっていい

この期に及んで家出だと!?

次は眉山家の場面です。

はつの体調不良はいよいよ深刻なものとなっているようです。

栄達は月代も剃らずにボサボサ頭、菊も同じ着物をずっと着たっきり。
菊は体調不良の原因が妊娠と気づき、今更そんなことになってもと皮肉な笑みをもらします。

確かに皮肉ですな。
山王寺屋が健在だったころは、おまえの唯一の仕事は子作りだと閉じ込められていたのに懐妊せず、一家を支える働き手となってから妊娠ですから。

はつは妊娠を惣兵衛に知らせようと探しに行きます。

手伝いに来たあさと探したはつの目にとまったのは、置き去りにされた惣兵衛の天秤棒。
ナレーションで惣兵衛がこの日から失踪したと語られます。

ああ、頼むからこれ以上、はつさんを苦しめないでください……。

総評

もし本作にはつと惣兵衛夫妻がいなかったら?

実は原案では、姉夫妻はほとんど出番がありません。
それも無理のないところで、はつのモデルとなった人物は、ほとんど語られることのないまま夭折しているのです。

ところが本作でこの二人がいないとなると、成立しないことが今週でわかりました。

はつあってのあさ。
あさあってのはつ。

そんな姉妹の絆がテーマの今週。あさのサクセスストーリーなら不要な週なのです。

でも物語としては必要。
宮崎あおいさんの演技の素晴らしさが際だっていました。

本作で描かれるはつの運命は、幕末維新という時代の狭間に消えていった人々へ捧げる物語のようにも思えます。

失敗した、時代が読めなかったと切り捨てられてしまう人々も、一生懸命生きていました。
無名の人々をすくいあげる優しさは『タイムスクープハンター』にも通じるものもあります。

絆といえば、大阪商人と五代の関係もそうでした。

「とにかく偉くて素晴らしい五代様が、愚かな大阪商人どもを教え導いてやる」
そんな傲慢さはゼロ。

薩摩弁をやめて関西弁を使い、ルー語という欠点はあれど辛抱強く語り合う五代。
共に歩む彼の姿、そしてそんな彼に感激して
「新政府で唯一大阪のことを考えてくれている」
とまで言うようになる商人たち。

ジーンと来ました。

彼の過剰演出にはウザイとか変人という感想もありました。
その気持ちもわからなくはないのですが、大阪商人との交流が深まるとそのウザさも薄まってきた気がします。

船場締めのあたりではもう五代の不在を想像して寂しさすら覚えました。

そこに来ると実はちょっと足踏み気味なのはあさ本人です。
炭鉱の話は行き止まり、新次郎との関係にも暗雲が立ちこめています。

これは来週以降動くようです。
「妾」とか「愛していますか」とか何やら気になる言葉も飛び交う予告編。
さあどうなるのでしょうか。楽しみです。

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文:武者震之助
絵:小久ヒロ

※レビューの過去記事は『あさが来た感想』からお選びください

あさが来たモデル広岡浅子と、五代友厚についてもリンク先に伝記がございます

【参考】
連続テレビ小説 あさが来た 完全版 ブルーレイBOX1 [Blu-ray]

 

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