夫婦愛の物語としてスッキリ描くため!だと?
はい、ここでニュースを。
◆朝ドラ「まんぷく」萬平が3度目逮捕ってアリ? 本物のモデルも3回刑務所に?
こちらのニュース、もう問題外です。
百福氏はもともと台湾に生まれた。戦争中は「植民地人」として差別される立場もあって、「軍の物資」横流しという冤罪を着せられた。しかし、戦後は「戦勝国民」として逆に羽振りがよかったことから、逆に日本人同業者から恨みを買う立場になったようだ。「まんぷく」ではそうした複雑な背景を省略、夫婦愛の物語としてスッキリ描いている。
複雑な背景だと?
夫婦愛の物語としてスッキリ描いている、だと?
違うでしょ。
差別なんか見たくない――そういう層への迎合でしょ。
まさかここまで差別性に満ちた文章を、この編集部の一存で書いたんでしょうか。
この文言、公式サイトの宣言とほぼ一致します。
つまり、NHK公式スタンスなんでしょうね。事前にソースを貰って記事化するだけの単純なお仕事ってやつでしょうか。
既に燃えつつある、台湾ルーツ削除という【ホワイトウォッシュ】もどき問題。
それを、公式では
「夫婦愛の物語としてスッキリ描くため!」
と、言い切るわけです。
ちがうでしょ。日本にある外国人差別をごまかすためでしょ。そういうのって卑劣ではありませんか?
百歩譲って、それでストーリーがおもしろくなっていたら、まだマシです。
しかし、本作はそういうルーツ問題を消したばかりに、不自然さと時代考証ミスが悪化するというマヌケぶりを発揮しています。
台湾ルーツ削除の時点で、本作はお話になっていないのです。
ブス呼ばわりが「コミカルなシーン」問題
もう一本。
◆NHK連続ドラマ小説『まんぷく』の「美代子・タカ美人論争」に批判 女性差別との声も|ニフティニュース
現在、ドラマは萬平逮捕の影響から東京支社が閉鎖され、今後、ドラマに美代子が登場する可能性は低く、不毛な「美人論争」には一旦の終止符が打たれることになっているが、コミカルなシーンも「やりすぎる」とイヤミに聞こえるということか……。
は?
女性をブスブス呼ばわりするのが「コミカルなシーン」だと?
これが、
「どちらの男の頭髪が薄いか?」
だったらどうでしょう?
それでも面白いなあ〜コミカルだな〜って言えますかね。そう言えるのならば、ある意味一貫性があります。
容姿をいじるネタ。もうそういうのが通じるのって、日本くらいですよ。
◆女芸人のブスネタが通用するのは国内限定。アリアナ・グランデ「近藤春菜はすごくかわいい」
最近もこんな話が。ありました
◆ジュード・ロウとエディ・レッドメインが困惑した日テレ『シューイチ』のヤバい質問
「『シューイチ』女性メンバーのなかで映画デートに行くなら誰がいいか?」
来日歌手や俳優が思い切り困る、固まってしまうわけ。
こんな差別的なネタをコミカルと言い張るのって、もう世界的に見て恥ずかしいのです。
先日、友人が真顔でこう言っておりました。
「以前は好きな俳優が来日するとうれしかった。今は違う。日本のテレビがバカげた質問をして困るのかと思うと、むしろ来ないで欲しい」
まあ、そうなりますわな。
いったい誰に向けて流しているのだ?
こちらも炎上していますよ。
◆「ちょうどいいブス」は処世術だが女性蔑視でもあり、呪いでもある
つまり、このニュースは間違っています。
コミカルなシーンも「やりすぎる」とイヤミに聞こえるということか……。
そもそもコミカルじゃない。
これは、言い換えればこういうこと。
ガマガエルも、「食べすぎる」と毒になるということか……。
食べ過ぎも何も、一口でもダメ。だって毒入りなんだから!
こんな場面、もうどうしようもなく古くさくて、ダサイと気づきましょうよ。
あと、やっぱり女性蔑視です。
『半分、青い。』でのヒロインや女性脚本家の生意気とされた言動やへの怒りは、「とんでもないことだ!!」と大仰に叩かれていましたよね。
ネットニュースの反応から、古くさい差別や偏見、#男女格差110位ショックを学べるとはね。
こんな古くさい価値観を垂れ流していたら、どんどんエンタメが駄目になって、若年層がテレビなんか見向きもしなくなりますよ。というか、かなりそういう動きが顕著になってますが。
それにしても、本作は奇妙です。
朝ドラといえば、かつては専業主婦、中高年齢女性の娯楽という意識がありました。
大河は男のもの、朝ドラは女のものという意識です。主人公の性別も、そういう傾向があります。
ところが本作は、高年齢男性のウケを狙うような描写が目立ち、女性をイラつかせるような、シャドウワーク軽視やセクハラめいた描写が目立つのです。
朝ドラ視聴者のシフトを意識してのことでしょうか?
リタイア後、家でゆっくりしている男性層を狙ったとか?
そういう作りにしつつ、女性層への保険として、現役ママとイケメンセクシーシーンを投入すれば大丈夫とタカをくくったとか?
まあ、そんなもん失敗するはず。
頼りの視聴率もジリ貧。今週で折り返し地点くらいですから、もはや挽回は不可能でしょう。
※スマホで『半分、青い。』や『八重の桜』
U-NEXTならスグ見れる!
↓
文:武者震之助
絵:小久ヒロ
※レビューの過去記事は『まんぷく感想』からお選びください
※まんぷくモデルである安藤百福の記事、ならびにラーメンの歴史もリンク先からどうぞ!
数字も時系列も人間関係もよくわからなくて話もおもしろくなくて混乱します