わろてんか43話あらすじ感想(11/20)イメージ過保護は逆効果

時は明治。
日本一の「ゲラ(笑い上戸)」娘ことヒロインのてんは家を捨て、船場の米屋・北村屋の長男藤吉のもとへと嫁ごうとするものの、藤吉の実家で姑の啄子からは認められません。

そうこうしているうちに、藤吉が詐欺に引っかかり北村屋は倒産。店も家を失います。

藤吉とてんは、てんの実家藤岡家から五百円(現在の貨幣価値で五百万円)を借りて、寄席小屋を買い取り、寄席「風鳥亭」開業にこぎつけました。
コネやら宣伝やらを駆使して、ようやく軌道に乗りそうな「風鳥亭」です。

 

寺ギンへの手数料が高すぎていつまでも苦しい経営

本日は先週のダイジェストから開始。
ただし、栞のコネを頼るところ、文鳥関連はカットされています。このはしょり方ならば、てんと藤吉が正攻法でやっているように見えなくもありません。

一向に伸びない売り上げに、ため息をつくのが啄子です。
てんは妹・りんからの手紙を受け取り、りんが無事祝言を済ませたことを喜びます。

りんに先を越されているようでは、と焦る藤吉。啄子はてんの実家に借金も返せないし、北村屋の名も宙に浮いたままや、と困り顔です。
これは啄子の感覚が正しいのであって、いつでもヘラヘラしているてんがなんだかなぁ、と……。

なぜに経営がこれほど苦しいのか。答えは単純。寺ギンに売り上げの七割を持って行かれるからです。

藤吉は暗い湿気た顔でそのことを愚痴愚痴言うばかりです。
ただ、それは、コワモテの寺ギン相手に少しも交渉せず、ぼさっとそのまま条件を呑んだのが原因であって。

そもそも寺ギンだって、7:3というのは、ある程度吹っかけた数字だったのでは?

例えば、
「まずはなんとか6:4でお願いします。そして売上を伸ばしますので、そうしたら5:5にしてもらえませんやろか? もちろんそのときには寺ギンさんへの実入りも確実に増えてます」
と、期間を区切って平均売上を算出し、目標の数値を提案。お互いに「儲けましょ」というスタンスで交渉に臨むのが一般的なハズ。

もしも小屋の経営が立ち行かなくなれば寺ギンの売上も減りますし……って、そうなったら寺ギンも小屋を買い取る気? それが狙いだったりして。

ここで最も魅力的なのは啄子でして。
一人鏡に向かうと、海外からの絵葉書を前に何か決意を固めます。さて、この滝のうつった絵葉書は誰からだったのでしょうか。

 

キースや万丈目が売上をチョロまかそうとすると……

一方、客入りがよくなったとウキウキ浮かれるキースや万丈目たち。
一応このトリオに入っているはずの岩さんが、毎回目立たなすぎて気の毒です。台詞の一つぐらいあっても良さそうなんですが……。

寺ギンには適当に誤魔化せばいい、と売り上げを直接誤魔化そうとするキースと万丈目。藤吉は厳しく止めるようなこともしません。

そこへお茶を持ったてんが登場し、頃合い良く寺ギンもやってきます。
ここから長いこと、寺ギンの目を誤魔化して金をちょろまかそうとするキースと万丈目が描かれます。

おそらくや今朝の笑いのポイントはここなのでしょう。
カメラが固定されていて、焦るキースを天井から見下ろすような目線になります。

この場面は演者のお笑いセンス、スキルが露骨なまでに見えてしまって辛い。
ニュースでも「彼の出番は安心できる」と書かれる藤井隆さんは、流石の安定感です。

NHK「わろてんか」の藤井隆に称賛の声「安心して見ていられる」

兵動大樹さんの貫禄も凄まじいです。
二人の「金を持ってない言うなら跳んでみいや」からの、跳んでみてチャリーンと金の音が鳴る場面は、お約束ながらちょっと笑えました。

 

そこは全力で庇い立てしてもよかったのでは?

そもそもです。将来売れっ子になる人物(キース)に、お金をチョロまかせる役どころは振らず、別のキャラに任せたほうがよかったのではないでしょうか。

藤吉は「すまん!」と謝るだけ。
なんだか寺ギンが相当ガメついように見せておりますが、ビビって交渉もせず、演者たちのギャラが据え置きなのは藤吉たちの責任なワケであって(´・ω・`)

てんは「どういうことやの?」と、ちょろまかそうとしたキースと万丈目に怒ります。

その前に誤魔化していないと寺ギンに断言していたため、バツが悪いというのはわかります。

それにしたって、その場に居合わせたてんもチョット冷たいのでは……と感じてしまいました。

確かにキースたちの悪ノリも痛いです。
が、例えば
「たしかに風鳥亭は端席かもしれませんけど、売上をチョロまかすような真似は絶対しません! ウチの芸人さんたちにそんな性根の人は一人もおりません!」
と彼らを全力でかばう姿勢を見せておけばいいのになぁと感じてしまいました。実際は、冗談で懐に入れてるワケですけどね。

まぁ、それがバレたときには、てんも涙の一つでも流しながら、全力で謝罪すればよいワケで。それが将来「旦那はボンクラやけど、お母ちゃん(てん)のために頑張るわ」と繋がったりする可能性もあるでしょうし。

ただ、この一連のシーンが「笑いを狙っている」のだとすれば、もうお手上げですが。

 

客の回転率を上げる秘策とは?

寺ギンへのギャラ支払いがかさみ、思うように利益が伸びない風鳥亭。
ここで亀井が、客の回転率をあげる秘策を提案します。

火鉢で場内を暑くして、わざと出て行かせたり。
ローテーションを短くして、客にもう一周させたと思わせたり。
要は、姑息な手です。

しかしこれがやり過ぎでして、かえって客は減ってしまいます。

「な、あかんやろ」
ここで悪ノリをしても茶目っ気のある内場勝則さんは流石ですね。

ところが無策のてんは表に走り出し、客引きをします。
「風鳥亭で~す! おもろいでっせ~」
うーん、結局、それ?><;

困ったわ……と湿気た顔で言うばかりの藤吉。なんとなかると繰り返すだけのてん。
もう彼らに打開策を期待するのは無駄なのでしょうか。

トボトボと長屋に戻ると、啄子のお説教タイム。

「商いの道は信用が何より大事! 信用を失うようなことをしてどうする!」
啄子はそう二人を叱りつけると、風鳥亭の半纏をまとい、颯爽と立つのでした。

啄子さんは格好いいと思います。
が、ここで立ち上がるのがてんではなくて、啄子なんですか。てんの存在意義は一体どこへ?

半纏だけではなく主人公の座も、存在意義も、てんから啄子に移ってしまったのでは?

 

今回のマトメ

ええっと……今回はものすごい問題行為を見てしまいまして。
ちょっと怒りで目の前が暗くなってしまいました。

どこかというと、わざと寄席小屋を暑くするところ、ローテーションを短くするところですね。

ここそのものが悪いわけではありません。問題は、亀井のせいにしているところ。

これを実際に発案して実行に移したのは、吉本せい自身です。
火鉢までは置いていませんが、寄席小屋はぎゅうぎゅう詰めですので、夏場は換気を十分しなければ、不快度指数がかなりのものになるのです。

その他にも雨の日は、雨宿り目当ての客がいるから入場料を割高にするとか。
限界まで客を押し込めるとか。
そういうことは、劇中の台詞でもあるように実際どこの寄席でもやる、グレーゾーンの工夫でした。

それを現代人からみると不愉快だからと、てんにやらせず亀井に押しつけて、さらに啄子に叱り飛ばさせるわけです。
てんも止めないでボケーッと見ていたわけだから、同罪の気がするのです。

亀井の発案にしたのは、おそらく、てんをクリーンなイメージで守っておきたいからでしょう。
キースと万丈目のネコババ場面にてんを居合わせず、さらにそのあとてんを怒らせたのも、そういうことでしょう。

その程度の意識ならば、なぜ吉本せいや吉本興業をテーマにしたのでしょう。

そもそも興業というのは、どうしても黒い部分が絡んできて、吉本せい自身の人生にも暗い部分がつきまとっています。
いや、もちろん私もその部分を「全部描け」なんて微塵も思っていません。

朝ドラは本来クリーンなものですし、それでいいのでしょう。
『あさが来た』でも、妾関連、炭坑労働、そして五代友厚の不正行為をかなりクリーンに描いてました。
こうした陰の部分を薄くすると、ストーリーに歪みが出てしまい、どこかのっぺりとした印象にならざるを得ません。
いきおいストーリーの緊張感に限界があるのは百も承知です。

ただ……それにしたって本作の限界へのぶつかり方がセコいと感じてしまうのですね。

せめて、寄席での責任を亀井だけに押し付けず、てんも汗をかき、少しは泥を被ってみるのも良いのでは?

『あさが来た』では、主人公が懐に銃を忍ばせる覚悟でもって炭鉱に乗り込み、結果的に人心を掴んでいました。
そうした活きた経験から、徐々に商売のノウハウを掴み取って、後の事業拡大の描写に説得力をもたせたワケです(娘との確執は過剰気味でしたが、それは別の話で)。

本作は、いつか本人の糧になる泥の部分が誰かに押し付けられてしまい、ヒロインの存在意義が消えてしまいそうです。
これでは主役の葵わかなさんもあまりに不憫ではありませんか。

著:武者震之助
絵:小久ヒロ

【関連記事】
吉本せい 吉本興業の歴史

【参考】
NHK公式サイト

 

1 Comment

ビーチボーイ

震之助氏が土下座男と罵り倒す北村藤吉のしょうもない人間像。実際、具体的なビジョンもプランも何一つ示さずひたすら相手に頭下げて拝んます頼んます…それを天下のイケメン桃李がやるとよけいアホに見える。こっちの方がよっぽどお笑いや、という悲劇的事態です。
でも…今だって、関西方面の体育会系営業マンさん達ってだいたい似たような状況じゃありませんか?「若僧がゴチャゴチャ理屈並べたかて通用するかいっ、どんだけ根性見せるかが勝負や!」てな感じが大阪の流儀なんでしょ。さすが船場の若旦さん、実はそれを見事に体現している正統派というわけですか。
↑こういう超偏見発言する東京者の私は、関西に行くといつも総すかんですw

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