わろてんか44話あらすじ感想(11/21)冷やし飴ゴロゴロゴロ

時は明治。
日本一の「ゲラ(笑い上戸)」娘ことヒロインのてんは家を捨て、船場の米屋・北村屋の長男藤吉のもとへと嫁ごうとするものの、藤吉の実家で姑の啄子からは認められません。
そうこうしているうちに、藤吉が詐欺に引っかかり北村屋は倒産。店も家を失います。

藤吉とてんは、てんの実家藤岡家から五百円(現在の貨幣価値で五百万円)を借りて、寄席小屋を買い取り、寄席「風鳥亭」開業にこぎつけました。
コネやら宣伝やらを駆使して、ようやく軌道に乗りそうな「風鳥亭」でしたが、亀井の「客を不快にして回転率をあげる」作戦が裏目に出てしまいます。

啄子はてんと藤吉を叱り飛ばし、自ら指導に立つと宣言するのでした。

 

団扇と一緒に呼び込めば季節感もあって良し

寄席小屋の前で一本調子な呼び込みをするてん。
そこへ啄子が借りてきたのは団扇でした。
「暑気払いに寄席はどうでっか~」

これはうまいと思います。
同じ味の缶ビールでも、季節限定缶だとなんとなくそちらを選んだりしますよね。
季節感のアピールというのはいい手です。

てんは、雨の日に客の履き物を綺麗に磨いて渡すことを思いつきます。泥だらけの履き物が綺麗になっていると、客としては嬉しいわけです。

昨日の放送でセコイ商売ノウハウを披露していた亀井も賛同して一緒に履物磨き。
お金もかからんし、と笑うてんに対し、啄子も目の色を変えて『この子やるわ』という気持ちを見せます。

やっとここまでで、マイナスからゼロまで戻した感じですね。
では、ここからどうやってプラスにするか?

 

寄席でも冷やし飴を売ればええんや!

てんは、休憩中の落語家から冷やし飴が飲みたいと頼まれて買いに行きます。
冷やし飴とは生姜を水飴に溶かしたジュースで、主に夏場、関西地方で飲まれているものです。

このとき脳裏に閃きました。
「そうや!(寄席でも)冷やし飴を売ればええんや!」

てんは早速、冷やし飴を仕入れて売り出すことにします。
最初は戸惑う表情の啄子も、「せっかくだから寄席の前でも売れば」と、アイデアを追加。
うまくいけば、冷やし飴を買うついでに寄席に立ち入る客も出るのではないか?というワケですね。

積極的な商売に転ずる姿勢は見ていて面白いものですが、本来なら、てん自らが考案していくものなんですよね。
これだと「さすが啄子はん!」という印象ばかり残っちゃうなぁ。

まぁ、ヤリ手の啄子に商売を学ぶ――という米屋からのスタンス継続ということで。

 

ゴロゴロ冷やし飴の誕生でございます

寄席の入口脇で、ウキウキと冷やし飴を売り始めるてん。しかし客は「ぬるい」とがっかりしてしまいます。

てんはキースと万丈目に、氷を入れた冷茶を差しだしていました。
キースは氷のほうがありがたいと喜びます。

ここでてん、第二のひらめき。
はい、これぞゴロゴロ冷やし飴の誕生でございます。

氷屋から塊のまま氷を持って来て、その上に冷やし飴の瓶を置いて転がしながら売るのです。
この動作が人気を呼び、冷やし飴は跳ぶように売れてゆきます。スタジオの狭さが災いして、冷やし飴を買う人々の群れが寄席の席よりもぎゅう詰めに見えるのは、まあご愛敬ということで。

そこへ専用BGMを流しながら、伊能栞が登場します。

栞は活動写真をついに始めたと、綺麗なチラシを見せながらてんと藤吉に事業展開を語ります。
突如ここで栞がこう言います。

「妬けるなぁ。寄席は盛況、いい母、いい伴侶がいて」

ンー……なんだかチョット違和感。

嫉妬する高橋一生さんの使い方としてはストレート過ぎるのでは?
『おんな城主直虎』の小野政次のように、好きな相手が他の男とイチャイチャするのをたっぷりと見たあとで、自宅に戻って一人自嘲的なことを呟く。

彼のキャラを深めるために、そんな小さな屈折ぶりも欲しいところ。本作の栞は、『あさが来た』の五代型だとは思うのですが、五代もここまでストレートではなく、あくまで愛嬌でギリギリ踏みとどまっていたのが魅力だったと思います。

 

栞が突如爆弾発言「おてんさんが必要だ」

藤吉は寺ギンに売り上げ持って行かれるし、借金も返せないし、祝言もあげられへんわ、と湿気た顔で愚痴ります。

ここで栞、爆弾発言。
「おてんさんを貸してくれ。僕には君が必要なんだ」

てんは目を丸くして言います。
「何を言うてはるんです?」

私もテレビの前で同じ事を言いました。
一体何のことやら。
伊能栞というか、高橋一生さんが何だかチョット変な人に見えてしまって(´・ω・`)

まぁ、明日の放送でタネが明かされれば、こうした違和感も拭ってくれるのでしょう。というか、拭って!

 

今回のマトメ

今日はいいですね。

季節感。
冷やし飴という関西夏の風物詩。
てんの機転、商才、誠意。

ようやく、まっとうな手段で寄席を成功に導こうとしています。

このゴロゴロ冷やし飴は、吉本せいさんの逸話では有名なものです。
やっと“らしさ”が出たと言えるのではないでしょうか。

脚本がマトモだと、演技や演出の粗も消えて、スンナリ安心して見ることができます。
毎日こうすればいいのになぁ。

しかし、突然の栞は、やっぱり違和感が……。

ここ数週間、火曜日から木曜日にかけて、恋敵キャラのリリコ、風太、栞あたりをぶちこんで話を動かすパターンになっている気がします。
しょーもないコイバナや高橋一生さんサービスタイムよりも、まっとうな「笑売の道」の方が良いのではないでしょうか。

吉本せいさんによる物販の工夫は、他にも「(飲み物の注文を増やすため)喉が渇きやすい塩辛いものを売る」とか、ミカンを売って「捨てられた皮を集めて漢方薬局に売る」とか、いろいろあってその商魂には思わず感心させられます。
冷やし飴のエピソードだけではもったいないでしょう。

というか、こうした知恵こそが彼女の根本にあって、吉本興業の礎になっていくのですから、てんにもそんなスキルが必要ではないでしょうか。

ナレーションで解説もあった冷やし飴は、関西夏の風物詩です。
今ではサンガリア製や他社製品のものがネットショップで購入可能だと気づきました。
ちょっと「買おうかな?」と思ったら、Amazonでも残数が減っている様子で皆さんお早いですね( ^ω^)

栞の笑顔を女性視聴者に届けるのも確かに画面映えはよいかもしれませんが、今回のように「そういえば冷やし飴って飲んだことない、一度飲んでみたい!」と思わせるような、そんな関西らしさも届けてもらえれば、視聴者も出演者も嬉しいのではないでしょうか。

著:武者震之助
絵:小久ヒロ

【関連記事】
吉本せい 吉本興業の歴史

【参考】
NHK公式サイト

 

1 Comment

ビーチボーイ

風鳥亭の屋根(正面のひさし)の上に並ぶ芸人の招き看板(専門用語で何と言うか分かりません。)の中に「アサリ」の名が今日もちゃんとあったの、皆さん気が付きましたか?現時点ではもちろんまだ彼は戻って来た形跡はありません。口先では裏切り者と罵倒しても、やっぱり「お前は仲間やで、早よ帰って来いや」というアピールなんでしょうか。みんな本当に人情のかたまりですね。
このドラマの「色」が冷やし飴のように甘ぁいことはもう誰もが知ってます。娘を勘当した鬼親父は速攻で500円貸してくれる。最初は般若だった意地悪ごりょんさんも楓はんもさっさと味方に変身。筋が違うと一喝して震え上がらせた落語界の神様も翌日にはもう高座に上がると言ってくれるし。この調子なら寺ギンあたりも善玉に化けちゃうの時間の問題でしょう。
でも、この甘さにソッポ向くか、いや安心できて良しとするかは見る人それぞれの自由ですね、もちろん。

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