よのは仕事と育児の両立を頑張ろうとするあさは欲張りだ、わがままだ、と言います。
何かを選んだら何かを捨てねばならない。
前作あたりで聞いたような台詞です。
しかしここからは違います。
世間から後ろ指を指されても、我が子に背中を見せるつもりで、気張らなければなりません。
それがあさの道、それなのに今更ブツブツ言うな……とここまでは大変よろしいのですが、
「男だったら覚悟を決めなはれ!」
と壮絶なボケをかまし、つっこまれるよのさんでした。
育児はこっちに任せなさい
あれま、勢いでまちごうてしもうたと照れるよの。
おなごも覚悟を決めねばならん、おなごだからこそ余計覚悟を決めなあかん、とセルフフォローします。
子育てで目を離していいときなんて一時もない、しかしこの家には千代の面倒を見る人はいる。
よの、うめ、ふゆ、かよそして父親である新次郎。
皆が千代を見ているのだから、今更ええお母ちゃんになろうなんてしなくてよい、と。
ここに来てよのさん、天使のような理想の姑になりました。
前作のように、夢と育児の選択をつきつけはするものの、育児の世話なんてする気がない姑とは大違いです。
そもそも育児と仕事、どちらか選ぶこと自体ナンセンスではないでしょうか。
一時的に育児を休んだからといって、母親を辞めることにはなりませんからね。
ここで精神的激励に止まらず、育児はこっちに任せなさいと言うところもよいのです。
前作はヒロインの母や祖父のような文がアドバイスはするものの、具体的に手伝うとは結局言いませんでした。
よのはこれまでの言動を見ますと頼りがいがあるかと言うとそうでもなく、結構困ったところがあったのも面白いところです。
本作に完全無欠の人間はいません。
可愛がっておばあちゃん子、お父ちゃん子にする
よのと新次郎は、千代を可愛がっておばあちゃん子、お父ちゃん子にするつもりもあるようです。
ずぶずぶに甘やかさないか心配ではありますが。
よのは招き猫相手に心情を吐露。
正吉のようにあさを自分の子として扱う、見守ると決めたと言うよの。死してなお、影響を与える正吉もあっぱれですし、よのも懐が深いですね。
旅立つ前に、あさは新次郎に対して千代の扱いを教えます。
そこへ榮三郎が来て、あさに代わって炭坑を見に行くと言います。さすが、勉強家!
旅立つ朝は、旅立つあさを追い、ちょこちょこと歩く千代の演技が際立っていました。
これは後ろ髪を引かれます。
母娘、しばしの別れです。ここで凛と旅立つ姿もまた、母としてのあさなのです。
千代を抱き上げ、まかしときと言う新次郎。あさと新次郎、涙をこらえての出立です。
今回は緒方洪庵ではなく坂本龍馬ではなく福沢諭吉かっ!
あさとうめは、大阪横浜間を船、横浜新橋間を汽車で移動。
さらに新橋から五代の事務所がある築地までを徒歩で移動します。
送迎の馬車を出そうよ、五代はん。
新橋から築地はグーグルマップによれば1.8キロ。徒歩21分。
まあ、歩けない距離ではありませんね。あさは石炭で動く陸蒸気にやっと乗れて上機嫌です。
煉瓦の建物の街並みを歩くあさとうめ。
街灯やそこに掲げられた広告に文明開化を感じます。
そこへ男五人が横一列に並び、風呂敷包みを持って下駄の音をカラカラ鳴らしながらジョギングをするように接近して来ます。
謎のジョガー集団です。
真ん中にいる男は金八先生にしか見えません。
あさはあまりに異様な集団に興味を持ち、金八先生に似た男に話しかけます。
そこで出る字幕は「福沢諭吉」。
金八と福沢諭吉、教育者つながりか! 強引だぞ!
もう武田鉄矢さんは福沢の師匠・緒方洪庵、福沢と咸臨丸でつながりのある勝海舟、その勝海舟の弟子である坂本龍馬まで演じているので、頭が混乱するという感想もチラホラ。
ちなみに福沢は五代や大久保利通と同世代で老けすぎの気がしますが、気にするのはやめました。
ちなみに足踏みしているのは「散歩党」なる集団を結成していたことが元ネタのようです。
あさは福沢に道を聞きます。
親切にも辻馬車乗り場を教えてくれた福沢でしたが、あさは歩くことにする、北九州の鉱山へも歩き慣れている、と言います。
世間話から得意げにしびれ芸者=文明についてまで語り出すあさ。
福沢は自分がうんちくを語るのは好きですが、逆は嫌いな性格なのでしょうか。
あさは相当の変わり者だぞ、文明をこの私に説明しおった、と何故か不快感を示します。
それからまたあの謎の散歩を開始する福沢一行。
面白いんですけれども、ものすごい暑苦しさを師走の朝に見せ付けております。
あさとうめは五代の事務所に到着。
笑顔で迎える五代です。さあいよいよ、あさの東京物語開始です!
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文:武者震之助
絵:小久ヒロ
※レビューの過去記事は『あさが来た感想』からお選びください
※あさが来たモデルの広岡浅子と、五代友厚についてもリンク先に伝記がございます
【参考】
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