3.11を忘れない
この指摘は、当日にすることは気がひけるので、1日ずらすことにしました。
それは昨日の、忠彦と弟子のやりとりです。
犠牲者多数、日本人が最も多く犠牲になった戦争を、
「スリリングな体験ができてスゴイ! うらやましい、僕も味わいたい」
と言い放つ弟子。それに対して、反論の甘い忠彦。
ナゼ、こんな無神経な会話を、3.11に流しますかね。
まさか
「西日本の人間が死ぬのは大問題だけど、東日本についてはイベントでしかない」
とか思っていませんか。
大阪にとって3.11は他人事ですか。
これは『西郷どん』でも、共通する態度でした。
「禁門の変」や「長州征討」は、日本人を殺す幕府や会津藩は極悪非道だと罵倒する。
一方で、江戸の攻撃では笑顔でこうカッコつけていた。
「新しい日本のためにも、江戸は焼こう❤️」
んで、そのあとの「戊辰戦争」はこんな調子。
「空気を読めない東北のバカどものせいで、戦争に巻き込まれて迷惑なんだよね~」
戊辰戦争は、会津藩始め東北諸藩の降伏を無視して侵攻しております。
歴史改ざんとはこのことでしょう。
しかし、こういう考え方は、別に目新しくないものでして。
「白河以北一山百文」
白河の関を越えた東北なんてド田舎は、所詮山一つ百文で買い叩かれて当然でしょ、ってことで、既に手垢がついているほど。
過去にはこんな発言がありました。
◆復興相「震災、東北でよかった」 与党から辞任論も:日本経済新聞
NHK大阪も、同じように踏んでいて、もはや伝統芸かもしれません。
実際、東日本から北海道まで、ワイドにネガティブキャンペーンを行う関西の企業は、これが初めてでもありません。
サントリーを連想させて、過去朝ドラにまで延焼を仕掛けるとは!
『西郷どん』も、東だけ燃やそうとして、西南戦争のふざけ切った描写で地元まで侮辱しました。
歴史は繰り返すわけです。学べなければそれは当然のこと。
それでも信徒は動じないとなれば、もう仕方がありません。
萬平さぁんが痛めつけられても動じない、そういう信徒にアピールできてよかったですね。
◆【女子SPA!】『まんぷく』で拷問される長谷川博己に萌える女子続出「興奮してすみません…」
こういう燃え方が正しい
さて、昨日は「マルちゃん正麺」を食べたと書いたわけですが。
高杉良氏の経済小説『燃ゆるとき』のおかげで、東洋水産ファンになっちゃいました。
スタバでずーっと読み漁りましたよ。面白かったなぁ!
フィクションを真に受けるな言いますけれども、これは実名使用許可まで得ております。
ただ、主人公である森和夫氏の場合は目立つことを考えてはいなかった。
勲章や肩書きほど馬鹿馬鹿しいものはないと、常々語っていたそうです。
作家が根気強く二年も説得にあたり、
「企業は公器なり」
という精神を示す作品ならば、という条件付きで許可したそうです。
「ノモンハン事件」生存者である彼は、生かされた命について誠実に考え続けた人物でもあります。
実写化するなら誰がいいかって?
そりゃあの人ですよ。
佐藤健さんでしょ!
妥協を知らない不器用なところが、ピッタリです。
どこかでドラマ化しないかな。
燃えるということは、本来こういう闘志を燃やすことであり、炎上芸ではないはずです。
謎は解けた
経済小説のはずなのに、まるでミステリ小説を読むように没頭してしまったのは、謎解きの面白さもあったからなのです。
『まんぷく』の問題点が、どういう意図で描かれたのか。
その謎解きができました。
・競合他社に転職した坂部が、スパイ扱いされていた
→転職=スパイとはいくら何でも飛躍しすぎ。実はこの理屈は、東洋水産と日清の係争において、日清側が用いてきた理屈です(※そして一蹴されています)
・政治家とのつながり
→これも『燃ゆるとき』に出てきております。本来隠しておきたかったはずが、親子共演のために入ってしまった……
・特許を公開することが美談という扱い
→そもそも特許は、公開されるもの。それなのに恩着せがましい相手に、他社はあきれはてております
そしてこれです。
本作の、時系列のおかしさ。
『まんぷく』は萬平と福子の馴れ初めからスタートして、カップヌードル開発とブレイクで終わります。
ここにこそ異常性が感じられます。
・幼年期削除の理由は?
→両者のルーツ削除。萬平は台湾、福子は福島県
・阪神淡路大震災での日清の貢献は、モデルの美談として定番では?
→それはそうです。このカットはおかしい。しかし、カップヌードルの後には隠したい何かがありました
3.11関連の侮辱は、東日本だけのことでしょうか?
いいえ、違います。
阪神淡路大震災での日清の貢献は、安藤百福氏人生晩年最大の輝きとなるはずなのです。
このタイミングでそれを出すことができれば、全国的なアピールになったことでしょう。
それがカットされた。
ナゼ? その理由は?
カップ麺の海外での特許をめぐり、日清が係争関係に突入するのです。
そしてそれに敗北するからでは?
これこそが『燃ゆるとき』のハイライトでもあります。
この負け戦の詰め腹を切らされる人物のモデルは、おそらく神部あたりですね。
信徒の皆さんも、都合の良い場面で終わらせないで、きっちり見た方がいいですよ。
フィクションならオッケーなんでしょ?
森氏は、同族経営、家族で会社を乗っ取ることを嫌っておりまして、二代目社長には血の繋がりのない人物を指名しました。
有名人の二世俳優だらけの本作とは正反対の考え方です。
退職金を、「いくら何でも高すぎる」と当初の提示額の7分の1にまで減額。カップうどんの油揚げ特許取得を周囲から勧められても、断固として拒否し続けたとか。
無欲な人なのです。
萬平さぁんとは真逆の人物です。ね、佐藤健さんにぴったりでしょ?
ヒントはこんなところにもある
さて、ここで東洋水産のサイトを見てみましょう(公式サイトlink)。
トップ画像の丼には「雷文」が描かれています。
中国大陸由来であるとアピールする定番の模様です。
つまり、中国ルーツを隠蔽していません。
実際に、東洋水産は即席麺は海外ルーツと認めています。
2006年には、東洋水産をモデルにした『ザ・エクセレントカンパニー/新・燃ゆるとき』が映画公開されています。
公式サイトにもその記述があります。
自信作なのでしょう。
即席麺を手がけるメーカーの映像化は、実はこちらが先です。
そして最後にこちら。
企業理念です(リンク)。
3.基本的人権の尊重と個人の尊厳
私たちは、全ての人の基本的人権を尊重し、国籍・民族・宗教・性別・年齢・障害の有無・社会的身分等の理由によって、嫌がらせや差別的取り扱いをすることにより、個人の尊厳を傷つける行為を排除します。
こうした理念を掲げる会社です。
即席麺のルーツから台湾を消し去る――そんなジャパニーズウォッシングをするはずがない。
もしも『燃ゆるとき』がドラマになるとして、そのあたりをボカすとしたら?
放送化に対する「イエス」という回答は得られないでしょう。
強行されたら『とと姉ちゃん』ルートです。
つまり絶縁と批判ですね。
よし、コンビニで「食べるスープ なめらか豆腐四川風麻婆味」でも買って来ようかな。
この商品のパッケージを見ていると、気付く点があるんです。
東洋水産の中華料理デザインは、フォントも隷書体等を使用していることがありまして。
隷書体は中国でも古い部類に入る書体であり、中国風をイメージさせるものでもあります。
今はIllustratorあたりで簡単に使えるものですが、それ以前は分厚い専門書籍で書体の手本を探さねばならず、とても大変な手間がかかったものです。
そういうフォントの知識がないこと。
『まんぷく』で印鑑を簡単に偽造していたあたりからも、伝わってきました。
印鑑でも用いられる隷書体は、書道を専門にしっかり学ばなければ、やすやすと書けないものなのです。
ましてや印鑑に掘るとなると、相当の鍛錬が必要です。
本作の萬平さぁんや福子が、隷書体で印鑑を作れたかって?
無理に決まっています。
※Kindle版ならスグ読めますよ~♪
↓
東洋水産をモデルにした『燃ゆるとき』高杉良
※スマホで『いだてん』や『八重の桜』
U-NEXTならスグ見れる!
↓
文:武者震之助
絵:小久ヒロ
※レビューの過去記事は『まんぷく感想』からお選びください
※まんぷくモデルである安藤百福の記事、ならびにラーメンの歴史もリンク先からどうぞ!
※コメントにつきましては、
・まんぷくここが好き!
・まんぷくここがアカン!
という意図でご自由に記述してください。
作品に関するものについては全て掲載しております。
攻撃的な書き込み等については、こちらの判断で削除させていただきますので、あらかじめご承知おきください。
台湾ルーツを消したために長男の存在も消えているのですよね。
一応、社長にまでなった人なのに、これも日清食品や安藤家にとっては黒歴史なので、消えて当然なのでしょうか。
ドラマでは登場人数の制約などで、主人公の兄弟や子供の数が間引きされて描かれることはまあ常識ですが、長男が消されるのは珍しいような。
おそらく、あの事件のことをなかったことにしたいのでは、と思います。カップヌードルが有名になったあの事件は存在しないことにしそうです。まあ、それでも「フィクションだからいいじゃないか」と信者はいうと思いますが。
今となっては、台湾ルーツ削除、これもメーカーもしくは家族の意向あるかもな気がします。
当初、擁護側の意見でちらほら目にして、そんな事有る訳無いだろと思っていたんですが。
モデルとなった百福氏と台湾人社会との軋轢や、日清の企業としての姿勢。
インスタント麺のルーツ共々消し去りたかったんでしょうかねぇ。
本日の放送も、肝心の開発関係はほんの少しで、後はいつもの男女の「ねっぱつき」話。
どーでも良いわ。
諸々のルーツ削除が、メーカー主導での「削除」では無い「過去改竄」だったりしたら。
もう日清マークには手は出せませんね。
あくまで、想像の話ですが。
ノンフライ好きの自分としては、「正麺」も勿論ですが「ホームラン軒」もアリです。
『あさが来た』と『マッサン』、『べっぴんさん』の東日本大地震の日の放送では、この日のことを意識した内容でしたが、『マッサン』の時は、反日だという批判があったらしいね。
燃ゆる時は東映で映画にはなってますよ。