おはようございます。
まずはお詫びから。
昨日の記事で触れた2016年『とと姉ちゃん』のスカートは、花森氏とヒロインモデルを混同していました。
申し訳ありません。
言い訳にもならないことを少し書かせていただきます。
あの作品はヒロインが働く因果関係を、
【良妻賢母タイプなのに、結婚のタイミングがあわずにたまたま働いた女性】
という描き方をしていて、そこが女性性の押し付けのようで不快感と不信感がありました。
申し訳ありません、修正します。
失礼しました。そしてご指摘に感謝いたしますm(_ _)m
さわやかな朝に、ふさわしくないぼやき
まずは厄落としをします。
『なつぞら』の感想を見ていると、名前を言ってはいけないあの前作を持ち出す信徒がしつこいんだわ。
「『なつぞら』もいいドラマかもしれないけど、****好きとしては余韻に浸りたいのぉ〜」
「おもしろいかもしれないけど、やっぱり****の方が」
「『なつぞら』はともかくとして *ちゃん**さぁん!」
わかりましたので、信徒だけの集合場所でやってください。
別にどのドラマが好きでもよいのです。
なぜ前作信徒は、他人に価値観を押し付けたがるのか。
****が好きというよりは、その前作が嫌いだから固まりたい。
あの作品を貶すために、****が聖典でなければならない――そういう謎の価値観をバラ撒く……しみじみと教団だなぁ。
私の知っている限りでは、他のどの朝ドラでもこんな現象はありません。
別に勝ち負けを論じたいとは思いませんが、朝ドラの人気投票で、****は放映中の段階にもかかわらず、その前作に負けております。
放送開始からの視聴率下落傾向もハッキリと出ていました。記念すべき100作目となる『なつぞら』のスタートに悪影響を与えかねないものでした。
しかし、本作は奮闘しております。
◆「なつぞら」第3話23・0% 初回上回る(スポニチアネックス)– Yahoo!ニュース
良かった、良かった。
では、本編へ参りましょう!
帯広の闇市へ
はい、ここから本編の感想スタート!
荷馬車で揺られて、なつはどこへ行くのか――。
連れてこられたのは、十勝一の繁華街・帯広の闇市でした。なつにとっては東京を少し懐かしく思い出す、そんな光景です。
北海道の闇市。
これはかなり貴重なシーンではないかと思います。
東京、大阪、広島……そうした本州の都市部は多くの作品で描かれていますが、北海道となるとこれは珍しい!
※くどいですが『仁義なき戦い』は広島の闇市からスタート
十勝地方も空襲とは無縁でありません。都市として帯広も被害にあっています。
そんな帯広の闇市は、なかなか考証がしっかりしています。
ここで泰樹がなつに買い与えるのは長靴。作業用ならば絶対に欠かせないものですね。
って、なっちゃん、今までこんなボロ靴で作業していたのかーい!
か、かわいそうすぎるでしょ。そりゃ泰樹も真っ先に来ますわ。
ちょっとブカブカではありますが、成長するからいいだろうと言うわけで、買い与えられました。
この長靴で歩くなつの姿がまた可愛らしいのなんのって。
なつは、東京で靴磨きをしていたことを語り出します。ここで、回想シーンへ。
闇市の子供たち
米兵相手に靴を磨く、幼い姉妹。
本作は汚し方が本気でして、見ていて心が痛むほど、髪の毛はバサバサで頰も煤けています。靴磨きをして、ニッコリと微笑む笑顔が本当に見ていて悲しくなってくるのです。
ここで兄の話も出てきます。
泰樹から闇市で盗みでもしていたのかと訊かれ、なつは即座に否定します。
キッパリと、こう言い切るのです。
「盗みだけはやらない!」
盗む子はいっぱいいるけど、それだけはやめようと誓っていました。
2011年『カーネーション』でも、浮浪児の盗み描写がありましたね。
あの状況では盗みも仕方ないこと。それでも盗みを否定する。
そんな道徳心、正義の心! いいですね。
兄・咲太郎は10銭で仕入れた新聞を、20銭で売っておりました。
しかも、チャップリンのようなタップダンスのパフォーマンスをしながら売っていたのです。
もしかしたらこの兄妹は、戦争前、父に連れられて、映画を見ていたのかもしれませんね。
そんな少年の境遇を想像すると、グッときます……。機転がきいて、賢い少年なのでしょう。
これには米兵も喝采を送っていたとか。
「ジャパニーズチャップリン!」
戦時中は【鬼畜米英】と罵ってきた米兵。
ところが、触れ合ってみると意外といい人が多い。
こういうギャップは、当時の日本人にはあったようです。彼らはなつたちのような孤児に、親切にしてくれたものでした。
ジープの上からチョコレートをばら撒く米兵描写は、あまりに有名で、どんな手抜きドラマでもありがちなもの。
ただ、本作のような具体性を帯びた描写となると、そこにしっかりと調べたあとを感じるんですよね。
手抜きをしないんだなぁ。
そんな米兵と恋に落ちた女性も多いものでした。
女性や子供への性的暴行、米兵を父とする子の苦労もあります。
パール・バック『隠れた花』は、そのあたりを描いた傑作です。このあたり『いだてん』でも出てくるかな。
ここで、やっとなつの兄と妹の行方が語られます。
兄・咲太郎は孤児院へ。
妹・千遥5歳は親戚のもとへ。
「バラバラか。あいつ(剛男)も中途半端なことしたもんだ」
泰樹そうボソッと漏らします。
確かに、そこは不思議なのです。この言葉を聞いて、なつは頭を下げます。
なつの兄に頼まれたからそうしたのであり、「おじさんは悪くない」とかばうのでした。
夕見子となつの運命
そのおじさんこと剛男は、自宅で
「なっちゃんを引き取ったのは夕見子がいたからだ」
と説明を始めておりました。
場面転換前で疑問、転換後にその答え。
伏線とその答えの出し方が、本作はわかりやすくてうまくできています。
戦場で、夕見子を思わない日は一日も、いや片時もなかったと剛男は語ります。
それはきっと、戦友であるなつの父も同じであったはず。
自分のことばかりではなく、周囲を思いやる。そんな優しさですね。
そんな死んでしまった戦友と、自分の運命が逆転していた可能性もある。
だから、夕見子となっちゃんが反対でもおかしくなかった――。
これは剛男の説明として理にかなっていますが、同時にアニメのモチーフとなっていた【取り替え子】を思い出させます。
王子と浮浪児が逆だったら?
お姫様と下働きの娘が逆だったら?
そんな逆転ストーリーを、思い出してしまいます。
※いたいけな少女が、親の転落で運命一転する。これも典型的なお話です
「そんなことは分かってるさ。だからかわいそうだとは思ってる」
夕見子はそう言います。
そうそう、そこで思いやりがないと、あの手のアニメに出てくるいじめっ子になってしまいますからね。
剛男は説明を続けます。
だからといって、「かわいそうだと思え」と言いたいわけではない。
剛男の夕見子への思い。もしも夕見子が孤児になっていて、周囲から冷たくされたら。そんなことはたまらない、ゆるしたくない、幸せにしたい。
そんな自分のために、なつを連れてきたのかもしれない――。
こんなところまで、なっちゃんを連れてきてしまった。
それは、あの子のためというよりも、自分の良心のためかもしれない。
「父さんは、なっちゃんの人生を変えてしまったことになる」
「それは、私のせいってこと?」
そう語る父娘。
このあたりも、すごく、深く、考え抜いた会話だと思います。
良心の呵責のために、一人の少女の運命を変えてしまっていいのだろうか?
その原因は自分のせいなのか?
ただの子供ではない。あの子は、これから人生を歩んでいくのだ。
そういう存在として、その重さを受け止めているのです。
「そんなことは言ってない。夕見子は、なつの人生を変えるかもしれないってこと。夕見子は夕見子のまま、受け入れて欲しい」
そう語る剛男でした。
夕見子は父の言葉を理解します。
「わかったよ」
「ありがとう」
この父娘の会話、圧巻でした。
会話そのものもよいのですが、往年のアニメが描いてきた少女の出会い、友情を想像させるのです。
少女が、別の少女の運命を変える。そんな出会い。
ああいう名作アニメの世界では、少女の友情もお約束です。
ハイジとクララ。
アンとダイアナ。
女同士の友情は脆いとか。
女の敵は女とか。
女は男をめぐり嫉妬しあうとか。
そういう男にとって都合のいい浅はかな概念を、破壊してきたのがアニメの世界であったはずです。
胸のサイズで嫉妬し合うのは、ハーレムアニメだけでいいんだ。
女同士の強い結びつきも、アニメの伝統であり、強みです。
なつと夕見子も、そうなるのかな?
北海道の女の子、ハイジみたいな女の子
なつと『ゴールデンカムイ』のアシリパを重ねるご意見がありまして、『私だけではないんだなぁ』と納得感を抱いております。
あのタンポポを迷いなく食べるところ、そんな感じですよね。
この地域性のあるヒロインって、結構大事なのではないかと思います。
『半分、青い。』の鈴愛は、祖父の影響か、やたらと時代劇調の台詞回しがあったものです。
あれも、織田信長の本拠地・岐阜らしさがあって好きでしたね!
そういうヒロインの、出身地やゆかりの地を感じさせる個性っていいですね。
そうそう。
昨日指摘した『アルプスの少女ハイジ』と似せてきたなつの設定について。実はこれについて、似たようなことをしてイマイチ噛み合っていなかったNHK東京朝ドラがあります。
2014年『花子とアン』です。
あれは露骨なまでに『赤毛のアン』と寄せておりましたが、中盤以降はなんとも雑なすりあわせになりました。
そして最大のミスが、この設定のせいで起きています。
敬虔なメソジストであり、飲酒経験がなかったヒロインのモデル。
にも関わらず、『花子とアン』からヒロイン泥酔エピソードを引っ張ってきたせいで、モデルを侮辱する結果につながっていたのです。
ああいう表層的なことを反省し、本作はそうならないと願っています。
開拓者の女は強いんだ
なつと泰樹の二人は、闇市で、とある店にやってきます。
そこから出てきたのは……真田昌幸の正室・薫(山手殿)じゃないかー!
いやちがった、それは前世、もとい『真田丸』でしたね。
でもこれは絶対、狙っていたでしょ? 片岡愛之助丈も、岸井ゆきのさんも、こっちに出てくればよかったのになぁ……。
毎朝、出演者の北海道弁を聞いて、思わずこう思っている人もいるのではないでしょうか。
編集サンもそう言ってたのですが、特に小林隆さんが絶品だそうで。彼も『真田丸』からですね。
「あ、親戚のおじさんだ……」
「近所にいた、北海道出身のじいちゃん!」
全然わざとらしさのない、あまりに馴染んだ方言。
子役でも、不自然さがありません。しかも、出演者は特にネイティブでもないんだな。これはびっくりしますね。
北海道と『真田丸』いえばあの人!
大泉洋さんも出て欲しいなあ、なんて思ってしまったり。
そのへんむしろぬかりなく、目玉キャストとして取っておいてあるんじゃないですか?
期待しています。
さて、闇で商売をしたくないという、そんな誇りを持つ女将・とよ。
そのために、卵と牛乳を持ってきてやったと告げる泰樹でした。
「それも商売だべさ」
即座にそう突っ込まれます。
持ってきたというか、売りに来ているわけですからね。テンポがいい女将さんというか。んー、これは北海道のおばちゃんだー!
ここで、ちょっとした誤解が生じます。
「お孫さんといっしょかい?」
訂正する間もなく、店主の雪之助まで出てきてしまいます。
「柴田さん! はっは、いらっしゃーい! 夕見子ちゃん、いらっしゃい!」
すっかり夕見子として紹介されているぅ!
あとこの人も北海道のお兄ちゃんだー! 豪快だー!
「いいえ……あ、そうです、年は九つです」
訂正できないなつ。
まぁ、そういう雰囲気ではありません。
「これで性格がじいさんに似ていなければいいね」
とまで言われています。
とよの孫・雪次郎からは、
「ともだちになろう!」
とのことで。
ここでなつ、訂正したくてこうやっと言い出します。
「いや……」
「はっきり言う子だねえ!」
いや、友達になりたくないわけではなくて。
しかし、北海道ババア(ごめんなさい)のパワーが強すぎてもう無理っす!
しかもここで、雪之助が製菓業の受難を語ります。
戦地から帰ってきたところで、ないない尽くし。
砂糖もねえ!
金属の型もねえ!
せんべい焼くにもに道具もねえ!
供出だーやんなっちまうだー。そういうことです。
ここでマシンガントークで、剛男の復員も確認されます。
↓ この投稿者の方、放送から日が経ってから、あちこちの放送回のコメント欄に「反ポリコレ」の投稿を繰り返しています。
見方によっては、まるで、「トイレの差別落書き」のような卑怯な行為にも感じます。
こんな真似をするのでなく、正当に述べられることならきちんとしたところに書くなり、問合せメールを活用するなりし、それでもご自身とは感性・感覚が合わないなら閲覧をやめるべきだと思います。
ポリコレ云々関係なく普通に楽しめるドラマだと思います。
政治的主張は程々に。
花子とアンの赤毛のアンとの関連付けに関しては本当に酷かった。完全に同意。学校もアボンリ小学校にしたんだっけか。吉高の喋る英語も酷かったし。
それに比べ、このドラマのOPではオーチャードスロープとグリーンゲーブルズに至る橋がうまい具合にオマージュされて、感動。
帯広から帰る道も何処と無く「喜びの白い道」っぽかったし。
女の子2人は、おしんと同時期にやってるし、加代とおしんの関係性になってくんだろうか。そういえば聡そうな女の子だなぁ、と思ってました。
真田丸のおしどり夫婦が朝ドラにいてビックリしたわ。もう真田昌幸と薫にしか見えん。
アイスクリームのくだりは、「あぐり」を思い出しました。やはり意識したんだろうか。あの朝ドラ、最高に面白かったもんなぁ。
『男社会の都合の良い思い込みを破壊してきた』
まさにそうだ!と思いました。
動画がアップされていたプリキュアは未だに進化を続けていて、ようやくというか、ついにというか、今期は褐色プリキュアも登場しましたし。
ガンダムなんて初期からグローバリズムに富んでいたばかりか、Vガンダムに至っては今のmetooの時代にこそフィットするアニメ作品ですし。
泰樹となつのような素晴らしい人生の師弟と、ルーク(に似た老人)とレイのような表層すら取り繕えていない関係を対比する所だけは少々首を捻らざるをえません……
>元道民さん
ご指摘ありがとうございます!
確かに30でしたね><;
修正させていただきますー^^
細かい所でスミマセン。
草刈さん、零下30度と言ってます。
半年の苦行を経て、とうとう良いドラマに出逢えた!
まだ早いかも知れませんが。(笑
いちいち細かな部分までが検証しっかり。
キャラの心理深層をこちらに考えさせてくれる脚本。
前作からの反動でしょうか、褒め称えすぎかも知れません。
初日ですでにひと泣きしてしまいましたが、本日、更にやられてしまいました。
なんですか、あのアイス食べトークは。
草刈じーちゃん最高じゃないですか。
開拓者の苦悩を味わって来たからこそ、なつが生き抜く為にしてきた苦労がわかる。
わかったからこその、
「堂々と、此処で生きろ」
花粉症か感動ゆえか、涙が。(笑
突然現れたよそ者に対する、子供達の嫉妬や羨望の心理描写も良い。
北海道と言えばのチームナックスの面々。
(音尾さん、ヤスケンさん)
まさに、ヒンナヒンナです!
できれば洋ちゃん、シゲさん、森崎さん、5人全員集合で、、、
ドラマとして今はまだチタタプ中ですが、広瀬すずさん登場後にどんなオハウになって行くのか?
楽しみです!
姉畑先生、チ○ポ先生、ラッコ鍋等下ネタパートはカットでしょうが、ゴールデンカムイドラマは見てみたいですね。
肉はスーパーに陳列されてる状態で自然に存在してるんじゃない。
可愛いこぶたちゃんから成長を経た上で、食卓にあがってくれてる。
カムイ(獲物)は、自ら矢に当たりに来てくれているから、感謝を持って神の国に送り返す。
それがアイヌの考えかた。
残酷の一言では片付かない、“生きる”の根源。
最高の食育ですよね。
すみません、だいぶ脱線してしまいました。
見続ける事が出来なかった前作が終わって、新しいドラマが始まりました。
これからアニメに関わる話になってゆくからでしょうか・・・「赤毛のアン」「火垂るの墓」「アルプスの少女ハイジ」が浮かんでくるシーンが印象的です。
が、期待が大きすぎてはいけないと思いながら観ていましたが、4話目に素敵な心に染みてくる台詞が飛び出してきました~(嬉)
大人として生きて来なければいけなかったなつに泰樹のかけた言葉は
なつの心の緊張を解く優しい言葉でした。
こんな台詞を聞きたかったんです。どの時代でもどんな人にでもかけてあげたい言葉、かけられたい言葉・・・染み入ります。
今後がどんどん楽しみになってきました。
また、こちらを覗かせていただきます。よろしくお願いいたします。
今日はストーリーにも泣かされましたが、
W仙道敦子にびっくり(BS限定 おしん子役→なつぞら)
当然、偶然では無く狙いなんでしょうが、あざといとかではなく、
まんまとしてやられましたと苦笑い。
あざとい!だがそこが良い!それが今作の印象です。
まるで世界名作劇場のようだとの事ですが、まさにですね。
なお実写版ゴールデンカムイですが、草刈さんは鶴見中尉もアリなんじゃないかなと思いました。
あのユーモア、カリスマ性、話術、策士ぶり、政治力、そして恐ろしさ、熱烈な信徒を大勢抱えている事(原作ではまた一人出てきたし)。
主役以上の難しい役であるからこそ、お願いしたい。
「そんなところから逃げ出せ」云々。
壁に張ります。
自分の息子は所謂上場会社に就職したものの、ほぼブラック状態で働かされ、息絶え絶えでした。もう帰ってこい、と言った日を思い出します。今は元気に働いていますよ。命の危険を感じたら逃げることを普通に教えられる環境で生きていたいですね。
3話目にして泣かされるとは思っていませんでした。これでやられました。
もうこの半年は時計がわりにできなくなるのが大変ですが、これからどんどん楽しみです。
雪之助を安田顕さんが演じておられるので、大泉さんもですが、他のTEAM NACSメンバーも出てくれるんじゃないかな、と期待したいですね。
始まりましたねら新しい朝ドラ。今回も、気づかなかった視点を提示してくださるコチラのレビューにお世話になってます。語りたいことがたくさん過ぎて、短いコメント欄ではもう何も言うまい、な気持ちになるくらいです。
とりあえず、今週は毎日泣いてます。
困…