おはようございます。
コメント欄の熱気。
第1週を見て手応えを感じた方からの気持ちが伝わって来ます。
1週目で世界がどんどん広がっていく。
そんな様子がこちらのニュースからも伺えますね。
◆『なつぞら』のモデル・奥山玲子が語った「女性はアニメーターに向いている理由」 | 文春アーカイブス
◆農林水産省が公式HPで異例の「なつぞら」解説 酪農への関心高めるため“独自の視点”(スポニチアネックス)
想像力の欠如考察へのご意見ありがとうございます。
ナレーター考察への賛同もあり感謝しています。
全てに反応できず、心苦しいのですが、皆様から伝わってくること――それは想像の楽しさが生まれていることですね。
北海道と縁のあった親族に思いを馳せたり。
戦争の苦しみや北海道の歴史を想像したり。
アニメもそうですね!
今週も、想像力の世界へ飛んでいきましょう。
なつの回想
今朝は第1週のダイジェストからです。
視聴者のために、編集もしっかりと考え抜かれていて、どの場面も頷けるもの。
本作は朝ドラというフォーマットにしては、時系列の遷移がなかなか複雑です。
冒頭で、成長したなつと信哉が出てくる。なつは、かつてあの道を逃げたことがあると逃亡の過去を振り返っていきます。
こうした時系列の遷移は、『半分、青い。』や『いだてん』でも複雑だとバッシングされがちです。
そんなものは無視してよいでしょう。
作品をきっちり描くからには、そういう要素は必要です。
難易度が高いというクレームは、ついていけないならばそれまで。
そう言い切ってよいものでしょう。特に今は録画が平易な時代ですから、スグに振り返られるはずです。
話を、なつの回想へと戻し――場面は昭和21年(1946年)6月の早朝。幼きなつは柴田家に別れを告げ、家を飛び出したのでした。
私は綺麗だって、知っとる!
場面は完全に陽も昇った朝。
農作業をする柴田牧場の人々が映ります。
そこで、またスゴイセリフが出てきました。
「富士子さん、いつもお綺麗で」
「知っとる!」
戸村悠吉に、ズバリとそう言い切る富士子!
これは、かなり画期的な場面だと思います。
本作の富士子役、そして主役までもが、容姿バッシングをされる。そんなしょうもない国が日本です。
「あいつ自分がカワイイって思っているよね」
こうした言葉が悪口になり得ること。それは異常であるとそろそろ気がつくべきなのです。
私ってカワイイと思って、何が悪いのか?
◆日本の女性は、世界で一番「見た目」に自信がない。調査でわかった7つのこと
海外では、何才だろうと、どんな体型だろうと、男女ともに堂々としています。
それに、これもジェンダーの問題なのです。
「お前はブスで二級品なんだよ」
そう女性に言い続けることで、自信を失わせる。
そうすれば、男性側にとってはよいことづくめ。操縦しやすくなります。
どう考えても容姿が優れていない男性タレントが、無茶苦茶かわいいアイドルをブス扱いする。こんな場面もありがちです。
そんなの、もう、いらないんですよ。
肥満認定も異常です。
あの高身長の超絶美女ファン・ビンビンを、「50キロオーバーのぽっちゃり系」とワイドショーが言い切った時は、絶句したもんです。
※番組ごとまとめて眼科に行け案件
そのせいで、日本人成人女性が健康まで害していると、メディアは自覚しておりますか?
ついでに言えば、これは二次元無罪って話でもありません。
漫画やゲームの身長体重、スリーサイズ表記を見て絶望した女の子および元女の子。彼女たちは、この国に大勢います。
名前を出したくない****の序盤で【これはダメだ】とわかったこと。
それはヒロインがブスと呼ばれてもヘラヘラして、怒らなかった箇所です。
容姿をバカにされようが、怒らないでヘラヘラ笑い。そして男性の言うことにはホイホイついていく。
チョロくて自尊心のない、*ちゃんの一丁出来上がりです。
このレビューのコメント欄にも、容姿を貶し、性的虐待を繰り返すあの作品をぶった切ったところ、自分を賢いと思っているであろう女性から反論があったものです。
「ブスとハッキリ言ったわけじゃない」
「あの程度は、微笑ましいことだと私は思う」
「この程度のことで騒ぐとは、空気を読めていない」
というニュアンスの意見ですね。
そでないんだわ。そだ時代は終わるよ。終わらせるよ。
◆40代女性がロックTを着るのはイタい? ファッション指南に「余計なお世話」と怒りの声 – 耳マン
◆女芸人のブスネタが通用するのは国内限定。アリアナ・グランデ「近藤春菜はすごくかわいい」
※自信こそが美しさの秘密。彼女がその好例です
知将の推理
なつが居ない……?
と、それまでいつもの酪農に励んでいた男たち、そして富士子も、異常を察知して慌て始めます。
それぞれが作業に夢中で目を離してしまう。
これもリアリティです。
野口英世も、そんな大人が目を離した子供の悲劇を味わった一人。
彼の母が怠慢だとか、不注意だとか、そういうことではありません(彼以外にも実際同様の事件は起きています)。
それだけ厳しい暮らしだったのです。
そしてそうなったら、親は自らを責めて苦しむ。親バッシングは何の意味もありません。
「おい、いないのか」
「だからいないって……!」
この慌てふためく大人のさりげない場面でも、きっちりと関係性が生きています。
婿である剛男は、義父・泰樹には強く言い返せない。そんな会話です。
それだけではありません。
泰樹の知略が高い!
『信長の野望』最新作『大志』では、知略99である真田昌幸。
それに匹敵すると、しみじみ感じられます。慌てず、騒がず、なつの心理まで推察しているのです。
◆『信長の野望・大志』真田昌幸が関東地方の人気武将1位を獲得。栃木県、千葉県の第1位は真田幸村!
泰樹ならば、間違いない。そんなカリスマ性を感じさせます。
ここで、富士子はなつの異常な行動を振り返っていきます。明美を泣かせた状況を確認するのです。
そんな意地悪をあの子がするもんかと動揺する剛男。明美や夕見子にも、きちんと尋ねます。
本作の脚本は、因果関係の組み立てがしっかりしています。子供の言うことを軽視せずに、きっちりと証拠として扱う。
そうしたバラバラになった点を線にして、絵まで描く。宗教じみた思いつきまみれで乗り切る駄作とは違うのです。
それが知将・泰樹です。彼の結論はこう。
「東京に行ったのかもしれん」
◆朝ドラで「真田丸」再現!?「昌幸のつもりでやっています」草刈正雄(柴田泰樹)【「なつぞら」インタビュー】(エンタメOVO)
ただの受け狙いではなく、きっちりと理由があって、知略99なのです。
今週も、ぬかりがない!
これは脚本始め、スタッフも、演じる側も、かなり厳しいはずですよ。
名作アニメといい、大河ドラマといい、ファンがいる作品に対して雑なオマージュなんてできっこない。
民放のCMネタでSNS投稿増加を狙うような、そういうくだらない駄作とは、覚悟が違うのです。
消えた子供たち
なつは、一文ナシで帯広におりました。
こういう日本人の貧困って、とても重要なことです。
「かつて貧しかった」
ではなく、なつのような子供が今、増えています。
◆発言:子どもの貧困対策練り直せ=阿部彩・首都大学東京教授 – 毎日新聞
自分で東京までの交通費を稼ぐしかない。
と、靴磨きの道具を広げるなつ。同時に上野の浮浪児時代を思い出しておりました。
三人の奥原きょうだい。
そして信哉。
この描写も、あまりに容赦がありません。
死んでしまった浮浪児が、まるでゴミのように淡々と運ばれてゆきます。
ただ、人が死ぬだけじゃない。
遺体が損壊される。
雑な扱いを受ける。
追悼の欠如。
これこそが、究極の残酷さではないかと思います。誰も死んだ子供のことを惜しまないのです。線香をあげる人もいない。
誰もその死を惜しまなかった、そんな戦災孤児。彼らを忘れてはいけない。
そう日本に、世界に、訴えかけたもの。
それがアニメでした。
※流す涙が追悼となる
小さなタップダンサーとその父と
なつの回想の中で、兄の咲太郎が渾身のタップダンスを見せます。
歌いながら、踊る。
しかもバランスを取る。
これはかなり鍛錬を積んだことでしょう。アコーディオンも見事なものです。
渡邊蒼さんはよく頑張りました。演じた側だけではなく、考証担当者もものすごく頑張りました。
近年の朝ドラ、特にここ数年のNHK大阪の近現代史考証は悲惨です。
2014年『マッサン』、2015年『あさが来た』あたりから、転落の一途を辿っています。
もはや見ていて有害なほど。日本史の時間居眠りをしていたスタッフが、スマホでゲームをやりながら考えたのではないか。そう言いたくなるほど酷い。
本作はそうではありません。
そして、この奥原の子供たちからは、亡くなった父のことも見えてくるのです。
息子がこうして覚えているということは、きっと浅草での鍛錬だけではなく、家でレコードも聞いていたと推察できるのです。
父と子が、レコードを聞いていた。そんな日もあったのでしょう。
そしてそれはもう戻らない一日なのです。
ここでナレーター考察の続きを。
もしも、ナレーターがなつの父であるとすれば、コメディアンである内村光良さんのキャスティングも画期的だと思います。
まだ大御所と呼ばれるほどでもない。
コメディアンであるからには陽気なイメージがありますよね。
戦死した兵士というと、どうしても生真面目で重苦しい、そんなイメージがあるものです。
そんな兵士としての像だけではない。
明るく陽気で、創造性に満ちた、絵やタップダンスを愛する一人の男性としての姿がそこにある。
歴史の中にいる、父や兵士ではない。あなたかもしれない。
そんな男性が、ヒロインである娘を見守り続ける――。
それって素敵なことではありませんか。
男性へのエールじゃないですか。
他の人も言われてることですけど。
なつぞらは凄く良いです。
それについての感想の共有や補足を見たくてここを読んでるので、
それ以外の朝ドラとの比較はいい加減いらないです。
今回のように、「ここから先はまんぷくとの比較です」のようにするのはいいと思います。私は読まないので。
でもそれ以外の箇所にはできる限り出さないでもらいたいです。
せっかく気持ちよくなつぞら見て感想みてるのに、まんぷくを思い出して嫌な気持ちになります。
今日の泰樹おんじは流石にちょっとうろたえていたのでは、と思います。
と、いうのも、なつとアイスクリームを食べたり、とよさんから言われるまで警察に問い合わせるということを思いつかなかったり、らしからぬ言動が目立ったからです。内心をなかなか顔に出す方ではありませんが、おそらく、「このわしとしたことが、何たること」と、真田昌幸風に悔やんでいたのではないでしょうか。
それにつけても、NHK大阪が創る朝ドラといえば、かつては「東京に創れないものを創ったるんや!」という気概にあふれていたと思うのですが、一体どうなっちゃったんでしょうね。「カーネーション」や「ちりとてちん」や「てるてる家族」はその風土から生またと思うのですけどねぇ。
不勉強ゆえ「刈り込み」が解らず調べてしまいました。
(前作のレビューで何かの件を「それくらい自分で調べて下さい」と苦言を呈されていたので…怒られてしまいそうで…)
調べることは勿論簡単ではあるのですが
そういった解説も読みたくてこちらのレビューを拝見しておりますので
歴史初心者が躓くシーンを初心者目線の視点を想像して解説してもらえると嬉しいです。
富士子が、なんでそれを言わないの、と泰樹に言った時の泰樹には、
なつは信用のおける子だと確信を得た表情がみて取れた。
子供なら喋ってしまいそうなアイスクリームの件だが、
なつは泰樹の約束を守った。
大人も子供も関係ない人間同士の信頼を得た瞬間だっただろう。
なつ達が東京で狩り込みに遭ったとき、警察官が腰に帯びていたのはサーベル。
それが、帯広で保護されたときには、警棒に。
でも制服は、まだ旧来の様式。
ちょうど、警察の制度や装備等が変わっていく過渡期にあることがわかります。
警察官の姿は、時期をはっきり表す指標のような面もあり、『ごちそうさん』や『べっぴんさん』でも、ここはしっかり表現されていました。
先週、泰樹がなつを帯広に連れて行くときに登場した荷馬車も、北海道に多かったタイプの二輪馬車(前輪を有しない。本体から直接伸びる梶棒を馬腹で支える)でしたし。
考証がしっかりしていることが、随所に見て取れると思います。
なつぞらの批評が読みたくて来ました。
前作が酷くて半青が素晴らしいというのは同意しますが、
もういいんじゃないかなぁ。悪口も比較もどうでもいい、きちんとなつぞらの為のなつぞらの話をしようよ。昌幸パパがカウボーイとかはむしろなつぞらの為に言わないとおかしいくらいのものだけどさ。
鈴愛ちゃんとなつは似てないよ。スズメはスズメだから宝物を見つけたら周り関係なくそれに向かって飛ぶの。なつは大事に自分の宝物をしまっておいて、こっそり眺めて楽しんで、周りの人には見えないようにしてるんだけど、たまに見つかって「なんでこんな良い物隠してたの!」って言われる。自分主体か他人(環境)主体かってところが全然違ってて、クリエイターなのは自分主体の鈴愛だと思う。なつはオーダーに応えるタイプの人じゃないかなー。
妹を抱きしめたい、お兄ちゃんに会いたい、手紙で気持ちがあふれだし、かけだしたなつ。本物はいいなあ!って思います。なつぞらは本物。おしんの後でも負けてません!
まっすぐに生きるヒロインの気持ちよさを久しぶりに感じられて、朝が幸せです。渡辺直美、エマワトソンの動画、こういうことなんだ!と勉強になります。
自信持って、古いしがらみを捨てて。
なつ、がんばれ!自分もがんばろう。
武者さん、ありがとうございます。毎日ドラマと合わせてレビューが楽しみです。
大阪の朝ドラは、年末年始があるので、舞台のリセットと新しいシリーズへの移行がやり易い利点があるのに、タブーな前作は何も活かせていませんね。あと、それがあるからこそ、キャスト発表のイベントでも色々と釣れる利点がある点では、大阪の方が有利なはずでしたが。
前作の批評を読めば読むほど、朝ドラよりもピカレスクロマン路線の方が似合っていたんじゃないかなぁと思えてなりません。
山守夫妻のような「いかにも」といったタイプではなく、天然っぷりでいろいろやらかし
「何で私達が怒られるの??」
「良いことをしていたのに何で???」
「他人をバカになんかしてないもん!『バカ』っていうのがバカにすることでしよ!!そんな事一度もしてないもん!!!」
「俺はクリエイターなんだけど!カースト上位なんだけど!なのにどうして怒られなきゃいけないの!?」
と、心の底からそう叫び、裁かれる理由が真実理解できない、そんな不気味な悪役が主役を貼るピカレスクロマン。
あれ?これどっかで見たような…?
あっ!ベストセラー『彼女は頭が悪いから』じゃないですか!