「雪月」にはあの名将・とよがいるぞ!
雪次郎は、なつを演劇部に勧誘します。
『俳優修行』なんていう本を貸して、誘う気満々。
https://twitter.com/ttori_fc/status/1118702140380172288
※帯広の「なつぞら展」で展示中のようです!
次の日曜に帯広の「雪月」まで来てくれよな、だって。なんでも会わせたい人がいるんだそうです。
夕見子なら「策か?」となるかもしれませんが、なつは素直にむかいます。
私服でもスカートではなく、おさげにオーバーオール。
呼び出されたんだからオシャレしなくちゃ、夕見に借りよう♪ とならないところが、なつの個性でしょう。
そこへやって来たのが倉田でした。雪次郎の勧誘策です。
しかし、ここであのババアが来るんだよォーッ!
ともかく強い本作女性の中でも屈指の強さ!
泰樹でようやくわたりあえる、とよババアが雪之助を従えて登場です。
「高校生がタバコを吸うな! 自分の金で稼いでからにするんだよ!」
えーっ、ええーっ!
けしからんとか、法律で禁じられているとか、そういうスタンスじゃないんですね。
まぁ、当時らしいっちゃそうです。昔の不良少年はともかく喫煙をしたものでして。
それがかっこよかったんです。クールだったんです。
※ハリウッドスターの喫煙姿もかっこよかったものでして
『いだてん』でも喫煙場面が問題になりました。
昔はかっこいいからともかく吸う。そういうものでした。
そういう時代背景のドラマでも、最近はめっきり喫煙が減ったものですが、『いだてん』と本作はそうではないようです。
ここでとよは、倉田は高校生にしては老けている、苦労したんじゃないかと言い出します。
うわっちゃー!
ダメだ、もう止まらんよ。止められるのは、よほど強い逸材じゃないと無理だ。
倉田は無理なんですね。苦労というほどの苦労じゃない……とか言い出します。
「雪月」は梁山泊なのか?
雪次郎が遅れてやってきて、ようやく教師だと判明します。
と、とよの手のひら返しがすごい!
「孫がお世話になっています!」
「息子がお世話になっています!」
切り返しが早いんだわ!
そして、ここから先がまだまだ強い。
高校生にしては老けていると思った、だってさ。倉田は完敗したのか、紛らわしいので禁煙すると言い出します。似合わないのに、お金ももったいなし、って。
そうそう、似合わない。ここ大事です。
当時は嗜好性よりもむしろファッションアイテムの側面がありましたね。遂にとよに制圧された……まぁ、彼女は『真田丸』だと徳川家康級の強さかもしれんので太刀打ちできませんね。
そこで投入されたのが知将・妙子(本多正信)。
先生が混乱しているでしょ、とたしなめる。彼女クラスの能力でないと、とよは制圧できません。
謝りつつ、さらりと強いことを言い出す妙子。
要約するとこんなところです。
「義母は習慣的になんだかむちゃくちゃ酷いことを言いますので……深い意味は特に何も考えていなくて、習性みたいなものですので」
とよも、嫁からなんだか酷いことでフォローされていると気づいています。
夕見子といい、調略を食って日々生きている系の謀将が多いな!
嫁姑といえば、朝ドラですら耐え忍ぶ嫁が定番です。
妙子、それは知略でさりげなく、用意周到にやり返す嫁。これは新しいぞぉ!
もう嫁姑はドロドロとか、そんなレベルじゃない。知将の戦術合戦になっているのです。
そうそう、ここで菓子を勧めておきながら、倉田から断られた雪之助(本多忠勝)も実によい反応でした。
「それがしの菓子が食えぬと……!」
一瞬、そんな怒りを見せました。
彼は、ゴリ押して食べさせたいというよりも、全身全霊を込めて食べたお菓子で喜ばせたい、そんな気持ちと自信満々なのでしょう。
鍛え上げ、作った我が菓子が断られるとは! おのれ〜〜! 鍛錬あるのみ!
そういう系統ですよ。
まぁ、倉田先生は大変だ……。
ジジイの怒りをお前が表現するのだ!
倉田はなつに、目的を語り始めました。
泰樹と農協の揉め事を「演劇で表現したい」というのです。
そのためにも、なつに取材をしてもらいたいのだと。
あ、これ、脚本家さんの本音ですね。
取材をきっちりしないと、いい演劇ができない。そういう信念が出ているんでしょ。いいですね。
それにしても、倉田の考えていることは深い。
演じること。
そのことで己の心と向き合え。そう促しているようにも感じます。
「女の子の部員は少ないんだ」
「楽しいよ!」
そういうありきたりな勧誘ではなく、精神と演劇を通して向き合えと、なつに促すのです。
うーーーーーん、深いぞ、本作!
なつよ、さあどうする――。
ナレーションがそう問いかける中、次回へ!
発情を朝から流す意味がある
今朝は「発情」のワードにドギマギされた方も多かったことでしょう。
いくらなんでも朝ドラで発情?
子供にどう説明するの!
そんな声も出てくることでしょう。
いやいや、それこそが本作の狙いでは?と思いますし、凄いことではないでしょうか。
発情を子供を含めて世間から隠す。
それはよいことなのですか?
海外では常識的になっています。
性教育はむしろきっちりと早期にした方が、よいと証明されています。
◆性教育、海外の事情は 日本は「井の中のかわず」:朝日新聞デジタル
◆日本の性教育は世界からこんなに遅れている|「性交」「避妊」がNGワード! じゃあ何を教えているの?
「性教育なんて早い!」
「ふしだらだ!」
そういう考えのもと、性教育から子供を遠ざけた地域の方が中絶率や性病感染率が高くなる。
性から自衛する手段を、子供が学ぶことができないのです。
興味本位やエロスを煽るポルノよりも、生物学的にどうなっているのか、という疑問解決から始めたほうが結果的にはよい。
海外の教育で、そう証明されています。
なつは、授業で習ったことだからと、顔を赤らめることもなく、ハキハキとこんな単語を言い切ります。
・発情期
・種牛
それは彼女が、性を猥褻だの、ロマンだの、ポルノだの、それ以前の自然のことだとしっかり理解しているからなのです。
「女の子は羞恥心があった方が」
という偏見ときっちり決別する潔さがあります。前述の「不快感をきっちり見せるヒロイン」とあわせて考えると、重要なことです。
女の子はハッキリと拒絶しちゃダメ。
そんな教育を、この国では特に女児にしてきたものです。
そうして、女性はノーと言えなくなる。
セクハラを受けようが、
「やめてくださいよぉ〜」
と笑顔で受け流すことが正解と言われてしまうのです。
先程も申し上げましたように「プライドのない服従」を受け入れてはダメなのです。
社会に出て、不幸な事態に巻き込まれたとき、長年の習慣で作り笑いや拒絶が出てしまうと、
「同意があった。本気で抵抗していると加害者が認識できなかった」
と、無罪判決が出てしまう。なかったことにされてしまう。
◆コンビニ店員にセクハラ、笑顔対応は「同意」じゃない 市職員が逆転敗訴|弁護士ドットコムニュース
地獄への道は、こうした善意で舗装されているのです。
「怒れ! もっと怒れ!」
本作では、泰樹がなつと視聴者に向けて示してきました。
もう地獄に堕ちるな。
堕ちたならば、そこから抜け出せ!
そんなメッセージすら感じたものです。
※海外の性教育の一環。ユーモアも交えておもしろく見せてきます
新しいヒロインへの道を、切り拓く!
彼女のために何ができるか?
それこそが、100作目のテーマではないかと書いてきました。
そこは健在のようです。
今日も、新たな人物がなつを導いていきます。
倉田は、自分の頭で考えなければ答えは出ないと言い切ります。
天陽は、【もしも主ならどうするのか?】考えてみるよう助言をします。
本作の登場人物は、そこに生きているだけではなく、きっちりと役割を持っているように思えるのです。
これはなつだけではなく、今を生きる女性へのメッセージでもあるのでしょう。
社会がそうだから。
常識がそうだから。
そうではなくて、あなた自身はどう思っているのだろうか? 自分がリーダーであれば、人を導く立場ならば、どう考えるのか?
良妻賢母や「内助の功」とは違う、自発的に考え、学び、強く歩んでゆく。
誰かを支えるだけじゃない。
素直に頷くだけじゃない。
そんな2019年にふさわしい女性像を、本作は示しているのです。
ヒロイン像だけではなく、それを支え導く男性像も明確です。
助けるのは女性だけなのか?
男性だって、かっこいいサポート役ができる。
これぞ、本作の真髄でしょう。
やっぱり『真田丸』あっての本作だよなぁ
ちょっと先進的過ぎない?
海外ドラマにも追いつけそうじゃない?
そう思えるヒロインとその周囲ですが、今日、理由を思い出した気がします。
前述の通り、『真田丸』は『ゲーム・オブ・スローンズ』を意識していたそうです。
時代劇が世界的にブームだというけれど、それならば大河が通った道だ――そんな刺激と自覚があって、あのドラマになりました。
女性を励ますこと。
女の子を勇気付けること。
戦うヒロイン。
それだって、本作テーマのアニメが見せてきたことでもありますもんね。
とはいえ、『真田丸』の序盤、真田昌幸(草刈正雄さん)の調略で暗殺が炸裂する場面では、これに視聴者がついていけるか?とヒヤヒヤしていたそうです。
実際は大成功。
制作サイドのゆるぎない自信になったのでしょう。
海外ドラマレベルの進歩をぶつけていこう!
そんな大胆さが、本作にも潜んでいます。
『真田丸』で自信を得たからこそ、きっとガツンと序盤からぶつけてきたのです。
この調子で、突き進んで欲しい。
心の底からそう願っております。
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文:武者震之助
絵:小久ヒロ
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「お前はどう思うのか、自分の頭で考えろ」
もし、『なつぞら』が、現実の日本の農業・農政問題を意識において制作されているのなら、視聴者に対しても問題提起をしようとしているのかもしれません。
酪農関係で言うなら、
「指定生乳生産者団体」の件を筆頭に、規制改革会議が何か言い出せば、各メディアはほとんど無批判にそれを丸呑みして煽るばかり。
さも、「諸悪の根源はJAグループ。JAグループがいなくなれば万事善し」と言わんばかり。
そりゃ、当時の制度に問題が出ていたのは間違いないし、JA等が無謬である筈もない。でも、単にそれを直結させて、「こいつらを叩けば全て解決するんだぞ」という程単純なものではない。そんな単純な話なら、とうの昔に解決していよう。
比較的冷静さを残していたのは一部の地方紙。明確に反対していたのは農業新聞。
でも前者に対しては「JAに遠慮してるんだろ」、後者に対しては「どうせJA寄りのことしか書かないんだろ」という視線が向けられた。
生産者の経営の長期安定と、消費者の利益とは、重なるところもあるけれど、利害相反する面も多い難しい問題。
『なつぞら』は、現在につながる生乳取引制度の形成期に焦点をあて、「皆さんはどう考えますか」と、自ら考えることを求めているのかもしれません。
共同出荷のメリットにしても、先程の投稿も私が考えてみただけで、「どれだけ量を取りまとめられれば、どれだけの価格水準が見込める」といった農協の考え等は、今のところ具体的には全く出ていないですしね。
前回・今回と視聴して、どうも話がしっくり頭に入ってこないというか、論点が見えないと感じられてならないのは…
泰樹が、農協の共同出荷に加わりたくない意向なのは明らかですが。
では泰樹と農協は何を巡って意見が合わないのかが、今一つ見えない。
そんな中で漠然と、「農協は正しいのか正しくないのか」と言われても、では農協が提示した条件はどうなのか、共同出荷のメリットは具体的に何なのか(量を確保して交渉することで、高値取引あるいは長期的な安定取引が見込める)が全く出ていないので、少なくとも視聴者は、正しいとも間違っているとも言いようがない。
泰樹がこだわる「他の出荷者と混ざる」にしても、単なるプライドなのか、現状は高品質ゆえに高単価で買い取られているのに混ぜられると価格が下がり損をすると思っているからなのかも、見えない。
それとも、泰樹も組合長も、互いに避けていてきちんと話していないから、そういう肝腎要の核心の話が、そもそもできていないのか。
あ、もしそうだとすると、話の落ち着き先としては、
「ちゃんと話をしてみたら、泰樹も組合長も、そんなに違ったことを目指していたわけではなかった。『生産者全体に有利になるように』に違いはなかった」
「根は実は、僅かな行き違い、個人的なライバル心だった」
ということなのかも知れないですね。
泰樹のそれは現代的価値観なんでしょうか。
ただ孫のような存在が自分との約束を忘れたことに嫉妬しているということでしょう。
【なつ相手に女としてのジャッジ】なんて当然ないと思うんですが。
【女子による継承】はあれば素敵なことだと思いますが、後にアニメーター目指すということなのでその辺り上手くドラマとして見せてくれますかねぇ。
でもそうすると実の孫である照男が可哀相です。やる気もありそうなのに空気と化している・・・