「舐められるじゃねえか」
「誰に舐められるんですか?」
「世間様よ」
「世間って何?」
ここでよっちゃんが語る番長伝説がすごい。
「クマと鮭を取り合って勝ったって……!」
おいっ、ヒグマ相手にかよ!
たぶん番長は、なつが脅しに屈することを期待していたんでしょう。
しかし、予想とは逆に、理詰めでテキパキと反論してくる。
こうなると弱いものです。
そこでうっかりこんなことを言ってしまうんです。
「抱き合ったりするんだろ!」
「いやらしい! そんなことまで想像してんの?」
これは完全に墓穴を掘りおったわ!
かえっていやらしい、ナンパだ、そんな流れになっていきます。
番長の武力に、なつの知略が勝利します。
FFJの魂! あ〜い、あ〜い!
答えに窮し、いたたまれなくなった門倉はFFJの精神を持ち出します。なつは即答!
Future Farmers of Japan!
日本学校農業クラブ連盟!
※公式サイト
歌い始める熱い農業魂!
この実在すんのかよ系・若人ソングは、『あまちゃん』のコレ以来ですかね。
「あ〜い、あ〜い! よし!!」
って、なんだか団結してますわ。
日本全国の農業高校卒業生を、泣かせに来たよね。
このあと、演劇部になつと雪次郎は向かいます。そして入部希望者も。
えっ、よっちゃんはわかるけれども、門倉まで?
倉田先生は、門倉は真面目な生徒だと見抜いていたそうで。
「よろしく頼むぞ!」
「押忍!」
危機をうっちゃって、逆に部員を増やすお手柄。
なつの知略はかなりのものです……。
脚本は『白蛇伝説』
倉田は脚本を完成させておりました。
あとはみんなで清書だそうで、タイトルは『白蛇伝説』。
これは重要です。
中国古典のヒロイン・白娘子を主役とした物語ですね。
唐代からあったストーリーで、はじめは妖怪である蛇に化けた美女にはご用心という、怪談でした。
日本にも大きな影響を与えています。
それが明、清と時代が降るにつれ、悪役だったヒロインが同情されていきます。
「こんな健気な白娘子たんなんだから、正体が蛇でもいいでしょ!」
種族を超えた恋愛ものにされたわけですね。
※映画やドラマも多いものです
そして、日本発の長編アニメ作品がこの『白蛇伝』なのです。
アニメの歴史を振り返る。
それが本作の使命。まさに、まさにです!
なつは清書に挑みますが、全然読めません。
板書は読めるように書いているけれども、これはそうじゃない。魂で書くと読めないんだってさ。
魂で読むしかない!
そう張り切るなつ。
さあ、次はお前が魂を見せる番だ――ナレーションも熱く語りかけるのでした。
戦うヒロインはここにいる
こんな記事がありました。
◆(考・カルチャー 平成→令和)保守化 歴史・伝統、浸るファンタジー
同記事は、****は「感情をもらってばかり」だと指摘。
戦後間もなく、未亡人を含めて働く女性が多かったのに、そんな歴史的背景すら無視していた。
過剰に従順なヒロインで、危うさを感じた。
そう語られています。
まさに、まさにその通りです。
そのことは私もここで散々指摘してきました。
最近の朝ドラは、そういう保守的なヒロイン像と、革新的なヒロイン像で揺さぶりをかけられている。
そんな状況です。
どちらを支持しようとそれは勝手にすればよいこと。
そんな前作を受けて、今作は強い揺り戻しをしてきました。
革新タイプ『半分、青い。』の鈴愛は、強い言葉で男性に反論し、生意気で非常識だと叩かれたものです。
そのことで、革新の流れは止まるのか?
そうではないと、今日確信できました。
女がやって何が悪い?
あんたに何の関係がある?
世間様って誰さ? あんたのことでしょ!
いやらしいことを想像して!
そうはっきりと、言い切ったなつ。
****では「女の子なんだから!」というセリフが飛び出していたことを考えれば、実に革新的です。
女がやるのは生意気だとか。
女の選択や進路に口出ししてくるとか。
世間様と言いつつ、自分の押し付けをしたいだけだとか。
女だからって、勝手にいやらしいことを想像しているとか。
そういう相手に、きっぱりと言い返しました。
いいぞ、なつ、いいぞ!
これから先、なつは女ゆえの偏見とも戦うことでしょう。
それでも、きっと彼女は強く、人生の楽しみを見出すことができるはず。
そして、男性側がそれを後押ししていること。
繰り返しますが、とても重要です。
『半分、青い。』はまさに門倉番長の難癖みたいなことが、バッシングとしてありましたよね。
女性脚本家のくせに生意気だという、くだらないものです。
今回は男性脚本家だから、そこが弱くなる。
そう見ています。
それでいいってことじゃない。
男として、彼女のために何ができるか。
そこを深く問いかけてくる。そんなドラマになるはずです。
※スマホで『なつぞら』や『いだてん』
U-NEXTならスグ見れる!
↓
文:武者震之助
絵:小久ヒロ
北海道ネタ盛り沢山のコーナーは武将ジャパンの『ゴールデンカムイ特集』へ!
>Miho☆様
ご意見ありがとうございます。
今後の展開を確認してから、その辺、言及させてください。
著者の武者にそう伝えておきます^^
白蛇伝説ですが、アニメ化された中国の話ではなく、アイヌの伝説の方ではないでしょうか?
https://www.town.shikaoi.lg.jp/sightseeing/history/densho/
こんにちは。半分青い以来、朝ドラとこちらのレビューを楽しみにする毎日が戻ってきて嬉しい限りです。
今作は、レビューでも度々拝見するように、女性の描き方に配慮がされている素晴らしい作品だと思いますが、一点、よっちゃんの扱いが気になります。女優をやらせてもらえないこともそうですし、ふくよかな体型をギャグとして扱われているような。今までの丁寧な脚本からすると、のちのち解決される気もするのですが、何だかんだ言っても男性脚本家なので、スルーされるのではと良からぬ心配をしています。お考えをお聞かせ頂けると嬉しいです!
「極端な高値とはならなくとも、農協の共同出荷に参加し、長期的な安定性を目指すか」
それとも
「スポット的で安定性に劣るとしても、酪農家が個別に乳業メーカーと交渉し高値取引できる方を選ぶか」
でも、生乳は長期保存も効かない以上、目先のスポット的な高値買取りに惹かれてメーカー直接取引を選んでも、生乳は必ずだぶつく時がくる。
するとメーカーには足元を見られて買い叩かれ、よほど競争力のある一部酪農家以外は乳業メーカーに従属的になってしまう…
なんでそれをわかってくれない…
剛男や組合長のもどかしさが伝わってくるよう。
こういう生乳の生産・取引特性は、今も基本的には変わっていません。
何度か触れた「指定生乳生産者団体制度」。一昨年に制度改正が加えられましたが、極力、広域的な生乳生産者団体の機能は保たれるよう計らわれたとされるものの、賛否両論があり。
酪農家の経営が安定しつつ、工夫ある取引も実現できるのか。
消費者側にも、飲用乳やバター等が、不足・価格高騰を来さず安定して供給されるのか。
現実の生乳・加工乳取引制度の改正の方も、まだ見守る必要があります。
テレビ朝日系で放映中の『やすらぎの刻~道』では、展開が劇中劇の『道』に移り、今日は登場人物の浅井しの(清野菜名さん演)が、有力者の息子の不良共を、鍛え上げた薙刀の技でコテンパンに。
本作『なつぞら』では、今日、なつが門倉を理詰めで追い詰め、降す。
作中の時点でおよそ四半世紀を隔てて並行するこれら二つの物語。
それぞれに制作者の想いや造り込みが込められた見応えのある作品だと思います。
どちらも録画で見てますが、目が離せなくなっています。
なつぞらはお陰様で本気見しています。やすらぎの刻はつらつら流し見していましたが、今日、教師が特高に捕まったらしいエピになり、ドラマの中の断片情報から推測して、どうも生活綴り方運動への弾圧っぽい。
なつぞらの現時点でのテーマが生活者(農業高校生)による芸術表現、であるので奇しくも2ドラマで似通ったことを扱うなあと。
ちょっとこの2人の脚本家さんがこの時代に投げかけたいものごとに注目しようと思います。
閑人さま
白蛇はんですね。私もおーっと思いました。
倉田先生の前世まで伏線が引かれているとは!!!!
知らない人は、あさが来た で検索してね
でました!白蛇伝!伏線の張り方がお見事です。
これはいずれジブリのレジェンド(モデルのキャラクター)も出てくるでしょうね。
期待して待っています。
今日の番長とのやりとりは、前作への皮肉でしたね。あと、武者様が紹介した記事は、ヤフーに出てたら、袋叩きですね。最近のヤフーは、ある種の全体主義者に牛耳られた感が半端ないです。