なつぞら36話 感想あらすじ視聴率(5/11)世界一残酷な武器に刺されて

【第36話の視聴率は20.8%でした】

 

なつぞら感想視聴率

コメント欄でのご指摘。

泰樹の予想外について。

書き出すと止まらなくなっていろいろ大変そうですが、土曜日の衝撃的な展開をふまえつつ、分析していきたいと思います。

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策士、策に溺れる

「天陽のところへ行ってくる」

なつがそう告げた瞬間、昨日の予想通りと言いますか、策士が驚く顔からスタートします。

これ系の顔

泰樹は、なつに話があると持ち出すのです。

「お前、結婚する気はあるのか?」

「え、何言ってんの?」

そりゃいつかは結婚するかもしれないけれど……そう戸惑うなつ。

前作****の第1週を思い出しましょう。
結婚が当然ですぅ〜とヒロインたちがキャッキャしていましたね。これがその対極です。

「照男はどうじゃ。そういうことは考えられんか?」

「何言ってんのさ! からかわないでさ!」

「照男にも話してある。その気がある!」

照男にハッキリと聞いてはいないが、そうに決まっていると言い切る泰樹。
スキー大会の結果を、完全に誤解しているが故に……。

泰樹は、この結婚がいかに柴田家にとって、牧場にとって大切か、説得を始めるのです。

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プリンセスストーリーの罪

これもね……今週何度もあげている、ディズニープリンセスストーリーにも関係がありまして。

歴史的に見ますと、お姫様が結婚する時、彼女の気持ちは無視されてきたものです。

和宮然り。

ロマンスの神様、あの世で二人を結ばせて!政略結婚でもラブラブだった和宮&徳川家茂

マリー・ルイーズ然り。

ナポレオン1世2世3世4世の生涯をスッキリ整理!歴史に翻弄された皇帝たち

「家のため! 皆の幸せのためだから!」

そう泣く泣く結婚させられる。
結果オーライってなもんでもないわけでして。

ちなみに津田梅子は、親友の結婚を現実逃避だと見切っていたそうですが……。

6才で渡米した津田梅子が帰国後に感じた絶望~それでも女子教育に生涯を賭けて

そういう歴史の残酷な一面をごまかすため、お姫様は王子と結婚してこそ幸せなのだとおとぎ話は刷り込んで来ました。
ディズニーは、その罪深さに気が付いてしまい、エルサにこう言わせたのです。

「アナ、あなたね……会ったばかりの王子様と結婚したいなんて、そんなのおかしいから」

フィクションは無罪!
表現の自由だ!

そういう意見は、フィクションの力をあまりに軽視しています。

プロパガンダ映画がナゼ作られてきたのか。
この作品に出てきたポパイだって、戦時中は日本兵と戦う作品があったほど。

本作は、意識的にフィクションの罪と罰まで踏み込んできているように思えるのです。

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「愛」を読み違えた軍師

戦争において。
読みきれないから過小評価をしてもいけないし、かといって過大評価もしてはいけない要素があります。

「士気」です。

「根性論」と言い換えればわかりやすいかな。
測りようがないからには、それを頼りに計算すると失敗するものです。

そしてここでは、それが愛なんじゃあああ!

実は私もドラマ評をする時、脚本家や役者、題材への愛着は、なるべく出さないようにしています。

思う存分ぶん殴ってきた『西郷どん』にせよ、前作****にせよ。
大好きな役者さんがおります。
万が一、私のドラマ評を見て、心を痛めたかもしれない役者さんがいるかもしれない――そう思うと、辛くないわけがない。

しかし、それはそれ。これはこれだから……。

愛は、目を曇らせてしまう……泰樹は、まさに愛ゆえに間違ったのです。

わしはなつを愛している。
なつのためならば、何でもできる。
なつにも、同じ愛があれば、きっと応えてくれるだろう。

ぬかったわーーーーー!!

「どうして? どうしてそんなことを話したの? どして?」

嫌とかどうとか、そんな問題ではない。
なつは切々と訴えます。

「そう思われていたと思うと、恥ずかしいよ! 恥ずかしくて、たまんないよ!」

なつを愛しているからこそ、その愛が軍師の胸を抉り出します。
辛い……。

タイウィンと泰樹は違うのか?

ちょっと比較対象として『ゲーム・オブ・スローンズ』のタイウィン・ラニスターを持ち出しましょう。

家のためならとっとと結婚しやがれ!
と、我が子の結婚をサクサクと決めてしまう。それがタイウィン・ラニスターです。

もしもタイウィンだったら、ここでもう一つ手があるのです。

※本当に極悪非道ですので、読まれない方がよい方もおります。性的な虐待について記述があります

酒で潰して、なつと照男を同じ屋根の下にでも放置するんですよ。
それで既成事実を作るのです。

ドラマ版では改変されていますが、タイウィンはロブ・スタークに一服持っていたと推察できる描写があります。
その結果が、デキちゃった婚からの大虐殺【レッド・ウェディング】につながります。

そこまで外道ならば、そういうことをやりかねない。

そんなタイウィンと泰樹は全然違うでしょ!
そう言いたくなる気持ちはわかります。

しかし、そこまで距離が遠いとは思いません。二人とも知略がきわめて高い。
それに、泰樹の前世と思われる、真田昌幸とタイウィンは似ている。

タイウィン「結婚式でターゲットを殺す。ナイスアイデアだと思わんか?」

昌幸「わかるわー!」

スターク家・黙れ小童「そこで一致するなーーー!!」

この手の軍師はデータ、解析、経験等を頭の中で分析する。
これでいいだろうという理論の組み立ては達人級なのです。

愛に刺されて倒れる軍師

そんな彼らの弱点は愛です。

なんでもハキハキと答えられるのに、そういうロジックを超えた何かがあると、計算外でパニックになって、暴発してしまう。

開拓者として分析し、冷静に、努力して生きてきた泰樹。

彼が珍しくうろたえたこと。
それは亡き妻への愛が絡んだ時だとわかります。

理論上では、泰樹は再婚した方がずっと楽だったはずです。そんなこと、わからないはずがない。
しかし、彼はそうしなかった。

愛は素晴らしい。何かを超えるはずだ。
そういう愛を照男は見せてきた。その愛でなつを結びつけるんじゃあああああ!

と、完全に読み違いをしてしまった……。

タイウィンも、実は愛ゆえに計算違いをしてしまっている一人です。

彼が、息子であるティリオンを憎むのは、その誕生時、たった一人心の底から愛した妻が、産褥死してしまったから。
妻が生きていた頃には、あんなに冷酷ではなかった――そう噂される人物。

タイウィンの死因は、兄弟愛を低く見積もりすぎた結果でした。

『真田丸』における真田昌幸にしたって、「表裏比興の者」と評価されているものの、心の底には武田信玄への敬愛があったとわかります。

失った愛ゆえに迷走しているのに、本人がそこに気づかない。
愛を完全に読み違っているのに、本人は刺されるまで気づかない。

気が付いた時には、血を流して倒れている。
そして、絶望と戸惑いと苦しみの表情を見せて、のたうち回る。

そういう苦悶が、そこにはあるのです。

愛は世界で一番残酷な武器

泰樹はもう、血まみれだ。
隠せない本音を見せるしかありません。

「照男兄ちゃんに悪いよ! 失礼だよ! そんなこと……照男兄ちゃんに悪いよ! そんなこと、一度でも思ったら、もう家族には戻れんよ! じいちゃんは私から大事な家族を奪ったんだよ!」

「お前と本当の家族になりたかったんだ!」

「それはうちを他人だと思ってるからでしょ!」

きつい……これは辛い一撃だ。

もう駄目だ。

辛い。

胸が張り裂けそうだ。

家族になるどころか、奪った――そう言われてしまった。

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愛しているなつから、その愛を疑われた。こんなに辛いことがあるかーっ!
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17 Comments

それでも照お兄ちゃんかっこいい

なつぞらの感想を読みたくてこのブログを見つけました。他作品にまで考察が及んでいて、なつぞらをさらに深く味わうことができました。私自身、初期ディズニー作品の白人男性至上主義には違和感を覚えますが、女性の描き方という点でなつぞらはすごく現代的な作品なんですね。なるほど。

照おにいちゃんの気持ちを思うと切ないですが、なっちゃんの「恥ずかしいよ!」っていうセリフはすごくよかったですね。確かに現代日本の作品では妹を恋愛対象として普通に受け入れてしまってますもんね。アイヌの親子と出会う回でも、18歳の彼女を、いい意味で子どもとして尊重してあげる姿勢が感じられました!

904bis2型

『なつぞら』が始まった頃、泰樹のルーツについて、アイヌ民族との関係性の可能性も、当レビューでは触れられていたと思います。
その後の物語の展開のなかで、泰樹自身は富山県出身ということが明らかとなりましたが。

今回、なつを助けてくれた人達が、ひょっとするとそうなのかも。
週明けが待たれます。

あねもね

ナルビク部隊 様

お気遣いさせてしまったようですね。
ありがとうございます。

これからもレビュー・コメントともに楽しく読ませていただくつもりです。

ガブレンツ奮戦

丁度今、『いだてん』では、二階堂トクヨ先生が永井教授を「時代遅れ」とやり込めてましたね。
爽快。

約半世紀後の本作『なつぞら』で登場する女性たちは、皆それぞれに自己が確立し、自らの考えをしっかり表明できる人物として描かれています。

女性に焦点があたってはいますが、これは男性登場人物であってもそう。

『なつぞら』も『いだてん』も、自己が確立した、ぶれない登場人物が魅力です。

ナルビク部隊

前後しましたが、私の一つ前のはもちろん匿名氏向けの発言です。

ナルビク部隊

ま、だから
お越しにならない方が良いでしょう。

あねもね

なつと泰樹の心象を映すような雪嵐
今週は切ない展開でした。

そんな中、山田家の牛はあの時の発情を逃さず妊娠していたんだと密かに嬉しくなりました。小さなシーンにも色々な意味がある北海道編は素晴らしいです。

発情や妊娠を無邪気に口にするなつ。
柴田牧場で愛されて育ったことが良く分かりました。苦労して生きて兄妹は行方知れずだからこそ、自分を恋愛や性から遠い存在と思いたがっていることも。

周囲は愛しいと同時に心配でもある。
特に泰樹は。だから先手を打ってしまった。
大きなしくじりですが、なつの成長には必要だったかも知れません。
泰樹もまた変わると信じます。

女子の意思が無視または軽視される。
意思を示せば貶められる。
当たり前と思い込んでいる輩に悪気がなかったりする。
生まれ育って40年近く確かにずっと感じています。
過去にあって、今もある。
だからこそ新たに作られる作品として相応しい作品を朝ドラに望みます。

匿名

ナルビク部隊様
塩ラーメン好き。様

価値観・感性の違いだけなら良いですが、こちらのレビューは事実をねじ曲げて書いています。
モデル騒動にしても、娘達は「モデルなら私がやる」とは言っていましたがヌードモデルをやることについては拒否していましたし、忠彦も家族にはさせないと言っていました。
それを娘達が「ヌードモデルやりたい」と言ったように書いていることを指摘しているのです。

ガブレンツ奮戦

視聴する側も動揺しないわけにはいかなかった今回前半の展開。

でも、少し時間が経ってみると、この出来事は、なつにとって柴田家との家族としての関係を再認識することになったかもしれない。何の疑問もなく「家族」と思っていたからこそ、突然の照男との結婚提案があれだけのショックとなったのだし。

今回の出来事は、むしろ、なつが十勝を離れて上京してからも、十勝や柴田家との縁・絆を意識し保ち続けることをより強めることになったかも知れないなあと思いつつ、次週を楽しみにしています。

塩ラーメン好き。

>家族を性的な目で見ていた前作

あのモデル騒動で前作の視聴は
限界になりました。
ほんとに気持ち悪かったです。、

スカパ・風呂ー

ごく身近に接していて「異性」として意識していなかったものが、何かのきっかけから意識し始めてしまう…という作品は割とよくあるし、実生活でも、何歳になってもありがちなこと。

※もちろん、実の肉親等のことを言ってるのではない。

なので、逆に「今まで意識していなかった相手と、急に結婚することになる」というのも、一つのきっかけということもある。それで、今まで知らなかった相手の魅力を知り…という人生が始まったケースもあるので、そのような出会い自体を一概に良いとも悪いとも言えない。
人格を無視した強要等はもちろん不可だけど。

それに、貧しい開拓地や、戦後の混乱期の生活など、「生きるためには相手を選ぶどころではなかった」という時代もあったし。

なつと照男のケースは、やっぱり無理があった。

泰樹じいちゃんは、なつは「もうすっかり家族になっている」のに、それでも「『手放したくない』と欲張った」から、かえって失うことになってしまった。
こういう昔ばなしはあったような気がしませんか。

ナルビク部隊

大体、前作は女性の人格をまともに認めてなかったし。

ナルビク部隊

↓ 前作の「モデル騒動」なんか、その典型です。
  このサイトの前作レビューをよく読むべき。それでも「私にはそうは感じないんだけどな」となるなら、それは価値観・感性の差ですから、ここにはお越しにならない方が良いでしょう。

匿名

この回のなつの泰樹への言葉は良かったですし、今の時代や昭和の時代でも家族を性的な目で見るのはもちろん許しがたいことですが、家族を性的な目で見ていた前作なんてなかったんですけどね。
「****は嫌いだからまともにレビューしません」って書いた上で架空の****としてフェイクレビューするとでも明言していてくれたら、まだ笑って読んでいられましたよ。

匿名

今更なことですが、武者様は再放送されている『おしん』と『葵三代』について言及されないのは、やはり相当昔の作品なので学説と時代背景が違うから、色々と触れられないのでしょうか。

904bis型

また私事ながら。
私の祖父母の身近に、本作の富士子のような発言力のある人がいたら、あるいは当人たちもなつや照男のように考えを言えたら、祖父母二人それぞれにも違った人生があったかも知れません。…まあ、今の私も存在しなくなるんですが…

泰樹を見ていると、明治の人、開拓者、土に密着して生きてきた強さ、絶対とも見える自信…私には最晩年の姿しか直接の記憶にない曾祖父の人物像が、何となく浮かんでくるような気がします。

904型

泰樹の後悔。
もう、取り返しがつかない。
なつを受け入れる最大の力となった人自身が、なつが去る最大のきっかけをも作ってしまった。
運命の皮肉なのか。
それとも、必然の運命なのか。

私事ながら、私の祖父母の結婚のいきさつは、本作とよく似て、遠戚で兄妹のような間柄の二人が曾祖父の強い意向で結婚したところがありました(本作のなつは断りましたが)。
その後、家は私の代まで続いてきてはいますが。祖父母も曾祖父もそれぞれに苦悩や後悔、寂しいことも少なくなかったようです。両親を通じてよく聞かされました。

今週は、見ていて胸が苦しくなる展開が続きました。今回はまたしても、「朝っぱらから家族の前で泣いちまったじゃないか!」

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