魂なんて作るものなのか?
そんな問いかけをして終わった前回。
天陽の問いに反応したのは、木刀を削っていた門倉でした。
「何が言いたいんだ!」
まぁ、番長ですからね。ついていくと決めた俺の倉田先生に文句あんのかコラァ! ってことでしょう。
それに門倉は、性格的にこういう問答にはついていかんでしょ。
「なっちゃんのままでいては、ダメなんですか?」
他の魂を作らねばならないのか?
そんな天陽の疑問に倉田は大喜びです。
「君と余だ!」
っていうね。何その横光三国志の劉備と曹操状態です。
「彼はよくわかっている!」
嬉しそうだな〜、倉田。
昨日分析したように、アーティストタイプの【情】仲間発見ということでしょう。
ただ、門倉を筆頭にタイプが違うと「なんじゃこりゃ!」になるとは思います。
演技そして魂問答
気持ちをそのまま入れ込むこと。台本はただの台本であり、役にもそのままでは魂はないのです。
倉田の話に熱が帯びてきます。
台本に入っているのは、あくまで脚本家の魂のみ。
読んだ一人一人の中にしか、魂は存在しない。役の気持ちを感じて、魂を感じて、入れなければならない。
自分の気持ち。自分自身で考えながら、演じるしかない。
奥原は真似をしているだけなんだ!
それだけじゃダメだ。奥原なつの魂、そして気持ちを見せるしかない!
そんな熱い理論が語られます。
贈り物を受け取っている天陽
天陽はこのあと、
「余計なことを言ってしまったかな?」
となつと雪次郎に言います。
なつをかばったというよりも、イライラしてしまったのだと。
しかも、それは倉田相手にではない。
「なっちゃんの芝居にイライラしてしまった」
だとさ!
庇うどころか、ダメ出しです。
天陽は、怒らせたのかと心配していますが、雪次郎はむしろ倉田は喜んでいると言います。
やっぱり天陽は、こっち側の子だ。
そしてここで倉田にダメ出しされ、自分からさらにイライラしていると言われたら、なつがどう思うか読めていません。
空気の読めない、創造性という才能持ち。
門倉はここで、
「根性見せろって言ってんだよ!」
と部員に気合を入れています。門倉はこっちの子じゃないですね。
よっちゃんには、
「わかったようなことを言っている……」
とお見通しでした。
門倉とよっちゃん。
こういうことはあんまり言いたくないし、余計なお世話なんですけれども。
この二人は結婚したら絶対にうまくいきますよ。
夫が暴れる後始末を、苦笑しながら妻がやってのける。そういうタイプでしょう。
よっちゃんは蔑むというよりも、だんだんと門倉がめんこくなっているのかもしれません。
なつはそんな中、芝居の表現の難しさに四苦八苦しています。
これは広瀬すずさんも大変なはず。
『真田丸』で、演技のプロが下手くそな芝居をする場面がありました。あれを思い出します。
山田家の苦悩
そのころ剛男は山田家を訪れていました。
正治は、乳業メーカーの検査に納得できていない様子。
しかし、農協は口出しできないのです。この問題が、深く見えてきましたね。
視聴者が見ていて、これはダメだと理解できること。これはかなり描き方が細かいと思います。丁寧ですね。
農協の言うことがだんだんと理解できてくるのです。
正治は悔しそうに、農協のやることに【泰樹が反対しているから団結しないのか】と、剛男に言うのです。
タミは止めます。
山田家がこうして暮らしていけるのも、泰樹あってのことです。それなのに失礼じゃないの、って。
これも難しい話です。
柴田家は頼れるリーダーとしてだけではなく、山田家のような中小農家を圧迫する。そういう先人になってしまっている。
かつては泰樹も、力なき開拓者として、大きな力と戦ってきたことでしょう。それが時の流れと自らの成功により、かつて彼を苦しめた側に回ってしまった。
剛男はそこをしっかり説得すると言いますが、そこまで踏まえてできるのかな? まぁ、無理でしょうね。
ここで剛男は、今は乳量を増やすことだとアドバイスします。
クローバーのような、マメ科を飼料に混ぜるといいそうです。やりすぎは注意。
正治は、質より量なのかと不満そう。
あ、陽平と天陽兄弟の性格もちょっと見えてきました。
兄・陽平は、母親譲りの柔軟性と穏やかさ。
弟・天陽は、納得できなければ不満が出てしまう父親似。こんなところかな?
ついでに言うと、このクローバー云々。かなり調べていますよね!
こういう細かいセリフに、考証をしっかりとしてくること。
これが脚本の質であり、魂です。NHKともなれば、考証チームはきっちり揃うはず。
それなのに考証ガタガタである場合、魂を込めていないと言うことです。
ここで天陽が帰宅します。
剛男に演劇部について聞かれて、がんばっていると即答。
なつはいつでもがんばります。
泰樹「知略99のわしでもわからんとは」
そんななつは、牧場の仕事でも牛を相手にセリフを稽古中。
背後でジッと見ている泰樹。
朝ドラ名物覗き見とはいえ、これはなかなか。
「なしたんだ?」
泰樹じいちゃん、なつが牛を相手に人生相談していると思っています。
「もうやだ〜、じいちゃん!」
困惑するなつ。
これはもう両者困惑しかない。
ここでの泰樹の反応が、知略99です。
このわしの知能でも間違っていたのか。そう悩んでおります。
頭ごなしに怒るのではなく、まず自分のミスを検証する。知将ですからね。
本作は知将が多いなあ。
夕見子「この私に見破れぬわけがありませんな」
そして今日の軍師枠、二人目。イジワル軍師・夕見子の出番ですぞ!
最近、夕見子がちらっと映るだけでワクワクしてしまいます。
柴田家には、雪次郎がやってきておりました。
『俳優修行』がわからないと相談するなつに、自分だってそうだと語る雪次郎です。
「俳優はみんなそうだよ」
「俳優? はっ、ただの高校生ではござらんか。たかが高校演劇であろう。農業高校生が何を主張するつもりですかな?」
出た。
夕見子の煽り、出た!
※煽り軍師は美声です。兼続も夕見子も声がいいですね!
そんな煽りはともかくとして、演技論です。
自分らしくなりきるには、想像力しかない。
セリフの裏で何を考えるのか。そこが大事。そう考える演劇部員たち。
経験、記憶を重ねるしかない!
そんな青春トークの横で、もくもくと菓子を頬張る夕見子。
「与えられた環境の中で、その中で生きるのは私自身……というわけでござるな」
ナゼわかった!?
雪次郎がそう驚くと、『俳優修行』に書いてあったと軍師は軽く言ってのけます。
はい、軍師は書物を読みますもんね!
しかし、なんでこいつはいちいち煽るんだ。
毎朝、夕見子を見るだけで笑ってしまうじゃないですか。
横で妹の明美も困惑中です。
この子も、姉への対抗上軍師スキルをあげています。
話を終え、帰宅しようとする雪次郎に、富士子が土産を渡します。
「少しだけだけど」
出た!
北海道名物、少しだけのはずが持ち帰るのに苦労する分量の土産だ!
案の定、雪次郎はその量に慌てています。自転車のバランスちゃんと取って、転ばないようにね。
応援したい! 酪農をアピールしたい
なつに富士子は、高校演劇の深さに感心したと言い出します。
「農民にこそ、演劇が必要なんだって!」
なつはそう言い、農業高校らしいことをしたいと考えています。
観客にしぼりたての牛乳を飲んでもらいたいとか。
十勝の農業をアピールしたい! それがなつの願いなのです。
なぜなら。
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本日の終盤のなっちゃんの、
気持ちの入った演技に、涙が出ました。
頑張れ!!なっちゃん。