「よくいった、ペチカ! それでこそわしの娘!」
門倉番長扮する村長も感動……っておい! 村長は高木だろう? と倉田先生が混乱しております。
無許可だったんかーい!
そこで、高木が替わると言い出したと主張する門倉。倉田が高木を探すと、よっちゃんの隣で縮こまっておりました。
「お前、言ったのか?」
「言ったべ(※番長の圧力)」
「なしてだ?」
「門倉さんのような貫禄が出せないので!」
高木は2年生。
来年もあるからがんばれ、それでいっか、という流れになるのでした。
これが番長の力か……!
それぞれの目覚め
「俺たちにとって、最後の夏になったぞ!」
門倉が気合を入れます。
部員歴が最も短いということも、番長の威圧感で吹っ飛ばしていくのです。
「やっぱりすげえな!」
雪次郎は素直に感服しております。
夕見子あたりがいたら、絶対色々と突っ込んでいるんでしょう。
「余計な人まで目覚めちゃった」
と、番長を見るよっちゃんの観察眼も、とてもいいですね〜。
一方で、天陽も目覚めています
筆を持って、一気にガッと描き出してしまう。
馬の嘶きや蹄の効果音も入ります。
これが天陽、魂の世界なのでしょう。
以前、なつに馬の絵を見せた時もこの効果がありました。
天から贈り物を受け取った者が見せる魂の世界、いいですね。
『半分、青い。』では、鈴愛がネームを描かず、いきなりスケッチブックに作品を描いていました。
『いだてん』では、初高座で緊張してしまったデビュー当時の古今亭志ん生が、走ることを思い出すだけで、ガーッと話し始めていました。
こういうタイプは、魂の赴くままに突っ走ってしまいます。
天陽の感受性の強さや、そういう性質がここまでで描かれてきたため、納得できる描写なのです。
そして、美しい!
倉田は細かい指示を出さなかったこと。
よくわからない魂問題で感動していたこと。
それが、この描写だけでストンと落ちていく――そんな描写です。
「雪月」での評定
そのころ「雪月」では、演劇部公演にあわせた菓子提供をめぐり、評定が繰り広げられていた――(有働由美子アナの声で)。
とよ、雪之助も当初は賛成したものの、富士子と妙子から無料配布と聞いて動揺が走ります。
牛乳は高校が提供するにせよ。
総大将・とよ「氷に金がかかるではないか」
知将・妙子「雪次郎も参戦するわけでして」
とよ「ほう……アイスを袖の下にして勝利を狙う。よい策だのぅ」
妙子「左様なことではござらん」
とよ「それでは意味がないではないか!」
ついにはとよ、平和は嫌だと言い出します。
親のことを邪魔にしおって、これだから太平の世はつまらんとブツブツ。
勇将・雪之助「話が大きすぎまする!」
はい、脱線修正。
何でも言い合える家の寛大さを確認しつつ、問題点へ。
器はどうするのか?
いちいち洗うのか?
それは大きな問題です。
すると、ずっとその問題を考えていたという知将・妙子さんの出番です、どうぞ。
妙子「モナカの皮ではいかがですかな」
ドヤ顔でアイスモナカを思いつく、これぞ軍師よ!
雪之助も修行時代のことを思い出しました。
小倉アイスでそんなモナカがあったと。うちでもきっと売れる、これは試さないと!
「雪月」の陣容が完璧です
「雪月」の陣容が完璧ですよね。
◆総大将 とよ(徳川家康):器が大きい。それまで思いついてもいなかった策を、知将が出してくると、とりあえず預かり褒める。器の大きさあってこそ我が軍であると君臨する、太っ腹なカリスマ持ち。
◆知将・妙子(本多正信):なにげなく雑談しているような場面でも、常に脳を回転させている。そしてここぞというところで、妙策をおもむろに提案。これぞ軍師!
◆勇将・雪之助(本多忠勝):自己鍛錬を怠らぬ誠実な人柄。過去の修行経験を常に反復し、知将の策に確証を与えるナイスアシストも。総大将の脱線も修正できる、人柄の良さもある。
それぞれの個性が噛み合って成功する陣容になっています。
フラットな立場で話し合える。
これも大事です。
姑だからと、いばり散らして嫁の提案を却下しない。夫が妻の案をバカにしない。
対等だからこそ、アイデアが浮かんでは流れていく。
これがブレーンストリーミングです。しかも、三人とも自分の長所を常に磨いています。
「雪月」が成功する――説得力がありますね!
「主婦や妻のアイデアでうまくいく!」
というありがちな流れがありますが。****でも大好きでしたっけね。
【主婦・妻=無知なおばさんがまぐれや思いつきで何か言い、賢い男が具現化】
という単純な話じゃない。
【発明家がともかくビッグなことを思いつく】
これも、やっぱり嘘。
斬新な発想や発明の前には、知能や鍛錬が必要なのです。
変な顔をしている*ちゃんが、いきなり手を振り回しながらアイデアを思いつくなんて、ありえない。彼女には知能も思考もありませんでした。
妙子の知将ぶりは明らかなこと。
昨日の富士子との会話の時点で、軍師顔だったものです。アイスクリームという時点で、頭をフル回転させていたことでしょう。だからこそモナカのアイデアも浮かんでくる。
雪之助の経験やそれを生かしてゆく手腕は、証明済みです。
なんせ、とよも無双ですからね。
「雪月」は強いぞ!
敢えて欠けているものがあるとすれば、アーティストタイプの魂ですかね。
天陽の絵を飾るなり、パッケージに起用するなりすれば、敵はいなくなるという構図です。
それぞれの才能と努力、そして勝利
「雪月」然り。
演劇部然り。
それぞれが才能を発揮します。
のびのびと絵を描く天陽。そして衣装もできていきます。
実はこの、アイヌの衣装も取り入れたかなり難しい衣装は、よっちゃんが担当したそうです。
そして迎えた、演劇発表当日の朝。
なつは養父母に送り出されたあと、泰樹に挨拶をします。
「じいちゃん、いってきます!」
「行くからには必ず勝て!」
そう戦国武将魂を見せる泰樹でした。なして、こんなに毎回必勝と言い切るのだ!
なつは、勝利の条件も提示しました。
それはじいちゃんを感動させること。さもなければ、私の負け。
「見したいのは、じいちゃんだけ!」
そう言い切るなつ。
こんなこと言われて期待しないわけないでしょ。
ただ、なつは媚びるとか計算するとか、そういうタイプじゃない。
心の底から、そう願っているのです。そこが、美しいところです。心までキラキラしていますね。
「雪月」、アイスモナカで出陣
はい、会場では「雪月」がアイスモナカを販売しています。
【勝農魂】
そんな熱いフレーズの前で、次々に配っていく。
宣伝だと張り切るとよを、制する妙子です。
まぁ、雪次郎も出ていることですし、あんまり商売を前面に出してもね。
失敗したら大損だと、とよは張り切っていますが。
「わしがこのアイスモナカを採用したのよ!」
「……提案はそれがしですな」
「なぁに、決めるのは総大将!」
ドヤ顔とよに対して、策は自分由来だと、そっとたしなめる妙子がナイスコンビにもほどがあります。
実際、総大将とよの調子の良さ、ともかく明るい宣伝っぷりは、妙子には出来そうにないことですし、見事なものなのです。欠けているところを補ってこそ、ナイスコンビでしょ。
これが総大将なんですね。
そういうちょっとお子様ぽい威張りっぷりを、軍師は苦笑して受け止めないとね。
なつは、剛男にお礼を言います。
モナカのための牛乳許可を出したのは、農協なのです。
さて、問題の泰樹ですが……夕見子と明美と一緒に来ると剛男が告げるのでした。
これは何かありそうだ。
※続きは次ページへ
今回泰樹らが出発しようとしたときに乗っていた馬車は、車輪が自動車用タイヤにバージョンアップしていました。
なつの幼少期は、鉄の輪縁を嵌めた木製の車輪でした。
昭和30年代頃の馬車は、今回のような自動車用空気入りゴムタイヤが増えていたわけで、ここにも制作陣の本気度が強く現れています。
そういえば、夕方の再放送の朝ドラは、ゲゲゲに決まったそうです。某作に出演されてた役者も出演されてましたが、内容は雲泥の差です。また、再放送開始前に武者様は、この作品についての特集はされるのでしょうか。
「乳牛への適正な給餌指導」は、現在なら酪農地域の農協の重要業務の一つ。営農指導員の技術力が問われるものです。
まだ規模も小さかった作中の当時の農協は、その体制も十分ではなかったのでしょう。
酪農に限らず、農協の営農指導体制は、地域の主要農産品の育成のうえで、都道府県の農業改良普及センターと並んで重要な存在。この体制を整えられなかった農協は、淘汰され、解散あるいは吸収合併されたりする途を辿ることになります。
各地の農協の公式サイトで、管内主要農産品のPRをしているのを見ると、農家と営農指導員の尽力が偲ばれるところ。都市部の農協でも意外な特産品を揃えているところもあったりして驚かされることもしばしばです。
登場人物たちの言葉の意味や、その奥にある深層心理など、なつぞらは毎日考えさせられるシーンが多いです。それぞれの人物が丁寧に描かれてきているからですね。
****信者たちがなつぞらを、薄っぺらいとか、人物の背景が描かれていない、などと言っているのを見ると、理解力は大丈夫なのかしらと心配になります。
半分青いや、なつぞらが、あまりにも深くて感動も大きいので、まったく****は何だったのかと今更ながらに思います。小学生が書いた「ぼくたちの関西が生んだすごい人!」のようでした。ここ数年の大阪製作の傾向でないかなと思います。郷土愛は良いと思うけど、東京へのコンプレックスがあるように感じます。
ところで、今日は夕見子は珍しく素直で穏やかでありませんでしたか?泰樹の「牛たちも連れていけたらなあ」に「それならなつも喜ぶわ」。泰樹には素直になれるのかもしれませんね。