なつぞら39話 感想あらすじ視聴率(5/15)才能ゆえの孤独と悲しみ

【第39話の視聴率は23.2%でした】

 

なつぞら感想視聴率

「今日もお綺麗で」
今朝は、富士子への、戸村悠吉の挨拶から始まります。

富士子は、そんなことは知っているし、久々だ、思い出したのかとまで突っ込みます。
強いな〜!

なつぞら7話 感想あらすじ視聴率(4/8)「東京に行ったのかもしれん」

菊介が、よく眠れたのか? 元気なのか? と気遣うところへ、なつがやって来ます。

「じいちゃん、ゆうべはごめんなさい。昨夜のことは忘れてください。私はがんばるから、ずっとここでがんばるから」

そうぺこりと頭を下げるのですが。

「その必要はないと言っている」

泰樹はそっけないものです。

泰樹の傷心は止まらない

照男が泰樹を気遣います。

「じいちゃんも悪いと思っている。余計傷つく」

しかし、なつには通じるのかどうか。

実は照男って、なつよりも、妹の軍師コンビ二人よりも、ずっと繊細で人の心を理解できるんですよね。
幼少期から、そんな繊細さが垣間見えていました。

剛男もそういう面はあるのですが、彼はちょっとズレていますからね。

そういう意味で、彼は本当に心優しいと思いますよ。
キャスティングされた清原翔さんも、そこをきっちりと演じきっています。

ただ、これは繰り返しますが、男女逆だとそこまで意外性がない。

夕美子と照男の立場が逆になると、典型的なパターンかと思います。
あの、人の心をザクザクと踏んづける軍師妹と、繊細極まりない兄。面白いよねえ。

お互い、典型的なジェンダーに縛られないぶん、これから大変だとは思います。
それでもけっぱれ!

恋は譲れても、夢はちがう

天陽の家にやってきたなつ。

「やっぱり私が間違っている。東京に行くなんて」

顛末を聞いた天陽は、なつがついた嘘の理由を聞きます。
兄・咲太郎ではなくて、漫画映画志願が根底にあるのに、ナゼ隠すのか?

「自分でも信じられない、そったらこと」

酪農よりやりたいことがあると伝えたら、泰樹が傷ついてしまう。
そんな裏切るようなことはできない。

「言えんかった」

「言わん方が裏切りだ」

「できるかわからん。何もできねえなら、言わん方がまし」

言えないと悩むなつ。
そして、まだ天陽の話を聞いてなかった――と、なつは思い出すわけですが。

「それはもういい。何でもない。忘れたわ」

そう否定します。
彼の中で優先順位がある。
なつの夢の方が、自分の恋より上。そう判断したのでしょう。

絵を描くことこそ自分の生きる道であり、譲れないこと。
そう理解していればこそ、なつにもそうあって欲しい。そんな心情かもしれません。

これは言っておきたい。
ハタチ前後の青年が、そこまでハッキリ理解できているって、天陽はとんでもない存在ですよ!

「したら遠慮なく」

阿川親子の家に、来客があります。
弥市郎が出迎えると、富士子と照男でした。

なつの命を救ってくれてありがとうございます、と丁寧に頭を下げる富士子。

しかし弥市郎は、泊めただけだとさっぱりした態度です。
彼らしいのかもしれません。

江戸時代、そして明治時代の屯田兵は、来客をもてなし、助ける彼らに、どれほど救われたことか。

第七師団はなぜゴールデンカムイで敵役なのか?屯田兵時代から続く過酷な環境

あがっていけと言われて一旦は断る富士子ですが、寒いから中に入れと言われると断れません。

「したら遠慮なく」

これは重要です。
もてなす側も、扉を開けていると寒いし、燃料が無駄になりますから。これぞ北国の冬だべ。

本作って、北海道の人が明けっ広げに思えるかもしれません。

しかし、遠慮していると死ぬ。
そういう歴史を超えて来たから、そういうもんだべ。

江戸っ子とも、京雀とも違うんだ。

阿川家での出会い

娘の砂良は、柴田家の持ってきた牛乳を見てうれしそうに目を輝かせています。

本作は、なつといい、砂良といい、女優さんの目がキラキラしますよね。
あ、夕見子は知略がギラッと光る系だからちょっと別ですね。目がチベットスナギツネってことじゃありません! それは本家の直江兼続です。

そんな砂良を見る照男も、まるで森の中で何か神秘的なものを見てしまったような、そういう顔になっています。

一晩いただけで大したことはしていないと、弥市郎はそっけない。
聞けばなつは一晩寝ないで、絵を描いていたのだと。

その姿が尋常ではない集中力だったと弥市郎は語ります。

「なつが絵を……」

富士子がそう言います。
ここで、室内の彫刻が映し出されるのでした。

なつがそんなに絵を描くことが好きだったなんて知らなかった。
そう驚く富士子。

砂良がうれしそうな顔で牛乳を汁物に入れています。
あ、砂良さん、あなたのあの笑顔は、こういう意味だったんだね。

『ゴールデンカムイ』でアシリパさんが、美味しいものを見つけて、目がキラキラする顔ですね。

その汁を差し出される照男にまで、幸せがうつっていきます。
美味しいもの、あたたかいものを食べて、これで何かが生まれる瞬間だな!

恋せよ、柴田兄妹

対照的な柴田家のきょうだいですが、照男も夕見子も自己抑制的なところがあります。
そういう人間は、どこかで感情を発散させないと。

つまり、恋愛だね。

夕見子は、自分の嫌味が通じないでひたすらアプローチしてくる雪次郎にまんざらでもないでしょう。

女のくせに生意気。
賢すぎて可愛げがないと言われ続けた彼女にとって、

「俺はバカだけどゆみちゃんが好きぃ〜〜!」

とストレートに迫る雪次郎からは、かえって逃げにくいものです。
軍師はストレートなアプローチに弱いからね。

そしてこの照男。
前述の通り、繊細で思いやりがあって、気遣いができる性格です。

なつを妹としか思えないという言葉も本心でしょう。
泰樹への敬愛もあって、そう思い込んでしまった部分があった。そう悟ったところで、この出会いです。

これぞ、しがらみのない、まっすぐな恋なんだ。
輝きが、万事控えめな彼の顔から伝わってきます。

この先、苦労はあると思います。
それでも、照男ならきっと乗り越えられる!!

この恋を応援できるのは、それだけ私が柴田家と本作を信じているということでもあると確信できます。

人生の節目に、どうしたって差別がつきまとったものだから……。

◆【SYNODOS】アイヌ差別の現状――民族への差別と民族の内なる差別/佐々木千夏 / 教育社会学

言っておきます。
私は****レビューで誤解されたかもしれませんが、恋愛描写そのものは嫌いじゃないんです。
下劣な性欲と支配欲が大嫌いなだけですんでね。

本作のような恋愛描写はオッケー!
もっとくれーい!
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4 Comments

904bis型

今回も、一升瓶詰めの牛乳が描かれました。
本作では、確か泰樹がなつを初めて雪月に連れて来たとき以来、たびたび登場した十勝編必須のアイテムの一つ。

現在ではまず見ることのない、当時の生活風景の一つですね。

904型

朝の牛舎。
謝るなつを、泰樹が受け入れないのは、やはりなつの本心がそこにはないことを見抜いているからでしょう。
「本心」が何なのかまではわからないでしょうが。

山田家で、
「泰樹を裏切ってまで踏み切っても、成し遂げられるかどうかわからない。そんな状態では、口に出せなかった」というなつ。

「本当にやりたいことなのなら、たとえ裏切ることになってでも。その覚悟がないなら成し遂げられないし、東京に行く意味はない」という天陽。

なつをどんどん後押ししていくよう。

余談ながら、「覚悟」を語る天陽の台詞。本作第27~31話の東京編スタッフには突き刺さってしまう言葉なのでは。皮肉ながら。

匿名

後半の武者様の話は、某大御所女性脚本家の話に似た感じです。日経の連載では、このことについて触れる可能性はありそうです。

Dragon

今作や●●●●に関する武者さんの考察には同意したり教えられたりするところが大部分なのですが、いだてんのスヤさんに関して、クドカン氏はもう少し先を見ているのではないかと、個人的には思っています。

シマやトクヨという常識にチャレンジする群像を描いた上で、これまで「破格の女性」を演じてきた綾瀬さんに「主人公を支える模範的家庭婦人」を演じさせることにこそ、大きな意味を見いだしているのではないでしょうか。

世の中、みんながみんなヒーローになれるわけでもないし、清さんみたいにヒーローに自分を投影して、何かを感じ取ろうとする人もいます。性別役割分担論という問題を考える時、「女だから家事をやって子育てをして夫を支える」ということと「料理をしたり、人を育てたりすることが生き甲斐だからそうしている」ということは、同じことをやっていても同じ意味合いではなく、後者を否定することは、今ある「性別役割分担」を逆転させるだけで、新たな分担論を生み出す、という可能性も含んでいます。どちらも(筆致として)否定しないというクドカン氏や制作スタッフのバランス感覚を(特に●●●●の関係者と比べて)信頼に値する、と私は思っています。

人それぞれのフィーリング、という問題もありますので、これ以上は申しませんが、そういう見方をする人間も存在するということで一言、記してみました。

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