昭和31年(1956年)新宿――。
日本一の歓楽街と呼ばれるこのエリアの夜ともなれば、それはいろいろと賑やかなもの。
北海道から来た菓子職人なんて、そりゃもうベロベロですわ。
帯広どころじゃねえっ!
結果、いろいろと話がややこしいことに……。
咲太郎は今どこに?
煙カスミはステージ後、なつから聞かれた咲太郎の居場所は知らないと答えます。
しかし、どうやらそう単純でもないとナレーターが告げるのです。
いきつけのおでん屋・風車へ。
そこにいたのは岸川亜矢美です。
第41作『純ちゃんの応援歌』ヒロインであった山口智子さんですね!
朝ドラヒロインの成長が確認できて、うれしい限りです。
ここはカスミのおごりとのことで、おでんの「爆弾」を食べることになるなつたち。
卵を練り物でくるんだものです。
雪之助は熱燗とおでんがあまりに美味しかったのか。それとも浮かれているのか。
雪次郎に止められながらもベロンベロンです。
カスミの付き人・土間レミ子が、おでんを大量に注文。もりもり食べるレミちゃん、なんかいいな……。
話題は、なつの人探しに。
ムーランルージュで働いていた子。咲太郎、愛称は咲坊。
彼は今どこにいるのか? と話題になるわけです。
亜矢美が何か訳ありの顔にちょっとだけなっています。
泰樹「なして新宿でクソジジイ認定されねばならん!」
すると、酔っ払った雪之助があることないことを語り始めます。
北海道で苦労してきたなつ。
開拓者頑固ジジイが、牛が乳搾りしなければ学校にも行かせないと言うわ。
う、うん……確かにそう言えなくもないかもしれないけれど!
つらくて家出したこたこともあったっけ。
う、うん、それはね!
しかも兄貴はろくでもなくて、警察沙汰に。
それはまぁ、うん……。
そして川村屋で働くことも、借金返済のためになっているのでした。
なんだかなつがものすごく不幸な人になっているぞ!
酔っ払って騒動を起こす事件はありますが、そこで出るのは本性とされています。
雪之助……彼の場合、とよババア由来のおしゃべり&誇張がモロに出たのでしょう。
シラフで北海道にいる時は、総大将・とよババアと知将・妙子が抑え込む――そんな奔放さが炸裂しておるわー!
この話だって、とよババアがおもしろおかしく誇張したことなんでしょうね。
なんという複合的な要因か……。
『いだてん』にも出てくる古今亭志ん生クラスですと、周囲も酔っ払い対策をするものですが。
この場合は雪次郎が止めるしかありません。
北海道ではなく川村屋に帰ると告げて、風車を去るなつたちでした。
このあと、カスミは亜矢美に意味ありげなセリフを告げます。
どうやら亜矢美は何か知っているようでして。
心の操を返して! 力になりたい……あれ?
店を出た直後のことでした。
なつはレミ子に呼び止められます。
「兄さんに返すように言ってよ」
また借金かと思い、身構えるなつ。
「金じゃない、私の心よ! 心の操……真心一晩貸したままだから。返してもらうわよ」
そう言われたところでねぇ。
「さっぱりわかんねえ!」
全くわからん!
そうなりますよねえ。
これもセリフの落とし所を探っていますね。
心ではない操だと、さすがに朝ドラでは辛いものがある。このセリフ一つで、ギリギリ咲太郎はレミ子相手にはプラトニックとわかるわけです。
あ、ストリップダンサーのローズマリーは別としてね。
川村屋へ帰宅。
なつは同じ部屋の三橋佐知子に挨拶しています。
すると佐知子が、意味ありげなことを……。
「咲ちゃんから私のこと、何も聞いていないわよね」
なんでしょうね。
そして翌朝、なつは早起きしていました。洗面所で歯磨きをしながら、雪次郎に牛が恋しいと告げます。
そうそう、酪農時代の早起きが抜けないんですね。
部屋に戻ると、佐知子が布団を片付けています。
それから恥じらいつつ、お兄さんに渡してと封筒を出すのでした。
力になりたい。
そう言いつつ、金一封を渡そうとする佐知子。
「兄と何かあったんですか?」
「まだないわよぉ!」
照れつつ、そう言い切る佐知子。
う、うん、まぁプラトニックなんだね。
「借りでもあるんですか?」
「同志なのよ。新宿で強く生きる同志。やだぁ〜!」
念のため突っ込んでおきますが、同志と言っても政治思想云々ではないでしょう。
新宿で強く生きる同志だそうで。
兄って一体……そう疑問が湧いてくるなつですが……見ているこっちもだよ! 何やってたんだよ、咲太郎!
ま、まさか、借金を返すために、こうやって女たちから集めていないよね?
※続きは次ページへ
夏の短期上京でも仄めかされていた、咲太郎に好意を寄せる女達。早くもなつを味方にしようと躍起になっていますね。
そこでニヤリとさせられて、後半の本人登場で業とも言える魅力が炸裂。
なかなか好感触です、新宿も。
904型様
私もお社に手を合わせる姿にほっこりしました。夕見子の取材に泰樹が紋付袴だったりクローズアップされない所に「らしさ」が感じられて好ましいです。
だからこそ幽霊電車は残念ですね。交通事情に詳しく無い私ですが、関心の高い分野だったらと思うと…甘い考証よりもアニメーションでというご提案、とても素敵です。
働き方改革とクオリティを両立させる工夫によって、作品の可能性が広がって欲しいものです。
鉄拳さんのパラパラ漫画、新鮮で楽しかったなぁ。
亜矢美の店・風車の隣には、小さなお稲荷さん?が。
カスミに連れられたなつたちが、店に入る前、そのお稲荷さんの前を素通りしそうになりつつ、気づいて一礼。
亜矢美のほうも、朝、店先を掃いていたのか創作ダンスをしていたのか?不思議な動きの中で、やっぱり一礼。
こういう習慣は、やっぱり昭和中期頃には普通のことでした。
東京編、やるねえ。
それに
出会う女性のことごとくが、咲太郎には何やら口にしにくそうな「何か」が…
亜矢美の、何か腹中に隠しているかのような様子も。
これらがどうつながり、結びついて行くのでしょうね。
…あの幽霊電車、もう出すなよ!(←まだ言ってるし…)
『スカーレット』までは、今まで通りですよ。
平日は、このレビューを読んで、展開を楽しみにしながら土曜日の昼に観ているのですが、次からは残念になります。まあ、今回のドラマを楽しみす。
長谷川さんは、ただ新しい仕事に対して切り替えたいだけだと思いますが。それに、また何年か後に別の朝ドラの時に、件の某作がよかったと思われてしまう可能性がありますから。