なつぞら48話 感想あらすじ視聴率(5/25)悪の道に転げ落ちても不思議なく

【第48話の視聴率は19.9%でした】

 

なつぞら感想視聴率

なつは風車の亜矢美に謝りにやってきました。

まず、信哉を紹介しますと。

「ってノブよね、ノブ!」
亜矢美がテンション高く反応します。

咲太郎と同い年だよね、と亜矢美が聞くと、信哉は早生まれなので一学年上だと伝えるのでした。つまり咲太郎は、信哉のことを亜矢美に話していたわけですね。

やっぱり人脈が大事なんだぜ!

一方の咲太郎は、大杉社長に挨拶をします。
この社長の「あーた(あなた)」という言い方が、昭和ですねえ。

咲太郎が「赤い星座」所属と聞き、脇役でいい味を出している役者の所属先かと大杉は納得、先へ進もうとします。

そこで咲太郎は食い下がります。
社長の付き人がスゴむと、大杉は要件とやらを聞くことにするのでした。

「お願いがあります!」

「あーたが私に?」

「お願いというより挨拶、というよりお願いです!」

ここで咲太郎は、妹のなつが漫画映画の試験を受けると要件を切り出します。
命がけで頑張るとも。
大杉はちょっと引いている?

北海道で苦労した戦災孤児だから、鶴の一声でなんとか!
そう咲太郎は言い切りました。名前だけでも覚えて欲しい、と。

大杉は、咲太郎とその妹の名前を聞き返します。

このあと咲太郎は、ここで会えるなんてラッキーだと浮かれているわけですが。

「運が向いて来たぞ! よしよしよしよし!」

うーん、ハイテンションな咲太郎はチャーミングっちゃそうなんですけど。

こういう口利き、コネ頼り入社ってどうにもスッキリしない。
私は好きじゃありません。不平等ですよね。

NHK大阪近年の作品である『ひよっこ』、『わろてんか』、前作****では、身内採用を肯定的に描きました。
****は親族経営上等、会社が外戚と宦官に乗っ取られた王朝になっておりましたけれども。

そういうのは、どうにもNHK東京らしくないんだよなぁ。
ここ、どう処理するんですかね。

妹を捨てたわけじゃない

亜矢美は、咲太郎との出会いを語り出します。

孤児院を脱走し、知り合いのいない新宿で靴磨きを始めた咲太郎。
しかし、場所の奪い合いのため、他の浮浪児から袋叩きにされてしまうのでした。

辛い……身寄りのない同士で、少ない分け前を奪い合う辛い世界です。

そこをたまたま、見かねた亜矢美が助けたのでした。
亜矢美はそのまま咲太郎を藤正親分に連れて行ったわけです。

藤正が仁義ある任侠で本当によかった。

この藤正が極悪非道で仁義がないと、『はだしのゲン』のムスビルートです。
ヒロポン(覚せい剤)中毒にされた挙句、ヤクザの鉄砲玉にされてしまうのです。

ヒロポンこと覚せい剤は、あの戦争前後に利用されていたものです。
敵に捨て身の攻撃を行う前に兵士が服用する。
徹夜で作業する労働者が服用する。
その禍は長く続いたものでした。

孤児よりも年長である帰還兵も、『仁義なき戦い』の広能のようにされた者もおりまして。
戦後のヤクザ抗争の戦闘には、行き場所のない孤児や帰還兵が駆り出されたものでした。

そういうヤクザが、劇中の背後にいると想像してみてください。
『仁義なき戦い』が原爆投下から始まるのは、偶然じゃない。
歴史的必然じゃけえのぉ……。

保護したのが山守親分ならこうなっていたかも……

そんな親分から、ラーメンを食べさせてもらった咲太郎。

このラーメン考証も、なかなかしっかりしています。彼らが食べた屋台は、場末にあったものでしょう。あまり小綺麗にも見えません。
外国ルーツの方や、満州から引き揚げた方が、こうして細々と提供していた一杯です。

おしゃれな食べ物ではない。
肉体労働者や若年男性に好まれたものでした。

ラーメンの歴史は明治維新後にスタート~日本の歴史と歩み、世界の食となるまで

****ではこのあたりが無茶苦茶でしたからね。
あと、本作のラーメンの方が断然美味しそうなのは、どういうこと?

幼き咲太郎は一息ついて、泣きながら訴えます。

「北海道に行きたいんです。妹を迎えに。北海道へは、どうやったら行けますか?」

妹のなつを送り出したあと、会いたくてたまらなくなった咲太郎。

捨てたわけじゃない。
会いたかったんだ。
会いたくてたまらなかったんだ。

きょうだいそろって、互いを求めて家出していたのか!

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孤児を救い、救われて

亜矢美はしみじみと、兄が妹を捨てたわけじゃないと語ります。

「私が捨てさせた……」

「それは違うだろ。あんたはまた踊っただけだ」

藤正がそう訂正します。
ここでムーランルージュの回想へ。

亜矢美がステージ上で踊っています。
山口智子さんがうまい! ものすごく気合を入れてステージシーンに挑んだと伝わってきます。朝から贅沢なものをありがとうございます。

咲太郎は、そんな亜矢美をうっとりと眺めています。
ステージが終わったあと、彼はタップダンスを始めるのでした。

浮浪児がボロ靴でタップを踏む。
ダンサーはキラキラとしたハイヒールでそれに合わせる。二人がタップダンスを踊りあい、心が通じ合うのです。

渡邊蒼さんも素晴らしい、入魂のステップ。
んー、なんて美しいんだろう!

昨日、咲太郎にとって亜矢美は女神みたいだったんだろうなぁと書いたんですけれども。

なつぞら47話 感想あらすじ視聴率(5/24)女の子に限って優しすぎる男

女神と少年の出会いを、映像化された!
もう感慨深くてため息が漏れそうです。

「あいつはここで生きる決心をしたんだ」

藤正がしみじみとそう語ります。それで亜矢美が救われたとも。

これも咲太郎の業をちょっと感じますよね。
なつたちには、父の店を再建すると誓い、きょうだい三人と暮らすと誓っておりました。

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それが上書きされたんですね。
亜矢美も、咲太郎は特別だったのです。生きていく希望なんかない時代に、彼が希望となったのでした。

悲しみから生まれた希望を抱えて

「あなたのお兄さん、長いこと引き止めちゃった。ごめんね」

そう謝る彼女を、なつはきっぱりと否定します。

「あなたがいてくれて、ほんとうによかった」

亜矢美を否定することは、なつを受け入れた北海道の家族を否定することでもある。
そうなつは言い切るのです。

「あなたに失礼なことをしたなら、謝ります」

そう立ち上がり頭を下げるなつ。

「頭をあげて、座って座って!」と亜矢美。
ここで彼女は、なつに夢があることを言い出します。

北海道に行けたからこその夢。
苦労した甲斐があったからこそ見出した夢だとなつは答えます。

「悲しみから生まれた希望は、人を強くする。喜びから生まれた夢は、人を優しくする……」

ここで黙っていた信哉がそう語り、亜矢美はこの人は詩人さんかと突っ込んでしまうのでした。

放送記者だとなつが訂正します。
でもいいじゃないですか。こんな信哉なら、きっといい報道を送るか、あるいは番組を作りますよ。

それにこれは、彼自身の思いでもあるのでしょう。
強く、そして優しく生きる。そう目指す信哉も素晴らしいと思います。
続きは次ページへ

10 Comments

あねもね

救われた咲太郎と正しいラーメン!
からの、輝いていた亜矢美のレヴュー!
からの、2人のタップダンス!!

気質が似ていて、舞台を愛する2人が運命的に家族になったこと。
コンパクトなシーンからヒシヒシと伝わりました。なつが時間をかけて柴田家の娘になったのとは対照的ですね。

やはり辛い境遇であろう亜矢美にとって、咲太郎はかけがえのない存在。
血の繋がった妹が突然現れた戸惑いと兄妹を結果的に引き離していた負い目が、観ていて切ない週でした。

しっかりした子供のなつ
老けた浮浪児の咲太郎
行方知れずの千遥

約10年離れて生きた兄妹の行く末が、それそれに幸せなものであって欲しいです。

乾燥芋

ひよっこ大好きなので早く修正してください。

匿名

或点不意寄るど!様
指摘のコメントを書いた者です。
恥ずかしながら『べっぴんさん』を視聴していなかったため
そういった描写があるのかどうか判別がつかず、察することができませんでした。
不快な思いをさせてしまったようで申し訳ございませんでした。

ガブレンツ奮戦

前回、ごく短いシーンながら、鈴木杏樹さんが登場しました(亀山蘭子役)。昭和30年代の女優さんを表現したのでしょうが、最近の『相棒』シリーズや『ZIP!』等での姿とは全く違った姿。若々しい美しさという感じでした。先週の予告では彼女とは気づかなかった程。
マダムの比嘉愛未さんの魅力はレビュー本文やコメントで語られていますが、この亀山蘭子の鈴木杏樹さんも実に良い感じです。

あえて鈴木杏樹さんをキャスティングしているからには、この亀山蘭子という登場人物も、今後の物語の中で意味を持ってくるのでしょう。
そうなってほしいな、という期待は強くあります。

904bis型

文脈上は、確かに『べっぴんさん』を『ひよっこ』と誤記した可能性はありそう。

ただ、もしそうだとすると、
『べっぴんさん』の場合、すみれ達親の側は、子のさくら達の入社には強く反対しており、入社を巡るすみれらの当惑や悩み、さくららの側の自己過信等による摩擦などは、物語後半の主要エピソードでした。

さくらの描き方として、浅はかさを強調しすぎだったのでは? それが作品の評価を下げすぎることにつながりはしなかったか? というのは、『べっぴんさん』を評価する上での主要論点でもあります。

最終的には、良い結果に結びつく描写としたのではありますが、そこに至るまで長い期間と努力を要したことも描かれていました。ですので、「『べっぴんさん』は縁故採用を肯定的に扱った」とするのは早計であり、『べっぴんさん』の正当な評価とは言えないと思います。

或点不意寄るど!

文脈上、また内容的にも、『べっぴんさん』と書こうとして『ひよっこ』と誤ったと見るのが妥当。

嫌味ったらしく書く必要はなく、簡潔・明瞭に指摘すれば足りる。

匿名

『ひよっこ』の身内採用というのは、みね子がすずふり亭に雇われたことという認識で大丈夫でしょうか?
あまりそういうイメージは無かったのですが、父親が世話になった縁から…と考えれば確かに縁故採用の一種になるのかもしれませんね。
流石武者さん、思いもよらないところに気づかれると感服しました。
しかしながら指摘させていただくと、『ひよっこ』は大阪制作でなく東京制作ですね。

こけにわ

TEAM NACS ファンの道民の方々は、
安顕さんを保護者目線で見てハラハラしてしまう、そうですね。
Twitterで見て笑ってしまいました。

雪之助さんが酔った時のことは忘れる所は、道民の突っ込みが入ったかな。
お前だよ~!北海道はいいなあ。

むらた

前作のラーメンシーンでは一切泣くことはありませんでしたが、今朝の咲太郎君のラーメンシーンは一緒に泣きました。そして亜矢美さんと咲太郎君のタップダンスの場面では今度はすごく嬉しくなって泣きました。ええドラマや。

904型

亜矢美が腹中に抱えていた隠し事。
それは「咲太郎を手元に置いて離さなかった後ろめたさ」だったわけですね。
でも、誰が悪いわけでもない。
なつが店を訪れて、こういう形でわかりあえてよかった。

それにしても、亜矢美は信哉のことも知っていました。「ノブ」と。
焼け跡の中で、身寄りもなく生き延びてきた人達。咲太郎の言うところの「戦友」。時にこういうつながりになって形を現すこともあるんですね。
十勝編で、泰樹が、酪農初期に利益を度外視して支援した乳業メーカーのことを忘れられなかったこととも、どこか通じるような(→※もっともこちらは結果的に利用されてしまいましたが)。

こういう「人の縁」は、本作の柱の一つかも知れません。

それから
その後のなつの二ヶ月間を表現したアニメーションは、なかなか効果的だったと思います。
今後も要所要所で活用されると良いと思います。

あの大失敗の「新宿の街角」も、アニメーションでリアルに、印象的に表現していたら良かった。後知恵ですが。(←まだ言ってるし…)

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