封筒を開け、中身をじっと見つめるなつ。
ごろんと仰向けになり、足をバタバタさせます。
「やったやったやったやった……やったー!」
同室の佐知子が部屋に入ってきて声を掛けると、合格だと告げます。
おめでとう、なつ!
佐知子、そして父もナレーションで祝福するのでした。
広瀬すずさんが絶品ですね。
表情と仕草だけで、爆発するような感情を表現して、そして告げる。素晴らしい!喜びが伝わって来ます。
演技ってこういうことなんだなぁ。
軍師は素直になれんのじゃぁああ!
柴田家でも、乾杯をしています。
なつの席には身代わりの【木彫りの熊】が……。
よりにもよって熊でなくてもいいと突っ込まれ、照男がなつが好きだったからと言います。
好きなのは照男自身だと、明美が鋭いツッコミを入れます。
ラブレター(=鮭)を抱えた熊だと、砂良への恋心まで突っ込まれる兄。
まぁ、目がうっとりとしていますからね。
こりゃバレるわ。演技がいいなぁ〜。
それにしても明美が、姉不在を補おうと軍師化しているのがおもしろいですな。
柴田家姉妹は、幼い頃から賢く、そして容赦がありません。
「帰ってこんのがいい知らせじゃ」
「すごい強がり!」
「うるさい!」
泰樹が言えば、富士子が突っ込む。
いいですね、軍師の強がり。
場面変わって、今度は北海道でも札幌。
夕見子がなつに電話をかけてきました。柴田家の場面でも不在だったあのイジワル軍師だー!
「電話代がかかるから、手短に」
いきなりそれかーい!
「いいか、なつ、負けんな。中に入ったら、負けんな。負けたらつまらんぞ!」
「負けんぞ、特に夕見子には負けんから!」
「はいはい、お金もったいないから切るね」
そしてもう切っている、と。
なつは、すぐ照れんだから、じいちゃんそっくりと言うのです。
完全に軍師ですわ。
祖父の軍師の血が、孫まで伝わっています。
賢いのはよいことです。
しかし、軍師は人の気持ちを踏んづける。
特に女性である場合、無愛想な奴と言われかねない。
モテそうにないでしょ?
めんこいね、と近づいてくる男性がいても、最初のデートで終わりそう。
そういう軍師なんだよなぁ……直江兼続だから。
※煽ってくるからさ……
でも、この電話の場面を見て、
「夕見子ちゃん、めんこい❤︎」
とうっとりしたアナタ!
おめでとうございます。雪次郎になれますよ。
そんな容赦ない毒舌夕見子に認めてもらってこそ、雪次郎も熱くなりますね。
今日は出番なかったけど、頑張れ、雪次郎!
きょうだい一緒に風車で
このあと、なつは風車にやって来ます。
亜矢美は、おばんおばんおばんとおばんラッシュ状態で迎えます。
山口智子さんってば……昨日のマダム対決モードと違いすぎる!
服装だけではなくて、雰囲気も。うまいですねぇ。
テンションが高いのは、咲太郎から合格について聞いたからのようです。
彼女から祝いの言葉が出ます。
咲太郎も嬉しかったんでしょうね。
なつは、亜矢美に兄の絵を返そうとしますが、彼女は断ります。
と、今日はもうひとつ別の用件、亜矢美に頼みがありました。
川村屋を出ることになるから、ここに置いて欲しいと告げるわけです。
「いいの、本当に?」
「ご迷惑でなければ」
「いつでもいらっしゃいよ! 狭いけど、大歓迎!」
亜矢美は歓迎モードになります。
無駄に部屋が余っていたのかもしれないし、どうせなら身元が確かな下宿人がいい。そういうことよりも、これは朗報です。
咲太郎は、せめて住むところだけでもと、風車でなつと暮らそうと言い出していました。
回り道をしたけれど、そこにまで到達。やったね!
なつよ、次の一歩を踏み出したな――。
ナレーターの父も、そう祝福する出発でした。
問題は解決したのかな?
これを指摘するのはちょっと気がひけますが、おめでたい今日ですから、敢えてチェックしておきましょう。
◆面接で不合格だった理由を、咲太郎は誤解している
→なつが真相を告げなかった結果、咲太郎は「孤児院育ちとバラしたせいだ」と誤解しています。
◆仲と陽平の説得成否不明
→大杉の誤解を解くと仲はなつに誓ったわけですが、面接に不在でした。つまり、説得成否がわかりません。
◆赤い星座の女優・亀山蘭子
→ちらりと出てきただけの彼女は、まだ出番があります。結構大きな役のようです。
入社後に、このあたりの要素が絡み合い、また何かあるのでしょう。
咲太郎ほどのトラブルメーカーが、ここで終わるわけもない。
きょうだいの和解は感動的でしたが、この程度であの爆弾男は終わらないのでしょう。
怖いような、期待したいような……。
大森氏の伏線の張り方は怖いからなぁ。
趣味は大事です
前回の、父に似た咲太郎の絵も衝撃的でした。
描き慣れていなければ、ああはならないと思えたのです。
そして今朝、部屋に貼られた絵の数々。
今まで見てきたのは、夜の咲太郎でした。
踊り、歌い、酔っ払い、女の子といちゃつき、警察の世話になる。
本日は、それだけではない、そんな一面が見えました。
昼の咲太郎は、繊細で絵が好き。
そんな青年なのです。
夜の顔だけでは生きていけない。だからこそ、昼にこういうものと向き合う。
彼も天陽と陽平、そしてなつと同じ、絵を愛する心があるのでしょう。
いや、表現そのものか。
歌い踊ることも、愛しているのか。
それなのに、照れくさそうに、自分の歌と踊りでは飯が食えないと言ってしまう。
それの何が悪いのさ!
そう言いたくなりますよね。
プロでなくて、アマチュアだって趣味で表現に打ち込んでもいいはず。
そのことが、世の中の役に立つことだってあるでしょう。
こういうことに、厳しい作品がありましたからね。前作****だよ!
発明家というクリエイターとして食っていけない**さぁんに、*ちゃんがこう告げた時にはぶっ飛んだものです。
「クリエイターとして食っていないで収監されている……お前はもう、死んでいる」
ひでぶっ!
それはさておき。
そういう生きるため以外のこと。
趣味や娯楽に優しい作品だと思えました。
なつのアニメだって、泰樹ですらよくわかっていないし、野上からすれば怠け者のすることに思えています。
生きるために地道に働いている人からすれば、そういうものなのでしょう。
でも、それだけじゃない。
無駄なようなことでも、とても大事です。
文化や趣味や芸術。一段下に見られかねない。そういうことを本作は大事にしています。
プロアニメーターを描く作品ということだけではなく、その作品から力をもらう、そんなファンにも優しいのです。
咲太郎は、一連のセリフからして、そんなファン代表になるかもしれません。
容赦なく厳しいところもありながら、時にとても優しくて、懐が広い。
アニメが好きなあなたも応援している。
そう告げてくるような優しさが本作にはあります。
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文:武者震之助
絵:小久ヒロ
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なつと咲太郎の間の10年の隔たり。これからようやくそれを埋める日々が始まるのでしょうか。
東洋動画の社屋前の様子にしても、雰囲気はよく出ているし、夕見子が電話をしている札幌の町は、鐘の音の響きでそれを象徴させている感じ。
いずれも、簡潔にして適切。
やっぱりあの「『明治の幽霊電車』を含む新宿の街角」シーンだけが、本作中では際立って異質な存在。
前にも書きましたが、あんなシーンなど全く無しで新宿の雰囲気を出すのはいくらでも可能。かえって「昭和30年の新宿」に見えない意味不明なものになっています。
おそらくまとめて撮影してしまっている関係で、NHKとしては使いたくなってしまうのでしょうが、もはや邪魔でしかありませんし、もう使用は潔く全廃してもらいたいです。
それに対して
「風車」の近辺のような町並みは、最近の実際の新宿でも、表通りから少し入り込んだところには随所に残っています。リアリティは十分。巧みな表現と思います。
ここまで落ち着いた?ところで千遥の件知りたいと思うのはまだ早いでしょうか
千遥の消息をそろそろと思う今日この頃