なつぞら65話 感想あらすじ視聴率(6/14)拓かれよ、咲太郎の道

川村屋で咲太郎が差し出したのは、全額返済の封筒です。

マダムは若干焦るような態度です。

「店の中で、おやめなさいよ」

そう言いつつ、なつが興奮気味でアニメーターになったと告げると、思わず声が出てしまいます。

「マダムまで!」

野上が叱咤するのでした。

この日の川村屋は、子供客が大勢おりました。
海外映画の『名犬チンチンリー』を見ているのです。

モデルは『名犬ラッシー』ですね。

海外のものなのに、日本語だ――咲太郎がそう言うと、吹き替えだとマダムが説明します。
子供向けは、字幕よりも吹き替えが親しみを持てると説明するのです。

「吹き替え……」

咲太郎が、吹き替えと聞いて目を輝かせるところで、父がナレーションを告げます。

なつよ、咲太郎よ。
新しい道を、どんどん切り拓いていけ――。

泰樹になる道は遠いが、やりがいがある

今日、なつを支え続けていたのが、十勝のじいちゃんこと泰樹でした。

北海道の大自然を背景に、農作業しているだけで、もはや名画。
何をしてでも、何がなんでも、最高の草刈正雄さんを撮る。そんなスタッフの気合が満ち満ちています。

むろん、草刈さんの渋カッコよさだけではない。
プロット、演出、脚本、全てあってのものです。

そして今回、草刈さんの回想セリフはあっても、無言です。
大自然で、手押し車を推している――それだけで絵になる。

そんな境地です。

広瀬すずさんの声で、おじいちゃん愛を語られて、朝から胸がキュンキュンした男性も多いかもしれません。

しかし、このじいちゃんへの道は、険しいものです。
ボタンタップさえしていれば、実の娘まで絵のモデルとして脱ごうと迫ってくるなんてありません。

本当に心の底から、大好きだと言われたいのであれば。
労を惜しまず、歳を重ねても学びの苦悩、アップデートを忘れない、そんなじいちゃんにならねばなりません。

カッコいいじいちゃんを目指すあなたを、本作は応援していますね。

咲太郎の旅立ち

今回は、なつの合格とみせておいて、実は咲太郎の開眼が丁寧に描かれていました。

1. 蘭子の演技で、声で演じる魅力に開眼する

→ここが基点です。

2. レミ子をプロデュースすることを思いつく

→当時の25歳となれば、女優としては曲がり角とみなされてもおかしくない。レミ子の容姿も、劇団向きかどうかはわからない。

けれども、声の演技ならいけるかも!
歌手の付き人だし、こりゃいいぞ!

そう彼女を見い出し始めました。

3. なつの部屋で踊る亜矢美

→さりげない場面ではありますが、もう彼女はどこでもステージにできるという意味かもしれません。踊る場所は、彼女が見つけているのです。

4. 借金返済!

→どうしたって、そこをクリアしなければ、次には進めません。ここをきっちりと、クリアしました。

ちょっと寂しそうに思えるマダム。
咲太郎との縁が切れることを、察知しているのかも。

5. 父の励まし

→なつのことは励ましていた父のナレーションが、今日はなつと咲太郎二人を励ましています。

高難易度をクリアする本作

咲太郎の進路は、条件クリアもしています。

1. 新規分野を拓く精神

2. クリエイティビティがある

3. 裏方、支えることが好き。そんな咲太郎の適性にあっているか

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4. なつのためになる仕事

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5. それでいて、自分のやりたいこと

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裏方がいい。
マネージャーには適性がある。
妹のために何かしたい。そのために苦しんでいる。

それなのに、なつは自分のために何かをしろと言う。

こんな条件をどうクリアするんだよ!
そう言いたくなりますが、きっちりと回収してきました。

声優マネージャーという道を、歩み出すことになりそうな咲太郎。
なつを巻き込んだ迷走も、ここまでくればよかったと思うしかありません。

がんばれ、奥原きょうだい!
千遥にも会えますように。

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

※北海道ネタ盛り沢山のコーナーは武将ジャパンの『ゴールデンカムイ特集』へ!

【参考】なつぞら公式HP

 

2 Comments

ビーチボーイ

初対面のプロ蘭子に雪次郎が演劇議論を挑んだシーンと言い、東洋動画の面々が互いにたたかわせるアニメ議論と言い、専門的知見をしっかり踏まえた説得力ある会話になっていますね。視聴者の中には最初は十分に理解できない人も多いと思うけど、制作サイドは、見ているうちに次第に引き込まれて話が見えていけばそれで良い、その過程もまたドラマを見る楽しみになる、というスタンスなのでしょう。送り手としてまっとうな姿勢だと思います。
大阪方面のタコ芝居**プ*でラーメン作りを語り合う場面ではいつも「ひゃー、おいしいわぁ」「うわ、まずいなぁ」のほぼ2種類しかセリフがなかったのを思い出します。あちらの制作陣は「さまざまな階層年齢層の視聴者に分かりやすいよう配慮してる俺達って立派やなぁ」と自己陶酔してたのかも知れないが、その根底には「難しいこと言うたかて視聴者は分からへん、分からへん」という蔑視がまざまざと感じ取れました。なつぞらスタッフと対照的に、自分が作る番組に愛情を注がないとああなるという悪しき見本でしたね、あれは。

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