昨日の『名犬ラッシー』ですが、『名犬リンチンチン』とのご指摘がありました。
名前からしてそうですね。
早とちり、ご指摘ありがとうございました!
昭和32年(1957)年。
なつは、作画課に置かれた自分の机に思わず笑みがこみ上げてきます。
うふふふふ。
こういう表情で見せる演技が、広瀬すずさんってとてもよいですね。彼女がヒロインでよかった!
次は『わんぱく牛若丸』
東洋映画の次回作。
『白蛇姫』の次は、『わんぱく牛若丸』に決まりました。
作品の決定と同時に、仲が重要な決定を告げます。
なんと、キャラクターデザインを作画課から募集するというのです。
・母の常盤御前
・平清盛
・弁慶
動物もたくさん!
人物一覧付きの脚本が配られます。自由に描き、締め切りはお盆過ぎとのこと。
ここで、なつはマコにこう告げます。
「誰にも相談できませんね! いきなり考えろって言われても」
マコは、小野政次スマイルを浮かべます。
「期待されていると思っておるとは笑止……」
「思っていません!」
「楽でよいな」
辛辣な捨て台詞を吐きつつ、その場から去っていくマコには、まぁ、友達は多くないとは思いますよ。
うん、でも、それでも味はある。
なつは、メガネが似合うアニメーター・三村茜にも話しかけます。
【関連番組情報】
明日放送の『土曜スタジオパーク』に、川島明さんと渡辺麻友さんがゲスト出演します。
15日(土)午後1:50[総合]#朝ドラ #なつぞら #川島明 #渡辺麻友https://t.co/1L3JMb8FFQ— 【公式】連続テレビ小説「なつぞら」 (@asadora_nhk) June 14, 2019
お互い相談できないといいつつも、
「期待されていないんだから、楽にいきましょう!」
と言っちゃうものだから、もうっ!
「自分に言ったんです」
と、フォローはするものの、なつも結構、友達を選ぶ、選ばれるタイプだと思います。
モモッチや茜さんを大切にしようね。
そういえば、
「私は武士の娘ですっ! 源義経の子孫!」
と言い張る人物が登場する、どうしようもないドラマがありました。
あの自称武士の娘も、ゴーサインを出した脚本周辺も、そういう日本史をモチーフにしたフィクションすら見ていなかったのですかね。
大杉社長がやって来た
アニメーターの部屋に大杉がやって来ました。
これがもう、昭和の社長イメージを全開。
背後にいる秘書らしき女性はじめ、大勢をゾロゾロと引き連れてなんなんですかね。古き悪しき慣習にも思えます。
7月に公開された『白蛇姫』は大ヒットだとかで、社長はスピーチに力が入ります。
あっ、そのモデル作品が鑑賞できるようになりましたね!
◆復刻『白蛇伝』
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こちらは初回限定盤のBlue-ray版・16,280円ですね(→amazon link)。
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ですので断然オススメです。
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これで株主からクビにされずに済む、とガハハ笑いする社長。
冗談だから笑えと指示を出します。うーん、昭和だ……。
「これも漫画の皆さんのおかげ!」
そう言い、作画課を見まわします。
「ここには若い女の子もたくさんいていいね」
そして、なつに目が止まりました。
面接のことを思い出さないか、ちょっとヒヤヒヤしますが、ファッションも違うし大丈夫でしょうか、今はまだ。
ただ、今後どうなるか。
そこはわからない不穏システムがあります。
昭和全開社長は、とどめを刺すかのようにこう言うのでした。
「お母さんになったあと、誇れるような仕事にしましょう、わははははは!」
なつは不満タラタラ。
噴水で昼食を食べながら、茜に思いをぶつけます。
息苦しい、性格が悪い、上等だ!
ここで、なつの不満点を整理しつつ、補い、分析してみましょう。
◆「何ですか、あれ? 漫画の皆さんって」
→部署名で呼べっ! 労働者への敬意を感じないわっ!
「お〜いお茶」論法ですね。作業ではなく、品物で呼ぶような話です。
→ついでに言うと、女性を「女の子」呼ばわりもダメです。男性社員を「男の子」と呼びませんよね。差別です。
◆「お母さんとして誇れる仕事? 結婚したらやめろってことですよね」
→これも男性社員には「お父さんとして誇れる仕事」とは言いません。彼が彼として誇れる仕事でよいものです。
→なつの懸念は「マミートラック」という言葉で説明できます。
【関連記事】“マミートラック” 働くママの落とし穴|けさのクローズアップ|NHK おはよう日本
マコが嫌味を炸裂させる
ここで、あのマコが登場します。
「やめろと言わせなければよいだけよ……」
な、な、なんなんだ、こいつ!
「ふっ、引き止められる値もせぬ程度のくせに、笑止千万……何もできぬのに文句ばかりはたいしたものよ。期待なぞしておらん」
マコって、割と論法が無茶苦茶なんですよ。
以前はなつに、
「結婚相手を探して退職するつもり満々、話にならぬ……」
と喧嘩を売って来ました。
それを責任転嫁と嫌味をつけつつ、ツンデレ気味に謝罪。
黙れ小童こと、室賀正武ならキレる。
そういう路線だ。
※思いつきで振り回しおって!
いや、むしろ、世の大半から「何なのこいつ?」と突っ込まれかねない。
現に、茜も「ああなりたいの?」とマコが去った後、戸惑いつつなつに確認していますし。
エキセントリックなところがあり、性格がおかしくて、そのかわりに何かを持っている。
意図してそういう人物設定にして来ていると思います。
ですからこの先、マコが結婚関連でブチギレで暴走しても、
「マコだから仕方ない」
と、見守るしかないと思います。
こういう愛すべき性格破綻者に、本作は挑んできましたね。
『半分、青い。』も、ヒロインの鈴愛、秋風先生と、その手の濃くてダメな奴が出て来ておりましたっけ。
マコさん、あなたは性格が悪いです。友達も少ないでしょう。
でも、別に周囲から好かれることなんてどうでもいいし、平凡であることほど惨めなことはないとでも思っているんでしょう?
頑張ってくれよな! 応援しているから!!
なつのしあわせ
善良素朴なようで、実はかなり濃い中身を持つなつ。
彼女は、キャラクターデザインに特に動揺していなかったようです。
それが本音でしょ?
相談もしない。感情の赴くままに、鉛筆を走らせること。それこそ幸せなことでした。
悩めば悩んだで、幸せなのです。
常盤御前の膝に甘える牛若丸を描くとき。
なつの脳裏には、富士子に抱きついたことが思い浮かんでいます。
鉛筆で描くことは、なつの夢を実現すること――。
そんななつに、咲太郎が信哉の来訪を告げるのでした。
千遥、発見か?
風車に来ている信哉は、カウンターで千遥発見のいきさつを説明します。
ここがともかく細かい。
理詰めでないといられない、大森氏の仕事を感じるんですよね。
◆信哉の千遥探索ルート
・千遥は船橋にいる
→引っ越した場所から同じ千葉県内ではあります。
・川合としの夫である「俊一」の行方を追いかけた
→男性の方が、特に当時は足跡を追いやすいもの。このあと、俊一が軍隊で足を負傷したと説明されます。軍人は、民間人よりも追跡しやすいものです。
→その知人のツテを辿り、年賀状から住所を割り出した。これも昭和の追跡として王道です。
・その住所で千遥らしき女性を見かけたものの、声を掛けていない
→信哉の慎重な性格と、このあとの再会が叶うかどうかへのフックが生まれます。
短いセリフに、情報量がミッチミチだな!
本作は見ていてカロリーを消費します。
ふと、このあいだ思ったんですよね。
「北海道編が長すぎないか? まだアニメーター入り口? もうそろそろギリギリになるのでは? あれ、まだ6月? まだ6月? もう8月ぐらいかと錯覚した……」
濃いぃぃ、濃いよ!!
ボタン連打、偶然頼りでどうにかなる――そういう8bitファミコンRPGが前作ならば、いきなりPS4レベルまで吹っ飛んだ感がある本作。
んー、頭が心地よく疲れるなぁ。
このセリフ、そして理知的な演技をこなす、そんな工藤阿須加さんも、お疲れ様でした。
めぐる終戦記念日
なつは、複雑な顔をしている咲太郎に話しかけます。
「ねえ、お兄ちゃん……会いに行こう。会うのがダメなら、見るだけでも。無事か確認したい」
「そうだな」
「よし、すぐに行こう!」
ここで、亜矢美が突っ込みます。
「すぐって、いつ?」
※続きは次ページへ
67話未試聴現在、おばさんの川合としさんも気掛かりですけど。
ところで、明日からは『ゲゲゲの女房』の再放送が始まりますが、今回は見所の解説はあるのでしょうか。私的には、あれは本当に名作だと思います。
本作を見ていて、私達が改めて再認識しないといけないかな、とふと思ったのは、昭和30年代の庶民大衆の日々の暮らしというのは私達の想像をはるかに超えるほど地味で慎ましいものだったことです。何しろテレビをはじめ基本的な家電すらまだほとんど備わってなかったのですから。そういう時代、大衆から見た有名人というのは文字通り雲の上の別世界の存在だったのでしょう。
ところが本作は、そういう土や草の匂いがする庶民群像を描く基本路線に視聴者を乗せておきながら、新宿中村屋の相馬夫妻の令嬢、紀伊国屋書店の田辺茂一、そして今度は徳川夢声、そんなお歴々がなにげに登場してくる。で両者の距離感が絶妙で不自然さが無いのです。十勝農業高校出の酪農娘なつは、彼ら東京エグゼクティブに敬意は払うけど決して卑屈にペコペコしたり媚びたりしない。彼らの側も「気さくに庶民に交わってやっている」的な嫌味が無い。だから和やかな気持ちでリラックスして見ていられます。
そのあたりも前作の大阪ラーメン物語は本当にひどかった。口先では無名の庶民がけなげに頑張るきれい事ばかり、本心は財産・名声・権力をつかんでどやっという得意顔がギラギラでした。
いだてんと同様、往年の東京っ子のサラッとした気っ風の良さを存分に描写している本作、東京出身の私には誇らしく思えて満足感十分です。
以前のレビューでツボにはまって以来、マコが登場してくると、つい台詞を小野正次流に変換してしまう癖が。
翻訳機の設定が…いや、何でもありません。
今回も、つい変換しながら見ていました。
レビューでも、やっぱり。
ツボにはまり続けています。
後半、ついに千遥が。
養親の戦傷という経緯や、アパートの様子から見て、決して生活は楽ではなさそうでもあります。
従軍して負傷したからには、軍人恩給の傷夷軍人扶助料が支給されるのでしょうが、十分な額ではないのか。そんな様子も感じられます。
予告編での、咲太郎となつの涙、咲太郎の言葉。
これは何を意味するのでしょうか。
本作の「開拓者」と「表現者」というふたつの要素が登場人物たちに与えているベクトルが、非常に秀逸で楽しみです。
終戦後まもなく、まだ高度経済成長が始まる前ですから、彼らの眼前には前人未到の未開拓の大地が360度に広がっていることでしょう。
なつはとても分かりやすいですが、彼女の周囲にいる人たちも、開拓と表現のふたつの要素に引っ張られて前へ進もうとしています。人それぞれ、どの方向を選ぶのかは様々でしょう。
漫画映画のなつ、テレビメディアののぶ、咲太郎は声優プロダクションを起こしそうな勢いだし、亜矢美と夕見子はまだ雌伏している。雪次郎は開拓者精神を抑え込めなくなってる。天陽はリアル開拓とリアル表現をハイブリッドでやって、しかもどちらも地に足がついてるから凄い。
千遥にはどんな未来が待っているのかな。楽しみです。