なつたちの『ヘンゼルとグレーテル』は好調です。
キャラクター案作成のため、なつが取り出したのは阿川弥市郎を描いたスケッチ。
「あった、これだ!」
思えば十勝の森で倒れたあのとき、助けられた阿川家でずっとスケッチしていましたよね。
それを富士子が知り、なつの気持ちを悟るのでした。
重要な展開でしたね。
そんななつの耳に、下から、あの歌が聞こえてくるのです。
なつぞら19話 感想あらすじ視聴率(4/22)女がダメなのかって聞いてんのさ!雪次郎が荒れ、そしてあいつがやって来る
そこにいたのは、やはり雪次郎でした。
ベロンベロンです。
思えばこの小畑家は酒が好きで弱かった。三代目かっ!
雪次郎が荒れている理由は、やっぱり声優の降板騒動でした。
なつが水を差し出しても、突っぱねる雪次郎。荒れていますね。
そこへあいつがやって来るのです。
ジャーンジャーンジャーン!
「あっ、やっぱり雪次郎! 見かけてついてきた!」
げえっ、夕見子!
ええええええっ、夕見子ぉ? 北海道大学からなして来たのぉ?
「東京に着いたわ」
どういうことなの?
衝撃的な展開ですが、当の夕見子は、さして気に留めるでもない様子で雪次郎の横に座ります。
雪次郎が落ち込んでいる理由は訛り。
7回NGの後の8回目で、大先生こと豊富遊声によってダメ出しされたわけですね。
緊張して、どうしても訛りを矯正できないのだ、と。
「ははははは、何それ!」
高笑いする夕見子。止めるなつ。
夕見子、こいつ何なんだ?
雪次郎は蘭子のダメ出しも語り出します。
「一度幕が開いたら、お芝居は止まらないの……あなたはまだ、舞台に立てない」
そう語る雪次郎。
藤井ディレクターもその熱意は褒めていたと、咲太郎が励まします。
咲太郎としては、レミ子には手応えを感じているそうです。
少年向きであると。
しかし、夕見子に容赦はない。
「北海道に帰れ、雪月に帰れっ!」
こ、こ、こいつは何なのだ!
雪次郎の心を踏みにじる極悪非道の所業に、震えが止まらん!
軍師・夕見子、天下を語る
今日もこれを再確認。
「夕見子(と坂場)に、情緒ケアを望むだけ無駄無駄無駄無駄ァ!」
※DIO様にそういうこと求めないでしょ……ジョルノはともかく
なつはしれっと風車に馴染むこのイジワル軍師に突っ込みます。
ナゼ上京したの? 一人なの?
「別に一人ではござらん……」
なしてそういう言い方するのかな? そこはこうでしょうよ。
模範回答例:大学の水原先輩と一緒で、ホテル春日山に止まることにしたから、ご心配なく。あ、女同士だからね!
なつは突っ込みます。
友達か? 男友達なのか? あのドライブ相手のことなのか?
亜矢美がこうカマをかけます。
「夕見子ちゃん、男の人といるのかい?」
「ハッ、それがしをいくつだと思っているのやら。男といようが、女といようが、自由ではござらんか」
そう煽りつつ、富士子には言うなとなつに釘を刺します。
ちなみに大学卒業は来年、三年生です。
さらに、こう来おった。
「今考えるべきことは、個々人の幸福ではない。この国の行く末を考えてこそでござろう!」
話がでかぁああああい! 天下を持ち出しました。
ここで、咲太郎はじめ周囲は察知します。
学生運動だな……と。
「フッ、今やるべきことをやるまでのこと……よいかなつ、うちには知らせるなよ。知らせたならば、もはや二度とこの店の敷居は跨がぬと思え! あくまで柴田家への報告はそれがし自身がする。しゃべるなよ、いいか、しゃべるなよ……」
しれっと脅迫までしおった。
※このレベルですね……
まぁ、これはなつがバラすという前振りではあるのでしょう。
そこから夕見子はこうきました。
「今から先輩と飲む。そこへ参る。では!」
「待てぇい!」
なつは追いかけますが、そこは夜の新宿です。見失いました。
「どうしよう……」
なつは風車に戻り、戸惑います。
早速、柴田家に知らせようとしますが、亜矢美は止めます。
「今大事なのは、互いの信頼をなくさないことじゃないかね?」
まぁ、この人もかぶき者だし、人情はわかっているのでしょう。
「どうしたらいいのかな……」
戸惑うなつに、雪次郎はこう言い始めます。
「夕見子ちゃんは初恋の相手です! 男になんか溺れない!」
「それは相手があんただったからでしょ!」
って、ド鋭いツッコミが飛んできます。
なつぞら9話 感想あらすじ視聴率(4/10)なつにとっての青空お、おう、雪次郎。
もうこれ以上、いじめないであげてくれ。
・声優初挑戦で失敗
・あこがれの蘭子からもダメ出し
・初恋の夕見子が邪悪な策謀に満ちているらしい←New!
・「あんたが相手だと恋に溺れない」とダメ出し←New!
雪次郎をここまで精神的に追い詰めなくても、いいでしょう。
乱世か、乱世なのか、この朝ドラは!
総大将とよの言葉を借りるなら、これですよね。
「負けるのも、人生の味だ!」
苦すぎる……。
マコはふっきれた
激しく落ち込む雪次郎にばかり構っていられません。
なつの仕事は、待ってくれない。
マコがテキパキと仕事をこなす中、なつはぼーっとしているようにも見えます。
なつも坂場も、ぼーっとしているようで脳内が回っていたりするのでしょうから、そこは周囲も大目に見て欲しいですが。
マコはそうではありませんね。
「何ぼーっとしているのよ」
そう突っ込まれます。
なつは、おもむろに木の怪物のスケッチを見せるのでした。
マコは素直に褒めます。
「よくこんなもの思いついたね」
親戚(=兄・照男の義父)の彫刻から思いついたとなつが答えると、感心するしかないマコです。
坂場も、淡白にこう来た。
「うん、いいですよ。これで絵コンテを最後まで作ります」
これも坂場あるあるかもしれない。
悪いところ、気になるところには、
「ナゼこうなりますか?」
としつこく食らいつく一方、すっと納得できたからって大げさに褒めることもない。
こういうチームメンバーがいると、
「褒めろよ! ダメ出しばかりしつこいんだよ!」
と自信喪失してしまうかもしれません。
違うんですね。
こういう奴、こいつを納得させられただけでもスゴイことだと切り替えた方が早い。
実は、それが褒め言葉と同義です。
この手のタイプは、評価が厳しい分、見る目も抜群。
坂場が納得して、最後まで作ると言っただけでもすごいことでしょう。
こうして進んでいく絵コンテを見て、マコも納得しています。
「おもしろいわね、これ。やっとやりたいことが、見えてきた気がする」
マコの言葉に、なつも納得しています。
今週の前半、イライラしていたマコ。
それが解消されて、本人の中でストンと解決したのが、昨日なのでしょう。
本作には、
「すごぉぉぉぉ〜〜〜〜い!」
とくねくね大仰に褒めるようなところはありません。昨日の喫茶店におけるマコの描写も、静かな演出でした。
それでも、きっちりと回収と効果を出しています。
問題があるとすれば、あまりに繊細で派手にしないために、ともかく騒がしくないと納得できないタイプには理解が難しいところかな。
むろん、そこで妥協して作品の完成度を落とす必要はありません。
作る側もそこはわかっているのでしょう。
空気を読まない人事センス
さて、ここから坂場の【情緒ケアしない人事】が炸裂します。
彼はこう言い切るのです。
神地:原画
マコとなつ:そこから動画を描く
堀内と茜:それをクリーンアップする
下山はそれを聞き、慌てています。
例えば経験を加味した年功序列ならばどうなるか?
マコ:原画
堀内となつ:そこから動画を描く
茜と神地:それをクリーンアップする
このあたりでしょうか。マコのプライドを傷つけないためにも、ここは彼女がトップであるべきです。
案の定、なつは素直に受け止めるものの、マコは不満そうな表情です。
堀内も戸惑いがあります。茜は納得できているようですが。
下山がそのあたりに気づいて焦ってはいますが、マコも堀内も、自分を納得させているようです。
「よし、じゃあ、作業開始!」
ここでそう宣言されるのでした。
その晩、風車で決起集会が行われ、チームは乾杯をするのです。
一方、会議室では……。
※続きは次ページへ
全然アリでしょう。
元々朝ドラは「頭を空っぽにして見るもの」ではなくて「おしんのような重たいものがスタンダード」だったんですから。
あれ?
最終的には、マコさんとなつと神地くんが原画を描いて、堀内くんと茜さんがクリーンナップしつつ動画を描く、となったですよね。
それに坂場さんが言い出したことではなく、神地くんが自分からやらせてくれと言ったんですよ。
そして、マコさんは「やれるもんならやってみなさいよ」と挑発しつつニヤリと笑っていました。
別に不満そうな表情ではなく、どちらかといえば面白がっていたと思いますが。
以前、なつの服(オーバーオール)について指摘した者です。
武者さん、ちゃんと見て書いてますか?
マコさんはこうだという思い込みがまた邪魔してませんか?
私も制作職ですが、結論としては、いい作品と労働環境の改善は、全く正比例だと感じています。
ときおり、働き方改革はクリエイティブの障害とする意見も目にしますが、それは「運動中に水を飲んではいけない」と同じ錯覚です。結果的に好成績が出ても、それは水を飲まなかったからではないです。
ところで、剛男は咲太郎も引き取ろうとしてましたよ。咲太郎が断りました。
理由は、自分まで北海道に行ったら千遥がかわいそうだから。またその他にも、2人でなく1人ならまだ、受け入れてもらいやすいだろうと、なつの幸せを第一に考えて身を引いたのだと思います。
咲太郎の妹思いが徹底していることを示す描写なので、指摘させていただきます。
できれば剛男には、千遥にその咲太郎の言葉を伝えてほしかったなあ。咲太郎が自分を差し置いても自分の幸せを祈っていたことを、千遥はより深く知ることができたと思います。