雪次郎の晴舞台!
オペラグラスまで装備した亜矢美はじめ、大勢の観客が見守る中、ついに終わったのでした。
すごいぞ雪次郎!
終幕後、なつは楽屋で感動を伝えます。
「すごくよかった! なんていうか、すごかった!」
本当にすごい。
それしか連呼しないなつを、咲太郎はこういう奴だから、とフォローしています。
語彙力とかそういうことでなくて、感動で全てが吹っ飛んでいる感があります。
それをきっちりと出してくるのが、広瀬すずさんの魅力。
素直で思うままにぶつけてくるパフォーマンスが毎回凄まじいです。
天性の女優ですね。
永野芽郁さんもそういうところがありました。これぞ天衣無縫の素晴らしさです。
マダムは具体的な褒め方です。
北海道の親に見せてもよいと太鼓判。おっ、新宿の母のお墨付きとなりました。
亜矢美はどうでしょうか。
本人の衣装が一番すごい。
ピンクのヴェール付き帽子がこれまた素敵です。衣装さんも頑張っていますねえ。
「まだまだかな。まだまだだよ。それでも感動した」
迷いをちょっと見せながらも、これからまだ伸びるというポジティブな意味でのコメントですね。
さすが元ダンサー。叱咤激励と、褒め言葉が混ざりあっています。ただのダメ出しではない。そういう良さがあります。
褒め方も三者三様というわけですが、ここで奴ですよ……坂場だ。
「蘭子さんが見たかったのです」
なつはツッコミます。
正直にそういうことを言うな、と。相変わらず美辞麗句、おべんちゃらとは無縁の【表裏比興】だわ……。
「あなたは正直じゃないんですか?」
おおいぃぃ、そういう問題じゃない!
蘭子が素晴らしいのは確かです。
レミ子はじめ、周囲も圧巻だったと振り返っています。
そして雪次郎の面倒をこれから見てやってくれと周囲から言われると、蘭子はこう返します。
「それは咲太郎さんが。私は共演者だから……」
そう言われて、雪次郎がちょっと複雑な顔になるのです。
「ありがとうございます!」
彼は深々と頭を下げるのでした。
天ぷら調理中は気をつけましょう!
このあと、風車に移動してお祝いに。
蘭子はおりません。
亜矢美はおでんの仕込みはサボったと堂々と言い放ちます。
代わりに咲太郎が天ぷらを揚げるんですね。
いよっ、江戸っ子!
するとマダムが疑念を呈します。
「ほんとうに? 美味しいの?」
お父さん直伝だと周囲は太鼓判を押します。
「がんばれよっ!」
ここで、父がナレーションでしみじみとこう語ります。
俺の天ぷらを、ほんとうに教えたかったーー。
お父さん、朝から泣かせるのやめれって……。
今回のお芝居は、雪次郎を含めあの蘭子さんに認められたとレミ子もワクワクしています。
すると、また空気をぶち壊すことに定評のある坂場がこう言い出すのです。
「蘭子さんはすごい。しかし、劇団としてはどうでしょう。新しいことをするという意欲を感じない……」
「チェーホフだから」
雪次郎はそう返すわけですが。
「チェーホフならありきたりでいいと? 蘭子さんを見せる、それだけの劇団でいいと?」
ドヤァ……めんどくせぇええええええ!!
さすがにあの雪次郎もムッとして怒り出します。アルコールも入っていますしね。
「油を使っているんだぞ、やめろっ!」
「それでいいんですか?」
やめろと言われても煽る。それが坂場よのぅ。
「雪次郎さんが変えるきっかけになるのでは? 蘭子さんに認められているからこそ、変えるきっかけを持っている存在なのでは? ただの共演者で満足ですか? 先を目指せるのでは……」
ここまでやってきて、ようやく坂場が煽っているわけではなく、提案をしているのだと周囲も気づきます。「虻田の乱」をふまえますと、適切な流れとも言えますね。
なつぞら98話 感想あらすじ視聴率(7/23)理解され難き者たちよ茜が疲れたようにこぼしています。
彼女は心穏やかで、争いごとが苦手だと言動から伝わってきますからね。
「はじめからそう言えばいいのに……」
「いきなり結論から言うのは、傲慢です」
「そのせいで余計に傲慢に見えるのよ……」
なつも突っ込みます。
これも坂場なりのルールなのでしょう。自分なりのこだわりが多すぎるのです。その世界を通す方が、空気を読むよりも大事なのでしょう。
「どうも失礼しました!」
なつのフォローを、周囲は微笑ましく見守っています。
あのマダムもにっこり。
「仲がいいのね、二人は」
「そういうお二人さん?」
亜矢美、咲太郎、レミ子までニヤニヤする中。どう答えるのか。
「いいえ、ただの仕事仲間です」
「そうですよっ!」
と、そのとき。亜矢美が気づきます。
「ん、なんか焦げ臭い……」
「あーっ、天ぷら焦げた!」
「あーっ!!」
ダメですよー、天ぷら鍋から目を離すのは危ない!
まぁ、でも本作は大人が複数名がいて、すぐ異変に気付く場所なのでまだマシなほうでしょう。
異臭で気付くならよいのです。
前作****では、子供二人を残したまま天ぷら鍋を放置し、異臭が届くかわからない場所へ大人が離れてしまいました。
そのあと焦げた天ぷらが食卓に出てきて、ユーモアに仕立てておりましたが……。
ダメでしょ。
電気を盗んで感電の危険性が高い漁をしたり、毒性のあるガマガエルを食用にしたり、海の中に手榴弾をぶん投げて魚を取ったり、振り返ってみるとトンデモナイ作品ですね。
坂場となつの関係って……
「今日はありがとうございましたっ!」
雪次郎は、風車の外で深々と頭を下げています。打ち上げ終了ですね。
坂場は茜を、しっかり家まで送っていくそうです。
問題山積みの坂場ですが、仕事仲間の危険性を理解した上で、きっりちと見送る安全性はあります。
性格的につけこむことができなそうでもあります。
なつも、無意識かもしれませんがそれは織り込み済みでしょう。
もしも坂場が咲太郎のような魔性の男ならば、茜を送ることに不安があるかもしれません。
まぁ、そこは坂場だからね!
距離感異常でやらかすのは、神っちぽいし。
なつは坂場のことをフォローします。
「イッキュウさんが変なこと言ってごめんね」
雪次郎は気持ちよく酔っ払い、なつに親しげに接近しつつこう言ってきます。
「なっちゃんの恋人でないの? とっくにそうなってると思った。イッキュウさんはなっちゃんが好きでないの?」
「わかんない……そうかなと思った時あったけど……」
それはあの時だと回想シーンが入ります。
噴水前で、一緒に作品を作ろうと言ってきた場面ですね。
「僕もそういう演出者になりたい……一緒に作って欲しいんです」
日差しの中、二人きりになってそう言い切る坂場。
「一緒に作るって、結局仕事……」
なつがそう拗ねたように言うと、雪次郎は突っ込みます。恋に敏感になっているのかな?
「好きなの?」
「一緒にできればいい! 好きなことが同じなら、一緒に生きることもある! おかしくないべさ!」
「さみしいね……」
※続きは次ページへ
コメントを残す