わろてんか68話あらすじ感想(12/19)笑いは薬じゃなかったんか

大正時代の大阪に「北村笑店」がございました。

始めこそ借金の末にようやく一軒の寄席小屋開業にこぎつけた――という有様でしたが、今では天満はじめ三軒の寄席「風鳥亭」を経営。
絶好調のてんと藤吉夫妻です。

そんなある日、芸人の一人のアサリが、何故かコソコソと泥棒のようなことをしています。
一体どうしたのでしょうか。

 

栞の事務所を借りて会社員だと祖父を欺く

アサリは大阪に祖父がやってくると焦っています。
育ての親である漁師の祖父に、芸人であると言い出せず、勤め人だと嘘をついているというのです。
そこで、アサリは勤め人のふりをすることに。皆でスーツを着せます。

このとき背景に偶然いたのが伊能栞。

洋服を貸して、更には事務所も使わせてくれるそうです。
まさかこれが漫才が洋装になるキッカケ? いや、きっと、そうなるんでしょう、もう(´・ω・`)

そして栞の事務所に祖父がやってきました。あまりに立派な姿になった孫を見て、悪いことでもしとるんかとアサリの祖父は掴みかかります。
こういう非常識な展開がお笑いの一幕――だというのは百歩譲ってアリにしても、なぜ、この場に、てんまでいるのか……。

事務員とか秘書役ですかね?
会社に得体の知れない女性がいる方が不自然な気がしますが、まぁ、小芝居はうまくいったようです。

 

佐助の妻にお金を渡したことに寺ギン激怒

舞台は風鳥亭の事務所へ移って、そこに寺ギンがやってきます。
佐助の妻・富に金を貸したことを引き抜き工作だと思い、激怒しています。

藤吉は謝りながらも妙にでかい態度で、寺ギンの芸人の扱いに文句を言います。
言っていることの中身はよいとしても、謝るのになんであんなにでかい態度なのでしょう。

しかも帰り際に、寺ギンにも聞こえかねない場所で風太に、
「これでええんか?」
と言い出すから、もう。

これって、寺ギンを悪役にしたいがためですよね。
でも実際のところ、寺ギンは結構優しいのです。

なぜなら風鳥亭は、寺ギンとの争奪戦に勝って、人気落語家の月の井団吾を抱えてしまったのですから。

繰り返しますが、ここが本当におかしい。
契約寸前までいった噺家さんを直前で取られており、その時点で仲違いは必至です。

寺ギンから見れば、佐助の奥さんにお金を貸したレベルではない反逆行為。
とにかく彼を悪者に見せようとしたシーンをきっちり回収してないから、モヤモヤばかりが残ってしまうのでは?

 

リリコまで残念な人にしないで……

そこへリリコが「ただいまぁ〜」と入ってきます。
なんと隼也に会いに来たようです。自分の都合で寝付いた子供の顔を見たがる、身勝手な大人にありがちな迷惑行動ですね……せっかく魅力的だったリリコもどんどん残念な人に><;

更に彼女は活動写真はもうイヤだと愚痴ります。張り合いがないそうです。
だったら辞めて高座に戻ればいいだけじゃないの?と思ってしまいます。

実際、リリコは風鳥亭で雇ってくれと言い出すのでした。

翌日、寺ギンの芸人四人が来られなくなったと電話がかかってきます。
刺身を食べて食あたりだそうです。

「芸人には優しくせんとなぁ」
藤吉に嫌味を言う寺ギン。女を侍らせてあ~んと刺身を食べます。
一応、ここでやっと藤吉が団吾の契約を横取りしたことを言い出します。忘れていたわけではなかったんですね。

「やっぱり自分の芸人持たんと、いつまでも寺ギンの言いなりや」
そうそう、史実からも大幅に逸脱していますし。
法螺貝の音と大河の使い回し映像をしつこく使ってる場合やないで。

 

今回のマトメ1「寺ギン悪者化計画」

いよいよ、寺ギンの暗黒面をプッシュしてきましたね。
史実からして、これからは風鳥亭がおちゃらけ派を乗っ取るのでしょう。
そのための正当化工作をスタートしたようです。

史実を見る限り、実は吉本もえげつないことをしています。
それをそのまま描くわけにはいかないから、主人公サイドのクリーンアップに余念がないワケです。

まぁ、それ自体は仕方ないと思うんですよね。
あまり悪知恵の回る主人公にしたくない――という気持ちは視聴者の多くもそうでしょう。
しかし、です。それにも程度ってのものがございましょう。
これまでの藤吉とてんにビシッと筋の通った理屈もなく、機転もなく、ただただ周囲に振り回されて場当たりで動いてきただけでしたので、説得力が感じられないのが痛いのです。

彼らが本当に芸人を救いつつ、面白い寄席小屋を増やすことなんてできるのか?
そんな疑念で一杯です。

 

今回のマトメ2「なぜ笑いは薬!と言い切らない?」

本日の放送で、本当にガッカリしたのはアサリの偽装作戦です。

第2週で、藤吉からの恋文を読んでいたてんは、女学校の同級生から芸人を馬鹿にされて反論していました。
かつて芸人というのは、賤業と見なされていたものです。
そういう偏見を取り除くべく、芸人に誇りを抱かせるべく、今回も世間の偏見に立ち向かうヒロインにするのかな?と、ちょっと期待したんですよね。

それが……芸人は駄目な仕事だから勤め人に偽装しましょ、とノリノリで協力して、横でヘラヘラ笑っているわけです。

なぜ、
「芸人も立派な仕事や!」
と、もっとピシッと言い切ってくれないんだ><;
笑いは薬って言うてたのは誰や!!!

それを思い返すと、心底ガッカリなのです。
それこそドラマの根幹であり、魂だったのでは?

笑いに対して、芸に対して、真摯な思いがあるのであれば。
人を笑わせることを誇りに思っているのであれば。
すべてを正直に話して、舞台で笑いを取っている孫の姿を祖父に見せてやりなさいよ。

それを上っ面だけ整えて誤魔化して「これがおじいちゃん孝行」はちゃいますって。あんたらのしたことは人を騙していだけやで。

この場面は、まさに本作の象徴だと思います。

笑いにも、笑いを作り出す人にも、本当は敬意も愛情もない。
そんな作り手の傲慢さがにじみ出ておりました。

芸を売るために吉本せいがした努力を脇役にやらせ(第8週)、吉本がしてきたことを全否定するような台詞を笑顔で言わせ(第11週「うちは金で芸人を縛るようなことはしません!」)。

一方で笑いは薬だの生きる力だの綺麗ごとを言いながら、肝心の場面でそれを主張するどころか、貶めるような小芝居に付き合う。

私も毎回、文句など言いたくありません。
しかし、こうも筋の通ってない話だと、なんだか堪らなくなるのです。

もしも吉本せい本人が見たら、唖然とするのではないでしょうか?

著:武者震之助
絵:小久ヒロ

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吉本せい 吉本興業の歴史

【参考】
NHK公式サイト

 

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