昭和28年(1953年)2月――。
喜美子は15歳になりました。
自転車で元気よく坂道を降りてきます。
「何これ楽しい〜!」
5年の月日を経て成長したきみちゃん!
自転車に乗って大胆な登場!性格は…変わっていないようですね😚#川島夕空 → #戸田恵梨香#スカーレット pic.twitter.com/jF93uaHoda— 朝ドラ「スカーレット」第2週 (@asadora_bk_nhk) October 10, 2019
当時、自転車は割と普及しているとはいえ、今よりお高いイメージ。
きみちゃんには乗る機会があまりないのでしょう。
で、これ誰の?
うん、信作のやで。
気弱そうに見守る、そんな信作でした。
勉強好きな喜美子は進学できん
「おもろいなぁ自転車、楽しいなぁ」
信作の、甘やかしぃと言われている伊賀のおばあちゃんが、高校に通学のために買ってくれたとか。
喜美子の口ぶりからすると、高校めっちゃ近くて、徒歩通学できそうなんやけどな。
信作は高校に行きたくない、とやる気がありません。
信作は勉強嫌いなのです。
勉強好きなやつおるのか?と言う信作に、喜美子は勉強が好きと付け加えます。でも、働くのも好き。そんな喜美子です。
喜美子は自慢の絵、金賞作品を見せつけます。
「学校に飾ってあってん、腐るほど見たわ」
弱気ですが、そこは関西ノリで返す。そんな信作です。
喜美子が明るいから、あんまり深く考えなくていいように思える。でも、これは辛いと思いました。
勉強したくない男が進学する。
勉強したい――でも、女だから進学できない。
そこは考えどころですよね。
今年は進学が多いと励ます喜美子に、高校には怖い先輩がいると弱気の信作。
これはあれや、番長やね!
北海道の番長はヒグマと戦った伝説があるものですが(※『なつぞら』の門倉番長)、関西はどうでしょう。
いずれにせよ、信作は番長とやり合うなつほど強くありませんので。
ここで、喜美子はこうです。
「照子に守ってもらえ。がんばれや」
照子様かよ!
それをすればするほど、ある意味信作にはドツボちゃう?
信作の高校ライフも気になります。また受難の流れかな?
丸熊陶業で働くはずが
喜美子は中学を卒業したら、照子の父が経営する丸熊陶業で働く予定でした。
そのため今日はご挨拶に向かいます。
照子がお出迎えです。
「おそい〜!」
「髪の毛をきちんとしろとお母ちゃんに言われてへん」
髪の毛だけでなくて、態度きちんとしなければダメ。そう突っ込む照子です。
「照子お嬢さん、いってらっしゃいませ」
喜美子がそう返すと、ジェスチャーを入れつつ照子はこうです。
「今日もかわいいなぁ〜いうてくれる?」
成長してもこのノリで、ある意味安心。これはいくつになっても変わらんやろ。70になろうがかわいいと言って欲しい、そういう女の一生を送る空気がバッチリでとる。実際、いくつになってもこういうタイプはかわいいだろうし。
「勤務内容入らんで」
喜美子はバッサリだ。そしてこうだ。
「これからはうちのこと見ても、いうてくれるやろな」
「お世辞や」
それに対して、喜美子はお互いお世辞だと言い返します。こういうポンポンとした会話がおもろい。
「あははは!」
「ほなよろしく! よろシクお願いします」
照子お嬢様への「かわいい」の声かけは、勤務内容に含まれていなかったようです🤣
お二人とも、とってもかわいいですよ~😊#スカーレット pic.twitter.com/rjVImlkkfz
— 朝ドラ「スカーレット」第2週 (@asadora_bk_nhk) October 10, 2019
そう挨拶しあう親友同士です。
関西以外から引っ越してきた人が、道ゆく人の会話を見聞きしてギョッとすることもあるらしい。
「うわっ、喧嘩してる!」
「あの人たち、仲悪いのかな?」
という誤解やね。
挨拶程度の会話も、横から聞いているとジャブの放ちあいに見えてしまうと。
コテコテで飄々とした関西の会話を……なぜか! NHK大阪朝ドラでは久々に見ている気がします。
この感じは何? 本気だしてきたね。
戸田恵梨香さんをわざわざ起用するというのも、こういうことなのかと思います。
彼女はネイティブ関西弁ですし、ノリも何もかもがしっくりしていて、納得できます。
演技力、話題性、キャリア以前に、関西生まれで育ったという点は大きいのではないでしょうか。
そういえば関西出身の主人公って、2014年『マッサン』の玉山鉄二さん以来ではありません?
いや、関西出身者以外がNHK大阪主人公でもええけど。やっぱりこう、何か違うものがあるなと。
そんなノリノリの喜美子を、西牟田が案内します。
このころ日本の火鉢のほとんどが信楽製でした。丸熊陶業はその中でも一二を争う会社、大きいんですね。
丸熊陶業は、セットもようできております。常に陶工がせっせと働いていて、いいんですよね。
ここで喜美子は社長からこう言われてしまうのです。
「せっかく来てもろたけどな、この話はなかったことにしてもらいたい。照子の頼みだし、ようしっとるきみちゃんだし、働いてもらいたいと思ってたのは確かや。人がおった方が助かる……」
そう前置きする。それでも、きみちゃんには厳しいだろう――そうなるのです。
厳しくても一生懸命働く!
喜美子はそう粘るのですが。
「男ばかりなのに、十五歳の女の子なんて甘かった。そんなん困りますいう。これはみんなの意見なんや。あらためてお詫びに向かう。学校にも出向いて、他にええ就職口がないか頼むでよ。かんにんや、きみちゃん」
これは辛い。
喜美子のせいじゃない。敢えていうのならば、喜美子が女ということがあかん。けれども、そんなことは本人のせいじゃない。
こういうとき、
「そんなの十五の娘にソワソワする男が悪いんじゃないですかー!」
と怒鳴ったところで、根本的な解決にはならしまへん。本作は、そこに踏み込む勇気を感じます。
こういう、わけのわからん、女でなくて男側の意識のせいで、どんだけ苦労した人がいるのか。そこから逃げないのでしょう。
今の喜美子は、トボトボと帰宅するしかないのです。
これからも、彼女はこうした矛盾にいくつもぶつかるのでしょう。
孫の優しさ、祖母の愛、辛い……
信楽で新しいい就職口が見つかるとは思えない。
ましてや2月のこの時期です。
直子と百合子は育っていて、ぽっくり(缶ぽっくり・缶下駄)で遊んでいます。
「こうこうこうこう! どや、うまいやろ?」
直子がドヤ顔や。相変わらずのドヤ顔やで。妹の百合子が遊びたがってもこれや。
「百合子は無理やろ」
ドヤァ……おいっ、直子、おいっ!
「お姉ちゃんが遊ばせたる」とはいかんのか、おいっ!
姉にはわがまま、妹には塩対応。これは大物や……来年3月まで周囲と視聴者を悶絶させる傍若無人系の香りがするで。期待しかない。
喜美子は、妹たちが外で遊んでいるのかと声を掛けます。
人が来ているから、外で遊べと言われているそうです。
来客とは?
博之と保という少年がジョーと向き合っていました。
四月から来てもらうとジョー。
「お弁当どないしましょ」
マツは心配しています。
少年の横には、白髪頭をした祖母がおります。ちょっとつついただけで倒れそうなご老体です。
ちょっと感動してしまった。こういう白髪頭のおばあちゃん。ヘアダイもしていないし、おしゃれもしていないし、元気に水泳もしていないような。
今のおばあちゃんとは違う。そういう昭和のおばあちゃんです。序盤なのに、加齢描写が圧倒的です。
ここで孫はこうだ。
「僕がやりますんで!」
えらいのぉ……。
このお兄さん、働いていた工場が閉鎖されて、次の働き口を必死で探しているところなのだとか。
「うちで雇うで。二人とも」
ジョーは気のいいところを見せています。
おやっさんの紹介だし、力仕事だし、男手が多いに越したことはない。これからどんどん商売広げるのだとか。
ジョーさん、頼んますで!
山っ気で一人大火傷するならばかまへん。家族もまあ……ええとして。このおばあさんを泣かせることだけはあきまへんで。
二人分の給金を払える――そうジョーが強気になる理由には、喜美子の就職もありました。
娘が春から丸熊陶業だと語るのです。
マツは、娘をあてにするようでどうかと思うと言うのですが。
「あてにするわ、もう十五やで」
ジョーは嬉しそう。
「ほな雇ってもらいなさい」
紹介したおやっさんも言います。
おやっさんもいる。ジョーには人望があるんやね。『なつぞら』の咲太郎もそうでしたが、昭和の義理人情と人脈の世界です。
「ほんまにええんですか! おばあちゃん、もうクズ拾い行かんでええで!」
孫二人、喜ぶ。
このご老体がクズ拾いをしていて、孫は辛かったと。
あかん、泣けるわ。こういう敬老精神って、昭和のこのころにはあったはず。
おさんどんだの。飯炊き女だの。そういう嫌な見下し方ばかりじゃないのですよ。
しかし、この義理人情ワールドに衝撃を受ける人もおるわけでして。
喜美子です。
※続きは次ページへ
10話の感想は、いつ頃upされるのでしょうか。
武者さん、10日の感想はないのですか。
10日は赤い手袋をあったかいと喜んでる姉妹が可愛くてじーんとしました。
武者さんの感想ないの残念です。
第10話、飛んでる??