わろてんか90話あらすじ感想(1/19)団吾がラジオに出ても他人事なのね

昭和4年、ラジオが人々の生活を変える中。
大阪の興行元「北村笑店」にも、笑いの新時代が近づいていました。

所属する売れっ子落語家・団吾がラジオ出演するために行方をくらましたのです。

果たしてどうなってしまうのでしょうか。

 

おトキさん、まだ中学生の恋愛やっとんのか~い

今朝は風鳥亭から始まります。
珍しく岩さんに台詞があったりして、コミカルなBGMが流れるところからすると、どうやら視聴者に対して「わろてんか!」と呼びかけているみたい。

が、肝心のキャラをたてる作業を怠ったせいか、“来ない”んですよね(´・ω・`)

私はここで2017年正月時代劇『風雲児たち』を思い出してしまいました。
数分しか見ていない状態でも、キャラクターの性格や特徴がわかって、皆がわいわいと話しているだけで楽しかったのです。脚本力の差というものでしょうか。

キースとアサリは、トキに風太との仲を聞きます。
トキは起こってバシバシと相手を叩き返します。アラサーだかアラフォーだかの女性が、中学生じゃないんだから……。

そのころ藤吉の病室には万丈目夫妻が見舞いに来ていました。

歌子は本作でも屈指の良キャラだと思うのです。しかし……

「うちがこの人をパーンとどつくと、ドッと盛り上がるんですわ! パーンドッ、パーンドッ、パーンドッ!」
嗚呼orz どうしても本作は「笑い=どつく」シーンが目立ちますよね。

キースとアサリも、
「四つ叩いて四ツ橋! 八つ叩いて八つ橋!」
ってネタ、やらかしてました。

 

万丈目のネタ帳に対し文字の多さだけをホメるてん

万丈目は東京でいろいろなものを見て勉強になった、と語ります。レビューも見たそうです。

レビューというのは、ちなみにコレ(本作では日本におけるレビューの元祖・宝塚歌劇団が抹消されているのが残念至極)。

 

万丈目はネタ帳を差し出します。

それを見て、てんは一言。
「こんなにぎょうさん書かはったん、すごいなあ!」

いや……彼女も女興行師ですから、さっと目を通して欲しかったなぁ。

万丈目は、藤吉に死んだ気になって頑張れ、と励まします。
この辺のありきたりな伏線は、万丈目が構成作家に転身する前振りでしょうか。
吉本は構成作家も同時に育てたりしていたのですが、それを初期メンバーで間に合わせてしまう。ちょいとお手軽感が過ぎるなぁ。

風太はラジオ局の前で張り込み、団吾がいないか目を光らせています。
しかし、それを若い者に任せて藤吉の見舞いに行ってしまいます。いざ団吾が来ても、とても止められないと思います。

病室では藤吉が風太にこんな風に語り始めました。

「三途の川を渡りかけたけど、途中で笑い声が聞こえて戻って来たわ」

んん? これ、なんだか、2015年『あさが来た』で聞いたような台詞。

 

誰が主人公のドラマなのか、わからなくなってきた

ここで隼也が病室にやって来ます。
展開は箇条書きでまとめますね。

・感動的なBGM
・隼人「大学に進学して父を越える」
・藤吉「ボソボソッボソボソボソボソボソッボソボソボソボソボソボソボソッ……」
・てん「よかったなあ~隼也」

思春期あるあるの無意味な反抗がないのはいいんですけど、にしても、このパターンを何度繰り返すのでしょう?
感動的なBGM流してそれっぽい台詞を言わせて、顔のアップ映すだけ。そればっかりやん!

昨日のしず役の鈴木保奈美さんのような演技力があればまだ格好が付きますが、今週はまだ若い役者さんなので、頑張って長い台詞を暗記したんだねえ、という感慨しか湧かないッス。

あと、隼也。
父親が倒れた姿を見て改心するのは、月曜日の時点で知っていました。あらすじを読んでいませんけど、予想通り過ぎて……(わろてんか86話あらすじ感想(1/15))。

それにしも、おてんちゃん。
彼女はこの手の場面で、ニコニコと能面笑顔を浮かべ、一行だけの台詞(大抵が感嘆だけ「よかったなあ」「すごいわあ」等)が多いですね。

息子の進路に悩む母親なら、
「大学に行くなら、これからは身を入れて励まなあかんで。この間みたいに試験を白紙で出すようなこと二度とせんといてな」
くらい言った方がよいのではないでしょうか。母というより、姉とか妹に見えてしまいました。

主人公の出番が少なかろうが、存在感と意義があれば別ですよ。
しかし、本作はどちらもない。
脇役、それもかなりどうでもいい役程度の存在感しかなく、不憫でなりません。

序盤はもうちょっと活躍した気がしますけど。
いったい誰が主人公のドラマなのか、わからなくなってきました。

 

団吾がラジオ出演してもノンキな2人

結局、大阪のラジオ局には、団吾はあらわれません。
風太は安心して、風鳥亭に戻ります。

時刻は午後8時。
ラジオが始まります。

なんと団吾は京都から生中継するのでして。

ただ……、このときの話の枕、あまりにくだらなくて、つまらなくて。
演じる波岡一喜さんの力量で、なんとかユーモラスに語っていますが、なんなんでしょう、このセンスレスなトーク。

てんはラジオを聞きながら「なんやろ、風太うまいとこいかへんかったのか」と言います。
藤吉は「流石団吾師匠や、一本取られたわ」とボソボソ言うだけ。
あとはカッコつけた顔で放送を聞いています。

他人事すぎてさすがにワロタwwwwww
今日の笑いポイントはここだったんすね。またまた一本取られました。

焦り、怒っているのは、とにかく風太だけなのです。
藤吉が入院中とはいえ、この夫婦はどうしたことでしょう。

 

今日のマトメ「今日も未来人視点の発動ですか」

どうやら本作は、寺ギンや風太のように、ガツガツと仕事に励むことを「あさましい」とでも思っているかのようです。

本日、特にそう感じたのは、見舞いに来た風太に対し、藤吉が「うどんと蕎麦」を持ち出して、どこか他人事で団吾のことを語っていた点(わろてんか89話あらすじ感想(1/18))。

本当に心の底からラジオがまずいと思っていたら、風太に指示を出すでしょう。
そうでないにしても、大番頭の意見や懸念くらい、もっと真面目に聞けよ、と思うのです。

そして今日最後の、ラジオの場面。
風太一人だけ焦って、他の人は割とどうでもよさそう。

キースあたりはまだいいとして、北村夫妻のぼけーっとした態度はなんなんでしょう。

こうも緊迫感がないのは、史実ではラジオがむしろ好転につながるとわかっているから。

ラジオを聞いた客が、
「本物の落語も見てみたい!」
と寄席に押しかけることは、史実を見ればわかります。

しかし作り手は、ここで北村夫妻に慌てさせたら
「先の読めない人のように見えてしまうから」
未来人視点を持ち込んでいるのでしょう。

いやいや、逆効果だっせ。
あれだけ夢だのなんだの語っておいて、本当は商売に思い入れないのかな?とすら思われてしまいます。

もうひとつ。
男女の場面は少女漫画。
家族の場面は舞台が平成で、他のドラマや朝ドラ。
そしてお笑いは、脚本家が見たことのある数少ないお笑いであろう「どつき」もの。

本作は狭い抽斗(ひきだし)を引っかき回して、端布(はぎれ)をくっつけて作り上げたみたいです。
「お笑い=殴る」ばっかり出されるのは、そもそも関心がないという証拠ではないでしょうか。

なのになぜ、このドラマに関わろうと思ったのか。
正直、謎です。

朝ドラ枠で少女漫画の実写化でもやればよかったのでは……。

著:武者震之助
絵:小久ヒロ

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吉本せい 吉本興業の歴史

【参考】
NHK公式サイト

 

2 Comments

匿名

上質な少女漫画って直虎みたいな感じですからね。そっちもこの脚本家じゃ無理だろうなあ。
松坂桃李は他の作品では良い演技してるし若手では演技力ある方なのに、本がダメだからやる気ないんでしょうかね。
そもそも最初から笑える所が全然ないのにケラケラ笑う子ども、でも子どもだから可愛さでカバーしてましたが、てんのゲラ設定もどこかに行ってしまってますね。能面のような笑顔ですが。
役者は若いのに棒でもなく、ひたむきさも感じるしその辺の名の売れた女優よりずっと良いと思うんですがもったいない。
朝ドラといい大河といい、今期はハズレですね。
もう評価されてる人は良いですが、主役の子とか、評判悪い朝ドラに出るとその後の仕事にも影響しそうなんで気の毒です。

こえり

失礼ながら、この脚本家さんには向いてない筋のお話だったのでは?と自分も素人ながら思います。変な例えですが日本記録を持っている400mのハードラーに「アンタ足早いからフルマラソンにも出ちゃいなよ、きっと優勝できるよ、って言うかしてね」と依頼したような。普通は「自分はハードラーなので無理です。」とお断りするのですが「出来るカモ」と受けてしまったのでは無いでしょうか。

話の筋は決まっているけど台本が間に合わないのかチェックが間に合わないのか、撮影が間に合わないのでは?と勝手に心配してます。だから「今フラワーショップで買いました!」と言うような花束が用意され、誰もダメ出ししないのかも。昔読んだ物にゲーム内のエピソードで、声優さんが「(自分の声あてしているキャラは)絶対こんな言葉を言いません。」と矛盾を意見したと書かれていたのを思い出しました。キャラクターを大切にしているのだなあと思いました。俳優さんも脚本家さんとディスカッションしていくと言う話をよく耳にします。朝ドラは過酷なようですのでそんな時間は無くて仕方ないのかもしれませんが、このドラマは特に自転車操業なのかも…。

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