前回(第6話「謎の漂流者」)までの『西郷どん』は……。
島津斉彬の藩主就任を祝って行われた相撲大会。
優勝の西郷隆盛は、殿様・斉彬との相撲勝負に興じてあっと言う間に投げ飛ばしてしまい、結果、牢へ入れられてしまいます。
牢の中には得体の知れない男がいたのですが……それこそが「謎の漂流者・ジョン万次郎さん」でした。
ジョン万次郎とは、一瞬、トボけた名前ですが、実在します。
しかも相当波乱に富んだ人生であり、ここではザックリとだけ著しておきます。
漁の最中に鳥島へ漂流
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約5ヶ月、アホウドリ等を食べて生活
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アメリカの捕鯨船に助けられ
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本土へ渡米10年暮らす
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琉球へいったん上陸
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薩摩藩で講習(英語や造船等を教える)
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長崎奉行所で牢へ
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英語力を買われて幕府等の通訳
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晩年は質素な暮らしで可哀想
以下の記事に詳細がございますので、よろしければご覧ください。
ともかく、このジョン万次郎さんの事情を調べて、協力させるのが牢に入れられた西郷の使命でして。
これをクリアすると島津斉彬から褒美を貰えることとなり、西郷は、大久保利通の謹慎と、その父の遠島処分を解除してもらうのでした。
それでは西郷どん7話ネタバレへ!
祖父の死を機に嫁の話が湧き上がる
第7話は1852年、労咳を患っていた祖父・龍右衛門(大村崑さん)の死からスタート。
その死をキッカケに、西郷隆盛に嫁の話が湧き上がってきます。
「貧乏すぎて嫁なんか来るもんか!」
と否定する西郷ですが、そこで父の吉兵衛が思い出したのが伊集院家です。
伊集院家では、主の直五郎が御前相撲での西郷を気に入り、しかもその家には須賀という娘がいるそうで、伊集院家の方が家格が上ながら、縁談に前向きなんだとか。
ちなみに林真理子氏の原作では、吉兵衛が西郷に「嫁はどうじゃ?」と聞く時に、
「女より男が好きか」
「おいに稚児趣味はあいもはん」
という会話が繰り広げられております。原作でも、この時点で西郷に男色の気はないんですね。
ただ、嫁に来る理由が少し異なっておりまして。
伊集院須賀は天然痘にかかったことがあり、頬に痘痕(あばた)が残っているのでした。
そのため家格が下で、貧乏な西郷家に嫁ぐことも致し方ない――という流れでして。なんだか可哀想でもあります。
しかし、ドラマではそこまで突っ込まないようで、伊集院の当主・直五郎が西郷を気に入っていたというのを思い出した吉兵衛が急に家を飛び出し、話をマトメに行きます。
それと同時にふと思い出したのですが、西郷家にあった100両もの借金はどうされたのでしょう?
返すシーンやセリフを一度も見たことがありません。
利息だけコツコツと返しているのかな。
多重債務にならないことを祈ります。
斉彬「観農が政治経済の基本!」
一方、島津斉興の跡を継いだ島津斉彬。
第5話では「3年は父・島津斉興時代の体制を続ける!」と宣言しておりましたが、改革は進めている様子で、農民たちの顔が明るくなりました。
なんでも、牛を貸し出すなどして【新田開発】を奨励したようで。
斉彬は『観農が政治経済の基本!』という政治信念をお持ちだそうです。
斉彬が熱中した「集成館事業」は、後に詳細が語られるせいでしょうか。
ここでは観農だそうで。少々、ご都合主義な気がしないでもありません。
そして前話におけるジョン万次郎との会話を思い出しながら、長崎のオランダ商館から「アメリカが動く」という情報を得て、斉彬、動きます。
次の江戸行きには、若手藩士たちを連れて行くとの話が広がりました。
原作では普通だけどドラマでは無愛想なお嫁さん
江戸に行けるかもしれない――。
そんな高揚した気分で西郷が帰宅すると、祖父の龍右衛門に続き、母の満佐が悪い咳をしております。
どうやら労咳の様子。
こうなると結婚を急がなければならない。
と、西郷もついに婚礼を挙げるのでした。
新しく妻となった伊集院須賀。
彼女は愛想が悪いのですが、それは性分だそうで。笑おうとしても上手に笑えないようです。
それに加えて不器用なようで、なかなか家事も身につかず、うんざりした表情すら浮かべます。
気を遣った祖母・きみが
「慣れたか?」
と尋ねると
「まだわからない」
という素直すぎる回答っぷり。
原作では、決して愛想がないキャラクターではありません。普通に会話もできています。
ドラマの中で、緊張感を持たせるために、こういったキャラクターに設定されているのかもしれませんね。
いずれにせよ、無愛想な須賀に対して、父役の風間杜夫さん演じる吉兵衛が
「相手に惚れれば大丈夫だ」
という助け舟を出すと、その翌日、信じられない不幸が起きるのでした。
突然の死の連続に揺らぐ西郷家
不幸とは、予想だにしないものでした。
父の吉兵衛が急死したのです。
そしてそのため西郷の母・満佐までもが身体を壊して寝込んでしまい、西郷家はどうにもならない状態に陥ります。
祖父が亡くなり父が亡くなり、そして母までもが倒れる。
原作同様な不幸はここでも同じく起き、さらにしばらくしてその母も他界。
西郷のもとには、祖母の他に
・吉二郎(弟)
・竜助(弟)
・彦吉(弟)
・琴(妹)
・鷹(妹)
・安(妹)
6人の弟妹が残されるのでした。
次週へ……。
と、最後に、この頃の原作における西郷隆盛と島津斉彬の関係を見ておきましょう。
ドラマでは、渡辺謙さんが鹿賀丈史さん(島津斉興)に向かって、「西郷という男に教えられました!」みたいなことを仰ってましたが、原作では、そういったシーンは一切ありません。
この頃2人の関係は、極めて疎遠です。
西郷が一方的に意見書を送り届けるだけで、返信はなく、もちろん相撲を取ったりもしておりません。
あくまでドラマなんですね。
では、こうした西郷からの意見書に対し、斉彬はどのような農政を行っていたか?
というと、常平倉(米価を安定させるための米買い入れ施設)を設置したり、役人や商人の心得を説いたり(賄賂などを減らすことか?と)、同じく「観農」という言葉で表現されております。
西郷の意見だから、というワケではなく、斉彬本人の考えであったような書かれ方です。
西郷はせっせと意見書を送り届け、気がつけば26才に(あくまで原作上の流れです)。
「まるで吸い込まれそうじゃ」
「大男でぎょろ目の西郷どん」
と呼ばれるようになっていたようです。
(さらに先の原作ネタバレ)下加治屋町から最初の江戸勤務に選ばれたのは、西郷や大久保ではなく有村俊斎(海江田信義)、樺山三円、大山格之助(大山綱良)でした。
また、夫婦関係になった須賀との間には、
睦み合いなど一度もなかった
と記されております。男色ではない。にも関わらずなぜだかそうなっています。
近日公開!第8話ネタバレへ続く……。
文:編集部
絵:小久ヒロ
※本稿は、林真理子氏の原作『西郷どん』ならびに市販の関連書籍を参考にして、筆者のツッコミを入れながら、ネタバレ&あらすじを掲載しております。
実際の放送とは異なる場面があるかもしれません。
また、参考書籍のセリフ部分をそのまま引用する場合には、引用タグを用いております。
そのため読みづらい箇所もあるかもしれませんが、ご了承いただければ幸いです。
【参考】
ジョン万次郎/武将ジャパン
『西郷どん(前編)』
『西郷どん(後編)』
『西郷どん完全読本』
『西郷どん ガイドブック』
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