明治43年(1910)京都。
日本一の「ゲラ(笑い上戸)」娘ことヒロインの藤岡てん。
すっかりお年頃のお嬢様に成長したてんは、そろそろ立派な入り婿を持ち、家を継がなければなりません。
そんなてんの目の前に現れたのは、幼い日に出会った芸人の藤吉。
藤吉は負傷したために藤岡屋の蔵で匿われていました。
それが発覚して追い出され、てんが今度は反省のために蔵に閉じ込められます。
藤吉はてんが気になって、大阪に戻らず、蔵にやって来てはてんを励ましました。
それが儀兵衛に見つかってしまい……。
儀兵衛にアタマを下げて、てんを嫁に貰いたい!
藤吉は儀兵衛に頭を下げ、てんを嫁にもらいたいと言い出します。
藤吉は店を継ぐ決心がついた、芸は捨てる覚悟ができたと言います。最後となる芸を披露し、てんを一生幸せにすると約束します。
彼は嘘ばかり平気で言うタイプですので、話半分に聞いておきましょう。
「苦労はかけるかもしれへんけど、一生わらわしたる!」
この、ヒロインにしか通じないアプローチを家族や使用人の前で繰り広げる、藤吉の空気の読めなさが辛い……機転を利かせてなんとか儀兵衛の怒りを解こうという気が無くて、ともかくてんの心さえ引きつければいいという振る舞いがなあ。
これはてん、嫁いだあと苦労しますわ。
てんは藤吉を忘れられなかった、嫌いになれなかった、蔵の中も笑わせてくれた、と恥ずかしげに告げます。
儀兵衛は嫁ぐつもりなら親でもなければ子でもない、この家の敷居をまたぐことは許さん、とてんを勘当するのでした。
風太は辛い気持ちでしょうが「ほんまにてんを一生笑わせるのか?」と藤吉に聞きます。
妹の人生をも変えてしまったが
てんは荷物をまとめ、家を出る準備をします。
そのことでりんが跡継ぎになるわけで、そのへんをりんに聞かれたらそのことで「かんにんな」くらい言えばいいのですが、てんはもう自分の恋心しか頭にないようです。
あなたの決断でりんの人生まで変わってしまったんですよ、おてんさん。
りんは儀兵衛としずに、自分が婿を取って家を継ぐから姉を許して欲しい、と言います。
りんは偉い!
これでりん自分の恋愛結婚の可能性を捨てたに等しいわけで、結婚相手が嫌な男だったら、一生てんを恨んでもおかしくないと思います。
風太とりん経由で、てんは今日の最終列車で待つという藤吉からの伝言を受け取ります。
仏壇の前で手を合わせるてんに、しずは達者でな、と告げるのでした。
勘当されて親と対面できなくなったてんは、襖越しに儀兵衛としずに詫び、別れを告げます。
ここで、てんはずっとこれからも笑って生きて行く、と言います。
それは本作のテーマなのでしょうが、てんも藤吉もそればかり連呼してちょっと不自然に思えます。
夜の闇の中、駅へと急ぐてん。道の途中で藤吉と再会したてんは、抱き合って互いの気持ちを確かめあうのでした。
大阪船場で待っていたのはキョーレツ姑と婚約者!?
ロマンチックなBGMが流れ、盛り上げようという気持ちが伝わってきます。
「一生……わろてんか?」
これも決め台詞なのでしょう。
こうして二人はいよいよ大阪船場へ。
久々に再会した母・啄子は、倒れたどころかピンピンしています。
啄子は、藤吉に許嫁の楓を紹介するのでした。
こういう姑がいるとわかっていて、てんをここに連れて来たわけですよね?
それで一生笑わせたるとか言っていたわけですよね?
あなた、驚いていますけどある程度予想できましたよね?
そりゃいい歳した長男なら嫁くらい準備していておかしくないよね?
「ほんまに一生笑わせたるんやろなぁ?!」
そう風太にかわって胸ぐら掴んで百回くらい突っ込みたくなるぞ、藤吉はぁぁあん!
今回のマトメ
このドラマで引っかかるのは、主人公カップルの気遣いのなさでして。
蔵の中でグーグー寝る藤吉。
リリコの機転にあんまり感謝しない藤吉。
てんには流石に申し訳なさそうにしていたけど、だから出て行くとは言わない藤吉。
風太の饅頭に口もつけないてん。
蔵の中で閉じこもって、心配かけても自分のことしか考えられないてん。
駆け落ちでりんの人生を変えてしまっても、それより自分の恋心優先で、謝りもしないてん。
そんな二人に、リリコ、風太、りん、トキら周囲の人々は気を遣うわけです。
ですから必ずしも脚本がそうできないわけでもない、というのが不思議なところです。
これから成長する設定かな?
「売れないバンドマン」のような藤吉と、あんまりよろしくない形で結婚することにしてしまった無計画なてん。
来週は許嫁と藤吉を取り合う展開です。視聴者が「藤吉を取り合う価値はあるのか?」「栞様ならわかるけど……」と思ってしまわないかがポイントとなるかと思います。
駄目男が好きなてんはまだしも、賢く計算高そうな楓はそこのところどうなんでしょう。
来週は、藤吉のよいところが見られるんでしょうか。
著:武者震之助
絵:小久ヒロ
【参考】
NHK公式サイト
コメントを残す