今日は冒頭で、嫁入りから十年経過していることが示されて驚きました。
それでもまだ店の中は江戸期とさして変わっていないように見えます。
変わったのは弟・久太郎で、すっかり大人っぽい口ぶりになっています。
彼はとても優秀なんですよ。
こっそりほくそ笑むよのさん
加野屋では、新次郎とふゆが話し合っています。
そこへうめがやって来ました。どうやらふゆは、家族から来た手紙を誤読し、誰かが亡くなったと誤解してしまって、それを新次郎が訂正し慰めていたようです。
あさは郵便制度を使っていますが、ふゆは昔ながらの人づてでやり取りしているんですね。
こういうまだらなところが、明治初期らしくて芸が細かいです。
うめは人騒がせだ、まさか新次郎に良からぬ気持ちを持ってはいないだろうな、と問い詰めます。
困ったことがあれば自分か番頭に言え、と強く釘を刺します。
その様子をのぞき見て喜ぶよのとかの。風吹ジュンさんの顔芸が素晴らしいんですけど!
ここで思い出して欲しいのが、冒頭であさとはつの嫁入りから十年経過しているということです。
何かおかしいと思いませんか。
ふゆの年齢です。
実はあさとふゆは、役者の年齢差はあっても、実際には年齢差がほとんどありません。
ですから、役者だけ見ていると犯罪的に見えるかもしれませんが、実際のところそうではないのです。
どのタイミングでふゆの役者を交替するのか、気になるところです(新次郎の弟・榮三郎も初登場時子役で、あさはじめ他の役者が交替しても彼だけ子役のままでおかしかったのですが、来週から交替になります)。
人物評がシッカリしていて安心できる
あさが今井家に戻った翌日、あさと忠政は囲碁を打ちます。
浅子は大変な囲碁好きで腕前も相当なものだったとか。
これが最後だと言う忠政に、いややと甘えるあさ。すっかり子ども返りしています。
忠政は、誰かに「なんでどす」と聞かれたら、ちゃんと答えてやるようにと言います。最愛の孫相手に勝ち逃げして、極楽浄土に向かうわけです。
そしてついに忠政最期の時。
最期まで冗談を言う忠政です。
それから忠政は、忠興から順番に一人一人言葉をかけていきます。
ここで林与一さんが凄いのは、死ぬ間際の衰えた演技であるのに台詞がこもらず、聞き取りにくくなっていないことです。流石ベテラン!
注目したいのは、はつは優しく、だからこそ強いと語りかけるところ。
この人物評価は、惣兵衛が露芝に託してはつを評した「はんなりとしているようで鋭さもある」に通じるものがあります。
なぜ別人同士の人物評が一致するかと言うと、脚本家の中ではつのイメージがしっかりと出来ているからです。
これが出来ていないと、場面によってまるで違う特徴が人物に後付けされたり、あるいは忘れられたりして、無茶苦茶になります。
泣きじゃくるあさに忠政は、笑った顔が好きなんやでと語りかけ、頰をひっぱります。
この仕草が新次郎と同じで、忠政と新次郎が似ていることがここでも繰り返されます。
姉妹の性格の差が見えるんですよね。
泣きじゃくるあさと、泣く寸前でありながらこらえるはつ。
この反応は嫁入りの時も同じです。あのときは、台本にははつも泣くとあるのに、宮崎あおいさんがはつならばそうしないと変更しました。
彼女の優しくはんなりしているようで、鋭く強いキャラクターは、脚本家と役者さん双方の力で生み出されているわけですね。
こうして忠政は、大往生を遂げました。
葬儀の場面は一切なく、あさと忠政が登っていた木の前であさが別れを告げるところで、忠政の最期は終わります。
五代はん、またアンタかーい!
次の場面では、忠興が年内に東京移転する話を姉妹にします。
ややこしいのでそのあたりはバッサリカットしていますが、京都に本社があると東京で仕事をするのに、いちいち手続きが必要でとても面倒なのです。
あさに問われ、忠興は東京で始める新事業「バンク」の話を始めます。
「ばんこ?」と言い間違えるあさに向かって、得意げに「バァンク!」と訂正する久太郎。
んっ、このなんかウザい喋り方、誰かから聞いたような……。
忠興はこのあとすぐ「銀行」と言い換えるので、誰かさんのようなウザさはおさまりましたが。
両替屋はどうなるのか尋ねるあさに、忠興は銀行の仕組みを説明します。
はつは、ぎょうさんのお金を集めることには関係ないと言います。あさは新次郎の金への恐怖感を思い出しています。
ここで忠興、
「それを、わしに強う教えてくれはったのは……」
ジャーンジャーンジャン♪ テレレレテレレー(エレキギター)
「お二人さん、お久しぶりですな!」
五代はんやないですか! って、全然意外じゃねえ!
ホームドラマとビジネスを同時進行
少女時代から目をつけ、住所を調べ、偶然を装い再会。
既婚なのに旦那にまで「運命の人」宣言。
留守中には外堀を埋めるためか姉に接近。
そしてビジネスの話を持ちかけ、実家の父と弟まで懐柔!
なんというハイパーストーカー五代はん!
今週もキモすぎて最高やで!!
このキモすぎる五代友厚で、おじいちゃんさようならの余韻がブチ壊しではありますが、それがかえってよいと思います。
ホームドラマが嫌われているのではありません。
くどくどと展開して
「はいここで泣いて!」
「ここで感動して!」
と言わんばかりに引き伸ばすのが嫌われるんですよね。
その点本作は、もう少し長くしてもよいと思うくらいのタイミングでいったん切り、次につなげます(第六週木曜、あさと新次郎が肩を抱き合ってしんみりした直後、炭坑の持ち主がやってくる、など)。
ホームドラマとビジネスを同時進行し、次から次へと切り替えるからこそ、小気味よいテンポと次への引き込む力があるんですね。
本当によくできています。
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文:武者震之助
絵:小久ヒロ
※レビューの過去記事は『あさが来た感想』からお選びください
※あさが来たモデルの広岡浅子と、五代友厚についてもリンク先に伝記がございます
【参考】
連続テレビ小説 あさが来た 完全版 ブルーレイBOX1 [Blu-ray](→amazon link)
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