うーん、どうしちゃったんでしょう。
先日の終了間際あさとうめが九州へ出立したあと、五代の件を受け慌てて戻る姿が見えました。
これをてっきり私は、旅の序盤で慌てて引き返してきたからだと思ったんですね。
ところが今日見てみると、どうやらあさは目的を達成して帰ってきたらしいのです。
全然はそうは見えません。
旅装束でもなく、着崩れもなく、疲れた様子もなく、髪の毛までびしっとセットされています。これにはガッカリしました。
以前、このドラマでは
「旅の様子を描かなくても、旅装束を着せて髪の毛を乱したりするから、旅をしたとわかる、そこが昨年の大河とは違う」
と書きました。
それがまるで残念な方の美和さんみたいな旅じゃないですか。
うめがよろっと倒れて疲れを表現していますけれども、汚れたまま京都の今井家に戻って着替えていた頃の細やかさはどこへ行ってしまったんでしょうか? こういう細かい手抜きが興を削ぎます。
もくじ
商売のドラマが商談を省くのはいかがなものか
あさは炭坑を買ったと事後報告。
ここでも当主・榮三郎の頭越しに決めてしまうのか、という不満が……。榮三郎も、もっとそのあたりは強く釘を刺してよいと思うのです。
ここであさは、爆発を起こした炭坑を見捨てなかったことを売り主に評価されたと語るのですが、どうしてその取引をちょっとでもいいから見せないんでしょうか。
炭坑編は実質終了して、九州の場面は出せない都合などあるかもしれませんが、
【商売のドラマが商談を省いて済ませる】
というのはいかがなものでしょう。
あさがこのあと、借金はこれ以上御免だという榮三郎に対して、借金してでもええもんがあったらばーっと買って、というのも雁助が憑依したようにイライラ……誰かあさの手綱を取らないといけないのでは?
あさは疲れたうめを置いて、五代を探しに行きます。
雁助は追いかけようとするうめを止め、長旅のあとで無理をしたらあかん、自分を大事にせな、と労ります。
亀助とふゆに続いてまたも使用人の恋模様ではありますが、青春全開(のわりに亀助の年齢が、というツッコミはさておき)の二人とちがって、恋愛感情より同志感情的なものを感じます。
お母さんは力が有り余っていて、皆のために戦ってくれる
五代はあさを探して、着替えもせず、ほうぼうを見て回ります。
しかし五代はその頃北海道にいるわけです。
美和のレストランであさは、五代の悪口を言う商人を見つけ拳を握ります。
美和は、お店でモメ事は堪忍と止めます。
こちらの美和さんはつくづくできた人です。
新聞記事がアップになり(残念なことに、ふりがなでミスありとのこと)、美和が「マスコミは何でも好き勝手に書くんだから怖い」とか印象操作っぽいことを言うのですがこれはおかしいでしょう。
ここであさ、新次郎、美和の川の字の寝床です。
新次郎は千代にお母さんは力が有り余っていて、皆のために戦ってくれると諭します……でもたぶん、このあと千代がそんな父の言葉を全然理解せず、また「なんでだす? なんでうちのお母ちゃんは普通のお母ちゃんと違うんだす?」を繰り返すんだと思いますよ……シーンそのものは悪くないんですけどね。
五代はん、あなたも甘かったんでは?
マスコミの反五代キャンペーンは広がり、大阪商人まで槍玉にあがります。
そんな金儲けのためにセコいことしていると思われたくない、とか言うわけですが。
うーん、前述した熊虎の父のような開拓民からしてみれば、ビジネスチャンスを嗅ぎつけて群がってくる大阪商人は、やっぱり胡散臭く思えただろうなあ、と思ったりもして。
そしてついに北海道開拓使の件は取り消しになります。
五代は「政治闘争に巻き込まれた」と悔しそうにこぼします。
でもね五代さん、これはあんたも甘かったんちゃいます?
政治から距離を置きたいなら、巻き込まれたくないなら、政権の中枢にいる同郷薩摩の政治家・黒田清隆からうまい話持ちかけられたからって、ホイホイ乗っちゃいかんでしょ……と思うわけです。
失意と体調不良が重なった五代は、大阪商法会議所会頭を辞任すると言い出しました。
明治時代の不正事件は荷が重いか……
なんでしょう。今週は残念な面がはっきりと見えてきました。
年明けから『ちょっと脚本の質が落ちてきたかな』とは思っていましたが、役者さんの熱演で救われていた部分がありました。
今週に関して言えば、明治時代の不正事件は朝ドラで扱うには荷が重かったかな、という感じです。
開拓使官有物払下げ事件を取り上げたこと事態は果敢なチャレンジでした。しかし、その描き方がちょっとねぇ……。
まず引っかかるのが、まるで五代が冤罪に巻き込まれたような描き方ということです。
史実では実際に格安で官有物を払い下げるオファーを受けているわけです。
【五代と加野屋の内儀がW不倫熱愛!? なんと隠し子まで!】
みたいな、まるっきりの捏造を書きたてられたワケではない。
美和とあさの会話で「マスコミが情報操作している」的陰謀論が語られますが、それはちょっと違うんじゃないの、とは思いました。
報道機関が不正を暴くのはちゃんと仕事をしているわけでしょう。
悪意がなくても判断ミスから苦境に陥っている
あさは「五代さんはええ人やん!」なんて幼稚な怒り方していないで、私情は横に置いてでもちゃんと五代の責任を考えないと、商売人として駄目でしょう。
土方、玉利、そして正吉を感心させた「ピシッ!と筋の通った」長所がこれでは台無しになりかねません。
あさにとって五代はイケメンのいい人でも、大阪商人にとっては汚い取引に自分たちを巻き込もうとしたのではないかと、そういう怒りがあるわけです。
そういう部分も無視して、拳握りしめてくってかかろうとするとか、圧倒的によろしくない。
もう私情に目がくらんで、何かを見失っているんじゃないかと感じます。
この冤罪感覚を五代すら臭わせるのはさらに問題です。
史実の五代は悪に対して厳しい態度が取れる人物ですが、自分の判断ミスでこんなことになってしまったのにヤケ酒あおって
「俺は政治闘争に巻き込まれた!」
とか言うのはなんかそれ違うんとちゃいます?
悪意はなかったにせよ、判断ミスはあったわけで。
それに大阪商人まで巻き込んでしまったのです。
この状況で、あさか新次郎が何かスピーチしただけで商人たちがおさまったら嫌だなぁ。
でも明日そうなりそうなんだよなあ。
※大河ドラマも朝ドラもU-NEXTならスグ見れる!
スマホでもOKです。
↓
文:武者震之助
絵:小久ヒロ
※レビューの過去記事は『あさが来た感想』からお選びください
※あさが来たモデルの広岡浅子と、五代友厚についてもリンク先に伝記がございます
【参考】
連続テレビ小説 あさが来た 完全版 ブルーレイBOX1 [Blu-ray](→amazon link)
確認お願いします。
ここであさ、新次郎、美和の川の字の寝床です。
新次郎は千代にお母さんは力が有り余っていて、皆のために戦ってくれると諭します……