記念すべき朝ドラ100作目『なつぞら』。
公式サイトや番宣をパッと見た感想は、
「これはイケるんじゃないか?」
でした。
根拠をあげてまいりましょう。
もくじ
そこには北海道の苦しみがある
『ゴールデンカムイ』ファンの皆様ならば、深く頷くでしょう。
「北海道を舞台にするのであれば、その痛み、苦しみ。そこを描かなければならない」
・アイヌ
・屯田兵
日本の近代化の中で、入植される方も、する方も、深刻な苦しみを味わった。
それが北海道です。
単に綺麗な自然があって、グルメが堪能できて、ウハウハ〜!じゃないんですね。
本作には北海道の持つ痛みを味わってきた――そんな人物がいることがわかります。
男手一つで、娘を育て抜いた開拓者。
入植して、慣れぬ気候と農業に苦労した人物。
貧しい家庭であるために、画才を磨くことができなかった青年。
そんな中でも、目を惹く人物が阿川弥一郎と砂良父娘です。
森に住み、木彫りの熊をつくる父。
美しく、狩りや漁をして暮らす娘。
現時点で断言はできませんが、彼らはアイヌか、あるいはその関わりを持つか、そういう要素が、うっすらと感じられます。
もしも本作が、21世紀のワールドスタンダードにかなう
【アイヌ描写】
をきっちりこなしたら?
OK、そのままチームをスライドして『ゴールデンカムイ』実写版にいきましょう!
もしそんな力作が出来るとしたらば、アイヌ考証が第一ですから。命綱です。
夢を追う大切さがある
ここ数年、NHK東京とNHK大阪の朝ドラには、カラーが出てきました。
NHK大阪は、京阪神の実業家ベース。
そしてNHK東京は、地方から都会に出て行く女性の物語です。
『あまちゃん』
『ひよっこ』
『半分、青い。』
と、いずれも意欲作でした。
『とと姉ちゃん』で痛い目を見たためか、NHK大阪の企業モデルは封印したようです。
『まれ』のような作品はあったものの、この路線は成功ルートに乗っていると思います。
こういう作品の女性は、良妻賢母路線ではなく、夢を生き生きと追いかけて、自分らしさを求めています。
今の時代に合った生き方ではないでしょうか。
NHK大阪よりも若年齢層向けで、挑戦的。
視聴率面でも不利ではありますが、ともかくめげずにいいものを作りたい。そんな伸びやかさを感じます。
本作からも、そういう匂いを感じます。
役者選びにもセンスを感じる
役者の選び方。
意欲的な大河であった『平清盛』、『八重の桜』そして『真田丸』から引っ張ってくるあたり、よいものを感じます。
『いだてん』にもそういう傾向がありました。
話題性ではなく、あくまで適材適所でいく。そういうスタンスがあります。
子役まで没入している感覚が、伝わってくるのです。
衣装、セット、ロケがいい
ロケ写真を見ていると、ちょっとびっくりすることがあります。
「なにこれ、昭和だよ!」
昭和舞台だからそりゃそうなんですけれどね。
服装の、レトロさ。ポーズ。姿勢。
そういうのが、当時の写真に似ていてびっくりするほどです。
当時の青少年って、なんか石原裕次郎ぽいポーズをするんだよなぁ。
そういう納得感がいちいちある。ったく、本気ですね。
『ひよっこ』でも、これはできており、今回もバッチリっぽいです。
衣装は結構、汚いのです。それがいい。だからこそいい。
北海道の酪農なり、農業なり、携わっている人間が綺麗であったら、そのほうがリアリティに欠けますからね。
見た目の華やかさよりも、リアリティを重視する。
そこに、高い現場士気を感じます。
その士気の中で、演じる側も世界に没入している、そんな雰囲気を感じるのです。
チャレンジしてこそ前に進める 東京チーム
ここ数年、良い雰囲気が感じられます。
『まれ』と『とと姉ちゃん』は、正直なところ良い出来ではありません。
『まれ』は露骨な『あまちゃん』の二番煎じ感がありました。
守りに入っていました。
『とと姉ちゃん』も、NHK大阪が成功ルートとして確定した(そしてもうそれも終わりつつある)、企業ルーツドラマを選んで失敗。
守りに入ったら、負けあるのみ――。
作家性の強い、仕事をキッチリこなす脚本家を総大将に据えて革新的に突き進む!
そういう信念がいいじゃないですか。
記念すべき百作目は、そんなNHK東京における攻めの朝ドラ、集大成でもあることでしょう。
『あまちゃん』の伏線回収の巧みさ。
『ひよっこ』の愛すべきレトロさ。
『半分、青い。』の夢を追うヒロインの強さ。
そういう集大成を、全部ぶつけてくるはずです。
序盤チェックポイント
と言っても無条件での成功を盲信するワケではなく、いくつかの“壁”というか“ポイント”みたいな箇所はあります。
【ここをクリアできれば半年は安心できそうだ】というポイントをまとめてみました。
・戦災をきちんと描くのか?
戦災孤児であるヒロイン。
戦争で苦しんだ人々のことを、しっかりと描くのでしょうか?
『ひよっこ』のインパール。
『半分、青い。』の満州。
このハードルをきっちりとクリアしたNHK東京です。
クリアすると、信じています。
・阿川父娘のこと
これが重要です。
一番注目しています。
アイヌルーツなのか?
だとしたらどう描くのか?
もし、ここで失敗したら『永遠のニシパ』(嵐・松潤さん主演ドラマ)も暗い見通しになりますからね。
失敗は許されない。
そういう覚悟で、挑まることを願っております。
くどいようですが、ここをクリアしたら本作はおろか、NHKによる実写版『ゴールデンカムイ』にスライドしてほしいっすわぁ!
※あ、その場合、姉畑はカットでいいです
・馬ぁぁ!
馬!
馬!
北海道の馬!
馬連呼はナゼ?
もちろん馬刺しが食べたいわけじゃありません。
私は『いだてん』でバロン西こと西竹一が出るかどうか。
俄然ここを注目しています。
ここで素晴らしい馬を見せてくれたならば、バロン西にも期待が出てくるというものです。
朝ドラで馬って最高じゃないですか。
ヒグマも実はちょっと見てみたい(もちろん惨劇はなしで)。
危機感あればこそ何かの実を結ぶのでは
本サイトでは何度も指摘しておりますが、HuluやNetflix、アマゾンプライムビデオなどの動画配信サービス(VOD)がいよいよ茶の間に入り込んできており、このままではNHKがダメになりかねない状況です。
しかし、高い志でドラマを作りたい。そんな方がおりましょう。
『いだてん』でも、ヒシヒシと情熱を感じます
危機感あればこそ、真剣に取り組む。
そんな人材はいるはず。
結果はどうあれ、ここでの努力は絶対に何かの実を結ぶのではないでしょうか。
けっぱれ、『なつぞら』!
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文:武者震之助
絵:小久ヒロ
北海道ネタ盛り沢山のコーナーは武将ジャパンの『ゴールデンカムイ特集』へ!
北海道開拓史というより、アニメ黎明期をどう描くのか気になりますね。
ハイジ、マリオの小田部羊一監修でアヲイホノオより前の世代というのは期待持てます。
東映のにんぎょ姫、白蛇伝、ホルスの大冒険など、今作ヒロインは史実では伝説的な作品を手がけていますし、なにより旦那がレジェンドです。
手塚治虫とか後の世代の高畑勲、宮崎駿など入り乱れた群雄ドラマ的なものになるのか
それにしても、アニメ史をNHK朝ドラでやるとは、アニメも随分市民権を得たものだ。