大正時代の大阪では、お笑いの派閥争いが激化。
寄席「風鳥亭」を経営する「北村笑店」は、太夫元の寺ギン率いるおちゃらけ派と対立することになってしまいます。
しかし、北村笑店の経営者である北村藤吉・せい夫妻は、寺ギン所属芸人を寄席に出していて……。
このまま対立が激化すれば、北村笑店は存続の危機に。
さあ、どう切り抜けるのでしょうか。
やはり寺ギン一人を悪者にする気だな
寺ギンが芸人を回さなくなって焦る北村笑店。
一方でアサリが借金を申し込んで、土下座してきます。
藤吉は「このままでは寺ギンに潰される……」と青い顔をしております。
やっと実害が及んでから焦るあたりが藤吉らしいと言いましょうか……。団吾の契約交渉をする時に寺ギンのことがチラリと頭の隅をよぎるとかなかったんか~い!
ほんと、この対応っぷりだけで、藤吉が席主など務まらないことの証明になっているのがキツいです><;
何度も書いてますが、史実では吉本が寺ギンのモデルとなった一派を潰しております。
その辺、描き方ならいくらでもあろうというのに、さすがにこの改変はどうなのでしょう。
今度、再放送される1987年の大河ドラマ『独眼竜政宗』を思い出しました。
名作と評価されていますが、歴史的な部分は作りが割と雑です。政宗の父の時点で伊達家は奥羽一の大大名でしたが、何故かドラマでは潰されそうな弱小大名家になっておりました。
近年の大河ドラマでは流石にやらなくなった、主人公持ち上げのためのテクニックですが、朝ドラではまだまだ現役のようです。
私の本音を言いますと、もうこれきりにして欲しいんやけどな!
藤吉は悲壮感溢れる顔で、残りの芸人で回していくと言い出します。
トキまで残念な子にしないで!
風鳥亭の様子をうかがう風太を、後ろからトキが見つけてどつきます。
そして一方的に怒って、
「弱い者いじめをして楽しいんか! そんな奴は嫌い!」
と言い出します。
いや、それ、寺ギンじゃなくて、その下におる風太を責めてもしゃあないやろ。
このツンデレはさじ加減がバランス悪いです。最近のリリコに続き、トキまで変な子にしないで~!
そういえば藤吉も、寺ギン本人には腰が引けているくせに、「それでええんか?」と風太にチクチクと嫌味を言ってましたね。
基本的に風太を見下ろしている感じがにじみ出ているんですよね。
それが狙いだとしたらお門違い。そもそも自分たちも寺ギン相手に不義理をしているわけで……。
佐助と富の一件はともかく、団吾の契約はアカンやつでっせ。藤吉はこの段階で、寺ギンに対して完全な宣戦布告をしておりました。あまりクローズアップされないんですけどね(´・ω・`)
治五郎はいつどこでアサリとてんの関係を見抜いた?
てんは、アサリの祖父・治五郎に会うために万丈目の店に向かいます。
そこで治五郎は、あっさりと嘘を見抜きます。ま、そうやろな。
「騙すつもりはなかったんです!」
平謝りするてん。いやいや、突き詰めれば騙す気だったでしょ。
騙して、これでおじいちゃん孝行成功、ってニコニコしてたやん。
治五郎は、孫が送金してくれる感謝を語り、もうしなくていいと言いに来たのだと告げます。そして何故かいきなり頭を下げます。
私は鈍感なのでわかりませんでしたが、彼はこの短い出会いで、アサリがてんからとても世話になっていることを察したんですな。
大満足して、御礼を言っております。
てんは、帰る前に治五郎に、アサリの芸を見せることにします。
その演目が終わりアサリが慌てて帰ろうとすると、治五郎が殴りかかりました。
しかし……。しばしのドタバタ劇を経て、
「ワシはお前が誇らしいわい! 笑うことで人を幸せにできるんやなあ」
というと感動的なBGMが流れ、何故かちょっとよい話に。てんもニコニコです。
日銭が入ってくるかどうかは関係ないはず
家に帰ると、隼也が寝ています。最近の彼は寝顔ばかりですね。
藤吉は8組の芸人から出演契約を取り付けたと、疲れながら帰って来ます。
それから、北村笑店で専属芸人を抱えようと言い出します。ちょっと遅すぎるタイミングといってもいいほどでしたね。
ここで、てんが言います。
芸人たちの給料を月給制度にしよう、と。
うーーーーーーーーーん。
このときの2人のヤリトリで、妙なセリフが一つ、気になっちゃいまして。
月給制にして大丈夫か?と問う藤吉に対し、てんは「日銭が入ってくるから大丈夫」という趣旨のことをおっしゃってました。
これ、おかしくないですか?
「日銭が入ってくるから」というのは運転資金に関わる話です。
たしかに、月給制にした場合、どこかのタイミングでまとめてお金が出て行くわけですから、資金繰りは大事な話ではあります。
が、経営面から見ますと、月給制にする際の一番の問題は、芸人に支払う月給の総額でしょう。
芸人に対して、これまでのギャラよりも高い月給が毎月出ていきそうな雰囲気ですから、以前にもまして収益を圧迫するはず。寺ギンへ支払う取り分の交渉も今のままだと厳しそうですし、今後どうやってその局面を乗り越えるのでしょう?
藤吉とてんの2人が心配せねばならないのは、日銭の有無(運転資金)ではなく、売上と費用の関係(会計で言うところの営業利益)ではないでしょうか。
寄席経営者のドラマなら、こうした場面でのやり繰りが見所になりそうなものですが、本作は「日銭」のセリフに見られるように“雰囲気”だけで押し進められてしまいそうです。
終始、
「だって史実がそうなんだから」
と、安直に出てきた来た気がしてならないのです。
そして北村笑店が月給制度を採用することに対して、寺ギンはさらに敵意を燃やすのでした。
今回のマトメ「ヒロイン渾身のスピーチは?」
全くわからん!
今日の感想はそれですね。
昨日さんざん呆れた「芸人は誇りのある職業」という話を、今日になって回収してました。
それはよかったにせよ、てんはアサリの芸を治五郎に見せるだけで、何もしないんですね。傍観者です。
治五郎が短時間でアサリとてんの関係を見抜いてやたらと感謝して、舞台で笑いは人を幸せにするのだと悟り、そうして感じたことを全部ペラペラと饒舌に語る、と。
こういうヒロインの機転で人生の大事なことに気づくというパターンは、朝ドラの黄金の法則だとは思います。
ただし、そういうときは大抵ヒロインが渾身のスピーチをするものです。
今回の治五郎の流れで言いますと、相変わらずアサリに怒る彼に対して、てんが半ば強引に舞台を見させ、それでも怒る治五郎に対し、てん自らの長い台詞で納得させる――そんな流れになると思うのです。
しかし、実際のてんは、治五郎が一人悟りの境地に至るのを、横でニコニコしながら見ているだけ。
あんたは星明子か!(※スポ根アニメ『巨人の星』より)
てんはヘタな小芝居でアサリの祖父を騙すのではなく、正面から「芸人は素晴らしい仕事だ」と言うべきだ――。と昨日、私も指摘させていただき、実際今日になってそうなったわけですが、肝心のてんがボーッと突っ立っているばかりで、どうにも存在感が薄いのです。なぜ、こんな人物像にしてしまったのでしょう。
月給制度への流れも弱さを感じます。
人情話を二組(佐助とアサリ)も入れるより、どこかを削って、前述の通り、お金のやりくり(月給への移行)で悩む場面を入れて欲しかったですね。
ところで団吾が全く見えなくなってしまいました。団真とお夕はともかく、どこへ消えたのでしょうか。
著:武者震之助
絵:小久ヒロ
【参考】
NHK公式サイト
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