スカーレット97話あらすじ感想(1/27)振り上げた拳をおろせない

穴窯に取り掛かった喜美子。その合間に、身を重ねて眠る八郎と三津を見てしまいました。

その思いを振り切り、幼い頃の風呂焚きを思いだします。

薪を細くすれば?
燃えるのが早くなり、温度が上がるのではないか?

そう考えた喜美子は、薪を細かく割り、窯の中へと放り込んでいきます。そして……。

ついに1200度に到達!

穴窯の目標到達に必要だったのは、八郎の助言ではなく、己自身の過去でした。

そして目指すものは、父の教えによって得たあのカケラの色。喜美子の人生が見えてきました。

と、そこへコイツが来る。

「お姉さん! 缶ぽっくり! お姉さん、缶ぽっくり!」

「今!?」

鮫島や。この鮫カスが!
そう言いたくはなりますが、これも喜美子の人生。家長として妹のことは見守らなあかんのよ。

この作品では喜美子の作品として、モチーフとされる神山清子さんの作品も劇中に登場します。こちらもご注目!

魔性の男が工房にいる

三津は手を洗っています。
その横で、八郎は本を片付けている。

三津が思い出すのは、彼に顔を近づけたこと。キス寸前で身を引いたこと。

困ったことに、三津といるときの八郎は、あやしいほどの魅力がある。少年のようなみずみずしさすらある。
人間って怖いと思う。三津の目からは、そう見えているということか。

八郎は、大学の頃の卒業制作を思い出すと語り始めました。

松永さんより少し前だった。設備もおんぼろで、雨漏りするようなところで、みんなで大っきな作品に取り組んだ。よう徹夜して、雑魚寝して。そういう美大卒トークができる関係ということではある。

ここで八郎がおそろしいところは、距離感の掴み方でしょう。

美大トークで、一歩踏み込んでいるようで。
所詮は学生時代を思い出した気の迷いだと、つっぱねるようで。

八郎が、昨年の放送事故に出てきた性欲魔人画伯なら? もう、肩を抱いて気持ち悪いセクハラ全開にしそう。放送禁止になりかねん……が今年はそうならない。だからこそ、その抑制が魅力になってもいる。

八郎は、朝ドラの革新的な男だと思えてくる。ファム・ファタールの男版という風格が出てきた。

解釈を一歩間違えると、毒になって心をめちゃくちゃにする。こういう役に選ばれた松下洸平さんもすごいし、選んだ方もおっとろしいわ。将来、松下さんは、大河みたいにええ声で歌いながら毒殺する系の役もできますね!

穴窯を見てくる――そう八郎が告げることで、三津は罠にはまりかけていたのが、覚醒したように思えるのです。

まだ開けてみんとわからへんで

穴窯前では、鮫島が武志と缶ぽっくりで遊んでいます。

喜美子は1200度到達だと晴れやかに言い切る。

薪はギリギリで持った。冷えるまで4日。そうサバサバとしている喜美子からは、不穏な感情は読み取れない。

八郎はひと安心だと言うし、三津にもごくろうさんと言われる。

そう、ここでそれぞれがどう思っているかまったくわからない。

喜美子が二人の寝姿を確認した後に見せていた、苛立ちと怒り。そして八郎ではなく己自身を頼ることを決めた、その輝き。

誘惑から目覚め、自分の愚かさを噛み締めた三津。

そして八郎のことは、視聴者ですらはっきりとはわからない。

喜美子にはこういう色合いが出るはずやと、カケラに近づいた喜びがある。

「まだ開けてみんとわからへんで」

そう言われる。これが怖いところです。こういうロングパスが怖い。

そういう意味での近年ロングパスは、熟成期間が長いウイスキーの『マッサン』でしたね。そんなウイスキーよりはマシだとはいえ、陶芸も厳しい。

竹鶴政孝(マッサン)とリタ、史実の生涯は?ウィスキー作りに命を賭した夫婦

作り上げた、それがどうなるか?
受けるか?
そのハラハラドキドキするような感に、朝ドラは取り組む必要がある。

『なつぞら』では、アニメが当たるのかどうかハラハラする。『大草原の少女ソラ』は序盤苦戦した。神っちは新しいものを作るには時間がかかると強気だったものです。

『半分、青い。』だって、漫画も、ロボットも、発明品も。そして扇風機も苦戦して、軌道に乗るまで、それを維持するところが大変だった。

そういう苦痛が嫌なのか。
時間経過させるとか。キャピキャピナレーション処理とか。そういうモンはものづくりに寄り添っていないと思うんですよね。

歩行者天国貸切ました! ヒットです! 世界一周麺の旅ぃ〜! ……って、なめとんか? まぁええ。

ここは、成果がすぐ出る缶ぽっくりや。

そもそも、なんでそんなもんに挑むのか?

なんでも、直子が前回帰省時、缶ぽっくりができなかった鮫島にシラケていたそうで。それゆえ、出直してこいと言われたそうです。

なんか思い出しますよね。そういう、川島家の女と結婚する条件で足踏みしとった奴。なんか放置されとる奴。ギプスは取れたはずなのに、出番がない。

信作……どないしたんやろな。

なんか蝮に毒入りの茶を飲まされてなかったっけ? ああ、あれは大河の話や。別人(土岐頼純)!

まあ、信作はさておき、鮫島は振り返ります。

万博まであと139日。そんな賑わう大阪で、結婚してくださいとプロポーズしました。

おっ、ええんちゃうか、吊り橋効果(※吊り橋みたいなドキドキする場所で告白すると成功率あがるというテクニック)ならぬ万博効果やな!

しかし、直子はシラケとる。

「結婚しよう、幸せにするから!」

「缶ぽっくりもできひん男に、幸せになんでてきるわけないわ、アホか」

直子よ。お前、そんな男相手に偽装妊娠騒動しといて、それはないやろ。こちらとしては、そう引くわけですが、直子ならしゃあない。そう思える、桜庭ななみさんのふてぶてしい顔がたまらん。

NHK東京に夕見子あらば、NHK大阪に直子ありよ!

喜美子はその顛末を語りつつ、えらい朝早う来たと笑うわけです。ここで八郎は朝日が眩しいとシラを切り、缶ぽっくりが苦手な鈍臭さをにおわせてしまう。
そうそう、八郎はそうだった。もうええ、もうええとふざけあう夫婦は、修復しているように見える。

小さなひびは、目に見えない。
けんけんぱをする鮫島を見て、それで直ちゃんのところまで行けと皆はしゃいでいる。そんな様子を見る三津の目は少し暗いのです。

【朗報】鮫島&直子、結婚を決める

このあと、川原家はいつもの朝食です。武志はニンジンを食べさせようとしている。

鮫島は電話に向かっています。

「ほんまやて! 嘘やないし!」

そう話す鮫島に、百合子は電話代はただやないよ、と冷静ではある。

なんだか長引いております。
缶ぽっくり選手権で準優勝できるくらいになった、そんなアホそのものの宣言をする鮫島。

鮫カスは、ほんまに関西のアホな男の、アホでたまらんところを凝縮したようで、ええと思う! 半端ないな、正門良規さん半端ないな!

なんやそれと喜美子と八郎は突っ込む。準優勝というところに、ちょっと弱気を突っ込む。リアルさを出そうと小細工する。なんや、この無駄な謙遜は。

「先食べえ」

「先言うてからにします!」

振り切って、鮫島は言う。

「改めて結婚しよう! 幸せにするから」

電話でそんな大事なこと。八郎は呆れております。

「わかってる、わかってるで。お義兄さんとお義姉さんみたいな夫婦やろ、お義兄さんとお義姉さんみたいな夫婦、なろな」

そう言い切る鮫島。そしてこうだ。

「よっしゃあ〜!」

「結婚すんの?」

「よかったなあ〜」

「ほんますぐ大阪戻るな!」

「ありがとうございます、ありがとうございます。世界の国からありがとうございます!」

そう万博をからめて喜ぶ中で、八郎は呆れています。

朝から、しかも電話で。八郎としては、そういうところはカタチからきっちり入りたいのかもしれない。あるいは、周囲に筒抜けであることが許せないとか。

極めて常識的ではある。欠席報告をLINEですると怒るタイプかな?

そう思えますが、それだけならまだしも、八郎は鮫島と違って、感情を隠す性格かもしれませんよね。耐えに耐えて、怒りや嫌気が限界に達すると、いきなり消えたり、返事が来なくなるタイプ。

「もうええからはよ食べぇ」

「ありがとうございます!」

すっかり祝福ムードの中、ちょっと雰囲気が違う二人がいます。

呆れ戸惑う八郎。

そして明るい顔がちょっと曇った三津。
※続きは次ページへ

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