スカーレット97話あらすじ感想(1/27)振り上げた拳をおろせない

三津の決意

三津はかわはら工房を見て回ります。

感傷的で、決意を固めた目。そのうえで、川原夫妻に辞めると言い、こう語り出すのでした。

「嫌になったんですよね。穴窯なんて、こんなこと学びに来たわけじゃないのに。火の番なんてやってられません。時代に逆行してますよ。これからは食器は人間じゃなくて、機械が洗うようになるんです。食器洗い機って言って。いずれ一家に一台、当たり前になるだろうって。機械で洗える陶器を作らなきゃ、それなのに穴窯なんて。申し訳ありません。辞めさせていただきます! 荷物まとめてすぐ出て行きます!」

予告編の時点で、あの嫌な生意気女が何か言っている。そんな叩きもありましたけど。

むしろ三津がええ子すぎて……『泣いた赤鬼』やん!

三津は自分の思いに気づき、悪役になることで、相手の罪悪感を柔べて辞めてゆく。こんなええ子おったか!

※こんなん泣いてまうわ……

ここで、喜美子と八郎が憎たらしそうな目をすれば、ある意味計算通りではありますが。

釉薬の配合ノートを差し出すんだから、ある意味どうしようもない。

「喜美子の頭に入ってるから、持っていき」

「いえ、そんな大事なもの、受け取れません!」

そこは三津は悪党を演じきれないから、こう言ってしまう。受け取って破り捨てたら、戦国武将になれるけどな。そういうのは大河でええから。

喜美子は語りかけます。

「続けるやろ? ここは辞めても、陶芸は辞めへんのやろ。大したこと教えてあげられへんかった。それ参考にして作ってや、食器洗い機で洗える作品を」

三津の心はもう、決壊してしまう。

「私、ここ来る前に、何軒も、よその工房を回ってきました。弟子にしてくださいって言っても、断られて。どこも大抵言うんです。女はなあ。陶芸は男やないとつとまらん、って。私そんなふうに言われても、今まで一度も、思ったことないんだけど。初めて、思いました。男だったらよかった……」

つらい……。

恋をしたから。恋心ゆえに、こんな立派な師匠のもとにはいられないのです。

でも、天使のことは騙せない。

縁側で待っていた百合子は、三津に笑顔でマフラーを巻きつけるのです。

ふふっ。そう笑う百合子は天使や! 百合子には、人の心を見抜く、そういう母譲りの優しさがあります。まぁ、信作もこの天使が相手ならええんちゃうか。

涙をグッとこらえ、三津が「かわはら工房」を去ってゆく。

焼きが甘い、熱が足りない

このあと、カメラマンがシャッターを切っています。柴田が新聞記者とカメラマンを連れて、穴窯の取材に来たのです。

自分で調べたとハッキリ言い切る喜美子は、力強さが満ち満ちています。

カメラマンは、夫婦揃っての写真と、一人だけの写真を撮影する。

マスコットガール・ミッコー。

火祭りの喜美子と八郎。

そして結婚の写真。

写真は本作で重要な役割を果たしています。

このあと、いよいよ穴窯から作品を取り出す日が来ました。

柴田と佐久間も、見に来ております。

「気ぃつけや」

そう言われ、喜美子は穴窯に入っていく。

作品は焼きが甘く、望んでいた色は出ていませんでした。初めての窯炊きは失敗――。

試行錯誤は続くのです。

地獄の策士、NHK大阪がまたやらかす

『スカーレット』は地獄や!
そう主張してきました。『麒麟がくる』も地獄みが割と溢れている。今年のNHKは地獄で受信料を燃やす展開をある意味かますとは思う。

けれども、地獄には地獄の意義があるので、このまま燃やしてください。この調子や!

喜美子が薪を細かく割るように、作り手も視聴者の反応をぶったぎりました。

三津やで!

三津は憎まれ役になるとは思っておりました。演じる黒島結菜さんもそう認識している。案の定、疫病神だのなんだのと、叩きは出てきた。

それが、三津は自己犠牲の涙を流し、自ら身をひく、めっちゃええ子でした。

女というだけで門前払いをされる。
彼女だって、つらい目にあってきた。

それなのに、喜美子を守るために去ってゆく。つらすぎる、三津は悪くないんだ!

見ようによっては八郎の魔性があかんのやで。八郎は男だからそうならんけど、性別逆転したら八郎があかん。それが結論になりかねない。

恋心は素晴らしいという。
けれども、それは見方次第。この三角関係は、全員それぞれが悪いとも思える。

喜美子は、結婚当初あった八郎へと歩み寄る気持ちを、焼き尽くしていく流れがハッキリと出てきた。

八郎は、己の弱さを三津に寄りかかることで解消しようとした点はある。それに、自分の不満を小出しにできない。ジョーや鮫島みたいにそれができれば、爆発はしないのに。

三津は、そんなぐらついた師匠夫妻に入り込んでしまった。

しかし、それに気づき身を引いた。
一番善良かもしれない。

三津は師匠と自分の恋心を天秤にかけて、喜美子を選びました。

悪女だの、疫病神だの、さんざん言われてきたけれども。三津は自分の恋心を叩き割る。そんなかわいそうな存在になって消えてゆこうとしてる。

けれども、そうなると視聴者はキッツイ。振り上げた拳をおろせないのです。

むしろ三津が叩けるだけの悪女ならば。『半分、青い。』の鈴愛や『なつぞら』のなつならば!(あ、私は好きですよ)

あんなおかしくて、甘ったれていて、生意気で、ともかくムカつく。そう思える女ならば、ギタギタにして、一日中アンチ投稿してスッキリできるのに、ハッシュタグで盛り上がれるのに!

なんでや!

今のNHK大阪は策士にもほどがあるので、そこでフェイントをぶちかましました。

怖すぎるわ、こんなん!

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

【参考】
スカーレット/公式サイト

 

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