女興行師として、リリコ・アンド・シローの漫才コンビを売り出したい北村てん。
ただ、どうしても面白さがわからなくなってきて、困っています。
「面白さを感じた理由をつきつめてみたら」
栞からそうアドバイスをされ、てんは考えてみることにしたのですが……。
経営者が「現場を見る・知る」
本日もマンマンから。
リリコとシローのブロマイドを選びながら、てんは考えます。
売り出す魅力を考える……という超根本的な悩みで、「今さら遅いってば!」としか思えないのですが。
ここでキースとアサリが、てんに食事代を奢らせて、アドバイスを言い出します。
この二人の漫才も中々厳しいとは思うのですが、一応売れっ子設定ですので。ほんと設定って魔法ですね、劇中でしか通用しませんが(´・ω・`)
キースやアサリは、「脚本は悪くないけど、力みすぎている」と指摘しました。
いやいや、だから、その緊張感をホグして舞台に立つにはどうするか? 更には面白みを聴衆によりよく伝えるにはどうるか? が最初から問題のような気がします。
そもそも女興行師であるてんが、なぜそれぐらいのことに気づかないのでしょう。
このへんの設定が超甘すぎるんですよね。
風太は隼也に「物販をやれ」と言い出します。
狭いブースで、饅頭を売る隼也。
昨日、偶然、ファミリーマートの社長がアルバイトと一緒にレジ打ちしている記事を見かけましたが、経営者が「現場を見る・知る」という作業は往々にして語られますし、実際に大事な経験かもしれません。
と思っていたら、亀井が「ゴロゴロ冷やし飴」を持ち出します(わろてんか44話あらすじ感想(11/21))。
これって、テレビ画面で実際に見せた「おてんちゃん唯一のアイデア&活躍」ですよね。
昨日のように「芸人300人の名前・顔・好みを覚えていた」と他人から語られて突如スキルが降臨するのではなく、回想シーンがつくだけ説得力はあります。
ただ、こうした物販の工夫って、ほとんどがモデルの吉本せいが発案したのに、他の機転については脇役が考えたことになっていて、それが今更ながら残念だなぁ、と(´・ω・`)
ちなみに、こういう前半の回想が出てくると「この頃は若かったなあ」「なつかしいなあ」なんて思えるモンですが、本作の場合は、
「昨日、見たシーンみたい。若い。服装と髪型しか変わっていない」
と違和感ばかりが先に立ってしまいましたorz
本物のミス・ワカナと玉松一郎はこんな感じ
リリコと四郎はマンマンで食事中。四郎はドイツ留学への憧れを語ります。
そこまでがっつりと本格的なクラシック音楽志向なのに、アコーディオン奏者というのはちょっと不思議です。バーのピアノ弾きならまだわかるんですが。
リリコは「うちもついて行こうかな」と言い出します。
あー、これ、恋愛フラグかな。
隼也はキースとアサリの似顔絵を描いて、てんに見せます。
饅頭にプリントして売るとか言い出すのでしょう。
当時としたら面白いアイデアなのかな。
ただ、この母子の会話というのが、どうしても違和感ありまして。
てんの声が、ずーっと変わらないキンキン声で、母親というよりも兄妹、どうがんばってみてもせいぜい若夫婦にしか見えません。
ここでリリコと四郎の練習風景です。
本物のミス・ワカナと玉松一郎はこんな感じ。
エンタツ・アチャコのYoutube音声動画を聞いたときにも思いましたが、ミス・ワカナたちは今もシッカリ笑えるのですから、凄いと思えます。
問題は、こうしたレジェンド級の人物を扱うという覚悟が、本作からはあまり感じられないところで……。
織田信長にはしかるべき迫力のある海老蔵さん。
瀬戸方休には飄々とした雰囲気のムロツヨシさん。
適材適所を考えれば、やはりもっと多くの本職(お笑い芸人さん)をキャスティングして欲しかったなぁ。
すみません、同じこと何度も言いまして><;
トキの次はリリコのツンデレ恋愛
リリコは一郎のためにおにぎりを作って持って来ます。
「うちが握ったから形は悪いかもしれへんけど」
とかなんとか言っちゃって。
藤吉の言によると、リンゴの皮も剥けなかったというリリコ。頑張ったということでしょう。
まぁ、恋愛フラグですよね。
トキが結婚したから、ツンデレ担当がリリコになったのか。ツンデレを何がなんでも出し続けないといけない――そんなノルマ感すら伝わってきてしまいます。
リリコ、もうアラフォーで、高校生の恋愛じゃないんだから。
手作り弁当ってのも白々しいというか、他に恋愛感情を表す手段もあるでしょう。
トキと楓は、美味しいを連呼しながら、歌子のコラボ弁当を試食中です。
「ほっぺが落ちそうやわ~」
とは、語彙が豊富で才女設定の楓。
新聞社経験の長い記者のわりには、陳腐なことしか言わないなぁ……と複雑な気持ちに(´・ω・`)
本当に美味しいあまり、語彙ゼロになって「うんめえ~~!」を繰り返す『ひよっこ』澄子の方が伝わってきたのではないでしょうか。
そのせいか、『ひよっこ』の「すずふり亭」の食事は美味しそうに見えまして……まぁ、本作の本質的なつまらなさが、劇中のいろんなことも悪く見えてしまうというスパイラルに陥ってるかもしれません(´・ω・`)
「しゃべらん漫才でどうやろ!」
ここで歌子と万丈目が夫婦喧嘩のような夫婦漫才。
セリフそのものより、お2人のオモシロ雰囲気でなんとなくカタチになっている気はするのですが、てんたちがわざとらしい笑いを大げさに浮かべて、
「おもろいな~♪」
と言われて、途端に冷めてしまい……orz
なぜ、そんな面白さの説明をするような、バカみたいなセリフが入ってくるのでしょう。
【コレ、オモシロイデショ、ワラウトコロデスヨ】
と、みたいに言われてる気がして、引いてしまうのです。
関西の、しかもお笑いを本業にする人たちだったら、万丈目たちの夫婦ゲンカ漫才に乗っかって、自分の方が『オモロイこと言ったんねん!』とボケを被せたり突っ込んだりするのが気質であって、しかもそれがドラマを面白くする見せ所だとも思うのですが……違いますかね。
これだったらケンミンショーに出てくるシロウト大阪人の方が、リアルに何十倍もオモロイです。
と、私がそんなことを考えている間に、てんの脳裏に、あるアイデアが浮かびました。
漫才大会で、とちって言葉が出なくなって、「アウアウ」言っていた四郎が面白かった、と。
万丈目の喧嘩と同じやわ~、って。
更にはこう言い出します。
「しゃべらん漫才でどうやろ!」
それが答えか……orz
今回のマトメ「炎上Youtuberと変わらへん」
うーん。
毎回底の見えない酷さですが、この「アウアウした姿が面白い!」ってどうなんでしょう。
根本的にはイジメの発想ではないですか?
わざと意地悪して困っている姿が面白い。そうやって笑いを取りに行く。
思い出したのは、この人のことです。
◆青木ヶ原の樹海で自殺遺体動画を撮影、YouTuberが謝罪 「許してもらえるとは思っていないが…」
このローガン・ポールという悪質なYouTuberは、東京の路上で、車のボンネットに鮮魚を置いたり、路上で寝転んだり、通行人にポケモンボールを投げつけたり、親の前から幼い子を連れ去ったりして、はしゃいでいました。
そういう行動に人々が焦る様子を見て、ゲラゲラ笑っていたのです。
困って「アワアワ」している人を面白いと感じるというのは、そういう低レベルな、言わば小学校低学年で卒業する笑いです。
まっとうな大人は、「アワアワ」と困る人を見たら、気まずく思うのが普通でしょう。
吉本興業の大御所である宮川大助・花子さんもかなり強めのツッコミで大助さんがイジられてますが、リアルな「アウアウ」で笑いを取りにはいってない。あるいはそんなシーンもありましょうが、狙いでやっていて、そればかりじゃない。
大阪の強いお母ちゃんと、ちょっとダメなお父ちゃん。
観客には、そういった2人の信頼関係がわかっていて、そこからのツッコミとボヤキの微妙な見せ方がまさしく腕というやつなのでしょう。
しかし、リリコと四郎は全くその域には達しておりません。
いずれはそこを目指しているのかもしれませんが、ともかくこの時点で、自分のところの芸人が、狙ってではなく、言葉を失って「アワアワ」しているのを見たら面白がるのではなく、焦るのが興行師では?
ダメな芸をお客様に見せてしまったと恥じるのがプロではないですか。
芸を磨き上げたプロというのは、「アワアワ」ではなくて、よどみない話芸で人をひきつけるものです(まぁ、大助さんはよどみない話術というより相槌ですが)。
それを、炎上YouTuberレベルの思考回路で『わろてんか』というのはどうにもムリがある。
とりあえず脚本家さんは、吃音を克服したジョージ6世を描いた映画『英国王のスピーチ』でも見て、色々と反省していただければ……。
著:武者震之助
絵:小久ヒロ
【関連記事】
吉本せい 吉本興業の歴史 風太(林正之助) 伊能栞(小林一三)
【参考】
NHK公式サイト
初心者のアワアワは見てて緊張してしまい笑えません
最近は共感性羞恥なんて言葉も聞くようになりましたし…
今回は歌子がコラボ弁当担当になりましたが、わろてんかの登場人物は役職を兼任しすぎな気がします
本当に酷いですね。
脚本家のレベル差が酷い。
ちりとてちんの人やあまちゃんの宮藤官九郎が作ったらどれだけ面白かったろうなあと思います。